旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ファンタジーVRMMOをやる話。


426話 ファンタジーVRMMO その1

黒井鎮守府は色々と副業をやっているが、その中にVRMMORPGの開発運営があるのは、皆もご存知だろう。

 

前に、バンディット・ザ・ガンマンというVRMMORPGを発表したことは覚えているだろうか?

 

黒井鎮守府の技術力を以ってすれば、SAO的なVRデバイスの開発も簡単なことだったんだよね。

 

それを使って、西部開拓時代のアメリカで銃撃戦をやる超リアルVRMMOを発表した。

 

VRデバイスは一つ二十万円くらいで売ったけど、ベータ版の三千台は一日で売り切れ、追加で売った正式版は三十万台が一時間で売り切れた。

 

二十万円?安くね?と思うかもしれないけど、別に営利目的でやってないらしい。

 

明石と夕張が言うには、人間のビックデータが欲しいんだとさ。

 

限りなく現実に近い仮想世界で、人間の動向を見たいらしい。

 

このゲームで採取した脳波などを使って、洗脳光線などの開発をしているとのこと。

 

工廠の怪しい実験は今に始まったことじゃないのでスルー。

 

「それで、今回はどうするって?」

 

「剣と魔法のファンタジーです。具体的に言えばオバロみたいな」

 

「ほーん」

 

「結構面白いシステムになってますから、是非プレイしてみてくださいね!」

 

「うん」

 

 

 

そう言う訳でログイン。

 

だらーっと世界観説明のオープニングが流れる。

 

特筆すべきこと無しのファンタジーだね。

 

VRMMORPGを作れるのは現在黒井鎮守府だけ、故に、奇をてらったシステムや設定は避けて、王道のものにすることにしたんだろうね。

 

ん、オープニング終わった。

 

『汝は何者か……?』

 

システムメッセージか?脳内に声が響く。

 

「俺は人間だよ」

 

『……永劫の戦いを望むか?』

 

あ、これあれか。

 

キングダムハーツみたいに、謎の存在からの質問に答えて、初期パラメータとか成長傾向とか決めるやつか。

 

「いいえ」

 

『……誰かを守る為にその力を振るうか?』

 

「美女なら命に代えても守るさ」

 

『……夢はあるか?』

 

「世界征服」

 

『……友はいるか?』

 

「いるよ、たくさん」

 

『……飢えし時、死した同朋を食らっても命を繋ぐか?』

 

「そりゃもちろん」

 

『……汝は夜の月か、昼の太陽か?』

 

「両方好きだよ」

 

『……汝は闇と光、どちらに生きる?』

 

「どちらもだよ、片方だけじゃ人は生きていけない」

 

『……汝、いかなる力を欲するか?』

 

「力なんていらないよ、世の中、力が全てじゃないからな」

 

『……ならば、名乗れ』

 

お、キャラクターネームか。

 

「マオ。俺はマオだ」

 

『マオ……、遊星からの降臨者(フォーリナー)のマオよ。汝、己の信念に従い、戦い抜くのだ!!!』

 

「え?ちょっ、待っ、降臨者って」

 

パッと景色が変わる。

 

ここは……、森?

 

取り敢えず、ステータスを開いてみるか。

 

「ステータスオープン」

 

『NAME:マオ

RACE:遊星からの降臨者(フォーリナー)

AGE:%$¥→♪*

SEX:男

JOB:旅人

LEVEL:305

 

HP:5000

MP:1400

 

STR:1895

DEX:2110

VIT:3011

AGI:3059

INT:1200

MND:6085412607

LUK:1000

CHA:1517

 

SKILL

メタモルフォーゼ

捕食

触腕生成

分裂

狂乱の月(ルナティック・ハイ)

再誕の黒太陽(リ・バース・サン)

耐性マスタリー:上級

マジックマスタリー:上級

マーシャルアーツ:上級

サバイバル:上級

クラフトマスタリー:上級』

 

池に映る俺を見る。

 

………………。

 

暴走状態の時の俺そのものだ。

 

獣の肢体と龍の鱗、鋭い爪と牙、猛禽の瞳に蝙蝠の翼と毒腺のある針尾、そして触腕。

 

どっからどう見ても人間だと言うのに、何故宇宙人みたいな扱いをされなきゃならないのか、これが分からない。

 

何だよ、降臨者って。まるで俺が宇宙から来た古代文明の使者みたいじゃないか。

 

 

 

適当にモンスターを蹴散らしながら、スキルのメタモルフォーゼで姿を変えて人間に化けて、街中へ入る。

 

街の中は、普通に、ラミアやケンタウロス、ライカンスロープなんかがいる、極々一般的な街だ。

 

アイテムボックスには体力回復(小)のポーション三つと1000ゴールド、食料一週間分と野営セットとマニュアル本、それと初期装備の鉄の片手剣があった。

 

取り敢えず、片手剣なんて扱えないので売る。

 

片手剣は500ゴールドで売れたので、その金で鉄のカイトシールドを買う。

 

俺はファンタジー的に言えばタンク、メイン盾だからね。

 

それと、500ゴールド使って弓矢と投げナイフを買う。

 

これで準備万端だ。

 

確か、オープニング見た限りでは魔王を倒せとかダンジョンを攻略しろとかはなかったし、自分で目的を見つけて生きろってことだろ。

 

となると、断然。

 

「旅に出よう」

 

旅するしかねえ。

 

三日も歩けば隣の大きめの街に行けるそうだから、行くか。

 

あ、その前に、路銀稼ぎと観光だな。

 

始まりの街だから、何だかんだで何度か来る羽目になるんだろうけど、それでも、いろいろ見て回りたいし。

 

オッ、冒険者ギルドだ。

 

「すんませーん」

 

お、荒くれ者から剣一本持って田舎の村から出てきたガキみたいな冒険者が沢山いる!

 

まあ、どれも実力はお察しだが。

 

受付に登録したい旨を伝える。

 

「100ゴールドになります」

 

支払って登録。

 

俺は背も高いし筋肉もあるし、顔も優男って言うよりは鋭めのイケメンで、その上態度もしっかりしているから、突っかかってくるやつはいなかった。

 

基本的に、そう言うやつらは弱そうなやつ……、見た目や態度が弱そうなのを狙う。

 

俺は、実際はそんなに強くはないけど、見た目はそこそこ強キャラ感出てるから。

 

さて、ギルドのプロフィール欄には名前と職業、種族、そして特技。

 

マオ、旅人、人間、戦闘から生産まで一通り、と。

 

それじゃ、依頼見てくかー。

 

んー?

 

ギルド酒場のヘルプ、至急で?

 

オッケーオッケー、やるぞー。

 

「これ、お願いします」

 

「では、早速、あちらへ」

 

ギルドの受付のお姉さんに指差された厨房へゴー。

 

一時間後。

 

「おおお?!なんだこれ?!今日の飯、うんめえぞぉ?!」

 

「おかわりー!」

 

「美味ええ!」

 

俺は触腕と分裂を活かしながら並列して料理と給仕をする。

 

「四番テーブルさん、鶏肉のトマト煮込み三つ追加ー!三番カウンターさん、スライム酒と焼き川海老!これ、六番テーブルに持ってって!」

 

「は、はいぃ〜!」

 

ギルド酒場の店員の女の子に指示を飛ばしながら、料理しつつ給仕する。

 

噂を聞きつけた街の人や冒険者が列をなす。

 

 

 

「……Admiral、何をやっているのだ」

 

「んん、おや、アーク?……アーク?」

 

なんか、下半身馬なんだけど……?

 

「あまり見るな、この姿は少々、恥ずかしい」

 

「え……、その……、うん」

 

まあ、下半身が馬だからね。

 

いや、俺はバリバリ人外娘もいけるからなんの問題もないんだけど。

 

見たところケンタウロス……、いや、額のツノからしてユニコーンか。

 

可愛いな。

 

「まあ、俺はバイトしてるよ」

 

「ふむ、入り用か?」

 

「いや、次の街に行くまでの繋ぎ……、かな。小銭があれば後はギャンブルで増やすし」

 

「そうか。目的はやはり?」

 

「旅だね」

 

「ふむ……」

 

考え込むそぶりを見せるアーク。

 

「一応、私達艦娘のクランに入っておかないか?」

 

クラン……、冒険者のチームみたいなものだ。

 

「構わないけど、俺は戦ったりできんよ」

 

「それで良い。Admiralの凄いところは万能性であって、戦闘能力ではないからな」

 

まあ、良いなら構わないよ、うん。

 

「じゃあ、仕事も終わったし、登録しに行こうか」

 

 

 

艦娘クラン、「ブラックフラッグ」加入。

 




旅人
ゲーム側から非人間扱いされた。

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