旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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大変なことになった。

詳しくは活動報告見て。


395話 ミリタリ記者 前編

「MAMARUの記者です!」

 

「MCあくしすの記者です!」

 

「ミリタリークラシックスの記者です!」

 

「「「よろしくお願いします!!!」」」

 

お、今度は行儀がいい記者が来たな。

 

「よろしくお願いします」

 

「あ、これ、取材料です、お納め下さい」

 

おお、三社とも取材料を払ってきた。

 

まあ、あれだね。

 

三社ともミリオタ雑誌だね。

 

「いやほんと、感動ですよ!長年謎に包まれていた鎮守府の中を見学できるだなんて!」

 

「本当ですね!今回はうちで特集をやらせてもらいますから!」

 

「あ、写真OKですか?!あとで載せたいんです!」

 

「あーはいはい、どうぞどうぞ」

 

鎮守府内を歩く際の注意点を伝えて、その通りに行儀よく取材する記者達。

 

「あと映像も撮りたくて……」

 

「良いですよ」

 

「黒井鎮守府一日密着取材!これは売れるぞ……!!」

 

うーん。

 

オタクのノリがキモいかな。

 

 

 

案内は香取に任せる。

 

取り敢えず、前に来た馬鹿記者と同じようなことを聞いてきたので、香取に答えさせる。

 

「なるほど……、確かに一億円もする対艦ミサイルを深海棲艦にばら撒いていたら破産しますね……」

 

「神秘、というものについて詳しくお願いします!」

 

「ぎ、艤装を!艤装を見せてください!」

 

興奮し始めるミリオタ共。

 

落ち着けさせて、鎮守府の施設紹介を午前中に済ませる。

 

 

 

「おおおおお!工廠だ!」

 

「はあー、食堂もこんなに」

 

「資料室も凄いですね!」

 

興奮しっぱなしのミリオタ共を落ち着かせながら案内を続け、艦娘へのインタビューへ。

 

MAMARUは艦娘の人間性や趣味に労働環境など、あくしすは武装と艦娘の可愛さ、ミリタリークラシックスは武装と理論に加えて対深海棲艦戦の戦術などに興味があるらしい。

 

それをそれぞれ、香取、鹿島、加賀に案内させることにした……。

 

 

 

×××××××××××××××

 

「MAMARUの横井です!今回はよろしくお願いします、香取さん」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

あ、はい、横井です。

 

普段は自衛隊なんかに取材する、国防の為の戦力や兵士を知る為の雑誌、MAMARUの記者やってます。

 

36歳既婚、男です。

 

今回は国防を担う組織の中、今最も注目されている黒井鎮守府に取材することを許可されました!

 

黒井鎮守府ですよ?!

 

提督の変更からたったの一年で日本海を解放!その後も太平洋やインド洋を大きく押し返し、地中海も奪還!

 

在籍する艦娘の数は百人を超える大組織!

 

世界最強の鎮守府!

 

ここに取材できるとは、本当に光栄だ!

 

カメラマンも連れてきたし機材もバッチリ、メモの準備もボイスレコーダーもバッチリだし、許可もいただいた!

 

さあ、どんどんインタビューしていこう!

 

取り敢えず、艦娘の重要性については聞いた。

 

レーダーに映らない上に、的が小さいくせに、自衛隊の護衛艦を撃沈し得る攻撃力を持った深海棲艦に対しては、同じ次元で戦える艦娘が重要である、と。

 

MAMARUの方針では、国防の為の戦力の仕組みや、兵士達の生活に迫っていきたい、という事になっている。

 

取り敢えずは、暫くはインタビューだな。

 

自由に行動して良いと言われたので、移動する。ついてきてくれる香取さんが、問題があれば指摘してくれるそうだ。

 

まずは……、食堂の方から話を聞いてみよう。

 

調理師の方から、艦娘の食事について聞こう。

 

「すみません」

 

「はい?」

 

薄紅色の和服と袴、割烹着の若く美しいポニーテールの女性に声をかける。

 

「あの、MAMARUの記者の横井と申します。少しお時間よろしいでしょうか」

 

「あら……!すみません、私ったらこんな格好で。間宮さん、申し訳ないけれど、後は任せても良いかしら?」

 

「はーい、大丈夫でーす」

 

仕事を任せ、割烹着を脱いで、食堂のテーブルに座った彼女に、インタビューがしたいと伝えると、快く受け入れてくれた。

 

「まず、お名前を」

 

「鳳翔です」

 

「珍しいお名前ですね、下のお名前は?」

 

「下も何も、私の名前は鳳翔ですよ?」

 

え?

 

「あ!も、もしかして、艦娘さんですか?!」

 

「はい、そうですけど……?」

 

えっ?

 

な、なんで艦娘が厨房で皿洗いしてるんだ?

 

「す、すみません、てっきり、調理師の方かと……」

 

「黒井鎮守府には、提督と事務方の海原提督以外に人間はいませんよ」

 

んん?

 

「そ、それでは、百人を超える艦娘の食事を毎日お一人で?」

 

「いえ、提督と、間宮さん、伊良湖ちゃん、速吸ちゃんと私の五人で、ですね」

 

「たった五人でこれだけの人数の食事を?!」

 

……うーむ、まあ、例えば学校給食などでも、給食のおばさんはそんなにたくさんいなかった気がするが……、五人で大丈夫なのだろうか?

 

「ええ、おかしいですか?」

 

「……何人分くらいを何時間くらいで作るんですか?」

 

「量は大体、三千人分くらいで……、調理時間は平均して二時間くらいですかね?」

 

「さ、三千人分?!!」

 

いやいやいや!計算が合わないのでは?!

 

「はい、戦艦や空母の方々は、百人前は軽く平らげるので」

 

「い、いや、物理的におかしいですよね?何十キログラムもの食料を食べるって……」

 

「艦娘は必要なカロリーが多いんです」

 

カロリーで片付けられる問題なのかそれは……?

 

艦娘は人間とは違う、か……。

 

「提督も同じくらい食べますし」

 

んんー?

 

提督も?

 

提督は人間のはずでは?

 

ま、まあ良いか、それはさておき……。

 

「ええと、その、黒井鎮守府での食事は全て、鳳翔さん達が?」

 

「はい。たまに私達が不在の場合は、艦娘は外食をしますね。けれど、戦艦や空母の子達は外では量が足りないと……」

 

「なるほど……。艦娘によって、燃費も違う、と。それはもしかして、艦だった頃の燃費を引き継いでいるというか、再現されているとかですか?」

 

「そうですね、艦娘は艦だった頃の謂れや性能に肉体や性格が左右されることが多いですから」

 

なるほど、これは重要だな。

 

「では、鳳翔さんが料理がお得意なのも、かつての軽空母鳳翔の料理が美味しかったから、とかなんですか?」

 

「はい、そうですね。艦娘には、生まれた時に、乗組員達の記憶と言うか記録のようなものがあるんです」

 

なるほど。

 

「例えば、山口多聞氏は剣道においては兵学校で最高の一級だったそうです。とすると、多聞氏の記憶を持つ空母飛龍の艦娘も剣道の達人なのですか?」

 

「はい、そうですよ。と、言うより、日本の艦娘は皆、剣術と柔術が使えますし、銃も撃てます。そうですよね、だって、剣も格闘も銃も使えない海軍が乗っていた艦なんてありませんから」

 

兵士として必要な技能を持って生まれた訳か……。

 

「では、今の時代のことは知らないんですか?」

 

「そうですね、生まれたばかりの艦娘には、大戦の頃の記憶……、自分が沈んだ時までのものと、深海棲艦の存在についてしか知りません」

 

「そうですか……」

 

なるほど、そんな感じなのか。

 

「では、そうですね、艦娘の労働環境についてお聞きしたいのですが」

 

「はい、構いませんよ」

 

「戦闘というのはどれくらい?」

 

「日本海や太平洋の主要な通商海域は開放してあるので、無人機による見張りと、巡回くらいですね。なので、戦闘は、自ら深海棲艦が多くいる海域に攻め入った時と、たまに来る攻撃艦隊から海域を防衛する場合の二種類になります」

 

「はい、それで、週にどれくらいですか?」

 

「艦娘によって違いますね。好戦的な艦娘は毎日のように深海棲艦の支配領域に侵攻して深海棲艦を間引きする子もいれば、巡回して侵攻艦隊を追い返す子もいます。まあ、平均的に言えば週に一二回ですね」

 

戦闘回数はそんなものなのか……。

 

「基本的に、艦娘にはノルマがありまして、それをこなせば問題はない……、という形式になっています」

 

「ノルマはどれくらいですか?」

 

「一日百体です」

 

「なっ……?!い、一日百体?」

 

「はい。毎日戦うのが大変な場合は、一週間分、一ヶ月分をまとめて倒す……、なんてこともありますね」

 

そんな馬鹿な……。

 

「か、仮にそのペースで深海棲艦を倒したとすると、かなり勝っているのでは?」

 

「いえ、それは分かりません。深海棲艦は無限に湧いているようなので。ですが、このペースだと、段々と、着実にこちらの版図を広げられていると思います」

 

凄まじいな……。

 

「では、休暇は何を?」

 

「私は……、三味線ですかね?私は料理ばかりであまり趣味らしい趣味は……。他の子は色々と楽しんでるみたいですよ?望月ちゃんはピコピコが好きですし、天龍さんは釣りとか、サーフィン?すのぼ?とかしてますし……」

 

人による、ということか。

 

「海外艦の皆さんは旅行が好きで、妙高さんは読書が好きで、秋雲ちゃんはお絵かきが好きですよ」

 

ふむ……。

 

旅行に行ったりする余裕があるということか。

 

なら、佐官クラスの生活をしているのだろうか。

 

「その、給料はどれくらいでしょうか?」

 

「基本給は手取りで月百万円くらいで……、それに事務仕事や料理手伝い、設備維持や研究なんかをやっている艦娘には更に追加で、他にもノルマ以上に深海棲艦を倒せばよりお給金は増えますね」

 

「そ、そんなに?!」

 

将官並じゃないか!!

 

「こんなにもらっても困ってしまいますけど……、提督はこれでも少ないくらいだと」

 

うーむ、確かに、一日百体の深海棲艦を倒す艦娘にこのくらいは少ない気もする、か?

 

いや、自衛隊が同じことをするなら、艦隊を動かして何億円もするミサイルを放ち何千万もする装甲板に穴を開けて帰ってきて、艦隊を動かした全員に手当てを渡すとなると、数億円はかかる。

 

確かに、少ないくらいか。

 

「では、最後に、艦娘は恋をするのですか?」

 

「してますよ❤︎」

 

「お相手は、やはり……」

 

「提督は私の旦那様ですから❤︎」

 

ははあ、なるほど……。

 

 

 

ふむ……、艦娘は虐げられている訳ではないようだな。

 

国防の戦士として立派に戦い、恋をして、趣味も楽しめている、か。

 

よし、この調子でインタビューを続けよう!

 




鳳翔
黒井鎮守府の料理を仕込みから完成まで二時間で作るスーパー料理人。料理の腕は、食戟のなんたらで学園を卒業できるくらい。和食が特に得意で、懐石から家庭料理まで幅広く対応。基本的に、料理漫画における主人公みたいな、「食べる人のことを考えた料理」を作るので強い。

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