旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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今回は「」内は英語、『』内は独語ですね。

・追記
やっべ、時間間違えて早めに投稿しちゃった。……まあ良いか。


44話 見敵必殺

『……う、美味い!これが、祖国ドイツのヴァイスヴルストか……!』

 

……ほう、ほうほう、これが……!!まともな食事なんて初めてだ!

 

そうして、あの男が出した料理を私が口に運んでいる間も、あの男は忙しなく動き回っている。

 

『あ、あの?この瓶は?……ポーション?何ですか?……お薬、ですか?』

 

『んー?そうだよー?この前錬金した奴。……マテリアル、足りなくなってきたな』

 

謎の薬品で、プリンツを治療し、

 

『えっと、提督?本当に、良いの?ユーは、こんな可愛い服、初めてで……』

 

『ユーちゃん、ワンピース似合うなぁ!可愛い!』

 

出所が分からない服を、ユーに着せている。

 

……ここは、旅人号……。あの男、……提督 (仮)が懐から「取り出した」船の中。今は、ドイツの領海を抜け、明日にはイギリスに着く、そんなところだ。

 

……未だに信じられない。あの後、この男は、多数の追っ手を退け、私達を制御する首輪を破壊し、存分に私達をもてなした。……ユーと、レーベ、それにプリンツは、既にこの男を信頼しているようで、先程からベタベタと甘えている。

 

……だが、この私、グラーフ・ツェッペリンには、あの男が不審に見えてならない。……何もかもが、おかしい。このような、強く優しく、眉目秀麗な偉丈夫、という絵に描いたような完璧な男が、突然現れ、そしてそいつに救われるなど。まるで、シンデレラだ。

 

 

 

……この世界は、お伽話のようにできてはいないのに。

 

 

 

……だがしかし、ビスマルクが言うには、この男に悪意はない、そうだ。……ビスマルクは、かなり初期の頃に召喚された古株で、私達の中ではもっとも人生経験が豊富だ。ああ見えて。……そして、艦娘の人生経験は大抵、悪意に触れた回数を示す……。そのビスマルクが、あの男に悪意はないと言い切った以上、それは事実だと思う。

 

だからこそ、解せない。……この男、何が目的だ……?

 

 

 

「あ、グラーフさん、おかわり欲しいかい?」

 

「あ、いやその、すまない」

 

 

 

……わ、分からない!

 

 

 

×××××××××××××××

 

ふ、ふふふ、ふはははははは……………………!!

 

 

 

 

 

やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

その場のノリで動いたけど、これ、百パーセント犯罪ーーー!!!!

 

散々カッコつけたけど百パーセント犯罪ーーー!!!

 

ど、どどどどどうしよ!!国際指名手配とかされたら迂闊に旅できねぇぞ?!!!

 

いっそこれから行く王立国教騎士団に全部押し付け……、いや、そんなことしたらICPOの百倍怖い化け物にとっ捕まる!!!!やべえ、つ、詰んだ!!!

 

『……提督?どうか、しましたか?』

 

『何でもないよー!ユーちゃーん!』

 

わーい!!ユーちゃん可愛いー!!黒井鎮守府に不足していた西洋美少女!!

 

こーんな美少女おったら、そりゃ声かけますわ!!クッソ、可愛い!!!

 

『あの、提督?……僕、まだ、信じられないんだ。……今、僕は夢を見ているんじゃないかって……。その、提督、僕に触れて?夢じゃないって、証明して?』

 

『ああ、もちろん!……こんな感じ?』

 

ああああああ!!!髪!ドイツ系特有の柔っこい髪質!!ふわふわしよる!!ふわふわしよる!!

 

『兵舎の大きな門の前に♪街灯が立っていたね♪今もあるのなら♪そこでまた会おう♪……ふふ、提督の髪、私のと全然違うね!』

 

『はは、俺はドイツ系じゃないし、何より男だからね』

 

何故か俺の髪を触りたがったプリンツちゃん、許可を出すと、嬉しそうに歌いながら、俺の髪を編み始めた。可愛い。その選曲はどうなん?って思ったけど、多分、歌なんて聴く暇がなかったんだろうな。

 

……まあ、あれだ。やっちまった、なんて、今に始まったことじゃねえよ。ごちゃごちゃ考えても何も変わらん。いつも通り、好きにやろう。

 

 

 

 

 

 

 

『おはよう、皆んな。さて、もうすぐイギリスだ。朝食を摂って、着替えたら丁度着くくらいだろう……、じゃあ、いただきます』

 

宣言した通り、そろそろイギリスに着く。取り敢えずは、ロンドン自然史博物館。その次は適当なパブで飯食って、オペラハウス行って……、後は成り行きで。

 

いやー、久しぶりだ、イギリス。楽しみ。とか考えながら、ふと、食卓を見回した。

 

……グラーフさん、マックスちゃんは、警戒してるみたい。特に、マックスちゃんはあまり話してくれない。

 

……逆に、ユーちゃん、レーベちゃん、プリンツちゃんは、かなり好意的に接してくれる。

 

……ビスマルクさんは、どことなく、一歩引いているようなイメージ。まだ信用されない、か。だろうな。

 

でも、言った通りに、ちゃんと食事は摂ってくれたし、着替えもしてくれた。嫌われてはいないはずだ。

 

……この子達も良い子だよ、本当に。攫っちまったけど、あのままあんな提督に任せておく方が駄目だ。……この前、四代目もガキ攫って広島まで行ったらしいし、超法規的措置としよう。そうしよう。

 

さーて、観光観光!面倒なことはほっといて良いんじゃない?どうにかなるって、多分。

 

 

 

……『これ、何ですか?提督?』

 

……『恐竜の化石だね』

 

……『ほう、これがイギリスでもっともポピュラーな昼食なのか』

 

……『そうだね。……不味いなんてこともよく言われるけど、最近はマシだよ?』

 

……『うん、紅茶、美味しいですね、流石はイギリスです』

 

……『あっ、金剛にお土産買って行かなきゃ』

 

 

 

そんなこんなで、皆んなで観光を楽しみ、日が落ちた頃。

 

『いやー、オペラハウス良かった、また来よう』

 

『……結局、普通に観光しただけか。何がしたいんだ、貴方は』

 

『旅』

 

『……はぁ、そうか』

 

さーて、そろそろ帰るかー。おっと、その前に王立国教騎士団に挨拶……、しなくて良いか。旦那に会ったら面倒だ、し……?

 

『提督、誰かが、こっちに来ます。……赤くて、大きい人』

 

んんー?嫌な予感ー?嫌な予感がー?

 

『帽子を被っていて、丸眼鏡をした人です』

 

あっ、あっあっ、駄目、会いたくない、振り向きたくない。

 

『黒髪の、男だな。……笑っているぞ』

 

勘弁してくれ。

 

肩に、手が置かれ……、

 

 

 

「ククク……、我が主人がお呼びだ……。至急、本部に来い……」

 

 

 

……うん、逃げよ

 

「何処へ行く?本部はこっちだ……。もしも、逃げるというのならば、仕方がない……。……ククク、主人の命令では、貴様の状態は問わないそうだ……」

 

「はい!喜んで!!」

 

チクショーーーーー!!!!!

 

 

 

 

 

「……で、この、ドイツの艦娘を誘拐した男の話だが……。心当たりはあるか?」

 

……ここは、王立国教騎士団本部、ヘルシング卿の館。

 

目の前にいる眼鏡をかけたキシリア・ザビみたいな女は、ここの大ボス、ヘルシング卿その人。

 

ヘルシング卿率いる王立国教騎士団は、反キリストの化け物共を殺して回る、クソ物騒な特務機関。……事ある毎に怪異やら何やらと関わっちまう俺と出会うのは、時間の問題だったのかもね。

 

ん?俺?俺は今、ヘルシング卿の前で正座させられてるけど?何か?

 

「こ、ここここ心当たりでっすか?な、ないですねぇ!いやー、お力になれず、すいません!じゃあ俺はこれで」

 

さて、逃げ

 

「………………」

 

あっ、駄目だ、逃げようものなら、後ろに控える旦那に撃ち殺される。確実に。

 

「ほう、そうか。知らないか……。……ところで、お前の後ろの六人の女は、誰だ?」

 

「いっ、いや、ほら!ナ、ナンパしまして、ね?!」

 

「……誘拐された艦娘も、丁度六体だそうだ……。ひどい偶然もあったものだな……?」

 

「んえ"ぇ?!!あっ、そうですね!偶然ですね!偶然!!」

 

ど、どうしよ、王立国教騎士団からは逃げきる自信ないぞ?!それに、俺一人ならまだしも、六人も連れて逃げるとなると……。

 

 

 

「…………はぁ、この阿呆め、誤魔化せると思っているのか?」

 

「……いや、まあ、分かってますけどねぇ……。どうやって逃げるか、と思っているところですよ、ヘルシング卿」

 

……分かっているさ、それくらい。バレてんのは重々承知。どう逃げるか、それを考えてるところさ。

 

うーむ、アレを使うか、いや、あれにするか……。

 

 

 

「勘違いするな。……我が王立国教騎士団は、この一件について、関与しない」

 

「……え?」

 

「我々は、大英帝国に仇なす化け物共を狩るのが仕事だ。……貴様が何をしようと、知ったことか……」

 

ヘルシング卿は、葉巻を吸いつつ、どうでも良さそうに答える。……じゃあ何で呼んだんだよ、もう。

 

「だが、ドイツの軍部が大騒ぎして、その煽りを受け、英国まで慌ただしくなるのはいただけない……。飛行機を用意した、とっとと日本へ帰れ」

 

……あー、そっか。おかしいとは思ってたんだよな、ここに呼ばれるの。だって、人間の犯罪者の確保は、王立国教騎士団の仕事じゃないもんよ。……邪魔だから早くイギリスから出て行けってところか。

 

「あー、なんかすんませんね、見逃してもらっちゃって」

 

「……何を言っている?タダで、などとは言っていないぞ?」

 

うーわ、メンドくさっ!絶対面倒事押し付けてくる気だよ、この人……。

 

 

 

「なに、そこまで面倒な話ではない。……艦娘を一体、引き取れ」

 

 

 

「…………はい?」

 

「詳しい説明は省くが、とある艦娘を一体拾った。……だが、王立国教騎士団には不要だ」

 

「……あー、軍部に渡せば良かったんじゃ?」

 

「出所不明の兵器など、渡したところで受け取ってはくれなかったよ。……当然だろう、任務の後、浜辺にいた女が艦娘だったなど、誰が信じるか……。そもそも、私達は特務機関。表の公的機関との繋がりは極めて薄い」

 

「……成る程ねぇ……。じゃあ、最後に一つ」

 

「……何だ?」

 

「その艦娘、美人ですか?」

 

 

 

 

 

「貴方が、私の提督?……私は、クイーンエリザベス級戦艦、ウォースパイト……、提督、よろしく頼むわね」

 

……あの後、すっごい冷たい目で、「……見れば分かるんじゃないか」と突き放され、その後、飛行場に連行された。

 

そして今、目の前で杖をつきながらゆっくりと歩く美女、ウォースパイトさんに挨拶された。……ありゃあ、足が……。

 

「……ああ、私はどうやら、足が不自由みたいなの……。それでも、不沈艦と呼ばれたウォースパイトよ、きっと、役に立ってみせるわ」

 

……ああ、そうか。確か、ウォースパイトは舵とかの不調に苦しめられた、とか。軍艦だった頃の特徴を受け継いで、ってことなのかな。

 

「うん、よろしく!……良ければ、手を」

 

「あら?エスコートしてくれるの?ふふ、紳士なのね」

 

気品のある笑みを浮かべるウォースパイトさん。良いね、かなり素敵だ。

 

『……提督、ユーも、手を握って良い?』

 

『ああ、構わないよ』

 

 

 

と、まあ、そんなこんなで、飛行機に乗り込んだ……。

 

 




グラーフ
餌付けされる。

ウォースパイト
色々あって、イギリス近海で「ドロップ」した艦娘。召喚された時から足が不自由。

旦那
公式チート。この後、旅人からヤーナム産の輸血液と血の穢れを分けてもらい、機嫌が良くなる。

ヘルシング卿
めっちゃ怖い人。

四代目
東城会の四代目。堂島の龍。極道の伝説。

旅人
可愛かったので、つい。
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