旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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龍が如く6出たので少なめ。許して。

あと、艦娘ちょろくね?と思うかもしれませんが、旅人はクッソイケメンで高身長、頭も良く、金もどこからともなく調達してきます。その上、あらゆる話題の知識を持ち、女性に優しく、艦娘達を女の子扱いしてくれます。モテる。(確信)

中身は駄目人間だけど。


42話 誰が為に戦う

……ここは、音成鎮守府。

 

去年設立されたばかりで、規模は小さく、私も未熟ながらも、大きな戦果を上げ続けている。

 

これは、勿論、私の艦娘達の努力もあるが、大きな要因として、この『ロック装置』が挙げられるだろう。

 

この装置については、技術的なことは分からないが、艦娘達をより強くするものらしい。お陰で、私の艦娘達は他の鎮守府の艦娘よりも非常に強くなっていった。

 

……どれもこれも、ひとえに、この装置をくれたあの人のお陰だろう。

 

私の尊敬する、あの男の人……。

 

また、会いたいな……。

 

 

 

「どうかした?提督?」

 

「ひゃい?!」

 

「ひゃい、とは何だ、ひゃい、とは」

 

「お、おどかさないでよー、日向さーん!」

 

び、びっくりしたなぁ、もぅ。

 

「何度も声をかけたんだがな?」

 

「あ、あー、ごめん、ぼーっとしてた」

 

「成る程、分かるぞ、……瑞雲のことを考えていたんだろう?」

 

「あ、もう瑞雲の講釈はいいです」

 

「……そうか」

 

いや、しょんぼりされても……。もう100回くらい聞いたし……。

 

「しかし、伊勢は出撃しているし、私も退屈なんだ。なあ、初春もそう思うだろう?」

 

「……ん、なんぞ?わらわに用かの?」

 

初春ちゃん。執務室のソファーで寝そべり、本を読んでいるみたい。

 

「退屈だな、という話だよ」

 

「お仕事も終わっちゃったしねー」

 

「わらわに言われてものう……」

 

どうしようかな?……そうだ、演習!黒井鎮守府に演習を依頼しよう!大本営から、演習の催促もきているし、ちょうど良い。

 

 

 

「て、提督ー!!」

 

そんな時、休暇の筈の艦娘、阿賀野が、この執務室に駆け込んできた。

 

「わっ、ど、どうしたの?血相変えて」

 

「て、提督!聞いて!その、そのね、私……、恋しちゃったみたいなの!」

 

 

 

「ええーーー!!!」

 

え?!恋?!わ、私だってまだなのに?!

 

「ほうほう?なんぞ、めでたい話かのぅ?」

 

「へぇ、何に惚れた?瑞雲?」

 

え?え?嘘でしょ?!生まれて数ヶ月の艦娘に先を越されちゃうの、私?!

 

「そ、それで?!あ、相手は?!!」

 

「え、えっと、街で一目見ただけだから、名前とかはわからないんだけど……」

 

ひ、一目惚れ?!

 

「ど、どうしよう提督!わ、私、最近太っちゃったし!どうしよう!!」

 

「お、落ち着いて、阿賀野!その、私も経験が無いから、なんて言えば良いのか分からないけど……、そう、まず、相手はどんな人?」

 

まずは相手の分析!戦術の基礎!……万が一、相手が悪い人だと困るしね。

 

「えっとね、その、すっごく、かっこいい人!」

 

……えーと。

 

「はぁ、阿賀野や?それでは何も分からぬぞ?もっと、詳しく話すのじゃ」

 

うん、その通り。

 

「く、詳しく、ね。……えっと、背が高くって、大っきな身体で……、綺麗な白髪の人!優しそうな笑顔がとっても素敵なの!」

 

……ん?あれ?

 

「街で、知らない男の人達に絡まれて、どうしようって思ってる時に、私のことを颯爽と助けてくれて……、かっこよかったなぁ……」

 

……えーと?

 

「……あっ!そう言えば、海軍の軍服を羽織ってた!!提督、知らない?!」

 

その、その人、多分知ってる人なんだけど……。

 

「……提督、気のせいかな、阿賀野の言うその人、聞き覚えがあるぞ?」

 

「……多分、気のせいじゃないね、日向さん」

 

多分、いや、十中八九、その人は……。

 

 

 

「提督ー!子日だよー!子日とお客さんだよー!」

 

「あっ、どうも、お邪魔します」

 

「あっ、はい」

 

……………………。

 

 

 

………………?!

 

「え?!!何でここに?!!」

 

「いやー、近くまで寄ったから、挨拶してこうかなーって。……そしたら、子日ちゃんに着いてきて欲しいって言われて、ね?」

 

「提督!この人いい人だよ!いっぱいお菓子くれた!提督にもあげるー!」

 

……もー、子日ちゃんったら。

 

「あ、ありがとう、でも、知らない人をここに連れてきちゃ駄目だよ?」

 

「……あ、ご、ごめんねー?海軍の人だから大丈夫だと思ってー」

 

「ははは、まあまあ、取り敢えず、お茶でも淹れるね?コーヒーでいい?」

 

いや、何でお客さんの貴方がお茶を淹れるんですか?!

 

「だ、大丈夫です!私が淹れ」

 

「はい、コーヒー。と、チョコレートでコーティングしたバームクーヘン」

 

早い!!行動が早い!!

 

「チョコレートとコーヒーはドイツのだよ、この前ドイツに行ってね」

 

「は、はあ」

 

「知り合いのサイボーグと会ったついでに、色々と買い込んできたんだよ。……あと、現地の艦娘をもらってきた。いやー、ヤバかった。またブラ鎮だったもんだから、反射的にあっちの提督をノックアウトしちゃって……。最終的に英国に逃げ込んで、空路で逃げたよ。王立国教騎士団の力を借りなきゃ危なかったな……」

 

「はあ……?」

 

サイボーグ?王立国教騎士団?

 

「……ところで、そこで固まってる女の子は?」

 

「……えっ?」

 

あ、阿賀野?……阿賀野ー?

 

「……はっ?!わ、私、ついに幻覚を?!!」

 

阿賀野?!

 

「あ、あは、あはははは、こ、こんなところに、初恋の人が来る訳ないじゃない!きっと、夢を見てるのね!……折角の夢だし……、えいっ!」

 

「おお、膝の上かい?構わないけどさ」

 

阿賀野?!!阿賀野が狂った!!!

 

「んー!夢の中でも優しい!大好きー!」

 

「そそそそその、う、うちの阿賀野が!!すいません!!本当にすいません!!」

 

「んー!バームクーヘン美味しーい!!ねぇ、貴方が作ったって本当?凄いのね!」

 

ああ、阿賀野が、新台さんの膝の上で寛いでる!こ、これは、もう、またご迷惑を……!

 

 

 

「気にするな!(魔王並感)」

 

うわー!この人、本当に良い人だよー!!ごめんなさーい!!

 

「で、でも、何かお詫びを」

 

「良いんだって、これくらい!こんな可愛い子に相手してもらえるなんて、それだけで幸せさ!」

 

ああ、こんなに良い人に借りを作ってばっかりで……、心苦しい!!

 

「で、でも、それじゃあ、私の気が済みません!何か、貴方にお返しをしたいんです!」

 

「そんなこと言われてもなぁ」

 

「まあ、そこを何とか頼むよ、君。……私を含め、君には感謝しているんだ。何か、お返しがしたい」

 

「そうじゃのう、わらわにも何か恩返しをさせてたもれ」

 

日向さんも、初春ちゃんも、この人に感謝してる。その気持ちは本物だ。

 

 

 

「うーん、……、あ、そうだ、じゃあさ、ちょっと話を聞いてくれるかい?」

 

「話、ですか?」

 

「うん、そう。これは、自慢というか、愚痴と言うか……、俺がこの前、ドイツでしたこと、だよ。……大本営には秘密だよ……?」

 

「そんなことで良いんですか?」

 

「いやいや、これ、かなり大事、凄く大事……。今回は、ちょっと、悪いことしたんで、ね?」

 

「は、はあ……?」

 

一体、どんなことを?

 

 

 

 

 

「それじゃあ、聞いてくれ、俺はこの前、ドイツに行って…………」

 

 

 

 




音成鎮守府
伊勢型、翔鶴型、阿賀野型、初春型を保有。少数ながらも、個々の強さとチームワークで大きな戦果を上げるホワイト鎮守府。

女提督
外面が最高に良い旅人を、良い意味で誤解している。

サイボーグ
004番目の男。仕事の休暇に、故郷のドイツへ帰り、旅人と美術館へ。

旅人
ドイツから、イギリスへ向かい、空路で帰宅。

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