ネタくれ。
いやほんと、マジでネタ切れ。
む、こちら長門だ。
昨晩は少し飲み過ぎてしまって、意識が曖昧になって、そのまま床で寝た、気がするが。
ここは森だ。
むう、黒井鎮守府の裏山だろうか?
……いや、お世辞にも賢いとは言えないこの私にも分かるぞ。
辺りを見回すと、明らかに、裏山のものではない動植物が生息している。
発行する大きなトンボのような生き物、極彩色の鳥のようなもの、おかしな形の昆虫。
蔦が伸び、草木が生い茂るジャングルのような地。
日本ではない。
いや、地球ですらないかもしれない。
ここは、どこだ。
「むう……」
取り敢えず、艤装である服を着て、辺りを歩く。
遭難した時は歩き回るななどとはよく聞くが、今のように助けが来る見込みがない場合なら、歩き回る他ないだろう。
幸いにも、景色が特徴的で、同じ道を行ったり来たりすることはない、とは思うぞ。
さて……。
「腹が減ったな……」
戦艦は燃費が悪いのだ。
「だが、その辺の虫を食う訳にもいかんな……、それは最終手段だ」
そう呟いて歩く。
一刻も早く人を見つけねば。
提督が探しに来てくれるだろうが、その前に何か食べたいぞ。
む?
「これは……、何かが焼ける匂いか?火、と言うことは人がいる、のか?」
まあ、現状、何の手がかりもないしな、向かうしかないか。
森の木々を掻き分け、足を進める。
すると、そこには。
「グルルルルゥ……」
「恐竜……?」
頭から尻尾の先まで、十メートルはあろうかと言う竜がいた。
桃色の皮膚に、青紫の毛が生えた竜だ。
成る程。
「ガルルルゥウ!!!」
「ここはそういう世界か!」
竜は、私の姿を見るや否や、尻尾で攻撃をしてきた。
縄張りを犯す敵に見えたのだろうか。
対話は不可能だな、これは。
尻尾の一撃を受け止め、投げ飛ばす。
「おおおおお!!!」
「ガァアッ!!」
竜は、背中から地面に叩きつけられ、苦痛のうめき声を上げる。
それはそうだろう、そのトン単位はあるであろう巨体を投げ飛ばされたら、効くだろうよ。
「グ、ガアアアア!!!!」
すると、竜は、背中に羽のような膜、トサカを立てて、怒り狂った。
痛みを怒りで打ち消すのか。実に野生的で、効果的だな。
そのまま、竜は、火を吹いたのだ。
信じられるか?
火を吹く生き物とは、この世のものとは思えんな!
しかし、火を吹くくらいでは私は殺せん。
少しばかり煤が付いたが、無傷だ。
さあ、次はこちらの番だ。
「砕けろ!」
「ゴギャ?!!!」
鼻に当たる部分を殴り、吹き飛ばしてやった。
「まだだっ!!!」
地面を踏みしめ、追いすがり、膝蹴りで顎を砕く。
「だりゃりゃりゃりゃー!!!」
空いた土手っ腹に連打を浴びせると、内臓が破壊されたらしく、竜は、大量の血液を吐いて、動かなくなった。
「ふむ、こんなものか」
と、そこに。
「あ、あの」
「む?」
生物的な鎧を身につけた人間が声をかけてきた。
「君、今、アンジャナフを素手で殴り殺していなかったか?」
「これは、アンジャナフ、と言うのか。私相手に一分保たせたのだ、それなりには強いな」
と、正当な評価をした。
「は、はあ、そうか……。君はとても強いんだな。自分じゃこれだけ武装してやっとやっとだよ」
「なに、努力は人を裏切らないぞ。精進するといい。君もいずれこれくらいはできるようになる。……ところで、ここはどこだ?」
「ここは、古代樹の森だけど」
「そうか……。実は私は、道に迷っていてな。助けてくれないか?」
「あー、まあ、今丁度、今日の仕事がなくなったところなので、手を貸しますよ」
「む、助かる」
どうやら、この戦士の仕事は、先ほどの竜……、アンジャナフだったか?の危険な個体が現れたらしく、それを討伐しにきたと言う話だった。
が、しかし、それより先に私がアンジャナフを殺してしまった故に、報酬は全部渡す、とのこと。
少し悪いことをしてしまったか?
「すまない」
「いや、気にしないで良いさ。狂暴なモンスターは大きな被害を生むかもしれないからね」
そうか。
さて、それで、なんだが。
「旅人、新台真央の名に聞き覚えは?」
「マオ……、ああ、旅人か。知り合いなのかな?」
「ああ、そうだ。連絡できるか?」
「いや、旅人は神出鬼没だから、連絡はできないな。けど、たまにここに来るから、ここで待っていたらどうかな」
「良いのか?すまないな、本当に」
「良いよ、大丈夫」
………………。
ぐぅ、と、私の腹が鳴る。
「ぐぬ」
「あ、ああ、その、食事はどうかな?料理長の料理は安くて美味しいんだ」
「そ、そうなのか?」
先程、報酬と言って、この世界のお金をもらったしな……。
「よし、では、そこで何かを食べようか」
案内されたその土地は、船の周りに木組みの建物が無秩序に建てられた、ある種面白い地だった。
ここは『アステラ』。
新大陸の調査団の地。
そこで、その、料理長なる人物に会ったのだが。
「ニャんだ?」
「い、いや、何でもない」
猫だぞ、こいつ!!!
比喩でも何でもなく、猫みたいな人とかでもなく、二足歩行で歩く猫だ!
どうなっているんだ一体……。
いや、それを考えれば、うちにも、首輪付きという二足歩行で歩く動物がいたな……。
おかしくない、のか?
「そ、その、オススメを」
「おう」
しかし……。
目の前の鉄板で肉や魚を焼き、大鍋でシチューを作られると、こう。
食欲が湧く!
「はいよ」
「おお!いただきます!」
串に刺さった海老、肉。これは……、パエリアというやつか?それとシチュー、そしてチキン?らしき鶏肉。
それと酒……、これはビール?のような、エールというやつか?
さて、肉。
「はふ、熱っ、むおお!」
肉汁が溢れる!
美味い!何の肉だ?分からんが美味い!
「シチューは?おお、濃厚だ!」
提督が言っていたな、煮る料理は一度にたくさん作るほど美味いと。
成る程、確かに、これは一度にたくさん作らないと出せない味だろう。
美味いぞ。
パエリアは……。
「おお!美味い!」
魚介の風味がたまらないな!
しかし、私が食べたことのあるものとは少し違うな……、こっちの方が生命力に溢れるような、活力を得られるような気がする。
「ごくっ!っぷはあ!」
酒も美味い!
「お代わりだ!」
「……姉ちゃん、まだ食うのかい?あの旅人並か?」
「む、確かに私は、提督と同じくらいは食べるが?」
「……てめえら、じゃんじゃん作れ!余った食材は全部使え!この姉ちゃんは旅人並に食うぞ!」
「「「「ハイニャ!!!」」」」
おお!
料理がたくさん!
「ふぅー、食った食った!いや、美味かった!」
「お代はこれくらいニャ」
「こんなもので良いのか?安いな」
「余りそうな食材を全部食べてもらったから安いニャ」
「成る程な」
はあ、満腹だ、美味かった。
こんなに美味いものを腹一杯食べれば、どんな敵も怖くはないだろうな!
む?
「長門ー、迎えに来たよー」
「おお、提督!」
「もー、酔って別世界に行くとか駄目だよー?気を付けてねー?」
「ああ、すまない……」
「でも、楽しかったかい?」
「あ、ああ!」
「なら良かった。次からは一緒に行こうね」
そして、提督と軽く挨拶回りして、そのまま、帰ることになった。
しかし、あの味は忘れられないな……。
「あ、あっちの食材は幾らかあるから、黒井鎮守府でも作ろうか?」
「本当か?!」
美味い飯が食える。
こんなに幸せなこと、そうそうないぞ。
長門
はらぺこ。
ハンター
有能。