旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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TRPGは友達が付属品についていないと聞いたのでやったことないです。

けど、TRPG動画が好きでめっちゃ見てる。

俺もTRPGに付き合ってくれる友達、いや美少女が欲しかった。

いや、隣の部屋についつい肉じゃがやビーフシチューを作り過ぎてしまい、おすそ分けしに来てくれる美人大学生とかが欲しい。

金も欲しい。

全てを破壊する圧倒的な力も欲しい。


362話 艦娘探索者 準備

「提督、僕は感動したよ」

 

俺が昼間からウォッカを片手に新作の映画を見ていたら、時雨が話しかけてきた。

 

映画に感動した、とかそう言うアレじゃないな。言い方は悪いけど、時雨はそんな柄じゃない。

 

丁度エンディングテーマが終わり、製作会社のロゴマークがデカデカと映った画面を横目に、聞いた。

 

「主語がないのよ主語が。何の話?」

 

「心を読んでも良いよ?」

 

「いやあ、コミュニケーションって大切だよな」

 

「ふむ、一理あるね。では、話そうか」

 

時雨は、俺の隣に座って、腕を抱くと、話し始めた。慎ましい胸の膨らみを押し付けられるのがたまらないな。

 

「そうだね……、どこから話したものか」

 

「ゆっくりで良いし、適当に話してくれて構わないよ。俺と君の仲じゃないか」

 

「ふふ、そうだね。……探索者を見たんだ」

 

へあ。

 

「君ももちろん知っていると思うけれど、この世界は常に、邪神や神話的恐怖、外なる神に狙われている、砂上の楼閣に過ぎない」

 

「そうだねえ」

 

何度か世界を救ったことがあるからね、それは理解しているよ。

 

「見えるだろう、遥か彼方に、アザトースが微睡んでいる姿が。人の世界に降り立ったニャルラトホテプが、狂乱の種を撒き散らすのが。悍ましい人外共が、影の街に跋扈し、狂った人間が動乱を呼ぶ様が」

 

「そうだねえ」

 

「そんな中、僕は見たんだ。人の輝きを」

 

「ほー」

 

「矮小な人間如きが、神々に逆らい、立ち向かう姿を。僕は、感動したよ」

 

ふむ……。

 

「時雨のそれって、頑張ってる人間に感動したって言うか、こう、教育テレビでやってる生き物はこんなに頑張って生きてる!みたいなの見ておおー、ってなってる感じだよな」

 

こう、カラスが木の実を割るために車を利用するのを見て、「わー、かしこーい」みたいな?

 

時雨の知能はもう、人間の領域を遥かに超えているから、人間なんてただの動物にしか見えないんじゃないの?

 

「ふむ、そうだね。でも、例え、僕より知能が劣っていたとしても、精一杯考えて、できることをやれる人間には敬意を払うよ」

 

視点が神なんだよなあ。

 

「で、つまり?」

 

「はい、これ」

 

紙束。

 

「白露型の調査レポートだよ。そこに、動乱の種がある」

 

ふーん?

 

紙束を見る。

 

Wordでまとめられた、カラー写真付き調査報告書。

 

タイトルは、『神話的怪奇発生予測地』とある。

 

「Word使うんだ」

 

「紙媒体の保存は難しいものも多いからね。データ化したり、コンピュータを使ったりはするとも。得意ではないけれどね」

 

ほーん。

 

紙束をめくる。

 

「何々……?『神城島』『クローズドシナリオ』『推奨人数:四人』『推奨技能:博物学、心理学』『予定時間:二日』……?」

 

まるでTRPGの導入案内みたいだぁ。

 

そんな感じの、『シナリオ』の発生場所について記されている。

 

「つまりこれはあれかな、艦娘に探索者をやらせる、と?」

 

「そうだとも」

 

うん。

 

「ゲームとして成立しないよ多分」

 

「その時はその時さ。化け物共の計画がぶち壊されたところで、誰が困るって言うんだい?」

 

「……それもそっか!」

 

ん?

 

「でも危なくない?」

 

「艦娘は余程のことがない限り死なないし、精神も人間とは違う。最悪、僕達と提督が助けに行けば良いじゃないか」

 

百理ある。

 

「やるっかぁー」

 

 

 

「で、これは?」

 

「今回の艦娘探索者編「編とかメタ発言はやめよう?」……艦娘探索者の企画は、ステータスと技能が大事だ」

 

「そりゃそうだね」

 

適材適所。何だってそうだ。

 

「例えば、戦闘力よりも推理力が求められるシナリオにおいて、長門さんのような脳筋は無用の長物だ」

 

確かに。

 

「それで?」

 

「だからあらかじめ、艦娘のステータスと技能を調べておく必要があると思ったんだ」

 

「成る程」

 

で?

 

「ここに血を一滴垂らしてくれるかな?」

 

と、羊皮紙を渡される。

 

見るからに、魔術的な工作が施されたものだ。

 

ふむふむ。

 

よく切れるミスリルのナイフで、親指をチクっと。

 

血を垂らしてみると。

 

『新台真央 Age:28

STR:32

CON:125

POW:200

DEX:108

APP:18

SIZ:17

INT:25

EDU:18

 

HP:100

MP:68

SAN:689513648

装甲:15

 

回避

こぶし

組みつき

キック

投擲

KARATE

応急手当

目星

聞き耳

追跡

忍び歩き

跳躍

登攀

言いくるめ

説得

クトゥルフ神話

オカルト

博物学

魔法

忍術

呪術

奇跡

秘儀

製作:料理

芸術:音楽

外国語

………………

…………

……

(以下多数)』

 

「なにこれぇ(ゴロリ)」

 

「提督のステータスと技能だよ」

 

そっかあ。

 

「凄いの?」

 

「HPとMPの平均は大体10以上、SANは50程、他のステータスは……、人間の最大値が18くらいかな」

 

「へー、じゃあ俺って人間の限界くらいイケメンなんだ」

 

「ふふ、そうだね」

 

うーん?

 

「この装甲ってのは?」

 

「その数値以下のダメージは無効化するんだ」

 

ふむふむ。

 

「因みに、普通の人間は装甲は0だよ」

 

「俺も普通の人間だよ、それなのに装甲がある、これはおかしい」

 

「うん」

 

うんじゃないが。

 

「そうだね、通常の9mmオートマチック拳銃が急所に当たって10のダメージってところかな」

 

「へー」

 

じゃあ。

 

「このSANってのは?」

 

「正気度かな。その人間がどれくらいまともかを表す数値だね」

 

「じゃあ俺まともなの?」

 

「いや、ここまで高いと逆に異常かな」

 

ほーん。

 

「上位の邪神に出会えば、人にもよるけど、平均して50くらいは減るね」

 

「じゃあ、常人なら、上位の邪神に出会えば発狂してもおかしくないってこと?」

 

「そうだね」

 

そんなもんかな?

 

 

 

「それじゃあ、艦娘を日本全国に派遣する感じで?」

 

「そうだね」

 

「じゃあ俺らは脳内の瞳で観測するっかぁー」

 

はーい、それじゃ、艦娘探索者編。

 

よーい、スタート。

 




時雨
SAN0。

旅人
探索者。

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