次回、邪魔だゴッ太郎から始まる黒井鎮守府牧場見学暁型編。
その次は、旅人の某財団風記事。
あのー、もしもやれってんなら、旅人とSCPオブジェクトのクロステスト(尚旅人は死ぬ)とか、艦娘を収容しようとする財団の頑張り(収容できるとは言ってない)とかも書けるんですが、やります?それとも他の話書きますか?どうします?
「食わず嫌い王決定戦やります」
「「「「はい」」」」
俺の鶴の一声で始まった、艦娘食わず嫌い王決定戦。
某番組はもう終わっているが、構わん、やろう。
なお映像は黒井鎮守府のユーチューブチャンネルにアップする予定だ。
『かんむすずのみなさんのおかげでした』
『食わず嫌い王決定戦』
さて、こういう時の司会役、俺。
そして補助役、守子ちゃん。
ナレーションは大淀。
『さあ、航空巡洋艦の精鋭は軽空母に勝るのか。最上型巡洋艦一番艦、最上。提督と入場です』
『そしてもう一方は、本鎮守府でも優秀な軽空母、祥鳳型軽空母、瑞鳳。海原提督と入場です』
そんな感じで始まった。
「ところで提督?食わず嫌い王決定戦って何?」
「え?知らない?」
「うん」
「最上はあんまりテレビとか見ない?」
「見ないよ」
「そっかー」
まあ、テレビなんざ見ないでも困ることないしな。ニュースならニュースサイトやSNSで充分だし、近頃の芸人の馴れ合いバラエティ番組よりも下手したらユーチューバーの方が面白いし。
最上に食わず嫌い王決定戦の概要を説明する。
「要は、瑞鳳さんの嫌いな食べ物を当てつつも、僕が嫌いな食べ物を当てられないようにすれば良いんだね」
「そんな感じ」
「うーん、難しそうだなあ……。僕、割と顔に出ちゃうかも」
「大丈夫、大丈夫」
「ところで、この組み合わせは何なんですか?」
瑞鳳に尋ねられる。
「俺と守子ちゃんで選んだんだよ」
「はあ……?」
「あんまり仲良しな艦娘同士じゃ、好き嫌いが分かっちゃうだろ?だから、接点のあんまりなさそうな二人を呼んだのよ」
「成る程……」
「確かに、僕、瑞鳳さんと話したことあんまりないや」
「私も最上ちゃんと話すの凄く久しぶりかも」
「仲悪いとかはないよね?」
「え?ええ、もちろんです、仲悪いとかじゃないですよ?ただ……」
「僕達艦娘って、百人以上いるじゃない?接点のあんまりない艦娘とはそうそう話したりしないかな」
「確かに……、私も高校時代、同じクラスなのに話したことがほとんどない人とかいました。三十人くらいのクラスメイトですらそんな感じなのに、百人を超える艦娘だと……」
と守子ちゃん。
「うーん、別に無理して仲良くする必要とかないしなー」
「え?そんな感じで良いんですか?」
「艦娘だって子供じゃないんだから、無理矢理仲良くしなさいって言うのも変じゃない?俺達ができるのは、こうして接点のあんまりなさそうな艦娘同士で仲良くなれるきっかけを作ることくらいのもんだと思うよ」
「成る程……」
さて、そんな感じで。
『メニューです』
メニューは。
『最上さんの大好物は、きのこご飯、カキフライ、レバニラ炒め、酢豚の四品です』
『一方、瑞鳳さんの大好物は、豚骨ラーメン、鮒寿司、ホタテのバター焼き、馬刺しの四品です。しかしこの中に一品だけ食わず嫌いの一品が隠されています。互いにそれを探り合ってください!』
では一品目から。
「きのこご飯かあ」
「豚骨ラーメン……」
「「いただきます」」
さて、どうなる?
「「美味しい!」」
ほうほう、そう来るか。
「最上んキノコ好き?」
「好きだよ!裏山でキノコ狩りした時とか、凄く良かったよね!」
キノコが好き(意味深)。
「好きなキノコは?」
「んー、椎茸かな?」
椎茸か……。
椎茸は美味いぞ、栄養もある。
「あとは舞茸の天ぷらとか好きかな」
「あー、分かる。天然物の舞茸とかマジで美味いからなー」
「瑞鳳さん、ラーメンはお好きですか?」
守子ちゃんが尋ねる。
「はい!昔、黒井鎮守府で大食い大会をやった時に豚骨ラーメンの大食いをやったんですけど、凄く美味しかったです!」
「そうですか!」
「因みに、黒井鎮守府の家系豚骨醤油ラーメンも凄いんですよ!」
こんなもんか。
次。
『二品目です』
「カキフライ……」
「ふ、鮒寿司……」
どうかな?
「牡蠣、美味しいよね。僕は好きだよ」
「ふ、鮒寿司は独特の匂いがしますけど、私は好きですよ!」
ふーん。
「因みに、生牡蠣は陸奥の大好物です」
陸奥の画像を出しておく。
「艦娘なら当たっても大してダメージはないしね、生も良いかもねー」
「当たったことあるの?」
「いや、ないけど。でも、艦娘には毒とか殆ど効かないし」
「まー、君達が健康でいてくれるなら俺は文句ないよ」
と、そんな感じ。
「鮒寿司、美味しいですよね」
と守子ちゃん。
「え、ええ!そうですね!」
と瑞鳳。
次。
「レ、レバニラ炒め……」
「ホタテのバター焼き!」
どうだろうか?
「い、いやあ、なかなか美味しいね!」
「ホタテ、好物なんです!」
「レバー美味しいよね」
「う、うん、そうだね……」
と言った様子の最上。
「ホタテ、美味しいですよね!バターと合うんですよー!お醤油でもいけますよ!」
「そうですねえ、私も実家が港町で、おやつに七輪で焼いた貝とか出されましたよ」
「良いですね!」
「でも、子供の頃は普通に甘いお菓子が食べたくって反発してましたね……」
「あー……。港町の人はやっぱり、魚介類とか飽きちゃうんですか?」
「飽きるって言うか……、そもそも毎日食卓に並ぶものなので、疑問を持ったことがなかったですかね?逆に、都会に来てから魚が食べれなくて調子が狂ったりしました」
「成る程ー!」
うーむ。
最後。
「酢豚かあ……」
「馬刺しですね」
どうかな?
「うんうん、美味しいよ。中華は好きだからね。あ、因みにパイナップルは入れて欲しくない派だよ」
「俺もそうだわ」
「馬刺し美味しいですー!」
「馬刺しですか」
「甘口醤油とニンニク生姜!お酒にも合うんですよー!」
はいはい。
「そもそも、何で酢豚にパイナップルを入れるんですか?」
「ん、ああ……、それはね、パイナップルがまだ貴重な高級品だった頃に、上海で、酢豚は高級料理だとするために入れられたらしいよ」
「え?じゃあ、かっこつけみたいなものなの?」
「うん」
「お肉を柔らかくするとか……」
「パイナップルに含まれる肉を柔らかくする成分であるブロメラインは、60℃以上で効果がなくなるから、加熱してる時点で肉が柔らかくなるとかはないよ」
「えー!そうなんだ!」
「あ、そう言えば、競馬で負けた馬が馬刺しにされるとか……」
ちょっと不安げな瑞鳳。
「安心してよ、馬刺しにはならない」
「そ、そうですよね」
「どちらかといえばソーセージになるんだよ」
「?!!」
さて……。
そろそろか。
『披露』
テロップを出してと。
『先手、最上、披露!』
「えっと……、これかな?『鮒寿司』!」
「おお、何でそう思ったの?」
「なんか……、瑞鳳さんがあんまり嬉しそうな顔してなかったからかな?」
『後手、瑞鳳、披露!』
「最上ちゃんの苦手なものは……、これ!『レバニラ炒め』!」
「どうしてそう思ったの?」
「何だか、レバニラ炒めの時の最上ちゃんは言葉少なだったと思います!」
ほーん。
では!
『実食!』
「「はむ……」」
両者、一口……。
「「………………」」
咀嚼して。
「「………………参りましたぁ!」」
『両者正解!引き分け!』
あー。
「最上」
「ごめんね……、僕、レバーは血の匂いがどうしても駄目で……。提督の血は大丈夫なんだけど……」
「瑞鳳」
「発酵食品がそもそもそんなに好きじゃないんですけど……、鮒寿司はもう、匂いが……」
と言う訳で引き分けだ。
「どうだった?」
「楽しかったよ!」
「最上ちゃんと仲良くなれた気がします!」
円満に終わった!
因みに。
「正規空母の人達がやった方が面白かったのでは?」
「無理、あの子ら好き嫌いないもん」
最上
レバーが苦手。
瑞鳳
鮒寿司が苦手。
海原守子
幼い頃からしっかりした子で、好き嫌いは特にないが、ホビロンやら子羊の脳みそやらのあからさまなゲテモノは流石に無理。しかしくさやは食える。
旅人
酢豚にパイナップルを入れるものは闇に葬る。好き嫌いをしていたら死んでいる場面ばかりだったのでスネーク並に何でも食う。人の肉でも平気で食える。