「何これは……」
朝、起きたら、黒井鎮守府が更地になっていた。
鎮守府本館にある俺の部屋も倒壊していて、瓦礫の山になっている。
遅れて聞こえてきた爆発音に反応した時には……、時すでにお寿司、いや遅し。
瓦礫に押し潰されてしまった。
まあ、これくらいなら、旅人的にはいつものことである。
中東で寝泊まりしていた頃は、迫撃砲の音で目を覚ましたり、朝起きたらホテルが倒壊していたりなんてこともあった。
このくらいなら許容範囲内のアクシデントだ。
瓦礫を蹴飛ばして脱出して、外に出る。
「トリックオアトリートです!ハロウィンのいたずらなんですー!!!」
「今日という今日は許さんぞおおお!!!」
「ぎゃーーー!!!」
すると、庭で長門にアルゼンチンバックブリーカーされる明石が。
「これは、何?(三日月オーガス)」
俺が問いかける。
ボロボロの姿で現れた大淀が言った。
「ええと、何でも、明石さんが、マブラヴアニメ化を祝ってG弾を作って、取り扱いを誤って爆発させてしまったそうです」
「うーん、この……」
勘弁してくれない?
明石が、長門に、ロビンマスクのタワーブリッジを食らった雑魚超人の様なノリで真っ二つにされるところを制止して、明石を見据える。
「い、いや、その、今回は本当に悪いと思ってますよ?」
しどろもどろと、視線を合わせずに言った明石。
「ごめんなさいは?」
「うっ……、ごめんなさい」
「俺に、じゃなくって、みんなに言うんだよ」
「みなさん、すいませんでしたーっ!!!」
土下座する明石。
俺は、それを見て、グラウンドに集まっている艦娘に言った。
「この通り、明石も反省しているみたいだし、許してやってくれないかな?」
「む……」
「司令がそう言うなら……」
「しょうがないかな……」
明石の助命を嘆願し、黒井鎮守府の再建活動を始めることに……。
幸い、吹っ飛んだのは鎮守府の本館と艦娘寮、工廠、ドックなど、古い建物だけだ。
黒井モール、白露型の工房、睦月型のガレージ、倉庫、牧場や農園、露天風呂などは無事だった。
データサーバーや生産プラントなども無事で、艦娘寮もある程度の防壁があるので、部屋の中身は無事らしい。外側は倒壊しているが。
まあ、そうだな、鎮守府の建物は古かったからなあ。
核ミサイルくらいなら耐えるバリアはあるが、内側からG弾が爆発したとなると、鎮守府もこうなるんだな。
これを教訓に、もっと丈夫な建物を建てようか。
これを機にリフォームすると思えば……。
「マイホームを作ろう2!匠〜!」
「マイホームを作ろうは虚無ゲーだぞ」
そんな話をしつつ、明石、夕張と速攻で建築の計画を立てる。
「まず、艦娘の寮を建て直そうか」
艦娘の寮……、改築はしていたが、元が倉庫だったからな。
前提督が、艦娘は物だからと言って、窓もない、冷たい床の倉庫に、艦娘を住ませていた。
となると、最初から寮として、再設計しようか。
電気ガス水道は当然として、エアコン、床暖、ベランダ、休憩スペース、自販機なんかを置いてみよう。
俺が某所からパクって……、いや、拾ってきた面白い自販機。
え?ああ、お金を入れると、謎の商品が出てくるやつだね。
一種のガチャみたいなもんだよ。
何が出てくるかは俺にも分からない。
そんな異次元に繋がる自販機を設置。
それとランドリールーム、室内用シャワーも必要だな。
ランドリールームはね、艦娘は、艦娘それぞれが色々な服を持ってるからね。
長門辺りは全くこだわらないから良いのかもしれないけど、陸奥なんか手洗いのみのドレスとか、シルクの下着とか沢山持ってるから。
専用の洗濯アンドロイドを配置して、別個に洗濯できるようにするべきだろう。
実際には、黒井鎮守府製の高性能な洗濯機に入れてしまえば、あらゆる汚れも落とせるのだが、精神的に、汗や泥で汚れた服をドレスなどと一纏めにして洗うのはみんな嫌だろうしね。
それに、シャワールーム。
俺個人としては、黒井鎮守府に用意した温泉や大風呂に毎日浸かって欲しい。
衛生面は本当にね……。
上下水道がない国とか行くと分かるんだけど、衛生観念は大事だよ。
………………ちょっと不潔なくらいなら逆にそそるってのはあるんだけど。
とにかく、俺個人としては、毎日お風呂に入って綺麗にして欲しいんだよ。
でも、艦娘の中には、シャワーで良いと言う子も多いのが事実だ。
海外艦やら、出不精な艦娘は大体、シャワーで済ませるようだね。
あ、言っておくけど、艦娘は季節にもよるけど、全員ほぼ毎日シャワーを浴びてるよ?
日本だからねここ。
俺も、ロシアとかなら、寒くて乾燥してるから、わざわざ毎日シャワーを浴びたりはしない。
けど、ここは日本だ。温暖で、海の近くで湿度も高い。
艦娘達の名誉のために言っておくが、艦娘はちゃんと全員めっっっちゃいい匂いする。
いい匂いする(強調)。
世の中の女性が泣いて謝るレベルだ。美容に気を遣っていないような子でも、ちょっと甘い女の子の匂いがするのだ。
神通とか訓練キチだから訓練後は汗かいてるんだけど、そんな時に不意打ちで抱きつくと、女の子の汗の匂いがふわっと香ってヤバい。とてもヤバい。
因みに、艦娘によって匂いが違うんだよね。
古鷹と加古はラベンダーっぽい匂いと、ちょっと香ばしいような匂いがする。
間宮はお菓子っぽい匂い。
金剛型は柑橘系の匂いがして、暁型はりんごかな?
鳳翔は畳の匂いがする。
睦月型と明石、夕張は機械油の匂いがして……、白露型は……、その……、何故かいつも血の匂いがする。
妙高型は人間の血の匂いがするからまだマシなんだけど、白露型は人間の血以外にも、『獣』の血の匂いがする。匂い立つなあ……。
なので、そのめちゃくちゃな血の匂いがあまりにも臭いので、白露型は気を遣って、消毒を心がけてくれている。
なので、病院っぽい匂いがするね。
他にも、鹿島の体液に媚薬成分が含まれていたとかそんなちょっとした面白い話もある。
……おっと、話が大分脱線したな。
つまりは、艦娘によって、風呂にしっかり浸かりたい派と、シャワー浴びてパパッと済ませたい派があるってことね。
だから、艦娘寮の部屋の中に個人用のお風呂をつけちゃおうかなー、ってこと。
それと……、後は、ドアに転移装置を埋め込もうと思ってる。
そうだね、ハ◯ルの動く城だね。
まあほら、黒井鎮守府もスタジオジブリくらいのほのぼのした世界観だから……。
まっくろくろすけならぬ、まっしろしろすけこと、謎の毛玉マスコットキャラである首輪付きもいるし、俺もパ◯ーみたいなもんだし、ほぼジブリと言って差し支えないだろう。
黒井鎮守府は全年齢対象、CERO Aだからな!
決してニトロプラスやlightではない、イイネ?
そう、つまりそんな感じで、艦娘の自室から、食堂、温泉、本館に繋がる転移装置を取り付けておく。
艦娘寮はそんな感じだ。
建築ロボをフル稼働させれば、一日で終わる。
さて、それと、本館。
本館は、そうだな、床暖と業務用エアコンを配置して、後はとにかく丈夫に。
「あ、俺の部屋なんだけど」
明石に尋ねる。
「はい、ちゃんと監視カメラを24つ、盗聴器を7つ、自動ドアと、艦娘の私室と繋がるようにしておきました!」
んんー?
「俺のプライベートとかは?」
「ありません!」
そっかー、ないのかー。
まあ、ないなら仕方ないな。
そんな事もある。
「鍵とかって」
「ありません!」
ないのかー。
まあ、艦娘しか入ってこないもんな。
別に鍵がなくても困らないよな。
ほら、田舎の家とか、鍵かけないでしょ?
そんなノリなんだよ多分。
まあ、この辺りは都会なんだけど。
工廠とドックは明石と夕張に任せた。
黒井鎮守府のリフォームは一週間で終了だ。
さて、俺の部屋は……、と。
「んー?」
おおっとー?
俺秘蔵のエロ本が全部、艦娘のエロ自撮りにすり替わってるなー。
それとAVが艦娘のエロ動画にすり替わってるなー。
あと机の上に白露型謹製の精力剤が1ダースあるなー。
「よし!」
逃げよう。
明石
A級戦犯。
旅人
この後逆レされる。