旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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クロスアンジュよく分からんけど「死にたくないからお前が死ね」という考え方はアーマードコア味があってすこ。


371話 バンディット・ザ・ガンマン その4

はい、旅人です。

 

最近は電子の世界でビリー・ザ・キッドと知り合った訳で。

 

今は、悪い資本家のローゼンタールと戦っています、と。

 

「ビリー、行くぞ!ローゼンタールを倒すんだ!」

 

「ああ!」

 

 

 

実は、ローゼンタール側に参戦しているプレイヤーも多い。

 

ローゼンタール側だと、貰える賃金がかなり多いのだ。

 

それとは別に、キル数や貢献度を数値化して、ある一定の数値を超えたら特定の報酬が出る、みたいな感じ。

 

参加賞は百ドルとレア衣装の「タンストール印の外套」が貰える。

 

上位五千名はレアアイテム、「タンストール牧場特製プレミアムチーズ」が。これは食べるとプレイヤーの体力が少し上昇する。買うとかなり高い。

 

上位千名はレア馬具、「タンストール牧場特製鐙」……、馬の操作性が一段階アップする鐙だ。

 

上位百名にはレアアイテム、「100ポンドサイドバッグ」が。これは、見た目は小さなサイドバッグだが、100ポンドまでなら何でも入るという、所謂アイテムボックスだ。

 

そして、上位十名には、レア武器、「ライトニング41ビリーカスタム」と言う、ビリーと同じリボルバーが二挺。このリボルバーは何故か反動は並以下なのにライフル弾ほどの射程と威力、とんでもない精度がある。

 

ローゼンタール側ではまた別の報酬があるらしい。

 

 

 

さて、それで、だ。

 

最終陣が攻め込んできた訳だが。このままじゃ楽勝過ぎて張り合いがない、などと思っていたところ。

 

ローゼンタール側に、あいつがいる。

 

「ハインツ・『ザ・ナイトメア』・クーベルト……!!」

 

艦娘がプレイヤーとして存在するとなると、この西部開拓時代のゲームは艦娘達にとってはヌルゲーとなってしまう。それを危惧した開発部は、艦娘にも負けないくらいの強キャラを創り出し、放流したのだ!!

 

その中でも、ハインツ・クーベルトは、金さえ払えば誰にでも味方する賞金稼ぎで、百人規模の軍隊を五分で殲滅した最強のガンマンの一人という無茶苦茶な設定になっている。

 

月のない夜でも、ライフル以上の馬鹿みたいな威力を持つ特製のリボルバーで、眉間を寸分の狂いもなくぶち抜いてくる最強キャラの一人。

 

それを、ローゼンタール側が雇ったのか……!

 

「ビリー!計画変更!打って出るのは危険だ!防衛ラインに戻るぞ!」

 

「え?あ、ああ!」

 

「俺はあいつを食い止める!サラに『悪夢が来た』と伝えてくれ!」

 

「分かった!死ぬなよ!」

 

さあて、本気出すか……!!

 

 

 

「きよしこのよる……ほしはひかり……」

 

戦場の最中、長身痩躯を揺らしながら、ゆっくりと近付いてくる。

 

黒い髪を腰まで伸ばした、幽鬼の様な男だ。

 

擦り切れた黒の外套と黒の服。

 

「すくいの……みこは……まぶねのなかに……」

 

二丁の長い銃身のリボルバーを抜いて、佇む。

 

その姿は、聖者であり、悪魔であった。

 

「……ねむりたもう……いとやすく……!!!」

 

瞬間、姿が搔き消える。

 

速いッ!!!

 

二発の弾丸、右から……!

 

避けてナイフを投げ返す。

 

「ふ、は」

 

避けやがった!

 

近付いて……、蹴りか!

 

左中段、右下段、右蹴り上げ、踵落とし!

 

最後の踵落としを掴んで投げ……、くっ、手首を撃たれた!離して、蹴り返す!

 

「あ、はは」

 

俺の蹴りを片手で受けるか!!

 

「死ねっ!」

 

即座に殴る。

 

「あー」

 

ちょっとは効いたか?

 

「お前は、面倒だ」

 

「は?」

 

あっ、逃げ……、いや違う!本陣に向かったのか!追わねば!

 

 

 

「くっ……?!何よこいつ?!」

 

アイオワが手古摺っている。

 

「死ね」

 

「ぐうっ?!!やったわね!!!」

 

「!」

 

流石にヘッドショット決めても死なない艦娘には驚いたらしく、一瞬の隙ができる。その瞬間アイオワに殴られるが……、その衝撃を後ろに跳んで軽減したな。

 

時速何百キロ、数トン単位の威力を持つ拳を涼しい顔で回避するハインツ。

 

「アイオワ!代われ!」

 

「ええ!」

 

「チッ」

 

「なーに舌打ちしてんだ!お前みてえな奴をうちのアイオワと踊らせられるかよ!さあ、俺と楽しいダンスをしようぜ!!!」

 

ハインツの下段回し蹴り。あまりのスピードに大気が震える。

 

俺は跳んで回避、同時に上段回し蹴りを返す。

 

ガードされ、二発撃ち込まれる。

 

ああクソ、強いなこいつ。

 

弾丸を腕の骨に当てて逸らして、ナイフを投げる。気もオーラも魔力も使えないんだ、素の防御力でどうにかするしかない。

 

ライフル弾を超えるリボルバー、『ディアボロス・メガリス』……、奴の拳銃。

 

あれは、反動はデリンジャー並で、威力はライフル弾の三倍、精度は最高、射程もライフル並、ダブルアクション。

 

何故か六発装填しただけで六十発撃てる化け物銃。ふざけんなバーカ!!

 

まあ設定したのは俺達開発チームなんだけどね!!

 

因みに装備も、今はいないけど馬もチートだ。

 

例えばあの真っ黒な外套は『デビルコート』と言い、並のリボルバー程度では傷がつかない上に、静止時には防御力が三倍になるぶっ壊れ性能だ。

 

正直、装備が揃っていないこんな初期のイベントで出会いたい奴ではない。

 

しかし、勝利条件は時間経過だ。

 

俺は逃げるのと生き残るのは自慢じゃないが大得意よ。

 

見とけ俺の生き様。

 

「しゃああ!!!」

 

ジャブ、フック、ストレート。

 

「チッ!」

 

ストレートを受けたハインツ。

 

「うりゃあ!!!サラぁ、手伝ってくれ!!!」

 

「ええ!」

 

俺とサラでハインツを止める。

 

「全員、第二防衛ラインまで撤退!」

 

アイオワが全体の指揮を執り、撤退させる。

 

「ビリーは第二防衛ライン前で敵をひきつけてくれ!!」

 

「ああ!」

 

良し、後は。

 

「死ねぇ!!!」

 

「こいつをここで抑える!!!」

 

 

 

ゲーム時間で四時間後。六時を伝える鐘が鳴る。

 

「……契約の時間だ」

 

そう言い残すと、ハインツは撤退していった。

 

「お、終わったぁ……」

 

《ローゼンタール最終陣、撤退》

 

《タンストール一派の勝利です》

 

《貢献度情報及びランキング、報酬はタンストールの館の前で受け取れます》

 

「戦勝祝いにビールはいかがですかぁ〜」

 

ガンビア・ベイの商会の商人達の声が響き、やっと終わったと自覚する。

 

「んひぃ、ちゅかれた」

 

「本当に疲れたわ……」

 

何だあれ、ぶっ壊れじゃねーか。

 

でもあんなチートキャラを数十体は放流してるんだよなあ。

 

「いやー、今回は死ぬかと思ったよ、ありがとう」

 

ビリー君が労ってくる。

 

「もー、今日は飲んで寝よう」

 

「ああ」

 

このあと滅茶苦茶飲酒した。

 

 

 

あ、因みに、このゲームは異例のレーティング二十歳だよ。

 

 

 

……その後の話をしよう。

 

ローゼンタールは今回の失敗で資産の殆どを失い、街に居場所がなくなり、夜逃げした。

 

ビリー・ザ・キッドはこの街で陽気なカウボーイを続けるそうだ。

 

因みに貢献度ランキング上位層は艦娘が総ナメした。すまん一般プレイヤー。

 

アイオワ率いるスクーナーズギャングは北へ向かい、ガンビア商会もスクーナーズと行動を共にする。

 

そして俺は……。

 

「本当に行くのかい、旅人君」

 

「そうだな、俺は旅人だからな」

 

「……そうかい。でも、タンストールもいつでも戻ってきていいと言っているよ。だから……」

 

「ああ、また会おう、友よ」

 

「……ああ!」

 

俺は、旅に出た。

 

 

 

アイオワが北に行くなら、俺も北に行こうか。

 

その方が面白そうだ。

 




旅人
旅に出た。

バンディット・ザ・ガンマン編は一旦終了。

思いついたらまたやるかも。
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