もしかしたら次回更新はお休みかも……。
「守子ちゃん、旅行行かない?」
「あ、はい、良いですよ!」
私、海原守子!
年齢は……、うん、もう気にしない!
今回は、黒井鎮守府の提督さんこと、旅人さんと一緒に旅行をすることになりました。
「まあ、仕事を兼ねての出張みたいなものだから、持ち物とかちゃんとまとめてね」
「はい!」
ええと、でも、お仕事も兼ねた旅行となると、持ち物はちゃんと考えなきゃ駄目だよね?
「えっと、名刺と、お財布と……」
「ああ、待って待って、持ち物の整理をしよう。この、いるもの、いらないもの、それをこの整理ボックスに分けようか」
「あ、はい、わざわざお手伝いしてもらっちゃって、なんだかすいません」
「いや、良いんだよ」
私の目の前に、『いるもの』『いらないもの』と書かれた段ボール箱が置かれる。
よし、じゃあ、出張に持っていく荷物を分けよう!
「えっと、じゃあ、まずは名刺ですね!これは必要ですよね、旅人さん?」
「名刺?これはいらないよ」
旅人さんは、私の名刺をいらないものボックスに入れた。
「えっ、なんでですか?」
「漢字読める人なんて、いないからね」
「えっえっ、あっ、そ、そうですか、海外なんですね!」
そ、そっか!
海外に出張なんだ!
なら、名刺は要らないかな?
海外はあんまり名刺とか渡さないのかも。
「じゃあ、この、スーツは要りますよね?海外でもスーツは基本ですし!」
「いらないね」
えっ。
「スーツ着てる人なんて誰もいないからね」
「あっ、えっ、その、み、未開の地とか……?」
微笑みかけてくる旅人さん。
「あっちではこの防護服を着てね」
「防護服?!」
えっと、危険なところなのかな?
ま、まあ、アメリカみたいな銃社会の国に行くのかもしれないし……。
そうだ!
「じゃ、じゃあ!スマホは要りますよね?!スマホがなきゃ現代社会じゃ」
「いらないね」
ええー!
ま、まさか……。
「ス、スマホの電波がないんですか……?」
微笑みかけてくる旅人さん。
「スマホなんてそもそもない世界だからね」
「異世界なんですね?!異世界なんですね?!!」
え、えっと、じゃあ……。
「このマシンガンは要らないですよね?なんか、さっき大淀さんから渡されたんですけど」
「これはいる」
「いるんですか?!」
「絶対に要る、丸腰状態とか殺してくれって言ってるようなもんだよ」
どこなの?!どこに連れてかれちゃうの私?!
「え、えーっと、じゃあこの、やたら大きな個人携行型シェルターは要りま」
「要る、絶対に要る。それだけは必ず持って行かなきゃ駄目だよ」
……あ。
「………………エーテルの風ですね?」
旅人さんは微笑む。
つまり、行き先は……。
「ノースティリスなんですね?!ノースティリスなんですね!!!」
「頑張れ、負けるな、力の限り生きてやれ」
そう言う事で、ノースティリスに出張しに来た私。
「お前さん、ついてないぜ。俺達は泣く子も黙る冷血な盗賊団、その名もザ・ルーザーだ。命が惜しければ、大人しく荷車の積荷と金貨15421枚を渡すがいいぜ」
早速、自ら盗賊団と名乗るあからさまな盗賊団に囲まれてしまった。
「守子ちゃーん」
旅人さんが微笑む。
笑えばいいと思ってないですか?!
「は、はい、何ですか?」
私が答えると……。
「逃げるぞッ!!!!」
「逃げる気だ、殺せ!!!」
旅人さんが私を抱えて、盗賊団は魔法と銃で攻撃してきた!
「ひ、ひぃぃやあああああ!!!!」
ヒュン、ヒュンと風切り音。
銃弾が飛んで来ている。その銃弾の暴風の中、私は小脇に抱えられて、草原を移動する。
「爆ぜろ!!!」
旅人さんが手榴弾を放り投げて爆殺して、逃走。
なんとかパルミア王国に到着した。
「パルミアで一晩休んだら、北にあるあいつの国に行くよ」
「は、はい」
うーん、地獄かな?
でも、日本は日本で、謎のガス爆発で藤沢市の一区画が更地になったし、日本にいても変わらないのかもしれない。
因みに、旅人さんが言うには、謎のガス爆発はカバーストーリーで、本当は大天使と魔王が召喚されて暴れまわったとのこと。
「ま、まあ、景色とかは綺麗ですし!空気も澄んでいて、天気も良いですね!」
「お、そうだな」
前向きに……、前向きに考えよう!
ノースティリスは自然が豊か!
私、海の近くで育ったから、こんなに広い草原とか見たことないなー!
新鮮な感じだなー!
「ぐあっ!!!」
そんなことを考えて、努めて前向きに考えようとしていた時、急に旅人さんが倒れる。
「……え?た、旅人さん?!」
「……通り魔だ」
「通り魔出るんですかこの辺?!!!」
旅人さんの腹部から、どろりと血液が流れる。
「まあ、ノースティリスじゃよくあることだから」
どうしよう、フォローできない。前向きな気持ちになれない!
最早、一刻も早く帰りたい気分だ。
「とりあえず、一晩寝ようか」
「あ、はい……」
通り魔が出る街で一泊か……。
嫌だなあ……。
「えいえい」
「………………え?」
なんか……、旅人さんがピッケルで、お城の壁に穴を空けちゃってるんだけど……。
「じゃ、ここで寝ようか」
「あの、不法侵入じゃ……」
「ノースティリスにそんな法律はない」
はあ……。
そして、その夜。
……「メテオでおじゃる!どっかの馬鹿がメテオを唱えたでおじゃる!パルミアはおしまいでおじゃるー!」
「んぅ……?」
夜中に騒ぎ声で目を覚ます。
すると、隣で寝ていた旅人さんが飛び起きて、シェルターを掘った。
「え?あの?」
「守子ちゃん!早くシェルターの中へ!」
「何ですか?!何事ですか?!」
「巨大隕石だ!この国は滅亡する!!!(MMR並感)」
「え?は?!きゃあ!」
そして、旅人さんは、私をシェルターに押し込んで、ニコッと微笑むと、外側からシェルターを閉じた。
「た、旅人さーーーん!!!」
「や、やあ……」
あ、ああ……、旅人さんが白髪に!あ、それは元からか……。
「あ、あの、大丈夫で、す、か……?!!何ですかこれ?!!」
国が更地になってる?!!
本当に隕石が落ちてきたの?!!
「フッ……。だが、まだ生きている」
旅人さんがなんか言ってるけど……。
「これ……、どうなるんですか?国が一つ滅んだんですよ……?」
「まあ、割とよくあるから」
割とよくあるんだ……。
割とよく国が滅ぶんだ……。
「三日後には元通りだよどうせ」
「えぇ……」
この規模の破壊が三日後には直るんだ……。
「苦痛に耐えきれぬ時は飲むといい」
そう言って、懐から酒を取り出す旅人さん。
「え、あ、その、昼間からお酒は……」
そう言った瞬間、旅人さんの手首が消滅する。
「……………ギ、ギギャ、アハ」
「あ……?!」
旅人さんが出したお酒を、旅人さんの手首ごと持って行ったのは、この男の人だった。
黒く長い髪、赤い瞳、高い身長、細身……。
ハンサムな男性のように見えるけど……。
殆ど武術の心得とかがない私にも分かるくらいの、濃密な死の気配がする、恐ろしい化け物……。
死という概念が人の形をとったかのような、闇そのもの。
旅人さんの友人の中でも、最も恐ろしい存在の一人。
「……ノースティリスのあいつ!」
因みに、旅人さんの友人の中で恐ろしい存在は他に、『火継ぎを終わらせた男』や、『饒舌な傭兵』、『ライドウ』、『@』、『ゲッター線に選ばれた男』、『半人半魔のデビルハンター』など……、あれ?これ、恐ろしい存在多くないかな?!
とにかく、ノースティリスのあいつは、お酒を飲んで、捩じ切った旅人さんの腕をバリバリと食べると、平然と話しかけてきた。
旅人さんが大量のお酒と食べ物を渡して、それと引き換えにノースティリスのあいつは、魔導書や杖、種、ハーブ、ポーションなどを渡してきたみたい。
取引が終わると、何らかの魔法で煙のように姿を消した……。
「よし、お仕事終わり!帰ろうか、守子ちゃん」
「あ、はい」
ノースティリス……、恐ろしいところだった……。
海原守子
黒井鎮守府での生活に慣れていて、いきなり人がハッピーツリーフレンズみたいな死に方をしているところを目撃しても精神にダメージをあまり受けない高いSAN値を持つ。肉体面もそれなりに訓練されており、プロのアスリート並の身体能力はある。まあ、その程度、黒井鎮守府では何の役にも立たないのだが。
ノースティリスのあいつ
旅人の友人の中でもトップクラスにやべーやつ。ジューアのクレイモアでエヘカトル信者。因みにこいつのノースティリスはオバホ仕様である。
旅人
あなたはミンチになった。さようなら……、遺言は?「い つ も の」