「なんか知らんけど、アズールレーンってやつが流行ってるらしい」
「はあ……」
俺は、休憩室の真ん中で言った。
「艦これよりも運営が良いらしいな」
「何の話ですか?」
怪訝な顔をしている大淀。
「いや、ちょっと、黒井鎮守府のネットでの評判がこれでもかと言うほどに悪いから、なんかこう、イメージアップ戦略を取ろうと思って」
「成る程……」
そう、頭脳明晰な俺は、艦娘の人気アップのために手を打つことにしたのだ。
即ち、艦娘のPVの作成……!
アニメは何故かよくわからないけど失敗しそうな気がするので、アニメ化はしない。
ユーチューブの黒井鎮守府公式チャンネルで、艦娘の可愛いところを垂れ流して、艦娘の地位向上を目指すのだ!
そして一ヶ月後。
俺と数人の艦娘は、会議室に集まって、作成されたPVのプロトタイプを見せ合うことになった。
「今回集まってもらったのは他でもない……、黒井鎮守府のイメージアップ作戦として、艦娘を使った短い映像作品を作るという話だった」
俺は、キリッとした顔で、会議室を見回す。
「まずは俺が作ったPVから行こうか。大淀!」
「はい」
大淀がプロジェクターを用意して、映像を再生する!
〜キャピキャピした音楽〜
〜第四駆逐艦の四人がごちうさのノリでキャピキャピする〜
〜マスコットキャラの首輪付き〜
〜露骨な猫耳〜
〜サービスシーン〜
「どうだ!!!」
「「「「………………」」」」
あれ?
「黒井鎮守府のイメージではないのでは?」
と大淀。
「japanのMOE animationみたいね!」
とアイオワ。
「っていうより、猫被りすぎじゃないかな、あの四人……」
と時雨。
ふむ……、そういう意見もあるか。
「じゃあ、次はアイオワ」
「ええ!見てて!」
アイオワ作の黒井鎮守府のPV、再生!
〜突然流れ出すガンズアンドローゼスのパラダイスシティ〜
〜ヘリが降下してくる〜
〜黒服の特殊部隊がビルに突入〜
〜音楽がサビに突入するのと同時にアイオワの登場、特殊部隊を銃撃戦で蹴散らす〜
〜アイオワがビルに手榴弾を投げ、ビルが大爆発し、それをバックに優雅に歩くアイオワ〜
………………。
「あ、あのさ、イメージアップ要素どこ……?ここ……?」
「カッコいいでしょ?」
んんんー?
「カッコいいけどさ……」
まあいいや、次は明石だ。
「行きますよー!」
明石のPV、再生!
〜空飛ぶ円形のロボットが、ケイ・カイザーのジングル・ジングル・ジングルを流しながら、荒野の道路を飛行する〜
〜ライフルが直撃し墜落する〜
〜何故か鎮守府内の施設の写真が流れる〜
〜FPS視点で鎮守府産のミュータント生物と戦う動画が流れる〜
〜スーツにサングラス姿の明石の後ろで街が爆発してスーローモーション〜
「何これは」
「PVです」
「何の?」
「黒井鎮守府のです」
「????」
どの辺が黒井鎮守府と関係あった?
核崩壊後の世界みたいになってたけど?
まあいいや、次!
「じゃあ、私達の番ですね!」
鳥海のPV、再生!
〜北の大地〜
〜謎の老婆の語り部〜
〜空から巨大なドラゴンが〜
〜謎の賛美歌〜
〜モンスターと戦う高雄型〜
〜ドラゴンを倒す高雄型〜
〜ドラゴンの上で勝鬨を上げる〜
だから何なのこれ?!
「一ミリも黒井鎮守府関係ないよね?!」
「私達のイメージでは、黒井鎮守府はこんな感じです」
おお、もう……。
どこぞのドラゴンボーンみたいになってたんだけど?!
ま、まあいい、次だ!
「私の番ですか?頑張りましたよー、見てください!」
鹿島だ!
鹿島のPV、再生!
〜AV〜
「はい、しゅーりょー!!!」
俺は再生を止める。
「これから盛り上がってくるんですよ!ねっ!」
鹿島に拘束される。
鹿島が、無理矢理再生ボタンを押す。
〜薄着の鹿島がソファーに座っている〜
〜笑顔と共に手を振り、段々と脱衣する〜
〜鹿島の激しい自慰行為〜
〜仰け反って絶頂〜
〜おもらし〜
「イキスギィ!!!」
「はい、イキました!」
「こんなもの公開されたら黒井鎮守府の評判壊れちゃ^〜う!!!そんな予定はヤメテ!!!」
「予定?提督、私は昔の活劇映画の悪役ではありませんよ。提督に妨害される危険がわずかでもあるなら、こんな重大なことを得々と説明したと思いますか?35分前にアップロードしました」
「畜生!なんかオジマンディアスみたいなこと言い始めたぞ!!!」
「因みに、今回の動画は、私が好きな上原◯衣ちゃんの動画を参考にしました!」
「あー、上原◯衣ちゃん可愛いよねえ!引退したのが残念だけどさ!最近は麻里◯夏ちゃんが……、はっ?!!」
「「「「………………」」」」
周囲の艦娘の目がうさみちゃんみたいになってる!!!!
「へ、へへっ、ち、違うんすよ……、隠れてこっそりAV見てるとかそんなんはないんすよ……」
「提督が溜まっていらっしゃるようですので、今晩は、艦娘全員に慰安任務を命令しておきますね!」
大淀が手を叩いて笑顔を見せる。
「やだーーーーーっ!!!!今晩じゃねーじゃん!!!どうせ一週間以上逆レイプされるやつじゃん!!!」
俺は逃げようと立ち上がろうとするが……。
「うおおおあーーー!!!」
俺の座っていた椅子が拘束具にトランスフォームし、俺をぐるぐる巻きにした。
「助けてえええぇぇぇ………………」
そのまま、拘束具ごとボッシュート。
〜音声のみでお送りします〜
「お兄さん許して……」
「お姉さんダルルォ?!!暴れんな……、暴れんなよ……」
「どこ触ってんでぃ(江戸っ子)!!」
「キモティカ?キモティダロ?」
「アッーーー!!!」
「いや……、待って!鹿島は良いよ、鹿島は全然OKだよ?!でも君は駄目じゃん!!駄目だよ!!」
「ダイジョーブ!佐渡様は元気だぜ!」
「何も大丈夫じゃないから!!!ふざけんな!!!(声だけ迫真)」
「えいっ!」
「あっ、このっ!!」
「あは❤︎司令の、ここまでしか挿入んないな❤︎」
「ちょ、本当にやめて?洒落にならんぞ!」
「うりうり〜❤︎」
「提督、結局、プロモーションムービーは誰のを……、って、腎虚で死んでしまったんだね」
時雨が、手元のUSBを弄ぶ。
「ええと、じゃあ、取り敢えず、僕のプロモーションムービーを含む全作品をネット上に公開しておくよ」
次の日、白露型PVを見た一般市民が発狂する事件が発生し、黒井鎮守府のユーチューブアカウントは一時的に停止された……。
旅人
できればごちうさ的な世界線で生きたいが、残念ながらこの世界線はスーパーロボット大戦みたいな次元だ!!!
鹿島
汚れオチ担当。
時雨
クトゥルフ的バッドエンドオチ担当。