今回はこの世界の裏組織について迫ります。
艦娘が出ない艦これssとはこれいかに。
黒井鎮守府は、海軍所縁の地、軍事施設である。
そのせいか、怨霊などの悪魔が湧きやすい。
しかし、物理で殺せるので、艦娘にとってはゴキブリが湧いたくらいの気持ちで始末されているという背景がある。
スリッパや丸めた新聞紙でゴキブリをぱーん、みたいなノリで、怨霊や魑魅魍魎の類がぱーんと消される。
長門辺りはビビリまくっているが、基本的に、長門に敵うレベルの悪魔はそうそう湧かないから安心できる。
なにせ、長門は破壊神シヴァくらいまでなら素手で殴り殺せる。
怨霊くらいなら、俺もちょっと気合い入れたパンチで殺せる。
そもそも、怨霊くらいの雑魚悪魔なら、そうそう人間を殺したりもしない。
ってかできない。雑魚だから。
そもそも、存在が希薄過ぎて見えないくらいだ。
ポルターガイストとかなら音がするだけで害もないしな。
そもそも、神々への信仰、神秘が薄まり、怪異が科学で説明されてしまう現代において、強い悪魔はそうそう存在できない。
まあ、デビルサマナーやペルソナ使いなんかは、一流なら強い悪魔も喚べるだろうけど。
だがまあ、例外はある。
一流を超えた超一流のデビルサマナーや、生贄を使った大規模な召喚儀式……。
そんなのなら、魔王や魔神を召喚できるだろう。
ああ、うちの白露型?
あの子達は……。
「提督さん、見て見て!魔王ベルゼブブの召喚に成功したっぽい!」
一流も一流、超一流だ。
邪神の召喚。
一歩間違えば、制御できなければ、邪神達は即座に人類に牙を剥くだろう。
そんなことになれば、街一つくらい簡単に消し飛ぶ。
そんだけやばいもんをポンポン喚び出す黒井鎮守府は、裏のデビルサマナー組織には恐れられており、絶対に敵対してはならないとされている。
邪神を簡単に召喚するデビルサマナーとしての技量以外にも、豊富な資源や資金、そもそも艦娘が絶望的に強い件、散々裏社会を荒らして回った俺が所属している件などから、ガイア教、メシア教、野良のデビルサマナー、そして国防組織ヤタガラス、欧州の魔術師達、SCP財団などからは要注意団体としてマークされている。
時折スパイが入ってくるが、黒井鎮守府に入ってきたスパイの殆どは『輪切りのソルベ』みたいな殺し方をされて各組織に送り返されるので、色々な組織に恐れられている。
尚、スパイの拷問と殺害については、全く俺の知らないところで艦娘が勝手にやっていたので、知ったのは最近だった。
気がつけば、スパイを捕らえておく地下牢とかできていた。
俺は関知していない。
マジで知らない。怖い。
……怖い。
最近はただ殺害するだけではなく、人体実験に使った成れの果てを返却するなど、悪趣味で吐き気を催すような殺害方法になってきている。
俺は関知していない、マジで。
俺は精々、スパイは殴ってからおちょくって返すようにしているんだが、艦娘は黒井鎮守府に、俺に対する敵対行動は一切許さないからな……。
その苛烈さと残虐さもまた、恐れられる要因の一つだ。
そしてもう一つ。
黒井鎮守府は、『強くなり過ぎた』……。
黒井鎮守府の勢力は余りにも大きい。
そして幅広い。
そうだな……、例えば、直接戦闘であれば、あのアベンジャーズのハルクに匹敵するであろう長門がいる。
例えば、魔術による戦闘においては、高雄型が極めて高性能……、魔法の行使すら可能である。
例えば、悪魔の使役においては、白露型……。あの子達は、あの伝説の14代目のライドウに匹敵するほどには、戦闘能力も魔神の使役も得意である。
例えば、暗殺や偵察であれば、妙高型だ。彼女達は伝説に語られるアサシン達に匹敵するだろう。
例えば、技術力においては、工廠組の叡智を以ってすれば、ケロン軍やセイバートロン星人に匹敵するだろう。
このように、黒井鎮守府には、幅広い人材と、極まった戦力がある。
足りないのは頭数くらいだが、そこは資金と資源を使って無人兵器を量産するなどしてカバーしている。
ぶっちゃけて言えば、黒井鎮守府全軍に匹敵するレベルの戦力を持つ組織は殆どない。
武力による世界征服も……。いや、もしも複数の組織が敵に回れば普通に負けるな。
兎に角、黒井鎮守府は、「一組織としては巨大で強大だが、複数組織には負ける」くらいの規模と戦力だ。
まあ、十分に、世界の覇権を狙えるポジションだな。
でも俺は、人と文化、自然に優しい世界征服を心がけているから、武力あっても別に……。
「と、思ってるんだよね」
「成る程、では、武力を放棄してくださいませんか?正直、日本国内に日本軍より強い組織があるのは困るのです」
こちら、ヤタガラスの女。名前は教えてもらえなかった。
「そうだな、若しくは、こちらに戦力を回してもらうか……。待遇は要相談だぞ?お前の欲しい美女もいくらでもくれてやる」
こちら、ガイア教の男。名前は名乗らなかった。
「なにを馬鹿なことを……。艦娘は人間には過ぎた力。封じるか、若しくは、我々メシア教の法と秩序を守る力として制御されるべきでは?」
こちら、メシア教の男。名前は名乗らなかった。
うーん。
「あはは」
そっかそっか。
「殺すぞ」
「「「……ッ」」」
「あの子達をもの扱いするな、どんなに強くても、愛すべき女性なんだ」
「あんな化け物を……ッ!!」
「化け物?俺からすれば、悪魔や天使の方がよっぽど化け物だ。愛を知らない連中ほど悍ましいものはない」
「愛?あんなものを愛しているのですか?!邪神を使役し、神を斬り伏せる魔人でしょう、艦娘は!!」
「それがどうした、どんなに強くても俺の心は彼女達と共にある」
俺は断固として主張する。
「……あの、ちょっといいか?」
「なんだ、艦娘はものじゃないぞ、人間だ」
「それはさておき、お前は何をやっているんだ……?」
俺?
ねるねるねるねを練ってるんだが?
「シリアスな話だよな、これ?なんでお前はガキの食うような菓子で遊んでるんだ……?」
「いや、たまに駄菓子食いたくなる時あるじゃん。あ、うまい棒食べる?」
「いらんわ!」
あらそう?
オッ、このねるねるねるねのわざとらしい甘さ!美味いっ!テーテレッテー!
俺はねるねるねるねを食べ終わり、うまい棒を食べる。
うん?
駄菓子で腹が膨れる訳ないだろ?
ガキじゃあるまいし、お菓子の食べ過ぎで晩御飯が食べれませんなんてこたぁないよ。
「にしても……、この手の菓子類のサラダ味って全然サラダじゃないじゃん、どの辺がサラダ?みたいに思ってるだろ?」
「いや、限りなくどうでも良いのですが……」
「これ、サラダ油のサラダなんだよ。味的には塩味だ。昔の人はサラダ油と塩で味付けしたせんべいをサラダ味として売ってたんだよ。その方がハイカラだろ?」
「興味ねえよ!なんの話だそりゃ!」
興味ねえ、か。
そりゃこっちのセリフなんだよなあ。
「そんなん言ったら俺、現在進行形で君らに興味ない話聞かされてるんだけど?」
迷惑なんだよなあ……。
世界の覇権を握るとか、秩序をもたらすとか……。
他所で勝手にやってろ、みたいな感じ。
だが、力があるから、放置してもらえない。
他所の組織からの取り込み、談合や同盟の依頼なんかが多数来てる訳だよ。
もうね、断っても断っても毎度毎度、何回も何回も来るの!
俺が黒井鎮守府に来る前から勧誘はあったけど、今では昔の三倍くらい来る。
古来から日本を霊的存在から守護してきた国防組織ヤタガラス。
自由と混沌、強いものこそが正しいとされるガイア教。
法と秩序、社会の全てを管理すべきだと主張するメシア教。
異常存在である艦娘や俺を収容しようとする財団、異常存在である艦娘や俺を破壊しようとする世界オカルト連合、艦娘や俺の力を求めるカオスインサージェンシー……、兎に角、何とかして黒井鎮守府を支配下に置きたい奴らは多い。
もちろん、親交のある組織も多い。
フロシャイムとか、鷹の爪団とか、パッショーネ、東城会、デストロン、ラトヴェリア、ボーゾック、幻想郷……。
あと、艦娘が勝手に個人個人で関係を持っている組織……、東弊重工、アサシン教団、ワンダーテインメント博士などなど。
「兎に角……、何度来ても、何を用意しても、俺達は誰かに従ったりはしないよ」
「新台さん……!貴方方の力を貸していただけるのであれば、我々は……、日本はより平和になります!」
「じゃ、艦娘にそう言ってみたら?」
「艦娘は話が通じないではないですか!!!使いに出したヤタガラスの使者が皆、バラバラの惨殺死体になって返ってきましたよ!!!」
「頼み方が悪いんだろうねー」
「ならばガイア教に来い!」
「やだ」
「ではメシア教に」
「もっとやだ」
「まあ、兎に角……、少なくとも俺は嫌だ。あとは艦娘に直接交渉してね。じゃ」
「「「待っ……!!!」」」
テレポート、と。
うーん。
「善意の協力」の範囲内で、丁重に頼むのであれば、力を貸すことも吝かではないし、艦娘だって話が通じないように見えて、メリットを示し礼を尽くせばしっかり答えてくれる。
結局、こうだな。
「人にものを頼む態度じゃない、知っているがお前の態度が気に入らない、ってか」
旅人
シリアスできないマン。