旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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弦一郎殿倒せたので今夜はパーティだ!

分かったこと:斬れば死ぬ

俺、昔は格闘技色々やってたんですけど、やっぱり攻めることが大事だと思うんすよね。そりゃ達人になれば一瞬の隙とか見えてくるのかもしれないんですけど、素人だと兎に角殴りまくるのが大事。

攻めなきゃ相手を倒せないんですよ。


391話 甘え

ふむ……。

 

「コッコロママ」

 

「?」

 

「俺はさ、旅人だからさ、そもそもが社会に甘えて生きてる訳なのよ。だからこれ以上誰かに甘えるのは悪いなーって思うのよね」

 

「そうですか?提督が甘えて下さると、私は嬉しいですよ」

 

んー、大淀は優しい。これで変態性癖がなければ……。

 

「それにさあ、歳下の女の子をママ呼ばわりして甘えるのはやばいでしょ」

 

俺はプリコネをやりながら答える。

 

「現代の社会人はヤバイくらいに疲れているのでは?」

 

確かにそうだな。

 

「でも俺、別にそこまで疲れてないからなあ」

 

週休六日レベルで働いてねえや。

 

まあ、朝昼晩に料理と、定期的な買い出し、たまの営業くらいか?

 

週五、六で働く社会人と比べたら俺なんて、ねえ?

 

「そうですか?」

 

「そもそも、俺は母親に会ったことないしな。バブみがイマイチ理解できないんだよね」

 

いやほら、俺は少年漫画の主人公よろしく、両親がいないからな。

 

これはもう俺=ルフィと言っても良いのでは?

 

伸びるし(触手が)。

 

さて、そんなこんなで、イマイチバブみが理解できない俺。

 

まあ、ヒモやってた時期もあるけど、その時はその時で家事やったり、小遣いをギャンブルで増やして返したりしたから、実質働いていたしな。

 

社会には甘えるが女性に甘えたりはしないんだよね。

 

でもほら、なんかこう、適度に甘える方が母性本能?的なアレを刺激して良いんじゃない?

 

やってみるか。

 

「ちょっとおいで大淀」

 

「はい」

 

俺は大淀に抱きついた。

 

「?」

 

大淀は俺を抱き返し、頭を撫でてくれる。

 

ふむ。

 

普通に嬉しい。

 

「でもこっちの方が好きだな」

 

「あ……❤︎」

 

大淀を胸に抱きしめる。

 

小さな大淀の身体を包み込むように抱く。

 

「俺は甘えるより甘やかす方が好きだなー」

 

「で、ですが、艦娘は提督に甘えてばかりです。提督の負担に……」

 

まあ浮気が許されないのは負担になってるけど。

 

そもそも浮気とは何かね?

 

俺は別に艦娘と結婚してる訳でもないんだけど?

 

 

 

さて、くずのプーさんである俺はハチミツの様に甘い汁を啜るのがだーい好き!

 

今日も社会から甘い汁を啜り、艦娘と遊ぶのだ。

 

「まあね、黒井鎮守府もプリコネみたいな世界観だしね」

 

「どちらかと言えばオーバーロードですよ」

 

あはーん?そう来る?

 

「黒井鎮守府なんて美食殿みたいなもんでしょ」

 

腹ペコキャラ(空母)とツンデレもいるし。

 

「ナザリックの間違いでは?デミウルゴス(時雨)みたいなのもいますし」

 

そんなこたぁない、そんなこたぁないんだ。

 

黒井鎮守府はやさしいせかい。

 

けものはいてものけものはいないんだ。

 

たまに俺がウィザードリィみたいな死に方するだけで基本は平和。

 

*おおっと*みたいにあっという間に死ぬ。

 

そしてまあ、艦娘はみんな優しい子だし。

 

ここが僕のおうちなんだ(キュルル)。

 

俺達には辿り着く場所なんてねえ、ただ、進み続けるだけで良い!

 

「つまりな、扶桑。俺は他人に甘えても良いと思うんだ」

 

「そんな……、私はいつも、みんなに迷惑を」

 

「いけないなあ、些か自罰的てはないかね?仲間に頼らねば。言うなれば運命共同体!互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う。一人が皆んなの為に、皆んなが一人の為に。だからこそ戦場で生きられる。艦隊は姉妹、艦隊は家族!」

 

「そう、ですね」

 

嘘じゃないよ、本心本心。

 

つまりまあ、艦娘同士、俺も含めて仲良くなろう。多少は甘えろ、と。

 

そういう訳だよ、扶桑。

 

「ですが、甘えて良い塩梅が難しいですよね」

 

ふむ。

 

急に甘えろって言っても、どれほど甘えて良いのか。

 

確かに、甘え過ぎは良くない。

 

逃げちゃ駄目ではないけれど、エヴァに乗らないと話が進まない、そういうことだ。

 

「黒井鎮守府って、やって良いことと悪いことが特にないと思うのですが」

 

そうか?

 

結構あるぞ?

 

「えーまず、食料のお残しは許しません、なるべく人は殺さない、麻薬は駄目、悩んだら相談!なせば大抵なんとかなる……」

 

「それは、当たり前のことで、基本的に法律を守らなくても怒られないじゃないですか」

 

「そんなことないぞ、信号無視とかしたら怒る」

 

「でも殺人や劇薬の精製、人体実験は怒らないように見えるのですが」

 

あー。

 

まー。

 

「その辺はケースバイケースじゃん」

 

「殺人が許されるケースがあるのですか?」

 

「まあ多少はね?俺だってカッコつける訳じゃないけど、何人も殺してきたよ。殺さなきゃならない場面ってのはあるからな」

 

正当防衛とか、そうじゃなくても、こいつはここで殺さなきゃならないという邪悪とかな。

 

まあ、邪悪の定義を誰がするのか、そもそも悪とは何かという話になると、それは人によるとしか答えられない。

 

つまり、極論を言えば、邪魔な奴は殺すってことだ。

 

どうしても、話が通じない奴はいる。

 

「結局、何をしたら怒るんですか?」

 

「うーん、俺も大分遊んでるからなあ……」

 

「そう言えばこの前はヴィーガンの祭典でポンドステーキを焼いて食べたそうですね」

 

「やったなあ」

 

「その前はアメリカでイスラム系のコスプレをしつつ黒い鞄をアッラーアクバルと叫びながら人に投げつけるいたずらとか」

 

「やったわ」

 

「捕まりますよ?」

 

「今年はまだ三回しか捕まってないからね」

 

ちょっとしたいたずらだよ。

 

「あ、でも流石に某弁護士風爆破予告とかはやめようね!」

 

警察が動くからね。

 

俺は通報されないギリギリのいたずらしかやらない。

 

まあ、街中で魔法を使ったりしてるから色んなところに追われてるけど。

 

魔術協会を初めにアトラス院と執行者などなど。

 

そもそも俺は封印指定魔術師だからな。

 

最近は白露型とかも封印指定されたらしい。

 

時折、追っ手が現れるが、ボコボコにしたり煙に巻いて逃げている。

 

「もちろん、警察に迷惑はかけません。そういえば、旅人さんは街中でマジックと偽って魔法を使っていた時に沢山の魔術師に追われましたね」

 

「まあ俺、封印指定されてるからなあ」

 

「はあ、封印指定ですか」

 

「封印指定ってのは、まあ、物凄い魔術が使えるから、魔術協会でサンプルとして捕まえますってことね。稀少な魔眼とか持ってたら捕まるんじゃね?」

 

「はあ……」

 

「俺はまあ、第三魔法っぽいものとか、神格の召喚とか、空間転移とか、間接的な時間操作とかが駄目だったらしいね」

 

「はあ」

 

「でも戦闘能力は大したことないよ」

 

「そうですか」

 

「あとは持ち物と肉体が駄目なんだってさ」

 

「成る程」

 

この世界の魔術はそんなに凄くないからな。

 

神秘が薄いから、大した魔法使いはいない。

 

ノースティリスやロスリック、ヤーナム、ヴァナディール、幻想郷なんかは、神代並の神秘に溢れているから、そっちの魔法使いに師事した経験がある俺からすれば、驚くようなことをやってくる魔術師はそうそういない。

 

むしろ、魔力が足りるならと言う前提はあるが、『瞳』で観測すれば大抵の魔術は再現できる自信がある。

 

「俺なんて、ちょっと世界を滅ぼせるくらいだよ」

 

「ちょっと……?」

 

「ああ、もちろん、世界を滅ぼそうとしたら百パーセント邪魔されて失敗するよ?でも仮に、誰にも邪魔をされないなら、この世界を消滅させることも可能だって話」

 

「どうやってですか?」

 

「適当に神格を喚び出して暴れさせるんだ」

 

アザトースでも喚べば、邪魔が入らなきゃ世界を壊せる。

 

「まあ、白露型ならもっと上手くやると思うよ。あの子達なら邪魔が入っても世界の四割は滅ぼせるね」

 

「はあ」

 

 

 

「ま、俺は大したことない一般通過旅人だよ、俺の話はいい。ほら、扶桑、俺に甘えてごらん」

 

「はい」

 

扶桑の肩を抱いて歩き出し……。

 

「新台真央!貴様を捕まえる!」

 

「大人しくしろ!」

 

「手足の一二本は落としていいとのお達しだ!」

 

さて。

 

フラッシュバン。

 

「扶桑、逃げるぞ」

 

「え、あ、はい」

 

全く、おちおちデートもできないな。

 




旅人
この後は追っ手と戦い、最終的に爆発するビルをバックにバイクで脱出し、アクション系洋画のラストシーンみたいになった。

扶桑
ちょっと甘えてくるようになった。

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