旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ギルティギアでは髭の使い手です。(使いこなせるとは言ってない)

追記

唯一ぬにの盾は誤字じゃないです。

あー、もう、ブロント語に注釈が必要な時代か。


4話 旅人無双

用事が済んだので、榛名ちゃんに声をかける。

 

「榛名ちゃーん、車乗っててー。俺はちょっとこの子達を治療しなきゃだからー」

 

「たたたた、大変です……!旅人さん、早く逃げて下さい!!」

 

「え、何で?」

 

「あ、貴方が今攻撃した人は、提督なんですよ!!早く逃げなきゃ、殺されちゃいます!!」

 

「へぇ、そうなの。まあ、本当にヤバくなったら逃げるけど、再起不能になるくらいの威力でやっといたから、そんなに急がなくても良いんじゃない?」

 

「へぇ、そうなの、じゃありませんよ!提督を怒らせたらどんな目に遭うか分かりません!!早く逃げて下さい!出来るだけ遠くに!!」

 

あー、何かよく分からんけど、榛名ちゃん大変そうだな。とか思いながら、知り合いの天才外科医から分けてもらった謎の万能薬ヒールゼリーを女の子達に塗りたくる。勿論、乳首にはノータッチだ。因みに、女の子達は、一人を除いて皆気絶した。緊張の糸が切れたんだろう。

 

「そうだな、仲間の命を救ってくれたことは感謝する。ありがとう。だが、今この瞬間から、お前は追われる身になった。榛名の言う通り、早く逃げた方がいい。い、いや、俺の治療は良いから。」

 

唯一気絶しなかったイケメンちゃん(仮名)の治療に取り掛かったところ、イケメンちゃんも俺に忠告してきた。

 

「分かった、分かった。取り敢えず、君らを治療して、無事に家まで送り届ける、と言う訳だろ?」

 

「何一つ分かってないです!!こうしている内にも、憲兵さんが迫ってきているかもしれないんですよ?!」

 

うわぁ、何か凄い勢い。

 

「人に追われるくらい大した事ないのに、大袈裟だな。ただの兵隊程度で何を騒いでいるんだか」

 

少なくとも、この前みたいに地上最強の生物に追われるのと比べると、何に追われても別にって感じ。でも、イケメンちゃんは、神妙そうな声音で俺に言う。

 

「……腕に覚えがあるのは分かった。だが、鎮守府には数十人の武装した憲兵がいて、更に増援を呼ばれる可能性もある。いかにお前が強くても、限界はあるだろう?」

 

 

 

「……もしかして、その憲兵ってサイボーグだったりする?」

 

「い、いや、しないが」

 

「B.O.W.の配備は?」

 

「聞いた事がないな」

 

「えっ、じゃ、じゃあ、憲兵は実は人造悪魔とかそういうこと?」

 

「あ、悪魔?何を言ってる?」

 

 

 

「……ただの武装した人間?」

 

「そう言ってるだろ?」

 

「えっと、それってさ……、」

 

その時、怒声と共に憲兵が現れる。

 

「貴様!何者だ!!」

 

「提督閣下をよくも!!」

 

「発砲許可!撃ち殺せ!!」

 

 

 

「不味い!憲兵だ!!やはり監視されていたか!くっ、ここは俺が盾に……、オイ、何を!!」

 

俺は当たり前の様にイケメンちゃんの前に立つ。

 

「よし、撃てぇ!!」

 

 

 

多数の銃弾が俺に迫る。しかし、

 

「よっ」

 

 

 

廻ッッッ!!!

 

 

 

軽い掛け声とは裏腹に、恐ろしい速さで回し受け、否、「廻し受け」を行う。会長直伝の「完全防御」だ。会長曰く、矢でも鉄砲でも、火炎放射器でも防げる、らしい。まあ、何にせよ、

 

「……大した脅威じゃないなァ……!」

 

 

 

「な、何だぁ、あいつ?!」

 

「銃弾を、防いだ?!!」

 

「あ、ありえん!見間違いだ、よく狙え!!撃て、撃てぇ!!」

 

 

 

うん、防いでいる内に分かったけど、特殊な弾頭じゃない、ただの豆鉄砲だこれ。態々廻し受けを使うまでもねえやつだ。後ろに榛名ちゃん達がいるし、攻撃せず、唯一ぬにの盾になろうと思ったんだがな。

 

「参ったな、これじゃ、俺……防御に徹したくなくなっちまうよ」

 

と言う訳で、命と言う名の盾になるより、普通に殴って倒した方が速いと考え、攻勢に移る。

 

 

 

「きっ、消えた?!ぐあっ!!」

 

「な、何が起きていぎゃあ!!」

 

「いない、いないぞ?!一体どこにおっご!!」

 

 

 

ここで解説しておくが、俺のKARATEは実戦志向だが、敵を倒すより、防御と回避(と逃走)に特化した文字通りの護身術だ。

 

故に、火力に乏しいし、目立った技もない。

 

ただ、何処でも、何時でも、何者からでも逃げのび、生還する。それだけのものだ。

 

だからこそ、火力や特殊な技は、旅先で得た様々な武技と小細工でカバーする。

 

そしてこれも、旅先で得た技の一つだ。

 

 

 

 

「ナギッナギッハァ-ン!!ナギッ!ペシペシナギッ!カクゴォ!ナギッナギッ!」

 

 

 

 

……北斗無想流舞。本家のロン毛医師の足下にも及ばないが、小細工の一つにしては充分だ。

 

 

 

×××××××××××××××

 

「おい、榛名。何だ、アレは?」

 

「わ、分かりません」

 

いやいやいや、おかしい、おかしいにも程がある。目にも止まらぬ速さでステップを踏んでいるのは辛うじて分かるが、そもそも人間が出していいスピードじゃない。

 

「アレが人の動きか?艦娘の俺の目をもってしても、動きがまるで見えん」

 

「私にも、憲兵さんがいきなり宙に飛んでるとしか……」

 

狂気のスピードに加え、人間を一撃で倒す攻撃力を持ち、拳銃の一斉射撃を真っ正面から受ける防御力。

 

「……旅人、なのか?」

 

「……そう、らしいです」

 

と言うより、人間なのだろうか?ああ、何だか頭が痛くなってきた。

 

「こいつで終わりだ!鷹爪三角脚!!」

 

あの男はそう叫ぶと、一瞬で跳躍し、無数の蹴りで憲兵達の骨を砕き、トドメに急降下し、着地点に衝撃を発し、全てを吹き飛ばした。

 

何処からか、FATAL K.O. (パ-フェクト)とか言う声が聞こえてきたが、きっと幻聴だろう。

 

×××××××××××××××

 

ハハハハハ、やっぱり大した事ない!やれる!やれるんだ俺は!!

 

 

 

まあ、予想通りだな。ただの人間じゃあ俺を殺せないよ。俺を殺るならスーパーロボットでも持って来るがいい!!

 

さて、治療を再開せねば。いかにヒールゼリーが万能と言えど、これだけに頼るべきではない。患部を冷やす氷とか、ガーゼを当てたりとかも重要。

 

「……な、なあ、お前は一体何者なんだ?」

 

イケメンちゃんが俺に聞く。何者って言われてもなぁ?

 

「旅人だよ」

 

としか言いようがないんだよなぁ。

 

「嘘をつくな、ただの旅人にこんな芸当ができるか。お前は一体何者だ?何が目的なんだ?」

 

おお、メッチャ警戒されてる。まあ、俺は常人よりはちょっとばかり強いかもだけど、そんなに警戒する程かな?

 

「まあ、職業不定住所不定なもんで、身分を証明するもんは特にないな。旅人な訳だし。目的は聞いて驚くな?俺の目的はな、旅をしながら、世界征服をすることだ!!」

 

変な誤解をされない様に、正直に答えた。

 

「せっ、世界征服だと?!!(これだけの実力があれば不可能ではないな……!)」

 

「そうだ!!俺が世界征服をした暁には!」

 

「な、何をする気なんだ!!」

 

「えっと、農林水産業や畜産業、工業を推奨したり、自然環境の保護をしたり、あの、まあ、色々したいです。あとは、ほら、ロマンあるじゃん。夢は大きい方が良いって言うし」

 

「……お前、ひょっとして馬鹿なのか?」

 

「ば、馬鹿じゃないぞ!ただ、俺はな、自然環境全てを巨大なビオトープとして見た時、人はそれを調整するバランサーで在るべきだな、と思ってるだけで」

 

「……よく分からんが、それなら、世界征服の必要はないだろ」

 

「……いや、でも、カッコイイじゃん?」

 

「……はぁ、警戒している俺が馬鹿みたいじゃないか。本当の目的は?」

 

まぁ、世界征服は定職に就きたくない言い訳みたいなもんだし。

 

「いやいや、本当に世界征服くらいしか目的はないよ?強いて言えば、旅をして見聞を広げるとか?」

 

「それが、俺達を助け、海軍と敵対したこととどう繋がる?これだけのデメリットに対し、お前は今日何を得た?」

 

 

 

そんなものは決まってる。

 

「艦娘に会えたことかな」

 

 

 

「……それは、」

 

「メリットだよ、俺にとってはね」

 

「……まあ、いい。一応恩人だしな。疑うのも悪い。そういうことにしておこう」

 

まだ半信半疑だが、ある程度は信用してもらえたようだ。

 

「じゃあ、取り敢えず、鎮守府とやらに帰ろうか。君、本当は立っているのも辛いんだろ?」

 

「……流石に分かるか。正直、かなり、キツい。後は、頼ん、だ……」

 

そう言い残すと、イケメンちゃんは倒れ込んできた。身体をキャッチして、そのまま車に運び、後部座席に寝せておいた。

 

そして、残りの気絶している女の子達を車に押し込み、榛名ちゃんを乗せて、鎮守府に向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 




天才外科医
患者の乳首にヒールゼリーを塗るついでに執刀する。

ロン毛医師
四兄弟の次男。特技はバスケ。

ロン毛医師(偽)
自称天才。旅人とは必殺技を教え合う仲。

旅人
防御チート。

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