あ、活動報告の方で思いつき集含む全作品への質問を受け付けてるんでなんかあったらどうぞ。
さーて、今日は、黒井モールのセールの日だ!
ハロウィンシーズンなんで、ARで綺麗に飾り付けて、従業員のアンドロイドも可愛らしい仮装をして、着ぐるみなんかがいて。
それに合わせて、なんだか怪しい人達が集まる……。
……そう、表の黒井モールのセールの日に合わせて、地下武器屋のオークションが開催される。
木を隠すなら森の中、人通りが多いほど、裏社会の人間も隠れやすい。
という訳で、裏オークション、始まります。
今日は俺も、オークションの警備員兼見物人として場にいることにした。
いや……、もうね、止められないからね……。今オークションをやめれば、各方面から怒られる。オークションは続けざるを得ない状況だ。
うん、そうね、ちゃんと見てなかった俺が悪いんだよ。
夕雲型が警備員として配置されていて、巻雲がオークショナーとしてたたき台の上に。
会場には、裏社会の関係者がぞろりと揃う。
あ、あいつはヤタガラスの重鎮だな、前に会ったぞ。
おお、こっちはガイア教の幹部だ。
あれはアトラス院で見た気がする。
あっちはアサシン教団の幹部で……、あ、エリアスさんも来てるのか。ドクター・ストレンジも?ドクタードゥームも来てるな。
……まあ、ドンパチやり始めたらぶっ飛ばすと予告してあるし、仮にドンパチ始まって巻き込まれても責任はとらないよって誓約書にサインさせてあるから(震え声)。
さ、さーて!楽しいオークションの始まりだぁ!!!
『はい、皆さんこんにちは!黒井鎮守府です!オークショナーは私、巻雲でございます。それでは、本オークションのルールの説明から……』
まあ、普通に、システム面の説明だ。
因みに、英語で話している。
そりゃそうだ、公用語は英語だからな。
まあ、ここに来ているレベルの人間なら、確実に英語は話せるし、日本語やラテン語、アラビア語やフランス語なんかでも通じるはずだ。
『では、早速始めていきましょう。まずは、レーヴァテインからです!』
『ほう……!』
『おお……!』
『素晴らしい……!』
その筋の人々……、いや、一部人じゃないのも混ざっているが、その筋の連中が感嘆の声を上げる。
それもそのはず、本物のレーヴァテインだからだ。
ああ、神話で語られる武器だな。
魔界にある原典と変わらない複製品だ。
正確に言えば、魔界はサーバーであり、神話の道具はいくらでも複製できる。
理論上はね。
だが、実際複製するとなると、天文学的なマグネタイトが必要となる。
我々、黒井鎮守府は、魔界にいるスルトの高位分霊を殺して、直接レーヴァテインを分捕っているのだ!
だからつまり、本物と変わらない性能を持つ複製品である訳だな!
『最低落札価格は百万ドルからです!』
『百五十万!』
『二百万!』
『三百万!』
早速、三億円というアホみたいな額が飛び交う。盛り上がってきたぜ!
まあ……、それくらいはするだろうなあ。
因みに、本物かどうか?みたいなことを言う奴はいない。
マジックアイテムを見て、効果が分からない「程度」の雑魚はここにはいないからだ。
オークション会場での魔法は禁止されているが、例外的に鑑定の魔法や、肉体の維持に必要な魔法は許可されている。
だから、今回も、オークション参加者の個人個人が鑑定の術を使って物品を見ているので、このオークションに出品される物品が本物かどうかくらいは分かる。
むしろ、ここの常連を騙すくらいの隠蔽術式を使うとすると、オークションでの利益額を隠蔽にかかる費用で超える。
逆に聞くが、あのソーサラースプリームを騙す程の魔法ってどうすりゃいいのよ?
そりゃ夕雲型、高雄型、白露型を総動員すりゃどうにかなるかもしれないけどさ、少なくとも俺には無理だね。
それに、オークションってのは信用商売な訳で。
騙して金を巻き上げようってのは良くないんだよね。
さて……。
『五百万』
『五百万ドル!ミス・二重人格メガネさんが五百万ドルで落札です!』
あ、因みに、彼女みたいに明らかに追われる身の人とかも来るから、オークション参加者は全員偽名だ。誰なのかは詮索しない方がいい。藪蛇どころの騒ぎじゃないよ?
まあほら、彼女は一応、封印指定の魔術師だから……。
俺?俺はそもそも半分くらいは魔法使いだし、封印指定ではなく、禁術に指定されてるかな?
白露型がサラッとニャルラトホテプ召喚してるじゃん?あれ、禁術なんすよ。
だから、定期的に刺客が差し向けられるし、イギリスに行けばごそっと執行者が来る。
捕まれば多分、一生監禁だと思うよ。
でもまあ、魔法使いも封印指定も禁術指定も割とよくあるから、日本にいればスルーされるかな?
俺達は凄くやばいレベルの禁術持ちだから定期的に刺客が来るけど。
死者蘇生、空間転移、幻想種や邪神の召喚がアウト判定らしいね。
あとメテオとメギドラオンも駄目っぽい。
それとヨグソトース召喚による時間旅行も完全アウト、『瞳』による限定的な未来予知もアウト判定……、ってか魔眼扱いらしい。秘儀裁示局め……。
え?
ではあそこにいる一般通過ソーサラースプリームはどうなのかって?
いやいや、あのソーサラースプリームに敵う魔法使いなんて数えるほどしかいないでしょ?
多分、魔術協会の全戦力に匹敵するくらい強いよ、あの人。
だから、刺客も来ない訳だな。無駄だから。
しかし、俺は戦闘能力はそんなんでもないと知られているので、ガンガン刺客が来る。
舐めやがって畜生め。
『では、次はこちらの、★クローク『コルイン』です!最低落札価格は五十万ドル!』
『六十万!』
『七十万!』
『七十五万!』
コルインか。確か、耐性が強いマントだったな。俺も何着か持ってる。
『百万』
『百万!他にいませんか?……はい、では、ミスター獣骨頭さんが百万ドルで入札です!』
あ、あの人は……。
「良い買い物をした。チセへのお土産にしよう」
あー……、最近できた嫁にお熱の……。
この人も魔法使いだからなあ……。
『では、次に行きましょう!★《異形の森の弓》です!最低入札価格は百万ドルから!』
おお、あれか。これは良い弓だぞ。特に、矢が当たった相手を一定確率で目の前に引き寄せるのが凄く使える。魔法戦士には嬉しい一品だな。
『百三十万!』
『百五十万!』
『二百万!』
ふむ、どうだ?
『三百万』
『三百万!他にいませんね?では、ミスターソーサラースプリームさんが入札!』
「ふむ、良いコレクションになりそうだ」
趣味かよ!
金持ってんな、ソーサラースプリーム!
『では、本日の目玉の、《ソウルの矢》です!こちら、値段は三千万ドルからになっております!』
『まさか……!』
『馬鹿な!』
『第三魔法のスクロールだと?!!!』
魔術協会関係者が沸き立つ。
魔法使い達も、ソウルの魔術……、『魂の物質化』には、強い興味を示しているようだ。
『五千万!!!』
『七千万!!!』
『一億!!!』
競りの額もヤバいことになっている。
約百億円だ。
まあ、そんな辺りで、俺は異変に気付く。
『クソ!第三魔法を他人の手に渡すくらいならっ!!!』
おいおい、あいつ、やる気だぞ。
「長波」
「『ファランの短矢』」
『があっ……?!』
暴走魔術師の腕が、隠し持っていた杖ごと吹っ飛ぶ。
後ろに忍び寄っていた早霜が即座に捕まえて、連れ出した。
『はい!一億ドル!他にいませんか?!』
何事もなかったかのように続くオークション。
これがいつもの光景らしい。
因みに、これはミスターラトヴェリア王が三億ドルで落札した。
さて……。
裏オークションなので、客の身元は不明である。
俺はソーサラースプリームなんて見てない。
ごく普通のオークションだったね、うん!
今日は少し安めの値段だったかな?
『次のオークションは、日本時間で、十一月二十日の午後一時からです!皆さんの出品も受け付けていますので、こぞってご参加くださいね!』
また、表の黒井モールのセールの日に、ここでオークションを開催すると告知して……。
今日は解散。
「やあ、旅人君」
「はい」
帰り際に一般通過ソーサラースプリームに絡まれたが、許容範囲内だった。
こういうどでかい単体の戦力を野放しにしちゃいかんでしょ……。
巻雲
ビッグハット巻雲。
二重人格メガネ
魔法使い一歩手前の美女。
獣骨頭
最近買った嫁にお熱。
ソーサラースプリーム
この世界でもトップクラスの大魔法使い。
ラトヴェリア王
旅人の友人。