旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ひなだお!で抜いたことあります。


331話 ガチ登山

「ご主人様」

 

「どうした漣」

 

「登山したいなー」

 

「ヤマノススメ」

 

「何故バレたし?!」

 

お見通しよォ……。

 

 

 

綾波型を連れて登山。

 

「裏山は行き慣れてるだろうし、エベレストでも登るか?」

 

「え?マジで?」

 

大マジよ。

 

「初っ端からそんな大きい山に登って大丈夫なもんなの?」

 

「いや、一般人にはオススメしないけど、君達、一般人じゃないじゃん」

 

「あー、成る程?」

 

そう言うもんなのよ。

 

「でも、プロなら、山を舐めるなって怒るもんじゃない?」

 

「いやいや、俺なら、地球の山程度、何の障害にもならないよ」

 

「お、凄い自信」

 

出現する敵対的存在は精々熊程度、環境は少しばかり空気が薄くて、足場がちょっと悪くて、少し冷えるくらい。

 

何を警戒する必要があるのだろうか?

 

確かに、自然は強大だ。

 

自然に打ち勝てるような強大な存在は何十人かしか知らない。

 

だが、俺も、打ち勝つとまでは言わずとも、死なないくらいの芸当は容易い。

 

敵対存在?

 

俺を殺したいならば上級悪魔や大妖怪を用意しなきゃな。それも複数。

 

空気が薄い?

 

俺はハンターでもある。一日は無呼吸のまま活動可能だ。呼吸補助アイテムや波紋を使えば更に活動時間は伸びる。

 

足場が悪い?

 

そもそも空飛べるしな。

 

冷える?

 

永久凍土並ならばシャツ一枚で平気だ。それ以上寒くても、ホットドリンクを飲めば平気平気。

 

結論。

 

何も問題はない。

 

艦娘も、大体俺以上のスペックがあって、150kmくらいなら一日で走り抜ける体力と、暑さや寒さにも強く、常人より何倍も優れたバイタリティとメンタリティを持つ。

 

うん、やっぱり、問題ない。

 

「行くカァー!!!」

 

「「「「はーい」」」」

 

だが、流石に装備無しで山に入れば止められる。

 

取り敢えず、綾波型の諸君らには暖かい服を着せる。

 

そして俺も、ワイシャツ一枚で問題ないが、あえて服を着込み、バックパックを背負う。

 

「こんなこともあろうかと、エベレストへの登山許可を取っておいた。さあ、ネパールに飛ぶぞ」

 

「マジで?!!」

 

うん?

 

山登りがしたいんだろ?

 

「そ、そんな本格的なのは……」

 

と、潮。

 

「ははは、あっちの世界の新大陸やら、魔界やら、もっと過酷な地域なんて山ほどあるんだからさ。エベレストなんて簡単簡単!」

 

「でも、はぐれたりしたら死んじゃうんじゃないかな……」

 

と朧。

 

「うん?艦娘の仕事だって、常に死と隣り合わせだろうに。それに、はぐれても見つけてあげるから安心するといい」

 

「本当に大丈夫なの?」

 

と曙。

 

「もちろん!君達なら平気さ!」

 

さあ、行こうか。

 

 

 

現地のエージェントを雇うことはなかった。

 

流石に必要ない。

 

二日で帰る予定だし。

 

早速登山開始だ。

 

この辺はちょっと(150km)だけ歩かなきゃならないからな、取り敢えず、最初のキャンプまで全員早歩きで。一日あれば最初のキャンプ地まで行けるだろ。

 

「それ行くぞ」

 

「「「「はーい」」」」

 

さあ、歩き出した俺達。足取りに淀みはない。

 

「景色が良いだろ?」

 

「そうだね、まだこの辺は麓が見えるねー」

 

山の斜面を、小走りで移動。

 

「たまには運動するのも健康的で良いだろう。なあ曙」

 

「ふん、これくらい、毎日の軽い運動レベルよ」

 

おや、そうなのか?

 

「毎日どれくらい走るの?」

 

「100kmくらい、二時間で走るわ」

 

へえ、まあまあだな。毎日の軽い運動ならそれくらいで良いかもしれない。

 

……あ、潮のおっぱい揺れてる。

 

「……提督、あんた今どこ見てたの?」

 

「潮のおっぱい」

 

「ええ?!わ、私のおっぱいですか?!」

 

潮が何故かちょっと嬉しそうに言う。

 

いや揺れてるから……。

 

「むー!何よ!ほら、私のおっぱいだって揺れ、揺れて……」

 

「曙、無理するな」

 

「ううー!!」

 

曙は可愛いなあ。

 

「別に揺れなくても、曙は可愛いよ!」

 

「駄目なの!私はもっと提督に見てもらいたいの!」

 

嫉妬しちゃってもう。

 

たっぷり五時間かけて歩いた。

 

 

 

第一キャンプに辿り着いた。

 

予定通りの時間だ。

 

「さあ、飯にするぞ」

 

今回は山っぽい食事を作っていきたい。

 

いや、その気になれば地の果てだろうと本格イタリア料理でも何でも作れるが、折角山に登ってる訳じゃん。

 

雰囲気を大事にしたいよね、と漣に言われた。

 

成る程、そう言う見方もある。

 

俺もたまに、錬金術で作ったふかふかのパンが無性に食べたくなる時があるからな。

 

え?ああ、いや、ノースティリスで冒険者やってる頃に覚えた錬金術なんだけど、フライパンさえあれば、そこらの石ころでも何でも、ふかふかのパンにする術式があるんだよ。

 

そう言うもんなんだ、納得してくれなくても良いが理解はしてくれ。

 

さて、飯を作る訳だが。

 

態々コンロを使ってクッカーを火にかける。

 

「おお、それっぽい!」

 

漣が興奮気味に手元を見てくる。

 

「メニューは何ですか?」

 

朧がそう尋ねてくる。

 

「煮込みラーメンだよ。今回はあえてちゃんとしたものは作らない」

 

まず、麺も手打ち麺ではなく、乾麺を使用。

 

あらかじめ切っておいたキャベツやらもやしやら沢山の野菜を入れて、豚肉と卵も煮込む。

 

アクを取って煮込む。

 

鶏がらスープの素を使って、更に煮込む。

 

こんなもんか。

 

保温容器にわけて、さあ、食べろ。

 

「おっ、美味い美味い!山っぽい!」

 

満足感を露わにする漣。

 

「あったまりますね」

 

美味しそうに食べる潮。

 

よしよし、こんな感じが普通のアウトドアなんだな。

 

「ほら、山だから栄養沢山とらないと!カロリーメイトでカロリーを摂取しよう!あとココアも淹れるから身体を温めるように!」

 

「そんな寒くないわよ?」

 

「ありゃ、そうなの?」

 

やっぱり、艦娘も寒いのは平気か。

 

「よーし、それじゃあ、ここをキャンプ地とする!」

 

大型の、六人くらい入れるテントを張る。

 

「ほら寝袋寝袋」

 

「わー、これ面白ーい」

 

「ミイラみたい」

 

と、ガヤガヤしながら寝た。

 

 

 

次の日。

 

「今日は山頂を目指すぞー」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

うん、いい返事。

 

山頂を目指して山道を行く。

 

いや、道らしい道はない。

 

梯子をかけたりして、どんどん進む。

 

おっと、潮が手を滑らせて5mくらい落ちた。

 

「大丈夫かー?」

 

「はーい」

 

まあ、数メートルの落下くらいで艦娘がどうにかなる訳ないよね。

 

縄を垂らして、と。

 

「掴まってろよー、そーれ!」

 

「わあっ!」

 

引き上げる。

 

「さあ、行こう。ここら辺は空気が薄くなってくるぞー」

 

「……そう言われると、ちょっと息苦しいかもね」

 

この辺は酸素が地表の三分の一くらいだからなー。

 

だがまあ、艦娘の強靭な心肺機能からすればなんてことはない。

 

「あとほら、そこら辺に凍死体とか転がってるけど、見なかったことにするんだよ」

 

「? なんで死んでるの?」

 

「君達艦娘にとっては大したことがなくても、人間にとったら過酷な土地なのよ」

 

「死体を弔ったりはしないんですか?」

 

「いやー、そんな余裕ないでしょ」

 

お、落石。

 

「ふん」

 

まあ、砕くよね。

 

落石程度。

 

あ、破片。

 

「えい」

 

「それ」

 

綾波型諸君らも、落石を拳で叩き割って普通に進む。

 

そして。

 

「頂上に到着ー!」

 

「「「「わー!!」」」」

 

素晴らしい景色だ。

 

エベレストに登ったのは久しぶりだしな。

 

折角登った訳だし、各自写真を撮りまくる。

 

「ツイッターに上げよ」

 

漣が動画を撮ってツイッターに上げる。

 

俺も写真を撮りまくり。

 

「おおおRTヤバーい」

 

鳴りまくる漣のスマホを背景に……。

 

「さて、登山、どうだった?」

 

「「「「楽しかった」」」」

 

うむ、よし。

 

「ただね、ご主人様」

 

「どうした?」

 

「次は緑が見える山にしようね」

 

はい。

 




綾波型
ガチ登山は良い運動になったと思っている。

旅人
ノースティリスの方が厳しい環境なので、どうとも思わない。

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