旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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428話 ファンタジーVRMMO その3

Admiralは、王都にある軍の鍛冶屋からまんまと正規兵の装備を手に入れ、王城に潜入することになった。

 

「俺はあらかじめ、王都に来る前に、王都の公的文書を見たことがある」

 

ふむ。

 

「公的文書には、この王家の紋章である、羽の生えた龍のマークがあるんだ」

 

……まさか。

 

「偽装します❤︎」

 

例えゲームの世界といえ、公的文書を偽装してまで、観光のために城に潜り込む人はいないだろう、普通は。

 

「さらさらさらーっと。はい、これで良し」

 

「良くやるな……」

 

「楽しいだろ?」

 

「それで、私はどうする?外で待っていればいいか?」

 

「いや、一緒に行こうよ」

 

「いや……、私はユニコーンだぞ?無理だ」

 

「この文書読んでみて?」

 

ふむ?

 

何々、獣人王国の新興貴族、ロイヤル家の令嬢であるアーク様は、栄えあるラファウル王国の王城を見物し、第四皇女リリーナ様との会談の予定がある。会談は午後の遅い時間なので、それまでの間、アーク様には王城内を自由に見学してもらう予定である……?

 

………………。

 

「い、いや、まずいだろう、これは!」

 

「いけるいける」

 

何を笑ってるんだ?!!!

 

「大丈夫だって、バレたら指名手配くらいで済むよ」

 

「いや、大ごとだろう?!!」

 

「へーきへーき!大丈夫大丈夫!」

 

本気なのか、Admiral?!

 

 

 

「止まれ!そこの女は誰だ?」

 

門番に止められる。

 

「はっ、これを」

 

「ふむ……?アーク様?そんな話、聞いていないが?」

 

「ああ、実は昨日急に決まった話なのです」

 

「何だと?」

 

Admiralはこちらをちらりと見ると、門番に耳打ちする。

 

「実はこちらのアーク様は、相当なワガママ娘でして……。武力のみで一代にして成り上がった新興貴族のお嬢様で、礼儀作法はからきしのくせにプライドだけは高い。今回の件も相当無理を言って決まったことなのです。早くしないとアーク様は大暴れしますよ!」

 

「な、何だと?それは大変だ、分かった、すぐに開門する」

 

流石はAdmiralだ。

 

基本的にああいう類の嘘は上手い。

 

そして、王城の中に入る。

 

スクショを撮りまくるAdmiral。

 

「図書館行こうぜ」

 

図書館に入り込むAdmiral。

 

速読で手当たり次第に機密書類を読んでいく。

 

「へーほーふーん?」

 

何か分かったらしい。

 

「近くの山に邪悪なドラゴンがいるらしい」

 

「ドラゴン?」

 

「五百年ぶりに封印が解けそうなんだって。だから、第四皇女リリーナを生贄に封印の儀を行うんだとさ」

 

「なんと……」

 

「俺、そういうのは良くないと思うから、ドラゴン倒そうぜ」

 

「ああ!」

 

「多分このドラゴン、レイドボスだわ」

 

レイドボス?

 

「レイドボスってのは、みんなで倒すデカいボス敵のことだよ」

 

成る程……。

 

巨大で邪悪なドラゴンと言えど、艦娘やプレイヤー数千人で囲めば倒せる、か。

 

「なんか多分強い感じのやつだから、準備していこうぜ」

 

そう言って、Admiralは、さも当然と言ったように王城の宝物庫を漁り、装備品を盗むと、近くの山へ向かった。

 

同時に、艦娘ギルド、ブラックフラッグに連絡を入れるのも忘れていない。

 

近くの山では、丁度、第四皇女が今まさに生贄にされんとしていた。

 

「デトロイト市警だ!!!!」

 

儀式を行う魔法使いをなぎ倒し、魔力を乱し、皇女の手を取る。

 

「あ、貴方は、なんて事を!王国は終わりです!悪龍バロムの封印が……!」

 

「大丈夫、大丈夫」

 

「大丈夫なものですか!五百年前、悪龍バロムが王国にどれほどの被害を出したかお分かりにならないのですか?!!」

 

「ヘーキヘーキ、いけるいける」

 

「お、お願いです、今からでも儀式を!」

 

「……死にたいのかい?」

 

「……死にたく、ないです。けれど、私が死ななければ、もっと多くの人が死にます!」

 

「命は数なのか?君の命は、顔も知らない民衆の命と等価なのか?」

 

「そ、れは!」

 

「命の価値なんざ人によって違うのさ。だったら、俺は俺の価値観に従う」

 

そんな時、山の祭壇がひび割れた。

 

「Admiral、来るぞ!!」

 

『ガアアアアアアアッ!!!!』

 

黒い巨大な龍が、割れた地面から現れた。

 

成る程、確かに、これは私一人ではキツいな。

 

「アーク!」

 

「どうするんだ?!」

 

「逃げるんだよォォォーーー!!!」

 

「えっ?」

 

Admiralは私の背中に飛び乗った。脇には皇女を抱えている。

 

「ダッシュだ、アーク!」

 

「えっ、あっ、わっ、分かった!」

 

どこへ向かうつもりだろうか?

 

「そんなもん決まってる」

 

「どこだ?」

 

「王都」

 

「な、なっ?!」

 

「大丈夫大丈夫、ブラックフラッグに住民の避難勧告するように言ってあるから」

 

「いや……、いやいや!良いのかそれは?!」

 

「まあ、多少はね?どの道、王都くらい防衛設備が整ったところじゃないと相手できないし。下手に被害が広がる前に動くべきなんだよ」

 

む……、それは、そうだが。

 

「建物が壊れるくらいなら良いでしょ。人が死ぬより万倍マシだ」

 

「分かった、行くぞ!」

 

 

 

王都に着いた。

 

後ろからは、ゆっくりと、山のように巨大な龍が追いかけてくる。

 

「よっ、ガンビアベイ」

 

「えっ……、その、超ド級のMPKですか?」

 

「レイドボスを持ってきてやったぞ!」

 

「私ヒーラーなのにぃ……」

 

そして、ゲーム側からのメッセージ。

 

『レイドボス:悪龍バロム』

 

『場所:ラファウル王国王都』

 

『開催時刻:二時間後』

 

ブラックフラッグのメンバーは全員揃っている。

 

「どう?行けそう?」

 

Admiralが問いかける。

 

「やるしかないでしょ?」

 

「倒す以外にあるの?」

 

「レイドボスかー」

 

艦娘達は楽しそうに答える。

 

「よっしゃ、じゃあ、やろうか」

 

Admiralの宣言と共に、艦娘は一斉に動き出した。




アークロイヤル
貴族並にマナーに熟知しており、ピアノとバイオリンが得意で、ダンスも完璧。

旅人
基本的に郷に入っては郷に従うタイプで、どんな国や文化でもすんなりと溶け込む。
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