旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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今やる夫スレにハマってまして、お勧めがあったら教えてください、活動報告の方に。

それにしても支援絵とかレビューとか欲しい……、欲しくない?

ツイッター垢公開すれば支援絵とかもらえます?


394話 マスゴミ

「……で、あるからして、黒井鎮守府が民衆の支持を得られない理由として、情報の発信をしていないからだと思うのです」

 

「はぁ……、してますけどね、ツイッターとかで」

 

「ツイッター?はっ、あんなもの、我々メディアと比べたら大したことはありません、正に、個人のつぶやきに過ぎないんですよ」

 

「今時のメディアは尻を拭く紙にもなりませんけどね(小声)」

 

「ですから、是非、今回は我々、週間文秋の取材を受けるべきだと思うのです。ああ、もちろん、黒井鎮守府に対して正しい印象を広めるお手伝いをするので、報酬はいりませんよ」

 

「お前がもらう気だったのかよ」

 

「は?それは栄えある、創刊六十周年を迎えた我が社に取材されるのは光栄なことでしょう?普通なら、取材をしにきてくださいとお願いされる立場なんですよ、こちらは」

 

あー、こいつ頭おかしいんだなー。

 

まあ、マスコミなんてこんなもんか。

 

「別に取材とかいらないんだけど」

 

「はぁー、貴方は分かっていない!我が社の雑誌に掲載されることは実に名誉で……」

 

あー。

 

めんどくせーなー。

 

正直にネタありませんって言えばまだ可愛げのあるものを。

 

「あっそ、勝手にすれば?」

 

俺は館内放送で、記者が来たから殺さないように注意しておく。

 

 

 

とは言え、このアホ記者を一人で歩かせると面倒なことになりそうだから、ついて行ってやる。

 

まあ、元々仕事はねえけど……。

 

馬鹿記者はタバコを吸おうとするので取り上げ、禁煙だと伝える。

 

黒井鎮守府のルールも聞かずに勝手に歩き回りやがる。

 

はぁー、めんどくせーなー。

 

やってらんねーわ。

 

馬鹿記者は、そこら辺を物珍しそうに眺めつつ、警備ロボットに触ろうとしたりしている。

 

「あー、触らないでもらえます?一応それ、警備ロボットなんで」

 

「何故警備ロボットに触ってはならないのですか?」

 

何故じゃねーよ、触んなっつってんだろ。

 

「安易とは言え武装が付いてます。怪我したくなけりゃ触らない方が良いですよ」

 

「そんな危険なものを徘徊させているのですか?」

 

「防犯の為の最低限の設備です、ここは軍事施設ですよ?マシンガンを持った衛兵の代わりにマシンガンのついたロボットがいておかしいですかね?」

 

「ロボットにマシンガン?安全なのですか?」

 

「武器が付いている以上確実に安全とは言えないですけど、スパイが潜り込むリスクと比べれば、必要なことです」

 

「スパイはどれくらい?」

 

「機密です」

 

ごちゃごちゃ質問してくる馬鹿記者を受け流し、先に進む。

 

適当にインタビューさせて帰らせりゃ良いだろ。

 

こっそりと香取を呼ぶ。

 

鹿島はこの前のAVの件を突っ込まれると困るからな、黒井鎮守府の貴重な安パイの内一人、香取なら……!

 

「あら、提督?こちらの方は?」

 

よーし、合わせてくれてるな!偉いぞ香取ーヌ!

 

「記者の人だよ、簡単なインタビューに答えて差し上げろ」

 

「はい、分かりました」

 

軽くウインクしてくる香取。

 

香取は分かってくれている。

 

「ではこちらへ」

 

記者を連れて、休憩室の一室へ。

 

そこでインタビュー。

 

 

 

「まず、艦娘とは何なんですか?」

 

「かつての大戦で戦った艦の神霊です」

 

「神霊?神様なのですか?」

 

「神様に近い存在ですね」

 

「近い?」

 

「神様と言うのは、人々の信仰によって存在するものですよね?艦娘もそれに似ていて、人々がかつて戦艦が存在していた、と言う記録というか、記憶から生まれているのです」

 

「はあ……、実は軍部の開発したアンドロイドとかではなく?」

 

「いいえ、アンドロイドやロボットではありません」

 

「では、体重は何トンくらいですか?」

 

「ですから、ロボットではありません。私は47kgです」

 

「はぁ……、では、深海棲艦と戦うのに、何故艦娘が必要なのですか?市民は艦娘なんていなくても問題はないと考えています」

 

おおっとー?

 

香取の殺意ゲージが上がったぞー?

 

「だってそうでしょう?艦娘なんてちっぽけな存在、自衛隊の戦艦の方が強いに決まってます」

 

自衛隊に戦艦はねーよボケ。

 

自衛隊っつったら護衛艦だよ。

 

「……その自衛隊の艦は、レーダーに映らない上に、現代兵器をある程度無効化する人型の二メートル足らずの深海棲艦に攻撃ができますか?」

 

まあ、レーダーに映らないってのは正確じゃないね。深海棲艦は鉄じゃなくて熱も発さないので、その類のレーダーには映らないって話だ。

 

それと、大きさも小さいのでソナーなんかにも引っかかりにくい。

 

赤外線なら、映ると思うぞ。

 

「それは……」

 

「そして、深海棲艦の火力は、貴方の言う戦艦並です。人程の大きさの、現代兵器が効きにくい、レーダーに映らない存在に対して、何ができますか?」

 

「それは、強力なミサイルとか……」

 

「ロックオンできませんよ」

 

「い、今の技術力なら、対戦艦用のミサイルで倒せるだろ!」

 

「……確かに、現在使われている80式空対艦誘導弾ならば、直撃すればある程度のレベルの深海棲艦なら倒せます」

 

「じゃ、じゃあ」

 

「しかし……、先程から申しておりますが、深海棲艦はレーダーに映らないんですよ。深海棲艦も神霊ですから。そんな存在に対して、一発一億円はする80式空対艦誘導弾をばら撒きますか?それに、言っておきますが、深海棲艦は毎日何万体というペースで増えていますよ」

 

まあ、ね。

 

ぶっちゃけ、深海棲艦にも現行兵器はそれなりに効くよ?

 

けど、コストが見合ってないんだよね。

 

ゴキブリの如く湧いて出る深海棲艦に対して、何千万何億円のミサイルを撃ってどうすんだ?って話。

 

「そ、それは……、だ、だが、なら、何で艦娘である必要が?」

 

「艦娘は、深海棲艦に対して唯一有効打を与えることができます」

 

「有効打?」

 

「艦娘の攻撃には、神秘の力が宿ります。神秘は、霊的存在に対して強い力を発するのです。ですから、艦娘の武器は小さいように見えても、神秘と言う、物理法則とは別ベクトルの力を持つので、その部分が深海棲艦によく効くのです」

 

「ひ、非科学的だ!」

 

「はあ、そうですか。記者が目の前のものが見えなくなったら終わりでは?」

 

 

 

そうやって、艦娘の話の中から都合がいい話やゴシップだけを聞いてくる馬鹿記者。

 

「結局、黒井鎮守府は提督の愛人部隊で、国のことなんて考えていないんですよね」

 

「愛人部隊は否定しませんが、国のことなど考えていないなどと断定されるのは困りますね。本当に国のことを考えていなければ、日本から出て行きますし」

 

「やっぱり日本のことなんて何とも思っていないんですね!はぁー、やっぱり艦娘は信用ならない存在だ」

 

「そう思うのは勝手ですよ」

 

「それで、今現在も出撃していないように見えますが?」

 

「今日はお休みです」

 

「艦娘は兵器なのに休むんですか?」

 

「兵器だからこそ休むのでは?常に稼働していてメンテナンスされないものなんて、この世に存在しますか?」

 

「怠慢では?働こうと思えば働けるのに働かないのはおかしいと思います」

 

「ですから、働いているときは働いていますよ」

 

香取の殺意ゲージもビンビンだぜ。

 

「そもそも、日本には9条があります。艦娘は戦力なのでは?」

 

「戦力ですけど、その9条があれば、深海棲艦は侵攻をやめてくれるんですか?」

 

「そ、それは……、い、いや、しかし、他国との緊張をいたずらに高めている可能性がありますよね?」

 

「緊張?深海棲艦が海を支配している以上、緊張も何もないと思いますが」

 

「黒井鎮守府は危険な武装団体だ!」

 

さて、潮時かな。

 

「もう取材は十分でしょう。お帰りください」

 

俺は馬鹿記者を帰らせる。

 

 

 

 

 

その後、馬鹿記者の記事では、黒井鎮守府について有る事無い事書かれていた。

 

「これは……、酷いですね」

 

香取が静かにキレる。

 

「まあこんなもんだって。次はまともな記者を呼ぶから大丈夫だ」

 

うーん、ミリタリー系の記者を呼んでみるか。

 

文秋は駄目だあのクソゴシップ。

 

 

 

あとこれは余談なんだけど文秋の本拠ビルが爆発したらしいよ。

 

何でだろうねおかしいね。

 

さて……。

 

「爆破した子は大人しく出てきなさい!怒らないから!」

 




香取
黒井鎮守府でもまともな方のサイコパス。因みに、文秋の本拠ビルを爆破したのはこいつである。

旅人
基本的にマスコミというものを一切信用していない。

記者
本拠ビルの爆破に巻き込まれ無事死亡。

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