旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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最近ラーメン食ってねえや。

夏だとラーメンって気分にはならないんだよなあ。


429話 ファンタジーVRMMO その4

「べびべびべいべべいべべいべ!!!!」

 

城門を閉じ、バリスタや大砲を並べ、前衛が前に出て、準備ができた。

 

Admiralは、何故かギターをかき鳴らして歌っている。

 

それを見ているプレイヤー達は、声援を送り、テンションが上がっている。

 

Admiralは、特別に人を統べるカリスマがある訳ではない。

 

しかし、他人を鼓舞し、元気付け、その気にさせる弁舌と、何より、その楽しげな雰囲気が素晴らしいのだ。

 

この人について行けば、絶対に退屈しない。そう思わせる何かが、Admiralにはあった。

 

まるで、例えるなら、イアソンの様な人だと、私は思う。

 

本人は、確かに、様々な技能を持つが、特別に強いという訳ではない。

 

だが、兎に角、他人を乗せるのが上手いのだ。

 

見知らぬ人とでもすぐに仲良くなり、特に女性はすぐに口説き落とす。

 

気難しい英雄達も、Admiralに請われたら、喜んでアルゴー船に乗り込むだろう。

 

人を統べるカリスマではなく、人を友にし、共に歩む。そんな不思議な魅力が、Admiralにはある。

 

我々艦娘も、Admiralとならどこまでも行けると思っている。根拠はないが、Admiralと共にいると、そう思ってしまう。

 

だから、今回も。

 

『ガアアアアアアアッ!!!!』

 

「行くぞみんなー!!!!」

 

「「「「おおーっ!!!!」」」」

 

なんてことはない。

 

 

 

黒龍が雄叫びを上げ、城壁に向かって突っ込んでくる。

 

「障壁よーい!!!」

 

Admiralの指揮に従い、魔法使い達が障壁を張る。

 

『ガアッ?!』

 

思い切り障壁に突っ込み、出鼻を挫かれた黒龍に対して。

 

「やれー!!!」

 

一斉に攻撃を開始する。

 

直接的な戦闘能力が乏しい斥候や盗賊は、大砲を撃ち込み、バリスタを放つ。

 

魔法使い達は全力で魔法を放ち、錬金術師達はマジックポーションを配り歩く。

 

剣士や戦士と言ったプレイヤー達は、障壁にぶつかり倒れた黒龍に取り付き、各々の武器を振るう。

 

『グオオオオオオ!!!』

 

「起きたぞー!守れ!」

 

黒龍は起き上がり、鋭い爪で城門を引っ掻く。

 

障壁で防ぐが、巻き込まれた少人数のプレイヤーが潰される。

 

「ヒーラー隊!蘇生!」

 

「はいぃ〜!」

 

ガンビア・ベイの指揮する神官達、ヒーラーの寄せ集めに指示が出され、失った人員を蘇らせる。

 

「ブラックフラッグ!かませ!」

 

「はい!『ウェポンバースト』!!!」

 

指示を受けた艦娘クランから、プリンツ・オイゲンが飛び出して、クールタイムの長めな大技スキルを放つ。

 

『アアアアア?!!』

 

黒龍の顔面にダメージを与え、再びダウンさせる。

 

「よーし!今だ、やれー!!!」

 

「「「「うおおおお!!!」」」」

 

つまり、作戦はこうだ。

 

黒龍の攻撃を防ぎ、隙を作り、その隙を艦娘が突いて、黒龍をダウンさせる。

 

そして、ダウンした黒龍を囲んで殴る。

 

Admiralが言う、大物狩りの基礎だそうだ。

 

本人が言うには、これでゾラマグダラ……、何とかを倒しただとか。

 

本音を言えばゲキリュウソウ?を持ってきたかったらしいが、その辺りはよく分からない。

 

「解析完了!両腕両足、そして額にある赤い岩のような部分が弱点!」

 

スペルマスター巻雲が叫び、それを聞いたプレイヤー達は集中攻撃を始めた。

 

「『サモン:ケルベロス』!」

 

ビーストテイマー鹿島が、黒龍ほどではないにしろ、かなり巨大な三つ首の犬を呼び出し、炎を吐かせる。

 

『ガアア?!!!』

 

「右腕破壊!右腕破壊!」

 

黒龍の腕の弱点が破壊され、歓声が上がる。

 

「まだあるぞ!気を引き締めろ!」

 

再び立ち上がる黒龍。

 

今度は、ブレスを放ってきた。

 

「障壁全開!全開ィーーー!!!」

 

む、不味いな、あれは危険だ。

 

私が大盾を持って前に出る。

 

そして、スキルを発動。

 

「『フォートレス』!!!」

 

ブレスを軽減し、死傷者を減らす。

 

「アークサンキュー!回復急げ!サポーター動け!」

 

Admiralは指揮を執りながらも、王都の宝物庫にあった大弓を使って、攻撃もしている。

 

「提督!行けるぜ!」

 

サムライマスター天龍が叫ぶ。

 

「よーし!左腕を狙え!」

 

「おう!『不動明王剣』ッ!!!!」

 

『ガアアアアアアアッ?!!!!』

 

黒龍の左腕を根本から切り落とした天龍。

 

「すまん!暫くは無理だ!」

 

「良い!休んでろ!」

 

天龍を拾って引っ込めたAdmiralは、更に指示を出す。

 

「次!右足!じゃんじゃん撃て!矢弾の代金なんて気にするな!後で国に請求書書いてやれ!!!」

 

「「「「うおおおお!!!」」」」

 

そうして、右足の弱点も破壊する。

 

続いて、左足も破壊した時に、黒龍は一際大きな咆哮を上げ、口元にエネルギーを集めた。

 

「あー、ありゃ駄目だ、防げねえ。総員退避ーーー!!!!」

 

瞬間、放たれたレーザーブレスは、城門を吹き飛ばした。

 

 

 

「な、何があった?!」

 

「いやー、乱世乱世。奥の手はレーザーブレスだったみたいだね」

 

艦娘クラン以外のプレイヤー達は半数が蘇生不可能なほどにダメージを受け蒸発、城門は見るも無残に吹き飛んだ。

 

「あ、ああ……」

 

「や、やっぱ無理だ!」

 

「に、逃げなきゃ……」

 

戦意も最悪、状況は一気に劣勢だ。

 

だが。

 

「まだ終わってないだろ!」

 

Admiralが叫んだ。

 

「まだ負けちゃいない!勝機はある!まだ城門が吹き飛んだだけだ!」

 

「で、でも」

 

「考えてもみろ!この城門の持ち主は誰だ?」

 

「お、王国だ」

 

「そうだ!王国のものが壊れたんだから、直すのは王国の仕事だろ?ほら、少なくとも金の心配は要らなくなった」

 

「プレイヤーがもう」

 

「まだ半数は生き残っている!諦めるな!相手も切り札を切ってきたってことは、追い詰められているんだ!」

 

「ま、まだ、やれるのか?」

 

「ああ、やろう!最後の最後まで戦って、それでも駄目な時に泣け!少しでも希望があるのなら、冒険者は笑うもんだ!」

 

「そ、そうだ!」

 

「や、やるぞ俺は!」

 

「まだやれる!」

 

プレイヤー達を鼓舞したAdmiralは、再び指揮を執り……。

 

「そこだーーー!!!!」

 

『ガアアアアアアアッ?!!!!』

 

黒龍の額を砕いた。

 

 

 

『レイドボス:討伐完了』

 

『congratulation!』

 

 

 

その後、Admiralは、黒龍の素材を分配して、レイドボス戦に参加したプレイヤー全てと宴会をして、その請求書を王国に叩きつけて、逃亡した。

 

行き先は、次は帝国に行くそうだ。

 

「行こう、アーク!」

 

「……ああ!」

 

例え、電子の世界でも。

 

愛する人と共に旅ができるとは。

 

こんなに嬉しいことはない。

 




アークロイヤル
かわいい。

旅人
たまには活躍する。

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