牛が、牛が。
門番はなんとかなったんすけどね、牛がね。
槍ハゲも殺せてねーし。
白霊呼ばないのにこの難易度はおかしいでしょ?
ガスコインレベルのやつがそこら辺にふらっといるじゃん。フロムは戦国時代をなんだと思ってんだよ。
ティータイムだ。
ふふふ、ふはははは、はーっはっはっは!!
今回はな、あらかじめAdmiralに駄々をこねて、フルーツケーキを作っておいてもらったのだ!
旬のフルーツ盛りだくさんのロールケーキだ!
クリームもたっぷりなんだぞ!
ウォースパイトに紅茶を淹れてもらい、さあ食べようか!
「一切れちょーだい!」
むむ、ジャーヴィスめ!仕方ない、一切れだけだぞ!
風呂にも入って……、さあ、今度は夜ご飯の時間だな!
因みにAdmiralも何故か自然に余と同じ湯船にいたぞ。
この黒井鎮守府は混浴なのか……?
詳しく聞いたところ、男性用の風呂もあるが、艦娘がAdmiralと混浴したいがために男性用の風呂を閉鎖したらしい。
まあ、余も混浴したいから別に良いぞ。
Admiralの肉体美、あれを見たか?
彫刻のような筋肉に刻まれた傷の数々!
色気があって本当に素敵だ……❤︎
おっと、さて、晩ご飯の時間だな、よしよし。
メニューは、と。
おお!
これは!
「あ!今日は洋食だー!」
ジャーヴィスの好物の洋食だ!
どれどれ、私は……。
オムライス、デミソース煮込みハンバーグ、クリームシチュー、ポテトサラダ!!
……むむ?!
謀らずしてお子様ランチのようなレパートリーに?!
仕方ないな、みんな好きだからな。
さて、まずはオムライスから行こうか。
大きな大きな日本昔ばなし盛りのオムライス!1kgはあるだろうな、まるで枕みたいだ。まあ、お代わりする予定だが。
これに大きめのスプーンを、えいっ!
おお、赤いケチャップの中から赤いチキンライスが……!!
チキンライスは少し大きめに切られた野菜と鶏肉が!
が、我慢できんぞ!
はむっ!
は、はむぅ……!!
う、美味い……、な、なんという美味さだ……。
チキンライスの味が完全に黄金比で、いくら食べても飽きがこない!!
この程よいケチャップの酸味がスプーンを進ませる!!
チキンの風味も実に良い!!
肉とご飯はフルタカとカコのような最高の相棒なのだ。
そのコンビネーションたるや、計り知れないな!
卵もバターの風味が効いていて、良いアクセントになる。しかもトロトロふわふわで美味しい。
さあ、次はクリームシチューだ。
ヨーロッパのシチューといえば、アイリッシュシチューなのだが……、日本でシチューといえばこのミルクやホワイトソースを使ったクリームシチューを指すらしい。
シチューの日本代表ということだな。
その味は……?
……ふふ、知っていたとも。
前も味わったことがあるからな!
そう、この味だ!!
濃厚なミルクの味に溶け込んだ、野菜と鶏肉の味!このとろみ!
溶けかけのジャガイモを口に含んで舌で押しつぶすのだ!すると、ねっとりと潰れて旨味が口の中に広がる……!
この鶏肉もいい!スープに旨味を流し出しつつも、スープを介して野菜の旨味を吸って、自らの肉としての旨味をしっかり残しつつ、他の具材と一体になっている!
我らが黒井鎮守府の如く、それぞれの具材が個性を活かしつつも上手くまとまっているのだ!相互に干渉しあい、更に旨味を高め合っている!!
このシチューは余れば後でグラタンになるな。その時も楽しみだ!
そしてポテトサラダだ。
やはりここでも新じゃがが活きるな。
数百グラムの特盛ポテトサラダをスプーンですくって一口。
むおお!
これはっ!
新じゃががよく潰されていて、自家製の美味しいマヨネーズと融合!舌触りはねっとりとしていて、その中に人参、コーン、きゅうり、自家製ハムのハーモニー!!
噛み締めればプチリと弾けるコーン!しゃきっとした人参ときゅうり!そしてハムはそこに塩気と肉の味を追加してくる!
か、完璧だ、完璧なポテトサラダだ。
素晴らしいぞ。
そう、そして!
煮込みハンバーグだ!
大きなハンバーグに、溢れんばかりのキノコとデミソースを!
フォークを刺して、ナイフを入れる。その時点から、余の中に声が聞こえた気がした。
『これは美味いぞ』と。
簡単に切れるのだ。
恐らくは箸でも切れるであろう、柔らかなハンバーグ。
これが、美味しいデミソースで煮込まれている……?!
そんなもの、最早犯罪ではないか!!
ええい、確かめねば!
一口、ぃいい!!!
濃厚なデミソース、キノコの旨味。そして肉汁が口の中に流れ込んでくるっ……!!
この肉汁だ!余は料理の知識など殆どないが、この美味い挽肉の肉汁を封じ込めるのに何をしたのか、全く見当がつかないぞ!
Admiralは魔法を使えると言っていたが、なるほど、この料理も魔法の一つか!
付け合わせのグラッセ一つとっても、丁寧に作られており、美味しいことがよくわかる。
あれだけの量とクオリティを両立できるのはもう、冗談抜きで魔法なのではないか……?
さて、夜は何をするか……。
決まっている、晩酌だ。
ラム酒もいい、ラム酒も良いのだが、今日は朝からずっと、ハイボールと日本酒で行くと決めていたのだ!
Admiral!飲もう!今夜は飲もう!
「オッ良いねえ、おじさんはウイスキーとチェイサーにウォッカ飲むよぉ〜」
流石だなAdmiral。酒の口休めに酒を飲むとは、圧倒的強者だ。
よーし、私も大ジョッキでハイボールだ!濃い目にしてくれよ、ホウショウ!それと日本酒も冷やで頼む!
「はい、ネルソンさん。おつまみはどうしますか?」
うーむ、迷うな……。おすすめをもらえるか?
「ええ。提督はどうしますか?」
「俺も今日のおすすめを適当に持ってきてくれるかな?」
「はい、ご注文、承りました。少々お待ちくださいね。はい、こちらはお通しの枝豆です」
よし、枝豆だー!
うむうむ、このほのかな塩気がたまらんのだ。
そして十分程、Admiralに酒の薀蓄を話してもらうと。
「はい、お待たせしました。イカゲソの唐揚げと鰹のたたき、アボカドのウニ和え、チキン南蛮、ピーマンのじゃこ炒めです」
おお!実に良い!
重めで脂っこいつまみならば、いくらでも酒が飲めるからな!
まずは揚げ物!
ハイボールと言えば揚げ物ではないか?
「分かるわ」
Admiralもそう言っている。
イカゲソの唐揚げにレモンをたっぷりかけて……、ああ、余はレモンをかける派閥の者だ。
これを!
さくっ。
こりこり。
あぁ〜、たまらんぞ!
このコリコリ感がたまらんのだ!
脂っこくなった口をハイボールで洗い流す。
っくぅーーー!!!
美味いっ!
どうして酒はこんなに美味いのだ?
世のどんな偉人よりも、酒を初めに作った奴が偉いだろうな。
この角瓶を濃い目のハイボールにして、少しのレモンを絞り氷でキンキンに冷やして……。
喉を鳴らして飲むっ!!!
因みにAdmiralは響をラッパ飲みする。
「おっと、チェイサーも飲まなきゃな」
……チェイサーとは、度数が高い酒を飲むときに飲む水のことではないのか?
「このウォッカを見てごらんよ、透明だろ?水と同じ色だ。だから水と一緒でアルコールはゼロパーセントなんだ」
何だその謎理論は。
まあ良い。
次にアボカドのウニ和えだな。
んむ、これは!
ねっとりとしたアボカドのバターのような旨味!そこに新鮮なウニの海の味が調和している!
うまぁい!
ハイボールぐびぐび。
鰹のたたきは日本酒で行こうか。
麒麟山と言う、赤身魚の刺身に合う日本酒らしいが……。
おお、これは確かに!
刺身に負けない強めの味だな!これはこれで美味いものだ!
鰹のたたきも実に美味い!
ニンニク醤油で薄切りのニンニクごと食べると……!!
くぅー、たまらんな!
ピリッとしたこの辛さを包み込む、油と魚肉の味!
美味い、美味いぞ!
そしてこれはどうだ?
ピーマンとじゃこ!
うむ、うむ!
ピーマンは苦い。
しかし、その苦味がたまらなく美味いのだ。
そして、その苦味に隠れた甘みも良い。じゃこの風味と醤油の塩気で、しんなりしたピーマンの旨味が口いっぱいに広がるな。
ハイボールぐびぐび。
む?
ハイボールがなくなったぞ、ハイボールおかわりだ!!
さて、チキン南蛮はどうだ?
このたっぷりかかったタルタルソース……、食欲をそそるな。
どれ、タルタルソースをたっぷり乗せて、一口。
むおお!
美味い!!!
国産の鶏肉のこの旨味……!
肉はジューシーで、タルタルソースもこってり!
この油の暴力がたまらない!!!
ヘルシー志向なんぞ笑わせる!
ベジタリアン?ヴィーガン?愚か者め!肉を食え!
はい、ハイボール。
………………
…………
……
はっはっはは!
よはなー!よはなー!
つよいんだぞー!
「おっ、そうだな、よしよし」
んふー!
もっとなでろー!
「そろそろお休みしましょうねー、ネルソンちゃーん」
んにゃー!まだのむー!
「もう、しょうがないなあ、あとちょっとだよー」
んへへー!
ネルソン
飯堕ちしたイギリス艦。