旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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さーて、困ったなあ!

これからどうしよ!


446話 黒井モール 後編

黒井モール、問題の四階だ。

 

四階……、責任者は白露型。

 

もうこの時点で嫌な予感と震えが止まらない。

 

一同驚愕!白露型のまさかの運営に震えが止まらない……!

 

ガキが……、舐めてると潰すぞ。

 

そんな感じで、凄く……、凄い(語彙力喪失)。

 

四階の半分は本屋、半分はドラッグストア。

 

本屋から見てみよう。

 

入口の方は普通に、漫画本や近頃話題の小説なんかが並んでいる。

 

アメコミの隣にジャンプが置いてあるのは不思議だが。

 

まあ、白露型は読書家だが、あまり流行り物や漫画本はよく分からないらしい。

 

エロ本も多数。

 

この辺は普通なんだよ。

 

だけど、この本屋は、奥に行けば行くほどマニアックな本が置いてある。

 

希少本も山程置いてあるが、法外な値段だ。

 

例えば、大正時代に書かれたフランス語版の日本昔ばなしなんて、一冊50万円を超える。

 

因みに、白露型はコレクション用の自分達の希少本は、うちの図書館に厳重に保存されているから、ここの本屋で売っている希少本は、コレクションのあまりやダブりだそうだ。

 

そんなトレーディングカードみたいなノリで良いのだろうか……?

 

更に、この本屋には、本棚や、本の中に謎が隠されていて、その謎を解いて、指示通りに店内を歩くと、魔法的な空間転移が可能だ。

 

すると、隠し部屋の魔導書売り場に辿り着くことが可能である。

 

魔導書売り場では、一冊最低でも数百万円はするような、魔導書の写本や、白露型謹製の魔導書が売られている。

 

驚いたことに、この魔導書売り場にも、何人かの魔術師が定期的に現れるらしいそうだ。

 

白露型の名は、既に、魔術師のネットワークの中ではヤベーやつ扱いされている。

 

俺もそうだが、白露型も全員、魔術師協会に禁術指定された。

 

俺の業界でのあだ名は、『歩く禁術』だ。

 

その名の通り、明らかにヤバい禁術を覚えているからな。

 

その禁術を全て伝授された存在として、白露型も悪名が轟いている。

 

しかし、フリーの魔術師や、デビルサマナー、この世界で人に化けて生きている人外など、そう言った存在にとって、魔術師協会に追われている人達の店だというのは、別に避ける理由にはならない。

 

魔法関係者にとっては、その知識が自分の研究に役立つかどうかを見るものであって、神秘の秘匿やらは知ったこっちゃないのが本音だ。

 

まあ、この前、今代の葛葉ライドウが視察に来た時は、流石の俺も「オッ、死んだな俺!」と思ったんだけど、普通にスルーしてもらったので九死に一生を得た。

 

聞いたところによると、桃さんが色々と手配してくれたらしいね。

 

桃さんからすれば、日本のデビルサマナーの実力アップは喜ばしいことなんだってさ。

 

まあね……、この辺はちょっと掻い摘んで説明するとね。

 

ヤタガラスはそもそも、第二次世界大戦で大暴れしたので、解体されたのよ。

 

そして十年くらい前、日本の政権交代で地獄を見たのは誰もがご存知だと思うのだが。

 

その時、よりにもよって、民主党の人達は、日本を裏から霊的災害から守る国防組織『ヤタガラス』の予算を全額カットした訳ね。

 

事業仕分けだっけ?それのせいで、太古の昔から日本を守ってきたヤタガラスはガタガタになり、霊的災害が多発、葛葉四天王も、度重なる戦いで、今代のライドウとゲイリン以外は死亡。

 

桃さんが政権を奪った頃には、ヤタガラスはほぼ死に体だったそうだ。

 

俺はその後、ヤタガラスの立て直しに協力したり、ライドウさんと自衛隊のクーデターを鎮圧したり、アメリカ大使に化けた雷神トールを消しとばしたりと大忙しだった。

 

そしたら、なんか気がついたら、ヤタガラスの名簿に俺の名前が載ってた。全力でお断りしておいた。

 

黒井鎮守府が密輸やら兵器開発やらで大儲けしていることについても、日本に対して直接的な霊的攻撃をしない限りは動かないよと確約してもらったので安心安全。

 

でも、白露型が定期的に外なる神を召喚していることについては、アレを逃したらどうなるか分かってるね?と脅されてしまった。

 

怖い……。

 

ライドウさん個人とは友人だが、ヤタガラスという組織自体はまた別で、ヤタガラスはしつこく勧誘してくる。

 

今の俺は週休七日で、これ以上働けば過労死してしまうと丁重に断ると、「何言ってんだこいつ……」みたいな目で見られた。

 

だって君達ブラック企業じゃん。

 

言わば自衛隊みたいなもんでしょ?霊的災害の度に、夜中に叩き起こされたりして出勤すんのやだもん……。

 

 

 

そして、ドラッグストア。

 

合法合法。

 

全然合法。

 

風邪薬、ピル、ビオフェルミン、各種サプリ。

 

飲んでも平気なやつだよ。

 

それと、簡単なマジックポーションの類を少々。

 

い、いや、薬事法……、はその、アレなんですけど、こ、効果はバッチリだから!副作用もないし!

 

あとは媚薬とか……、排卵誘発剤とか……。

 

大丈夫、大丈夫なやつだから!大丈夫ですよ!本当です!

 

因みに、このドラッグストアにも、魔術的な暗号が隠されており、それを解読して特定の行動をとると、店の奥に行ける。

 

店の奥には……。

 

うん、大丈夫大丈夫、本当に大丈夫だから。

 

バレなきゃ大丈夫なやつだし、大丈夫だから。

 

うんうん、本当に大丈夫。

 

ヒュドラ毒?エーテル?バジリスク毒?モルヒネ?劣化版超人血清?

 

……い、い、いや、いやー!何言ってるか分かんないですねー!

 

俺はちょっと、マジで、そういうのは分かんないんで!分かんないんで!!!

 

 

 

では、最後に、問題の……。

 

いや、今までに問題がなかったとは一言も言ってないが、問題の……。

 

問題の地下を見ていこうか。

 




旅人
もし事件が起きれば真っ先に殺される責任者。

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