旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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よぉ、関口ィ(笹寿司)……。

俺が艦これ二期の発表にあたって、艦娘達の紹介をしてやるぜぇ!




387話 登場人物紹介 前編

『黒井鎮守府、登場人物紹介』

 

僕は、首からそう書かれたプラカードを下げさせられて、ハンディカメラを持たされた。

 

「まあほら、時雨は次期主人公だから。艦これ初心者にも優しい(大嘘)艦これの登場人物紹介ムービーを撮ってきてもらうよ」

 

流石だよ、提督。

 

この僕の『瞳』を以ってしても、何を考えているのか全く分からないよ。

 

ああ、いや、表面的な思考や感情は読み取れるけれど、どうして僕にホームビデオを撮らせようと言う考えに至ったのかが全く分からない。

 

次期主人公とは?

 

「いや一期は吹雪で如月が悪堕ちしたから。悪堕ちも嫌いじゃないけど俺は艦娘には幸せになってもらいたいんだよ(半ギレ)」

 

んー、分からないな。

 

『瞳』で提督の心を覗く。『瞳』により、提督の思考、心の声を読み取る。

 

『かにかま』

 

んー。

 

『ドライセンって茹でたら赤くなりそう』

 

んー。

 

『あ、冷蔵庫に鶏皮余ってたし唐揚げにして食おう。鶏皮の唐揚げ美味いよね、あれあると酒が無限に飲める。そう言えば時雨、ウイスキーってあるじゃん?あれ、麦茶と同じ色してるでしょ?だから麦茶と同じでノンアルコールなんだよ。これが最近俺が編み出したノンアルコール理論なんだけど、どう思う?』

 

どう思う、って……。

 

少なくともウイスキーはノンアルコールではないよ。

 

「いや分かんないでしょ?飲んでみなきゃ分かんない、今から飲むから、今から飲むから……。ぐびっ、ああー!これはノンアルコールですわ!だから昼間から飲んでも平気だよなぁ!」

 

まあ、提督が幸せなら僕はそれでいいよ。

 

「時雨優しいからすこ。じゃあそのまま鎮守府回って、登場人物紹介して、主人公の貫禄見せつけてIKEA!!!」

 

ああ、そうするよ。

 

さて……。

 

何をすればいいのやら。

 

矮小な僕程度では、提督の考えを理解することができないからね。

 

僕の理解した範囲では、黒井鎮守府のメンバーを紹介する動画を作成しろ……、と言うことだと思ったんだけれど。

 

ふむ、どこか外部に向けた宣伝素材にでもするのかな?

 

なら、撮っていこうか。

 

 

 

「む」

 

適当に切り揃えられた長い黒髪、発達した筋肉、高い身長。

 

おや、長門さんじゃないか。

 

「時雨か。何々……?黒井鎮守府、登場人物紹介?」

 

ああ、提督に任されてね。

 

「ほう、そうか。何かは分からんが、提督の命令ならば励むんだぞ」

 

もちろんさ。

 

さて、長門さんか。

 

黒井鎮守府でも最強格の一人と謳われる艦娘だね。

 

パンチ力は数百トンと言われており、大抵の深海棲艦なら掠っただけで挽肉にする殺人的なパワーが特徴だ。

 

また、姫クラスの主砲の斉射でも殆どダメージを受けない防御力も評価できるね。

 

しかし本人の人格は、意地を張る割には甘えん坊でずぼらだ。

 

提督不在の際の戦闘指揮を執る有能な面もあるが、霊的存在に怯えたりなどと、いまいち締まらない印象だね。

 

基本的に暇を持て余している艦娘は色々と趣味があるものだけど、長門は文化的な趣味はあまりなく、戦術論について書かれた本をたまに読むくらいで、トレーニングに模擬戦、土方のアルバイトをして過ごしているようだね。

 

「はぁい、時雨ちゃん」

 

やあ、陸奥さん。

 

姉の長門とは打って変わって教養のある美女、陸奥さんだ。

 

陸奥さんはセレブといっても違和感のない、高級感のある服装とそれに着られることのない品性、品格がある。

 

性格も淑女然としたサイコパスで、提督を鎖に繋いで飼いたいと公言している。

 

黒井鎮守府においては、まともなサイコパスとして信頼されているね。

 

 

 

おっと、次は……。

 

「あら?」

 

黒井鎮守府でも屈指のサイコパスと噂される、美しい黒髪に黒縁のメガネの女、大淀だ。

 

「こんにちは、時雨ちゃん。何事ですか?」

 

ああ、提督の遊びさ。

 

「そうですか……、時雨ちゃんは提督に遊んでもらえて羨ましいですねえ。そうだ、私も提督に全裸で抱きついてみようかしら」

 

いつもやってるじゃないか。

 

「……それもそうね」

 

こんな感じだけど、デスクワークの出来は鎮守府で一番なんだ。プレゼンから会計、応対、なんでもこなす。

 

にしても……。

 

下着くらい履いたらどうだい?

 

「すぐに濡れてしまうので、履く意味があまりないんですよ」

 

 

 

まあ、大淀はサイコパスの度合いはトップクラスで変態だけれども、分かりやすいタイプの変態なので問題は特にない。

 

休憩室へ。

 

「もぐもぐ……」

 

休憩室の冷蔵庫周辺は空母の領域だね。

 

日に成人男性の数十倍から数百倍のカロリーを摂取する空母達は、冷蔵庫から提督が作った菓子類を取り出して、思う存分食べるんだ。

 

また、空母は基本的に、食欲と性欲がリンクしているところがあり、提督を見つけると愛の言葉を囁きながら提督の肉を喰い千切る。

 

確かに、提督の血肉は正に甘露だが、人外の肉だ。喰らえば喰らうほどヒトからかけ離れる。

 

しかし、艦娘はヒトにあらず。化け物がより悍ましい何かになろうと、なんの問題があるのかな?

 

現在は空母達も『変異』し、見てくれは人型だが、本質は魔性に寄った。

 

元々艦娘は神霊だが、提督の血肉を喰らい続けた空母達は祟り神に近しい性質を持ち始めたようだね。

 

空母以外にも、他の一部の艦娘は、提督の血肉を喰らい続けた結果、荒神や魔神に近付いたようだね。

 

「あら、時雨ちゃん?食べるかしら?」

 

ケーキを1ピース差し出してくる赤城さん。

 

痩せ型や筋肉質が多い艦娘の中で最も体脂肪率が高い黒髪の和風の美人。

 

提督がよく腹の肉を揉んでいるところを見かける。

 

ダイエットのために色々やらされているようだが、結果は芳しくないね。

 

折角なのでケーキをいただく。

 

「美味しいですねー」

 

赤城は基本的にいつ見ても何かを食べているように感じる。

 

まあ、最低限は訓練や仕事をしているらしいから、僕から言うことはないね。

 

 

 

おや。

 

二つに縛った長い金髪、少女と大人の中間くらいの見た目。

 

やあ、プリンツさん。

 

「ねえ、貴女、私の王子様がどこにいるか知らないかしら?」

 

ふむ。

 

提督ならあっちだよ。

 

「本当?教えてくれてありがとう、兵隊さん」

 

時雨だよ。

 

「ああ!そうだった!時雨ちゃんだよね。王子様以外のことにはあんまり興味がないから、忘れちゃってました!ごめんね?」

 

ふむ……。

 

一部のドイツ艦は白痴のような状態だ。妄想の世界の中に生きており、自分を、森の中の白亜の城の姫君だとでも思っているようだね。

 

しかし、戦闘能力は高く、知能に問題がある訳でもない。

 

ただ、致命的に、『ズレている』だけだ。

 

黒井鎮守府においては問題ない。

 

 

 

転移。

 

外国の郊外に点在する、アサシン教団の施設内に入る。

 

「あら、時雨じゃない。どうしたの?」

 

癖のある茶髪と少々鋭い目つき、バランスが良く適度に絞られた均整のとれた肉体、提督が言うには『先輩の美人なOL感』のある美女。

 

アサシン……、妙高型の足柄だ。

 

何、ちょっと君達の仕事の見学をね。

 

「ふうん。まあ、時雨なら変なミスしなさそうだし、連れて行ってもいいわよ」

 

妙高型と言えば、四人で怪しげな暗殺教団に手を貸し、日夜、悪の秘密結社との戦いを繰り広げている。

 

殺人をハンティングくらいにしか思っておらず、暗殺の標的なら女子供でも平気で殺す、心無い殺戮機関だ。

 

まあ、艦娘なんてみんなそんなものさ。心なんて殆どない。あるのは提督への愛だけさ。

 

 

 

さて、次は……、どうしようか?

 




時雨
次期主人公。

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