旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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作者は友達とカラオケで徹夜したんですが、絶望的に体力がないので疲れ切ってダウンしてます。

いや、あれですよね、そもそも人間は毎日寝なきゃいけないんですよ。徹夜とかしちゃいけないんですよ。おっかしいなー、高校の頃とか徹夜余裕だったのになー?


350話 異世界テンプレファンタジー その6

私達は、艦娘の仲間を引き連れて、暗黒大陸へ向かった。

 

例の十人の魔王、そいつらを倒せば世界は平和になるっぽい。

 

十人の魔王……、一体何者なんだろう?

 

 

 

暗黒大陸についた。

 

普通は船に乗って何日もかけていくものらしいけど、艦娘の速度と、水の上を走れる能力からすると、ちょっと走れば隣の暗黒大陸に辿り着くことができるね。

 

さて、この中世レベルの技術でどうやって建てたんだ?って感じの巨大な魔王城に入る。

 

そこには……!!

 

「……おや、思いの外早かったね」

 

「そう?こんなもんっぽい?」

 

「想定の範囲内だよね」

 

ふぅ。

 

さて。

 

「身内かよぉぉぉぉぉーーーーー!!!!」

 

 

 

現れたのは白露型。

 

確かに魔王でも違和感はないけどね?

 

あのね?

 

ねぇ?

 

あーもうファンタジーぶち壊しじゃん。

 

まーた身内だよ!!

 

「ふむ、折角ここまで来たんだ……」

 

え?

 

『相手をしよう。魔王としてね』

 

そして、姿が変わる白露型の十人。

 

白露。

 

頭から尻尾の先まで10mはありそうな巨大蠍に。しかし、頭には人の上半身を持ち、甲殻で覆われた身体をしている。

 

両手のハサミは肥大化し槍のようになり、何故か炎を纏っている。尻尾は三本目は六つ。

 

時雨。

 

6m程の人型。頭には、長く伸びた頭髪のような触腕が多数。異様に伸びた触手のような尾も生えている。

 

骨のような長い両腕には、火を噴く刀が二本握られている。不気味な、血とも髄液とも言えるような液体が滴っている。

 

村雨。

 

15m級のドラゴン。赤黒い全身には鱗が生え、尻尾には鋸の歯のような器官が存在する。

 

首は二本に分かれ、頭は二つ。コウモリの羽のような翼は全身を覆い隠すほど大きい、奇形の龍だ。

 

夕立。

 

4m程のケンタウロス型。顔はなく、口のような割れ目だけがある頭。青白い光を放つ鋭角な鎧のようなものを身に纏う。

 

青白い巨大な大剣を担ぎ、鬣のような金髪をたなびかせる。

 

春雨。

 

4mもある烏が、無理矢理に人の形に歪められたかのような姿。

 

肩から伸びる複数の触腕の先には、銀色の鉤爪が煌めく。

 

五月雨。

 

5m程の蜘蛛。全身が淡く光る鞭毛に覆われていて、手脚は大鎌の様に鋭い。

 

それだけじゃなく、甲虫の羽根のようなものが生え、口元からは残忍そうな牙が覗く。

 

海風。

 

青白い触手の塊。7m程の巨体を、粘液を垂らす触手の塊で動かしている。

 

触手の塊には所々ブルーの瞳が覗き、一際大きな触手には鋸の歯と刃がついている。そして、溶解液と毒を滴らせている。

 

山風。

 

3m程の獣人。浅葱色の、ハリネズミのような体毛を全身から生やしている。

 

身の丈を超える巨大なハルバードを持ち、電撃を放っている。

 

江風。

 

5m程の鹿人間。赤黒い毛が全身を覆う。

 

巨大なハンマーのような右腕には炎が。

 

涼風。

 

極彩色の4m程の魚人。脇腹と背中から甲殻のある触腕を生やしている。

 

片腕が肥大化し、弓のような形になっている。

 

え?

 

……え?

 

「あ、あのさ、ちょっと」

 

『僕達が魔王なんだよ。さあ、かかってくるといい』

 

「い、いや、身内で潰し合いは」

 

『まあ、良いじゃないか。さあ、殺し合おう』

 

「ちょ、ちょ、ちょ、待っ!!!あああああーーー!!!」

 

 

 

と言う訳で、私VS時雨。

 

いやーキツイっす。

 

触手を揺らめかせながら、コマ送りみたいな速さで踏み込んでくる時雨。

 

「ヤバっ……!!!」

 

クイックブーストを吹かして急加速、回避。

 

ギリギリだねえ……!!

 

「でも、さ、長所を自分で潰しちゃあ、ねえ!!」

 

まあ、恐らくは手加減舐めプなんだろうけどねっ!!

 

……時雨は間違いなく、黒井鎮守府でも最強格だ。

 

特に恐ろしいのは技量と速度の融合……。

 

所謂、拍子が読めない、んだよね。

 

いつ動いたか分からない速度と足捌きで、気付いたら目の前で刀を振りかぶっていた、いや、気付いたら斬られていた、なんて調子に。

 

秘儀と呼ばれる魔法のようなもので、ただでさえ、視認することすら困難な機動性を更に底上げして、炎を纏う刀ですれ違いざまに斬りつける。

 

ステップと同時に姿が掻き消えたと思いきや、何十体もの深海棲艦が一秒せずに斬殺されたなんてザラ……。

 

艦娘として限界まで速く、鋭い。

 

間合いに入ればその圧倒的な技量から、技で勝つことは誰もできない。

 

近付かれたら死ぬ、かねえ。

 

でも、今はあえて、移動前の溜めや、武器を振りかぶるスピードを意図的に遅くしているように感じるし、事実、あの巨体を使いこなせていないように思える。

 

そこが付け入る隙、かな。

 

ってか!

 

「私のレーダーで捉えきれない……、ってか、私の動体視力が足りないっ、ねっ!!」

 

脳内のレーダーには、コマ送りみたいに高速で移動しまくる時雨のシグナル。アテにならないね!

 

武装切り替えパルスガン。

 

弾幕を張る!

 

『へえ……』

 

「あークソ!エネルギー弾斬るとか平気でやるから剣術ガチ勢は嫌いだーーー!!!」

 

こんの、エクストリーム剣術!!!

 

パルスガン弾幕を斬った!

 

『遅いよ』

 

「あ、ぐうっ!!!」

 

あっ、クソ、避け損なった。

 

片腕が斬られる。

 

くっ、腕の筋肉がやられた……!

 

これじゃ銃が撃てない!

 

「けどさ」

 

随分優しいね、時雨。

 

斬る前に声をかけてくれるなんて……!

 

カウンターしてくれって言ってるようなものだよねえ……っ!!!

 

クイックドロー、ムーンライトソード!!!

 

『……ふふ、上出来だよ、望月』

 

 

 

他の皆んなも、魔王白露型を倒したみたいだ。

 

……ってか、魔王白露型は、皆んな微妙に手加減していた。

 

古鷹型コンビなら勝てるかもだけど、他の艦娘じゃ多分相討ちくらいかなぁ。私は負ける自信ある。

 

それなのに勝てたってことは、手を抜かれてたってことだね。

 

……何で?

 

「いや、ね。こういうものは正義の味方が勝たないと困るだろう?」

 

「あ、気を遣ってくれたのね」

 

「ああ。あらかじめ魔王は殺しておいた。四天王も死んだ。この世界に人外の被害は当分ないだろう」

 

んー。

 

「僕達は先に帰るよ。必要なデータはとれたしね」

 

「そう……」

 

多分データとりの方がメインだったんだろうなあ。

 

「どうする?」

 

「帰る、かなぁ……」

 

 

 

「勇者達よ、よくやってくれた!褒美に王子との結婚を許そう!」

 

「「「「結構です」」」」

 

「では辺境伯の爵位を」

 

「「「「いりません」」」」

 

「な、何が望みだ?」

 

「「「「帰ります」」」」

 

全てをお断りして、皆で黒井鎮守府に帰る。

 

 

 

「ただいま〜」

 

「おー、望月。どうだった?」

 

「いや……、面白くは、なかった、かな」

 

「そっか……」

 

「スーパー身内ファンタジーだったしね」

 

うん……。

 

やっぱり私は、現代のこの、黒井鎮守府で、ぐだぐだ過ごすのが一番、だね。

 




望月
スーパー身内ファンタジーに草も生えない。

魔王白露型
獣化して襲いかかってきた。

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