旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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遥ちゃんは出産したと言うのに、俺は……。

龍が如く6やってるんで、内容はガバガバ大明神です。はー、出撃後のビス子の匂い嗅ぎたい。髪長いと、首の後ろにめっちゃ汗かきますからねぇ。絶対いい匂いする。あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"。(徹夜おじさん)


43話 ハイル・ブロッケン

「うーん、ドイツの美術館も良いなぁ!誘われて行ったけど、良かったわ!」

 

夜、ドイツ、それなりのホテルの一室。……俺は、艦娘達のスカート捲りに疲れ、癒しとソーセージとビールを求め、この地に足を運んだ。

 

「あー、美味え。本場は最高だわ、肉!ビール!肉!!ビール!!って感じで。生きてて良かった」

 

このホテルの景色もまた素晴らしいね。ドイツから見る海は、うちの鎮守府とはまた違って…………ん?

 

 

 

おい待て?

 

そこも一緒なのか?

 

海に行くと艦娘に出会う運命なのか?

 

 

 

それとも……、

 

「あの手の屑とご縁があるのかね?だとしたら最悪だ……」

 

 

 

×××××××××××××××

 

『……ぁっ……!……や、やめ、な、さい……!やめ、ろ……!!ぐあっ!!』

 

全身が痛む、疲労で目が霞む、もう、立つことすらままならない……。……でも、それでも、大切な仲間達くらいは、守って、あげなきゃ……。私は、戦艦、一番丈夫なんだから……。

 

『だ、黙れ!黙れ黙れ!!貴様らが使えないせいで!!私は!降格処分だぞ?!!ふざけているのか!!!』

 

『あっ、ぐっ!!』

 

『……ビスマルク、姉さまを、離して…………』

 

『……て、提、督、やめて…………』

 

『……ビスマルク、さんを、いじめ、ないで…………』

 

『……だ……、駄目……、やめ、て……』

 

『ーーーッ!!雑魚風情がっ!!死ね!死んでしまえ!!』

 

だ、駄目、プリンツ、レーベ、マックス、ユー、やめなさい、駄目!

 

『こっ、の!!』

 

グラーフ!!

 

『ぐあっ!き、貴様!!貴様ぁ!!殴ったなぁ?!艦娘の分際で!!この私を!!』

 

『……ふっ、殺すなら……、殺せば良いさ……』

 

『望み通りにしてやルルブァア?!!!』

 

 

 

「はぁ、やっぱり、またこの展開か」

 

 

 

何が、起きたの?日本、語?

 

 

 

「森の木の葉の如くに体軽やかに、腕を弓の如くに引き、流れ星の如くにふり下ろす……」

 

『グァッ、な、何だ?!何なんだ貴様は!!この私をドイツ海軍の佐官と知っての狼藉か?!!』

 

「その時、手刀筋骨"壮"となる!!その壮拳もって風擦れば炎立つ!!!」

 

『な、う、腕に、ほ、炎?!貴様、一体?!!』

 

「敵の懐に深く入り、肉斬り骨断てば、ベルリンに赤い雨が降る!!」

 

『き、消え』

 

「必殺!ベルリンの赤い雨!!!」

 

『ぎいぃいやぁあぁあああ!!!!熱い!!熱い!!焼ける!!!焼け、る…………』

 

 

 

「はん、これでもう、仕事どころか、ビーチで穴掘りもできねぇな、Germany」

 

……凄い……!でも、何者?何故ここに?

 

「あー、無事かな?フロイライン?」

 

……敵意があるようには、見えない。

 

でも、私は、日本語は……。

 

「わ、わた、し、ニホンゴは、うまく、」

 

『あー、すまない、これで良いかい?……大丈夫?』

 

あ……、ドイツ語?凄く、流暢……。顔は、彫りが深め、日本人に見えない?……でも、ドイツ人でもない。

 

『あの、貴方は……?』

 

『いやいや、ちょっとお手伝いをね?……ま、ただの旅人さね、特に何者って程のもんじゃない』

 

……最近の旅人は、素手で人を切り裂くのかしら?

 

『君達、もしかさなくても、艦娘だろう?……そのさ、もし、良かったら、うちに来ないか?うちは良いところだよ、艦娘達は皆んな良い子だし、自然も豊富だし、飯も美味いし……、どうかな?』

 

『………………は?』

 

何を、言って……?

 

『ああ、実は、俺は日本で提督をやっているんだ……。今は、休暇でここに来たんだ』

 

『貴方が、提督を?』

 

『そうだよ、……優秀そうな君達を、是非スカウトさせてくれないかな?……他に行くところ、ないんだろ?うちの艦娘も、昔はそうだったなぁ……』

 

……ああ、優しい、な。……多分、この人は、本気で私達を助けようとしてくれている。……少なくとも、悪いことを考えている人間の顔じゃない。でも……、

 

『それは、その……』

 

……無理だ。私達は兵器。兵器を他国に無断で持ち出すなんて、上が許す筈がない。

 

『……気持ちは、嬉しいわ。そこまで憐れんでもらって……。でも、どうにもならないことよ。……優しい言葉をかけてくれて、ありがとう……』

 

 

 

『…………あー、そうか、……じゃあ、こうしよう。……君達を、攫う!』

 

『え?』

 

顔を上げると、今まで影も形もなかったはずの大きな車があった。

 

『六名様、御案内!!』

 

『きゃあ!』

 

抱き上げられたと思ったら、一瞬で視界が変わる。ここは……、良く手入れされた、車の中だ!

 

『え?……え?』

 

『ほらいくどー』

 

『ちょ、ちょっと待って!!』

 

何を?!攫う、ですって?!危険過ぎる!!たかが、艦娘六人の為に、ドイツそのものに弓引くとでも言うの?!!あり得ない!!!

 

『おい、やめろ!!今すぐに降ろせ!!』

 

『あ、あの、私、よく分からないけど、た、多分、貴方は危ないこと、してます!』

 

『そうよ、悪いことは言わないわ!やめなさい!!』

 

皆、口々に彼を止める。当然だ、こんなこと、何の意味もない。……だって、いくら逃げたところで、どうせ捕まるのは目に見えてる。

 

『……姉さま!後ろから、車が!!』

 

追っ手?!早過ぎる!!……近くで待機してた憲兵の仕業ね?!

 

斯くなる上は……!!

 

『……あ、開かない?!!』

 

『ハッハー!お見通しだぜ?車から飛び降りて、囮になろうとしたろ?無駄無駄ァ!!言ったろ?攫うってよ!!』

 

『馬鹿なことを……!やめて!そこまでしないでよ!!どうせ、逃げられっこないわ!!』

 

例え、奇跡が起こっても、私達は逃げられない。……この人も、同じ。子供でも分かる。軍艦六隻を盗む、なんて、できる訳がない!!

 

『……無理よ……、絶対に……』

 

 

 

『そう?……試してみるかい?』

 

そしてその時、視界は傾いた。

 

『キャーーー!!!!どうなってるの?!!どうなってるのこれ!!!』

 

『この車、傾いてる?!!傾いてる!!!!』

 

『怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!』

 

『ィイイイヤッハッァァァアアアア!!!!』

 

片輪で……!!!ドリフト?!!!

 

そ、そっ、待って!そっちには追っ手が!!つ、突っ込む!!!

 

『『『『ぶつかるー!!!!』』』』

 

『ぶつからない!!!!』

 

 

 

…………え?、飛んで、え?

 

 

 

車が、一度だけ、縦に大きく揺れる。着地した?

 

…………え?今、飛んでた?

 

………………え?

 

 

 

 

 

『……撒いたな?』

 

『……何を、したの?』

 

『いやあ、トランポリンって大事だよな。龍歴院のハンターさんと猫には感謝しないと』

 

『は、はあ……?』

 

何のことかしら?

 

『……逃げて、どうする……。どうせ、また追っ手が来る……。この場を凌いだだけだ……。……貴方は、早く逃げろ』

 

……グラーフの言う通り。確かに、今は、手段は分からないにしても、奇跡的に逃げられた。でも、奇跡的に、だ。……そう、何度も起こらないから、奇跡って言うのよ。

 

『……そうよ、もう一度言うわ、……私達を連れて、ドイツから逃げるなんて、絶対に無理よ。奇跡は、二度と起こらない』

 

……ごめんね、名前も知らない、優しい貴方……。ありがとう……。

 

 

 

『いやいや、何その終わったみたいなムード?そう言うの良いから。早く船に乗って?次はイギリス、そのあと日本に帰国ね!』

 

ま、また?!さっきまで、そこに無かったはずの船が?!

 

『旅人号……、良いだろ?これ?元はうちの鎮守府にあったポンコツだけど、今は直してカスタムして……、良い船になったよ』

 

『……どこから、こんな』

 

『まあ、良いじゃん?君らの治療と食事、あと服、何とかしなきゃだし、早く乗って?』

 

『だから、無理なのよ!逃げることなんて!』

 

 

 

……『いたぞ!』

 

……『捕まえろ!!』

 

追っ手が!

 

『……言ったでしょう?絶対に、無理なの……。奇跡は、二度、と…………?!』

 

『あー、分かったって!奇跡だろ?ほら、二度目と言わず、何度でも見せるよ!!!』

 

今度は、何を?!!

 

《太陽の光の槍!!!》

 

……彼の、聞いたことのない言語の呪文とともに放たれた、稲妻の光……。光が収まる頃には、追っ手は全て、倒されていた。

 

は、はは、あり得ない……。

 

こんなの、奇跡より、もっと凄い。

 

 

 

『……さて、フロイライン?二度目の奇跡を見たご感想は?』

 

彼は、私を見て、ニヤリと笑ってそう言った。

 

 

 




ビスマルク
人の本質を見抜く力を持つ。善人かどうかくらいは目を見れば分かるらしい。

旅人
久しぶりの旅を邪魔されてイライラ。対応が雑に。船の中でご飯食べたら機嫌が直った。

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