旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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最近めっちゃ太りました。

加圧シャツとか着てます。



333話 異世界転移これくしょん その2

はーい、こちらビスマルク。

 

「あの、こんにちは」

 

「え、ええ、こんにちは」

 

朝、起きたら。

 

「あの、Fräulein、ここはどこかしら?」

 

「ふろいらいん?……ここはエローナの国ですよ」

 

知らないところにいたわ。

 

 

 

昨日、どうしたんだったかしら。

 

ええと、夜に、ジュンヨウと浴びるようにビールを飲んで……。

 

……原因はそれね。

 

酔って……、酔ってここに?

 

どれだけ遠くに来たのよ、私は。

 

全く見覚えがないところに来るなんて。

 

でも空港に行った覚えとかはないし……。

 

「そうだスマホ……、圏外ね」

 

ポケットから取り出したスマホは、残念ながら圏外。

 

参ったわ、ここが何処か見当もつかない。

 

「あー、えっと、エローナの国、とか言ったわよね?」

 

「はい、ご主人様が支配する、パルミアを超える巨大国家です」

 

パルミア?

 

「あの、貴女はムーンゲートらしきものを通ってここに来たと聞いています。この辺りの地理が分からないんですよね?」

 

「そもそも、どうやってここへ来たのかも分からないわね」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ、ちょっと、酔った勢いでね」

 

「それは大変ですね」

 

………………。

 

そう、それで……。

 

「Fräulein、あー、お嬢さんは誰かしら?」

 

「私の名前は……、いえ、そう、ですね、ただの『少女』ですよ」

 

「?、それじゃあ、Fräuleinと呼ばせてもらうわ」

 

名乗らなかった少女……、十代半ばほどの、ブロンドの髪が綺麗な女の子は、前時代的な軽い鎧に身を包み、身の丈を超えるハンマーを背負っている。

 

コスプレ、かしら?

 

でも、見たところ、あのハンマーは本物、ハリボテじゃないし……。

 

「その、貴女の通ってきたムーンゲートの形は、黒井鎮守府の扉だそうですが、貴女は黒井鎮守府の方ですか?」

 

「え、ええ、そうよ。……って、扉?……ああ!私ったら、酔ってあの扉をくぐったのね?!」

 

そう、確か……、提督が、異世界食堂方式、とか言っていたあの扉。

 

確かあれは、異世界に繋がるとか言っていたわね。

 

ってことは、ここは異世界?

 

っぽいわね、空気がなんだか違うわ。

 

「旅人様は私のご主人様のご友人ですし、その関係者であるならば、私が面倒を見ますね。多分、そちらの旅人様がお気づきになって、迎えにいらっしゃるかと思います。それまで、この国でゆっくりしていってください」

 

「え、ええ、ありがとう。それで、ここは、どんな国なのかしら?」

 

見たところ、中世のような街並みだけど。

 

「ここは、私のご主人様が作った国で、ノースティリス……、この辺りの地域では有数の大都市です。技術や文化もトップクラスのものが揃っているんですよ」

 

「へえ……」

 

ご主人様、ねえ。

 

「その、ご主人様って?」

 

「お会いになったことはありませんか?大鎌を背負い、軽鎧を着込んだ、黒髪の冒険者の男性です」

 

あー、えっと。

 

ああ!

 

「オショーガツの時に見た気がするわ。とても鋭い目をした人ね?」

 

「はい、多分、その方ですね」

 

へえ、あの人、たまに鎮守府に出入りしてるわよね。

 

それに、ご主人様?

 

……こんな小さな女の子に、ご主人様って呼ばせているのかしら?

 

それはどうなの?

 

「どんな人なの?」

 

「殺戮と強姦と強盗が大好きで、暇潰しに核爆弾をパルミアの真ん中で爆破したり、隕石を降らせたりするお方です。旅人様にもらうお酒と、若い女の肉が好きなんだそうですよ」

 

「えっ、何それは」

 

控えめに言って化け物じゃない?

 

「犯罪者なの?」

 

「はい」

 

「ひ、人を食べるのかしら?」

 

「はい」

 

そ、そうなの。

 

まあ、提督の知り合いだし、危ない人なのね。

 

「そ、そんな人がよく街なんて作れたわね」

 

「ああ、免罪符を買ってカルマを上げてから、街の人を集めたんですよ」

 

「め、免罪符?そんなものがあるのね」

 

昔のカトリックかしら……。

 

「それじゃあ……、そうですね、街の観光でもどうですか?案内しますよ」

 

「あら、いいの?それじゃあ行きましょう」

 

 

 

「お食事はどうですか?」

 

「そう、ね、まだFrühstückは済ませてないわ」

 

「はい?」

 

「あー、朝食はまだよ。ドイツ語は通じないのね……」

 

「そうですか、では、食堂に行きましょう」

 

……メイドが歩き回る大きな食堂。

 

メイドさん、かぁ。

 

可愛いわねえ、私もそういう服を着てみようかしら?

 

ふりふりで白黒の可愛い服を着て、提督に見せたら……、可愛いって褒めてくれるかしら?

 

ふふ、提督に褒めてもらえたら、私は何もいらないわ。

 

「あの、貴女、ええと」

 

「ああ、ビスマルクよ」

 

「ビスマルクさんは、人肉を嗜みますか?」

 

「嗜まないわよ?!そんなもの食べる訳ないじゃない!!」

 

シラツユシスターズじゃあるまいし!!

 

「そうですか?すみません、ご主人様も、私を含むご主人様のペットも、人肉を嗜むものでして」

 

「そ、そうなの」

 

「で、あれば、ドラゴンのステーキがオススメですよ」

 

「まあ、ドラゴン?食べたことないわね、食べれるの?」

 

「ノースティリスでは最高クラスの肉と名高いんですよ」

 

へえ、そうなの。

 

確か、神話では、ドラゴンの血を浴びて不死身になった男の話とかがあるし……、やっぱり、ドラゴンの血肉は特別なものなのかしらね。

 

「ドラゴン牧場もありますから、あとで見に行きますか?」

 

「それは面白そうね」

 

ドラゴン牧場……。

 

ドラゴンって飼育されるものなのね。

 

「さあ、ドラゴンステーキをどうぞ。今朝とれたカオスドラゴンのステーキです」

 

「カオスドラゴン……、何というか、穏やかじゃないわね」

 

さて、まあ……、こちらは艦娘。ある程度の毒やウイルスなら無効化するし、ほとんど病気にもならない。

 

つまり、何を食べても平気だってこと。

 

気になるお味は……?

 

「……Lecker!!」

 

「え?」

 

「あ、美味しいってことよ」

 

提督に聞いたけど、トカゲはささみのような味がするらしいわ。

 

でも、ドラゴンはトカゲとは全然違うのね!

 

どちらかと言えば、クジラとか、馬とか……、あと牛にも近い?ような?それで……、野生的ね、ジビエって感じ。

 

和牛のような、霜降りでとろける、といったイメージじゃないけれど、噛み応えがあって、肉汁が溢れる……、みたいな?

 

駄目ね、ウォースパイトみたいな食に関するうまい感想が出せない。

 

けどまあ、とても美味しいわ!

 

 

 

食事を終えて、牧場や畑の見学。

 

牧場には、カオスドラゴンという、十メートルクラスの巨大なドラゴンが。

 

「強そうね、これを食べるの?」

 

肉食の生き物は食べても美味しくないって聞くけど……。

 

「ドラゴンは雑食ですし、カオスドラゴンはレベルが高くて、肉の質が良いんですよ」

 

「そ、そうなのね」

 

レベル?

 

「こっちの柵は……?」

 

「その四角いのが、テロ用キューブ、にゅるにゅるしたのが、テロ用エイリアンです」

 

「テロ用?生物兵器ってこと?」

 

「そうですね、ご主人様は、いたずらに世界に混沌を振りまくのがお好きな方ですから、街中で放つ用の増殖モンスターと寄生モンスターを用意しているんです」

 

「何でそんなことを……」

 

「ご主人様は、平穏な日々を過ごす人々が恐怖のどん底に堕とされ、大切な人を喪って慟哭する姿や、プライドを捨てて媚びる人々をプチっと殺すのが趣味ですから」

 

「そ、そうなの」

 

「最近は、妊婦の腹を引き裂き、胎児を母体に食わせて笑っていましたよ。あの時のご主人様はとても楽しそうでした」

 

そのご主人様っていうのは悪魔の一種かもね……。

 

気をつけないと。

 

「こ、こっちの畑は?」

 

「野菜、果物、宝石、アーティファクトが生えます」

 

「は?」

 

「あ、神器が生えてますね。収穫してみますか?」

 

「い、いやその、私の目が確かなら、植物に剣が生えているんだけれども」

 

「そういうものです」

 

「そ、そう……」

 

そういうものなのね。

 

 

 

「ビスマルクー、どこだー?あ、いた!」

 

「あ、提督!」

 

提督が迎えに来てくれたわ。

 

「うちの子の面倒見ててくれたのね、ありがとう」

 

「いえ、ご主人様のご友人のお嫁さんですから」

 

「扉はこの辺にあるんだろ?暇な時はうちにおいで、ご馳走するよ」

 

「ありがとうございます、ご主人様と伺いますね」

 

と、少女と短い会話を交わすと、提督は私の手を取って、転移。

 

黒井鎮守府へ帰った。

 

「ビスマルク、あそこは本当に危ないから」

 

「そ、そうなの?」

 

「エーテルの風が吹く時期じゃなくって良かった。大丈夫かい?」

 

「身体に問題はないわ」

 

「あっちに行くなら、最低限、シェルターと食料を持ち込むこと!良いね?」

 

「え、ええ」

 

ノースティリス……、よく分からないけれど、恐ろしいところだったわ。

 




ビスマルク
黒井鎮守府ではまともな方。

少女
ノースティリスのあいつのペット。

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