旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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クソ小説特有の謎のグルメ回です。

余談ですが、作者は今日誕生日でした。

実家のおばあちゃんからおめでとうの電話がかかってきて、俺は二リットルボトルのコカコーラとエルサイズのピザを食べて一人寂しく祝いました。

よくよく考えたら、宅配ピザを利用するのは小学生の頃以来ですね。ピザ食いたいならピザ屋に行ってましたし、宅配ピザを利用することはありませんでしたから。

意外と美味いですね宅配ピザ。また頼もう。

なお、一人でエルサイズは明らかに多く、三分の一残した模様。残りは明日食べます。

いやー、これくらい中高生のスポーツやってた頃ならペロリと平らげられたはずなんですけどねえ。今もうあんまりたくさん食えないっす。


384話 ネルソンの満腹な一日 前編

余はネルソンである!

 

「そう……(無関心)」

 

うう……、ウォースパイトめ、冷たいぞ……。

 

「いや、出会い頭にそんなこと言われても……」

 

もっとこう、ちやほやしてくれ。

 

「えー……」

 

 

 

さて。

 

黒井鎮守府に召喚されて暫く経つが、ここでの日々に余は満足している。

 

美味しい食事、快適な住居、十分過ぎるほどの給金、多過ぎる休暇、愛する男性、戦友達、豊かな自然、消費しきれぬ程の娯楽……。

 

この鎮守府には全てが揃っている。

 

余は、嬉しいぞ。

 

戦い続けたあの頃とは打って変わって、毎日が愉快な気持ちで過ごせる。

 

何より、食事が美味いのが良い。

 

祖国にはない、美味い食事が日々の楽しみだ。

 

朝、軽くシャワーを浴びて、身支度を整える。

 

黒井鎮守府の食堂は、午前七時、十二時、午後六時に食事が提供される。

 

しかし、開いているのは午前六時前から夜中まで開いているし、出入りは自由だ。

 

冷蔵庫の中の食料も、注意書きがないものなら好きに手をつけて良い、しかし食料を無駄にしたら厨房のボス、ホウショウに腰が抜けるほど怒られる、と言う決まりだ。

 

因みにヒエイは厨房には無期限進入禁止令が出ているそうだ。何でも、バイオテロ?がどうとか。

 

それはさておき、余は、朝からしっかり米を食べないと死ぬ体質になってしまった。

 

仕方ないのだ、黒井鎮守府は食事が美味い。

 

朝から食事をしっかり摂って、三食おやつ晩酌をしないと満たされぬのだ!

 

和食!

 

それがなくては始まらないのだ!

 

 

 

まず、余は、ウォースパイト、アークロイヤル、ジャーヴィスと共に、午前七時頃に食堂へ向かった。

 

余は、食堂の掲示板に書き込まれているメニューを見る。

 

メニューは多国語で書かれており、未だ英語しか読めない余でも安心だ。

 

メニューは多く、和洋揃って二十種類を超える品目があり、その中から好きなものを選ぶという方式になっている。

 

因みに、受付のホウショウは外国語もある程度話せるので、英語で注文しても答えてくれるぞ。

 

ふぅむ……。

 

では、これと……、これとこれ、そしてこれとこれにしよう。メニュー横の番号と、盛りの量を指定して注文。

 

盛りの量は小、中、大、特大、日本昔ばなしサイズの違いがある。

 

余か?

 

余は朝から腹ペコなので、もちろん、日本昔ばなしサイズだぞ!

 

因みに、日本昔ばなしと言うのは、日本のアニメーション作品のような、カートゥーン的な特大サイズのことだ。

 

主に戦艦や空母が頼む。

 

しかし、海外艦の多くと一部の艦娘は、朝はコーヒーだけ、ヨーグルトだけなどと言って、あまり食べない艦娘も多い。

 

フランス艦や、ムツ、クマノ、スズヤ、コンゴウ辺りは、朝はあまり食べないようだ。

 

まあ、その辺りは個人の自由だからとやかく言うことはないが。

 

少なくとも、イギリス艦は、朝食をしっかり食べないと調子が出ないな。

 

さて、頼んだメニューは、と言うと。

 

日本昔ばなし盛りの白米、スズキのソテー、チーズ入りオムレツ、きゅうりの胡麻和え、ひじきと枝豆の炒め煮、キャベツと油揚げの味噌汁だ!

 

さあて、いただきます!!

 

まず副菜から攻めて行こうではないか……。

 

ひじきと枝豆の炒め煮だな。

 

ひじきと言う海藻と、枝豆、そして人参とちくわと言う魚のペーストを成形したものが、炒め煮されているようだ。

 

匂いからして、出汁と醤油……。これは和の味がするだろう。

 

すっかり使い慣れた箸でひじきを挟んで、口に運ぶ。

 

……ほう、これは!

 

醤油とみりん、出汁の風味が口一杯に広がるな!ちくわ本来の塩気や、枝豆と人参の歯ごたえと甘みもあり、飽きがこない!

 

すかさず、山のように盛られた白米を口へ運ぶ。

 

うむ、醤油の味と白米の味は実に合うな……。例えるなら、長年連れ添った老夫婦のようだ。余もAdmiralとこのような関係になりたいものだな。

 

そして次にチーズ入りオムレツだ。

 

箸で切ってみると……、ふむ、ネギとしらすが入っているようだな。とろりと漏れ出すチーズが食欲を増進させる。

 

聞くところによれば、今はしらすの美味しい時期……、所謂旬というやつらしい。

 

黒井鎮守府においては、季節感のあるメニューが基本で、旬の一番美味しい時期に、一番美味しい食材を艦娘に食べてもらいたいと言う、Admiralと厨房組の優しさが理解できるな。

 

肝心の味だが……。

 

うむ、美味い!

 

この卵のふんわり感!それに、ネギのシャキシャキとした食感と、しらすの旨味!そしてチーズ!

 

出汁の豊かな風味により、ソースをかける必要はないだろう。

 

これをおかずに、更にご飯を!

 

うーむ、美味い。

 

ここで味噌汁だ。

 

この味噌汁にもまた、旬のキャベツが使われている。

 

おお……、キャベツの甘みがスープに溶け込んでいる!

 

黒井鎮守府特製の合わせ味噌は癖がなく、単一の種類の味噌よりも複雑な味わいなのだ。

 

この味噌は味噌汁用に作られた味噌であるが故に、実に馴染む!

 

艦娘は出身地も国籍もバラバラであるが故に、皆が納得するものを作るのは難しかったと、Admiralと厨房組は語っていたな。

 

うむ、文句なしに美味いぞ。

 

さあ、そしてこれだ。

 

スズキのソテー。

 

これは、ニンニクと醤油の匂いがするな。

 

醤油は何にでも合うのだ。ニンニクと合わせたらもう、最高だぞ。

 

さあ、身をほぐして一口……。

 

おお!

 

素晴らしい味だ!

 

白身魚の淡白な味と、仄かに香るニンニクの風味、そして醤油!

 

上に乗せられた白髪ねぎもシャキシャキとして、更にそのピリッとした辛さが味を引き締めている!

 

こ、これはたまらんぞ!

 

ご飯を掻き込む!

 

ああ、美味い!

 

そしてここで箸休めにきゅうりの胡麻和えだ。

 

薄く切られたきゅうりをごまだれで和えたもののようだな。

 

一口、食べると……。

 

うむ!

 

新鮮なきゅうりの野菜らしい歯ごたえ、そしてごまだれのコクが、きゅうりのさっぱりさに旨味を追加する!

 

これは箸休めにもおかずにもなるな……、日本酒とも合いそうだ……。今晩は日本酒を飲もう。それと焼酎とハイボールもだ。

 

さあ、ご飯はまだまだある!

 

どんどん食べるぞ!

 

お代わりもするぞ!

 

 

 

さて、それでだがな。

 

余は……、艦娘は基本的には暇だ。

 

出撃はノルマ制になっているが故に、決まった数の深海棲艦を殺せば、あとは自由なのだ。

 

余も、ノルマは月の初めに達成していて、あとは暇である。

 

さて、となると……。

 

ウォースパイトは読書に励み、アークロイヤルは訓練やスポーツを、ジャーヴィスは他の駆逐艦と遊びに行ったり、コミックブックを読んだりしている。

 

余はどうしようか。

 

ああ、そうだ、映画を見よう。

 

余が眠っていた数十年間分の映画や小説、ドラマなどを楽しもうではないか。

 

それと、暇があれば一度イギリスに戻り、絵画や彫刻を見に行きたいな。

 

他にも、音楽鑑賞もしたい。

 

ああ、それと、自然に触れるのも良いな。

 

この前、首輪付きと呼ばれる謎の生命体が支配する裏山にハイキングに行ったが、中々楽しかったぞ。

 

……それにしてもあの首輪付きは何者だ?

 

犬でも猫でもない白い獣……。

 

まあ、もふもふで可愛らしいのだが。

 

可愛らしいのだが……、なんの生き物だ?

 

農耕をしていて、家畜の管理などもしている様だが……。

 

獣にしては知能が高いようだ。

 

まあ、Admiralが気にしていないなら、それで良いか。

 

 

 

さあ!

 

昼ご飯の時間だ!

 

さあ、メニューを選んで……。

 

もちろん盛りは日本昔ばなし。

 

昼はこれだ。

 

天ぷらそば!!!

 

ヘルシーなメニューだが、付け合わせにみょうがの甘酢漬け、新じゃがの煮っころがしとアジのなめろう、油揚げ餃子も付いてカロリーも糖質もばっちりだ!

 

ん?ああ、余は太らんぞ。

 

艦娘は基本的に太らん。

 

太る艦娘は明らかに食べ過ぎだ。

 

さあ、まずはそばから攻めるぞ。

 

蕎麦は伸びやすい故、最初に蕎麦、そしておかずを楽しみ、メインの天ぷらを食し、最後にお代わりした蕎麦で締める。これだな!

 

まずは蕎麦本来の味を……。

 

麺だけを少し口へ運ぶ。

 

……おお。

 

鼻に抜けるこの独特の風味!これだから蕎麦はやめられないな!

 

そして、つゆに麺を半分ほど浸して、一気に啜る!

 

美味いっ!!!

 

打ちたてらしい豊かな風味と、つるんとした喉越し!いくらでも食べられるな!

 

さあ、次はアジのなめろうだ。

 

これは……、よしよし、美味い、美味いぞ!

 

アジが美味いのだ。味噌と生姜のこの香り!

 

いやあ、白米が欲しくなるな。

 

新じゃがの煮っころがしは……?

 

うむうむ、美味い!

 

皮まで美味しい新じゃが、砂糖多めで甘みがある。

 

艦娘は女故か、甘い物好きなところがあるからな。甘めの味付けが多いのだ。

 

そして、隠し味にバターを入れているようだな?

 

このバターが洋のテイストを取り入れて来ていて、海外艦にも美味しく感じられる要因になっているだろう。

 

箸休めにミョウガを……。

 

うーむ、この苦味だ。

 

この苦味が良いのだ。大人の味だな。

 

しかし、甘酢のお陰で食べやすく、駆逐艦にもオススメできる絶妙な味になっている。

 

そして油揚げ餃子だ。

 

油揚げに餃子の具を入れて、フライパンで焼いたものらしいが……?

 

……よし!美味いな!

 

普通の餃子の具とは違い、旬のキャベツを多目に入れてあるようだ。挽肉も鶏ひき肉でヘルシーな仕上がりだな。

 

しかしこれは序の口だ。

 

何せメインは天ぷらだからな!

 

さあ、天ぷらを食べていこう。

 

大根おろしを乗せた車海老を、つゆに浸して……!

 

さく、ぷつん!

 

揚げたて天ぷらの衣がさくさくと、海老の身がぷつんと!

 

つゆで甘じょっぱくなった衣と、ぷりぷりの海老が口の中で踊るようだ!

 

そして一押しはこれだな、かぼちゃの天ぷら!

 

これは塩でいただこうか……。

 

むう!

 

ねっとりとしていて、それでいて濃厚な甘みが!

 

美味い、美味いぞ!

 

余は甘いものが好きなのだ!

 

ミョウガの天ぷらとキスの天ぷらも実に味わい深い!

 

ここから更に蕎麦だ!

 

今度は薬味を入れて……!

 

おお、美味い!

 

 

 

さて、次は本を読んで休んだ後、三時におやつを食べるぞ!




ネルソン
祖国の飯が不味過ぎて和食に目覚めた。

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