俺に責任はない。
うっ、ここは、どこだ……?
ワタシは、確か、霧島とか言う艦娘に殴られて……。
「だーかーらー!尋問って言ったの!!誰が拷問するって言った?!」
「ですが司令、ただ聞いただけでは信用に値するデータは取れません、やはり、多少痛め付けるのは当然かと」
「そうですよー?……提督を誑かす深海棲艦なんて、痛め付け過ぎるくらいで丁度良いじゃないですかー」
「わわわわわ私!!こう言うの初めてで!!!ででででも、司令のお役に立ちますからー!!見捨てないでぇー!!!」
「よーし分かった!!霧島は釘バット置いて!明石はチェーンソー止めて!比叡は落ち着いて、バールの様なもの置いて!」
な、何だと?!ご、拷問?!!艤装を破壊された今、ワタシは並みの人間以上くらいの力しか出せない!!
……早く、逃げなければ!!
「あ、起きたんだね」
「ヒィッ!!」
ば、バレた?!!
「ああ、大丈夫だよ、私は、拷問なんてしないから」
そ、そうなのか?
「そうそう、飛龍ちゃんの言う通り!拷問なんて物騒なことは」
「じゃ、殺すね?……大丈夫、一撃で首を落とすから!痛くないよ!」
「ヒィィィ!!!」
腰に下げた曲刀を笑顔で抜く飛龍とか言う女!こ、殺される?!!
「待ったぁーーー!!!」
「あん❤︎急に後ろから抱き着くなんて……。提督って、意外と甘えんぼさんなのかな?」
た、助かった……?
「はー、全く全くもー。……ええと、空母棲鬼さんだね?分かってると思うけど、君はこの艦隊に敗北し、捕らえられた、ここまでは良いね?」
「ア、アア」
「だから、これから尋問をします、良い?」
「イ、イヤ、ソレハ……」
その時、顔のすぐ横に大きな矢が突き刺さる。
「ウワァ?!!!」
「もう、提督に「良い?」って聞かれたら、「はい、ありがとうございます!」でしょ?駄目だよー?」
「蒼龍?いきなり矢を射る方が駄目かなー?」
く、狂ってる……!
だ、駄目だ、ここにいたら殺される!!
「あっ、待って!手荒なことはしないから!」
「ハッ、離セェ!!コンナトコロデ死ネルカァ!!!」
「落ち着いて!まだ顔の治療も終わってないんだから!」
腕を引っ張られ、抱き寄せられた。は、離してくれ!!
「司令官、こっちの戦鬼はどうする?……殺すか?」
「何?!戦鬼?!!ヤ、ヤメロ!!ソイツニハ手ヲ出スナ!!!ワタシノ親友ナンダ!!!」
那智とか言う女の方を見る、すると……。
「…………ウワァ…………」
……何だあの格好……。その、何と言うか、親友の見たくない、見るべきでない姿を見てしまった。……あ、後で謝るべきか?
「ウゥ、空母棲鬼ニマデ見ラレテシマッタ……。モウ殺シテクレ……」
「アー、ソノ、ダ、大丈夫ダゾ!ワ、ワタシハ気ニシテナイシ……、ワ、忘レル!忘レルカラ!!」
いや、無理だ、忘れるなど。完全に目に焼き付いてしまった。内股の正の字の数まで、しっかりと。
「コ、降伏スル、降伏スルカラ、戦鬼ニマトモナ服ヲ着セテヤッテクレ……」
もう、親友の痴態を見ていたくない。話せることなど大して無いが、とっとと話して、解放してもらおう。……せめて、親友の命くらいは守りたい。
「ワタシハ拷問ナンカニ屈シナイゾ!!提督ナンカニ絶対負ケタリシナイ!!空母棲鬼モ諦メルナ!!!」
……何と強い意志!!あの様な格好をさせられても心が折れないとは……!流石はワタシの親友だ!!戦鬼がそう言うならば、ワタシも負けられん!!
「ふーん、じゃあ、罰ゲームね」
「「エ?」」
罰ゲーム?罰ゲームとは?
「明石ェ!!カマーン!!」
「はーい!用意しました!熱湯と氷!!」
「ではまず!この熱湯風呂に入ってもらいます!10秒以上入っていられたら、釈放!失敗すれば、情報を一つ吐いてもらいます!!では、最初の挑戦者は?」
「「……エ?」」
ほ、本当に罰ゲームじゃないか!!
「ナ、ナラバ、ワタシガイコウ!!」
「戦鬼!!」
「オマエハマダ外傷ガ癒エテナイダロウ?ココハワタシニ任セテオケ!!」
なんて優しい奴なんだ!!
「ヨーシ、イクゾ!……押スナヨ!!絶対押スナヨ!!」
……でも、絵面は最悪だ。あの下着、股の部分が丸見えだから、大きく足を開いて浴槽の上でスタンバイする戦鬼の、見ちゃいけない部分が……。
「良いねぇ!写真撮っとこ!」
そして、それに気付いた戦鬼は……。
「アッ!馬鹿!!ヤメロ!!撮ルナ…………アッ!」
身体を支えていた両手で、お尻を隠そうとし、支えを失った身体は浴槽に入ってしまう。
「オア"ア"ア"ア"!!!!」
「戦鬼ーーー!!!」
勢いよく熱湯風呂に入ってしまった戦鬼は、これまた勢いよく熱湯風呂から飛び出た。
「熱ッッッツイ!!!!ナンダコレ!!!熱ッッッツイ!!!!氷!!氷クレ!!!!」
「戦鬼!!大丈夫カ?!!」
「クソォ!!屈スルモノカ!!コレシキノコトデェ!!!」
なんと言う闘志!!ワタシも負けてられん!!
「はーい、ざんねーん!!罰ゲーム、続行ーーー!!!次は、この中身の見えない箱に手だけを入れて、何が入っているか当てるゲーム!!勿論、正解で解放、不正解でもう一つ情報を、そして更なる罰ゲーム!!さあ、次の挑戦者はー?」
「ワ、ワタシダ!!」
「イケルノカ?!空母棲鬼?!!」
「何、大丈夫ダ!!」
正直、自信はない。だが、親友を助ける為だ!これくらい!!
「では、空母棲鬼ちゃん、どうぞ!」
ええい、なんだこの箱は?大き過ぎず、小さ過ぎず、やはり、見ただけでは何が入っているか予想がつかない!
しょうがない、意を決して、両サイドの穴から手を突っ込む!!
「……ン?……ナンダコレ……?モフモフシテ……、温カイ?…………生キ物カ?!コレ生キ物ダロ?!!大丈夫ナノカ?!!」
「行ける行ける」
「イケナイダロ!!アッ!!指舐メラレタ?!!ナンダコレ?!!怖イ!!!アッ?!噛マレテル?!!コレ、噛マレテル?!!!」
「はい終ーーー了ーーー!!!それでは、お答えして頂きましょう!!!箱の中身は何ですか?!どうぞ!!!」
「エッ?!ウーン、エット、…………ネ、猫?」
すると、ニヤニヤしながら箱に手をかける提督。
「では、結果を見て見ましょう…………、残念!!!中身は、首輪付きでした!!!!」
「「分カルカ!!!」」
この後も、ワタシ達は熾烈な拷問を受けた……。
「ゴムパッチン!これを噛んだまま、特定のラインまで下がったら成功!!」
「ウワー!」
「アアッ、スマナイ!戦鬼!!」
「イントロ当てクイズ!!今から俺がある曲のイントロを弾きます!頭上の風船が破裂するまでに正解して下さい!!」
「エッ?ナンダコノ曲?!普通ニ知ラナイゾ?!」
「イントロドコロカ全力デ全部聞カサレテモ……。オマエ、弾キタカッタダケダロ…………、アッ、ヤバイ!!風船ガ!!怖イ!怖イ怖イ!!…………ウワッ!!!破裂シタァ!!!!」
「正解は、パガニーニの24の奇想曲第24曲です」
「「知ッテルワケナイダロ!!」」
「ではこの、ローションまみれの坂を、登ってもらいます!制限時間は3分!よーい、スタート!!」
「ヌアア!!ス、滑ル!!コウナレバ四ツン這イデ……!」
「ウワァーーー!!!」
「戦鬼ーーー!!!」
そうして、ワタシ達二人は、確実に疲弊していった……。
あと、ワタシも途中から脱がされて、裸エプロンとニーソックスと言う格好にされた。死にたい。
「うーん、根性ないなぁ?罰ゲームのネタが尽きかけてきたぞ?まあいい、お次はこれだ!激辛麻婆豆腐と、伝統の熱々おでん!!」
「ナラバワタシハ麻婆豆腐ヲ!!」
戦鬼が麻婆豆腐にチャレンジ。となるとワタシは!
「ワタシハおでんニチャレンジシヨウ!!」
「その意気は良し!!では、制限時間は今から20分間!よーい、スタート!!」
「…………ハムッ!…………ア、アレ?美味イゾ?!モシカシテ、ワタシ、辛イ物大丈夫ナノカ?!」
「…………パクッ!…………オオ、熱々デ、美味シイナ……!温カイモノハ美味シイ、海ノ上ハ寒イカラナァ……」
「あるぇー?番組的には美味しくないけど、まあ良いか。お代わりもあるよー!」
「オオ!」
「アリガタイ!!」
……こんなに美味いものは初めてだ。……ん?あれ?罰ゲーム、成功じゃないか、コレ?
「もう悪い事するんじゃないぞー!!じゃーねー!!」
「ナンカ、普通ニ解放サレタナ、空母棲鬼……」
「アア……」
「ゴハン、美味シカッタナ……」
「アア……」
「……ソノ、実ハワタシ、チョット楽シカッタンダガ……」
「……ワ、ワタシモダ……」
「…………今度、今度マタ負ケテシマッタラ、降伏シヨウ。ソレマデハ、少シ、大人シクシテオイテヤロウ」
「…………ソウ、ダナ」
……私達だって、理性や感情はある。ずっと戦い続けるのは疲れるんだ。
……もしも、あの男にまた負けると言うなら、心から降伏しよう。その時は、本当に負けを認めよう。
……今日のところは、この海域から撤退してやる。覚えておけよ、提督!
…………も、もしも、次、ワタシ達が勝ったら、あの男はワタシ達の小間使いにしてやるか。ふふ、楽しみだ。
比叡
霧島ネキの姉。影は薄いが強い。血も涙もない残虐ファイトと、息もつかせぬ拳打のラッシュが売り。
明石
工具を使う。手動で深海棲艦を解体する。
ダブルドラゴン
ぱっと見は普通だが、旅人が関する事柄に対しては狂う。
南方棲戦鬼
某自称カワイイアイドルのような扱いを受ける。でもちょっと楽しかった。辛いもの好き。
空母棲鬼
艦娘に対するトラウマが癒えるまで休養。熱い汁物が好き。
旅人
今回の罰ゲーム集をバッチリ録画。黒井鎮守府、音成鎮守府、深海棲艦達の住む離島に送りつけた。鬼畜の所業である。