旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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俺はお節介焼きの旅人ーワゴン!ってお話。


414話 旅人の親友

「ぐ、うう……?」

 

あ、頭が痛ェぜ……。

 

昨日は確か、マオと酒飲んで……。

 

飲んで……。

 

飲みまくって……。

 

………………。

 

アレ?俺どうしたんだァ?

 

クソが、このジャギ様とあろうものが、酒で意識を失うとは……。

 

……いやいや、違ェよ!マオが酒に強過ぎるんだあの野郎!!!

 

バケツでウォッカ飲まされりゃ俺だってひっくり返るわ!!!

 

畜生、あの野郎、一発ブン殴ってやる!!!

 

「あー?」

 

って俺の背中に手を載せてる奴、誰だ?

 

「ん?この手はマオだな?!テメエこのや……、ゔおぁーーー?!!!」

 

腕しかねえ?!!

 

片腕以外はミンチだ!!!

 

うおぁ……、グロいな、胸糞悪りぃぜ……。

 

まあ、ミンチでもほっとけば治ってるだろうよ、あいつは。

 

実際に、よく見ていると、破壊された細胞が蠢いていやがる。

 

蛆虫のように動く肉片が一つに集まり、段々と再生してきている。

 

現在、脳ミソまでは元どおりになってるみてえだな。

 

そして、部屋の床には血文字で「犯人はヤス」とある。

 

ダイイングメッセージってやつだろうな。

 

だが、そんなもんを知ったところでよォ……。ってかヤスって誰だよ。

 

つーか、お前の仇討ちなんぞしねェからな?

 

 

 

ン?何だァ?

 

手紙だ。

 

『ヘルメット助教授へ』

 

「だぁれがヘルメット助教授だぁ!!!」

 

置き手紙を破り捨てる。

 

ンォ?

 

二枚手紙があるじゃねえか。

 

ええと、何々?

 

『一枚目は破られると思ったから何も書いてないです』

 

ああそうかよ、それで?

 

『ジャギへ。君がこの手紙を読んでいるということは、俺はもうこの世にいないんだろうと思う』

 

「まあ……、そうだな」

 

俺はマオの死体をチラッと見る。

 

間違いなく死んでいるな。

 

『なーんちゃってウソウソー!!!実は生きてまーす!ミンチなだけでーす!!!』

 

う、ウゼェ……。

 

『①昨日の酒と料理はどうでしたか?

 

1:美味しくなかった

2:どちらかといえば美味しくなかった

3:どちらとも言えない

4:どちらかといえば美味しかった

5:美味しかった』

 

何で急にアンケート?

 

いや、美味かったぞ。

 

『①で5:美味しかったを選択した方への質問です

特に何が美味しかったですか

(自由回答)』

 

アァ?

 

あー、フライドチキンかな……。

 

『回答ありがとうございます

アンケートご協力のお礼に1000円分の商品券を差し上げます』

 

商品券が手紙に挟まっていた。

 

お、おう。

 

『ところで、二日酔い大丈夫?うちの食堂で梅粥でも食ってけよ。しじみの味噌汁もあるぞ』

 

「オォ、ありがとよ」

 

 

 

食堂に行って、梅粥としじみの味噌汁を飲んでから、また宴会会場に戻る。

 

マオは……、まだ再生してねぇな。

 

………………。

 

そもそも、なんでこいつはこんなことになってんだ?

 

少し思い出してみるか。

 

えーと……。

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

……「うっしゃ!飲み比べで勝負しようぜ!」

 

……「勝てるかボケ!!」

 

……「ハンデとして俺はスピリタス飲むから!お前はウォッカな!」

 

……「アァ?ならやってやろうじゃねえか!」

 

……「じゃあお前、負けたらアンナさんにプロポーズな!!!」

 

……「やってやろうじゃねえかーーー!!!!」

 

……「俺が負けたら死んでやるよ!!!」

 

 

 

……ここまでは覚えてるんだがよォ。

 

どうなったんだ、あの後?

 

確かバケツで酒を飲み合って……、うっ、頭が。

 

クソが……。

 

何があったか全然思い出せやしねェ……!

 

あ、そうだ!宴会会場を調べれば、手がかりがあるかもしれねぇぞ。

 

よぉし……、少し見て回るか。

 

 

 

これは……、酒臭いバケツだな。

 

これで酒を飲み合って……、駄目だ、記憶が飛んでる。

 

ジョッキのウォッカ十杯目までは覚えてるんだが……、それ以降は……。

 

……「こんなんじゃ勝負にならねぇよ!!!鳳翔!バケツ持ってきて!!!」

 

……「はーい」

 

……「行くぞオラぁ!!!」

 

……「上等だオラー!!!」

 

……あー。

 

なんか、相当アホなことしたな。

 

当分酒はやめとくか……。

 

そして血の足跡……。

 

……「ヒーッヒヒィ!!!俺はスピリタスくらいじゃ酔わねえんだわー!!!こんなもんジュースだジュース!!!」

 

……「クソ化け物がァ……!!」

 

……「あれ、長門どうしたの」

 

……「むー!わたしもかまえー!!!」

 

……「ギャーーース!!!!」

 

……「ウヒャヒャ!!ミンチだ!!」

 

……あ、思い出した。

 

そうそう、ナガトにミンチにされたんだったな。

 

ってか、じゃあこのダイイングメッセージは何だよ。誰なんだ、ヤスってのは。

 

………………ん?

 

さっきの置き手紙が……。

 

……鎮守府前海岸に行け?

 

何でだ?

 

兎に角行け?

 

まあ、良いけどよ……?

 

 

 

「ジャギ、大切な話って何よ……?」

 

「げえっ、ア、アンナ?!な、何故ここに?!!」

 

「はぁ?あんたが大切な話があるってここに呼び出したんでしょ?」

 

「はぁ?!」

 

………………まさか!

 

あの野郎!

 

本気で俺に、アンナにプロポーズさせようってか?!!!

 

「う、ああ」

 

「そ、その……、大切な話って、何よ」

 

「い、いや、そんなものは……」

 

「あ、あんたのメールには、その、こ、これからのアタシ達二人のことについて大切な話があるって……」

 

「はうあ!!!」

 

な、な、な、なんて事しやがるあの野郎おおおおお!!!!!

 

酔って言ったことはノーカウントだろうが!!!!!

 

「……その、やっと、告白してくれる、の……?」

 

「そ、それは……!!」

 

クソがぁーーー!!!

 

あの野郎絶対許さねえええ!!!!

 

クソ……。

 

畜生……。

 

ええい、もう、良い!

 

やっちまえ!

 

「ア、アンナ……」

 

「な、何……?」

 

「あ、あ……」

 

「あ?」

 

 

 

「……愛してる!」

 

 

 

「……アタシもよ!」

 

 

 

 

 

その後の話だが……。

 

「おめでとうござーい」

 

「死にやがれェ!!!!」

 

「はっはっは、南無三南無三」

 

あの野郎、最初からこのつもりで俺を酔わせて、言質取って、俺のスマホでアンナを呼び出して……、計算づくだったらしい。

 

「しゃあなし、アンナさんは幸せになるべきだから」

 

「俺の気持ちを考えろ!」

 

「知らんわ」

 

こいつ……!!!

 

「新婚旅行、楽しんでこいよ」

 

「死ね!」

 

「はっはっは、かまぼこかまぼこ」

 

あー、クソが。

 

しゃあねえ。

 

アンナは、俺が幸せにしなきゃならねえんだ。

 

嫁になっても、それは変わらねえよ。

 

にしても……。

 

「当分酒はやめておくぜ……」

 




旅人
友達は多い。

ジャギ
旅人の親友。

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