旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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次、大規模作戦やりたい。

……段々と、前書きに書くことがなくなってきましたね。あっ、そうだ、叢雲のおっぱい揉みたいです。あの子、何かと胸を張ってますし、改二では授乳スリットもつきますし、揉んでオーケーということなのではないでしょうか?むしろ揉めという彼女なりのアピールなのでは?


34話 孤独の叢雲

今日は勇気を出して、司令官のいる執務室に入ったわ……!この調子で、どうにか私の気持ちを伝えたいんだけど……。

 

『資材仕入:114514810円

給与手当:1919893円

外注費:0円

水道光熱費:364364円

(中略)

黒井鎮守府経済状況:黒字』

 

……は?

 

い、いや、おかしいでしょ?!

 

「し、司令官?その、質問があるんだけど」

 

「おっ、何かな?叢雲ちゃん」

 

「こ、この、経費よ!」

 

「…………ん?合ってるよ?」

 

「い、いや、そうじゃなくって、おかしいでしょ!」

 

そう、計算が合わないのだ。資材、食料の仕入れ量が多く、給与手当も多い割に、支出は少ない。そして、収入は、謎の会社からの寄付金と提督のお給料で成り立っている。

 

「何この、株式会社TABIBITOって?……その、明らかにアンタの仕業よね?」

 

「ああ、それはペーパーカンパニー。俺、一応公務員だし、営利目的で副業ができないからさ。法人作って、報酬ゼロの役員になったのよ。で、妹に従業員になってもらって、莫大な利益をタックスヘイブンで受け渡してもらい、贈与税を逃れ、最終的に俺のポケットマネーと言う形でこの鎮守府の収入になってるんだ。だから明記してないところもあるよ」

 

「ペーパーカンパニー?!タックスヘイブン?!!」

 

なにそれこわい!

 

「合法だよ?」

 

何の話か全然分からない。

 

「そ、それだけじゃなくって、この、外注費と、食費ゼロって、どう考えてもおかしいでしょ?!諸経費も殆どないし!」

 

「外注はそもそも、俺が鎮守府の整備と管理をするから不要だし、食費やら何やらは、別のペーパーカンパニーから寄贈という形で鎮守府に贈ったり、実際に俺が作ったり、近隣住民から、「廃棄予定にしてもらった」ものをもらったりしてるからな」

 

「?!」

 

えっと、つまり?難しくてちょっと……。その、私、軍艦だから、経済の話はさっぱりよ。

 

「何言ってるか分からないって顔だね?よし、今日は丁度、食料とかを買い込む日だし、叢雲ちゃんと社会見学をしよう、そうしよう」

 

そう言って、司令官は、暇そうな子を集めといて、と言い残し、外へ出た。

 

 

 

 

 

「はい、司令官。指示通り、暇してそうな艦娘を連れて来たわよ!」

 

「……連れてこられたけど、何をするつもりなの?」

 

「全く、用があるなら、直接言えばいいのに!」

 

「……で、何?!」

 

集まったのは、休憩室でだらだらポケモンをしていた曙(何故か手持ちのモクローに司令官の名前をつけていた)と、司令官がノリと勢いで出した音楽CDを聴きながら、司令官の日記を読んでいた満潮、霞。司令官と出掛けると言ったら二つ返事で引き受けた。

 

「どこに行くかは私も知らないけど、何でも、社会勉強がどうとか」

 

「ふーん、まあ、あのクソ提督の考えてることなんて分かるわけない、か」

 

全く、クソ提督はやめなさいっていつも言ってるのに。まあ、気持ちは何となく分かるけどさ。素直になれないのは一緒だし。

 

 

 

「オラオラー!!!」

 

「「「「?!」」」」

 

司令官が来、でっかい!トラック?!

 

「さあ、乗り給えよ、諸君」

 

「な、ななな、何よそのトラック!そもそも何で呼んだのよ!このクソ提督!」

 

「このクズ!」

 

「バカ!」

 

「えっ、酷くない?」

 

いや、妥当でしょ……。人を待たせておいて、10tトラックに乗って爆走しながら現れるんだもの。

 

「叢雲ちゃん慰めて?」

 

「いや、知らないわよ」

 

……あっ、つい冷たく突き放しちゃった……。頭を撫でたりしてあげれば良かった……。私で良ければ、いくらでも慰めてあげるのに……。

 

兎に角、私達はこの大きなトラックに乗り込み、鎮守府の外に出掛けた。……司令官とお出かけなら、行き先はどこであれ、楽しめそうね。

 

 

 

「ねぇ、どこに向かってるのかしら?」

 

「んー?取り敢えず、貿易関係かなー、ちょっと卸したいものがあって」

 

「へぇ、貿易ねぇ。確かに、アンタは色んなものを持ってるものね」

 

相変わらず、出所は謎だけど。

 

「で?何を卸すのよ?」

 

満潮が不貞腐れたかのような態度で聞く。でも、声からは喜色が滲んでいる。司令官と出掛けられて嬉しいのだろう。

 

「宝石」

 

「へ?」

 

そう答えた司令官は、懐から沢山の金銀財宝を出した。…………え?

 

「はぇ?な、何?こ、これ?」

 

面食らうのも無理はない。素人目に見ても、一つ何百万、何千万円とかしそうな大きなダイヤ、燃え上がるようなルビー、綺麗にカットされたトパーズ……。

 

「こんな、こんなの、その、どこから?!」

 

「えー?君ら、俺の日記読んだなら分かるでしょ?アフリカだよ」

 

「えっ?!あれ、実話なの?!!」

 

……私も、よく出来た小説か何かだと思っていたけど、実話?実話なの?!

 

「じゃ、じゃあ、あの、アフリカで対バイオテロ部隊と協力して、生物兵器と戦ったって…………」

 

「その時のウイルスとプラーガがこちらになります」

 

ゴトリ、と重そうな音と共に、車のシフトレバーの横に置かれる怪しげな瓶が二つ。中には、あからさまに危険そうな液体と、肉芽の様なもの。

 

「…………キャアアアアアア!!!」

 

「し、仕舞いなさい!!早く!!早くぅぅぅ!!!」

 

「何で持ってるのよおおおおお!!!!」

 

「いや、記念にもらおうかなーって。つい持ってきちゃった」

 

「死ねこのクズ!この……、クズ(語彙力喪失)!!!」

 

「もー、密閉してあるからそこまで危険じゃないのに。……ほら、仕舞ったから、ね?」

 

「「「「ね?じゃないわよ!!!」」」」

 

 

 

 

 

貿易商の元に着いた。ああ、本当に、さっきは生きた心地がしなかった。曙はちょっと泣いてるし。……あ、曙が司令官に慰められてる。……私も泣いておけば良かったかしら。

 

「うう、この、クソ提督!びっくりしたじゃないの!もう!」

 

「ごめんって、普段深海棲艦と戦ってるんだし、生物兵器くらいなんともないかなと思っちゃってさ?」

 

「それとこれとは別なの!」

 

「はいはい、ごめんねー」

 

「あっ、も、もっと優しく撫でなさい!許してあげないわよ!」

 

「こう?」

 

「んっ、良いじゃない❤︎」

 

……曙め。

 

「何セクハラしてるのよ!」

 

私は最近撫でてもらってない!

 

「はいよ、引っ張らないの、叢雲ちゃん」

 

「あっ、提督……」

 

曙が悲しそうな顔をするが、無視。悪いけど、一人だけ司令官に構ってもらうのは許さないわ。

 

「ほら、早く仕事しなさいな!」

 

勇気を出して手を握る。あは、司令官の手、大きくて、あったかい……。

 

「はいはい、……すいませーん、ゴローさーん?新台ですけどー?」

 

……「はーい」

 

 

 

「確かに、品物を受け取りました……。いや、新台さんの持ってくる品物は本当に質が良くて……」

 

と、何だか、いわゆる大人の話を始める提督と貿易商のおじさん。……このおじさん、結構体格が良くって、ちょっと怖いかも。

 

「いえいえ、たまたまですよぉー」

 

「いえ、本当に、深海棲艦のせいで、私みたいな小さな個人貿易商はかなり打撃を受けまして……。そんな中でも、多くの品物を安く売ってくれる新台さんには頭が上がらないですよ。新しい取引先も出来て、収益も上がりましたし……」

 

「ははは、感謝してくれるなら、実際に深海棲艦と戦っている彼女達に言ってあげて下さい」

 

ちょっと、バラして良いの?!

 

「あ、じゃあ、彼女達が?」

 

「はい、艦娘です」

 

「へぇ、それは……、あっ、そのお、いつも助かります。本当に……、貴女達のおかげで、路頭に迷わず済みました。ありがとうございます」

 

「いっ、いえ!その、お、お気になさらず?!」

 

緊張して声が裏返る霞。おじさんは苦笑いしている。……見た目はちょっと怖いけど、良い人なんだ。

 

「じゃ、これは俺から個人的なものですが……」

 

「これは……!!ケーキ、ですか!イチゴのショートケーキ……。その、なんだか、いつもすいません」

 

「良いんですよ、俺も甘党で、ついつい作り過ぎちゃうんですよ、お菓子」

 

「いや、本当に、新台さんの作るケーキは絶品ですから……。甘党の私にはぴったりで……」

 

……あのおじさん、甘党なんだ……。

 

 

 

 

 

「それで、次はどこに行くの?」

 

「農家と牧場、市場だね。……ここらの人達には事情を聞いてもらって、とり過ぎた野菜だとか、余った肉とか、魚とかをタダ同然で分けてもらってるんだよ。中には、態々ちゃんとしたものを、廃棄予定だって言い張って、押し付けてくるような気のいい人もいるよ。感謝しなきゃね」

 

と、言いながら、各地を回る司令官と私達。

 

 

 

……農家の人達は、「今までは機材とかの輸入に困っていてねえ。艦娘様様だよ。これからも頑張ってね」と、野菜を分けてくれた。

 

……牧場の人達は、「私達も、海路が使えないと飼料とかが手に入らなくて困るんだよ。艦娘さん達には感謝してもしきれないよ」と、肉や牛乳を分けてくれた。

 

……市場の人達は、「艦娘さん達が護衛してくれるから、安心して漁ができるんだ。本当にありがとう」と、海産物を分けてくれた。

 

 

 

「……ねぇ、司令官。私達って、沢山の人の役に立ってるのね……」

 

「ああ、そうだね。皆んな、君達に感謝してくれているよ」

 

「……私ね、艦隊の仲間達が無事なら、それで良いって、今まで思ってた。……けど、今は、この国の人達を守りたいって、そう思うわ」

 

確かに、大本営みたいな悪い奴らもいるのは事実。だけど、こんな風に、優しい人達もいるんだ。

 

私は、そういう人達を守りたい。それが、本当の平和なんだと思う。

 

「よし!良い子だ!叢雲ちゃん!!」

 

「ひゃあ!」

 

う、嘘?!わ、私、司令官になでなでされてる?!前に、つい手を払いのけちゃってから、一度もなでなでしてもらってなかった!……久しぶりのなでなで!!

 

「……いやね?君達艦娘には、もっと世の中について知って欲しいのよ。……俺達だけが無事ならそれで良いって訳じゃないんだ。沢山の人に感謝されてることを知って欲しかった」

 

「…………うん」

 

「あっ、なんかノリで撫でちゃったけど、叢雲ちゃんは撫でられるのいやだったよね、ごめん」

 

駄目!もっと撫でて!!前は払いのけてごめんなさい!!

 

「別に!!……別に、いやって訳じゃないわ。その、急に撫でられて、びっくりしちゃっただけで……」

 

……うう、言えない!思っていることが口に出せない!!どうして?!

 

 

 

「……私のことも撫でなさいよ!!」

 

な、なんですって?!満潮、ここで気合いを見せた?!!耳まで真っ赤!!

 

「ん?こう?」

 

「……んぅ、そうよ!しっかり撫でなさい!!わわわ私は!!司令官に撫でられるのが好きなの!!!!」

 

くっ、私達四人は、どれだけ素直になれるかが勝負だというのに!!ここで満潮の一歩リード!!

 

 

 

「〜〜〜〜〜っ!!えいっ!!!」

 

あっ?!霞が司令官に抱きついたー?!!

 

「おお、どしたの霞ちゃん?今は取って付けたような感動シーンの最中だからね?」

 

「ちょ、ちょっとつまずい……、いや!違くて、し、司令官に!!だ、抱きつきたくなったの!!悪い?!!(マジギレ)」

 

「い、いや、悪くないけど?」

 

や、やだ、駄目!このままじゃ……!

 

 

 

「〜〜〜〜〜もうっ!!」

 

あ、あの曙まで?!あんなに意地っ張りだったのに?!!

 

「こっ、この、クソて、じゃなくて!!て、提督!!その、その、わ、私は、貴方が、その嫌いじゃなくって、その!す、すすすす、しゅきよ!!!う、うう、うわ〜〜〜ん!!やっと言えた〜〜〜!!!(マジ泣き)」

 

「そうなの?嬉しいこと言ってくれるじゃないの」

 

 

 

あ、ああ、駄目、駄目駄目駄目駄目!!司令官が取られちゃう!!!司令官に置いていかれちゃう!!!

 

司令官がいなくなったら、私は……!!

 

「…………っあ、…………」

 

どうして?!どうして何も言えないの?!あと一歩、ただ一言、「私も貴方が好き」と、そう伝えるだけで良いのに!!!

 

「………………!!」

 

声が、出せない!!いやだ、いやだ、いやだいやだいやだいやだ!!!

 

嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌……………………。

 

 

 

 

 

………………そう、そうだ、なら、口を開かなければ良いだけのこと!!!

 

「えっ、ちょっと、叢雲ちゃん?その、襟引っ張るのやめて?伸びるから、服が伸び、…………!!!」

 

 

 

 

 

「んっ❤︎」

 

 

 

っぷはあ、…………これで、伝わったかしら?

 

 

 

私の気持ち……❤︎




叢雲、曙、霞、満潮
ツンデレを拗らせ、大胆な行動を取る。ツンデレのくせに、旅人に依存しまくり。いなくなろうものなら自害しそう。

個人貿易商のおじさん
下戸で甘党。美味しそうにご飯を食べる。白米が好き。

旅人
今の子は随分とませてるな、とか思ってる。危機感ゼロ。

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