どんな話になるかと言うとこんな感じかな?
大淀「艦娘三銃士を連れて来ましたよ!」
旅人「艦娘三銃士?!」
大淀「ファンタジーの専門家、摩耶さん」
摩耶「オーッス、よろしく」
大淀「暗殺の専門家、那智さん」
那智「よろしく」
大淀「冒涜的神話事件の専門家、時雨ちゃん」
時雨「よろしくね」
大淀「魔法の専門家、巻雲ちゃん」
巻雲「よろしくー!」
旅人「待って多い」
大淀「陰陽術の専門家、龍驤さん」
龍驤「よろしくやでー」
大淀「ファッションの専門家、鈴谷ちゃん」
鈴谷「シクヨロー!」
大淀「工学の専門家、明石さん」
明石「よろしくお願いしますー」
大淀「悪魔退治の専門家、伊勢さん」
伊勢「よろしくね!」
こんな感じ。
「エロゲを作りたい?」
「はい!」
俺は衣笠の一言を聞いて、微妙な顔をした。
確かに、黒井鎮守府メンバーの平常時の仕事はそう多くない。
深海棲艦は……、滅亡するような存在でもないし、仕事はなくならないといえばなくならないのだが、それでも最近は極端に少ない。
いや、深海棲艦も頑張ってはいるのだ。
たまに、艦娘に匹敵し得るレベルの強力な深海棲艦との遭遇戦もあるし、深海棲艦の平均レベルも上がっている。
ただ、それを上回るレベルで艦娘が強いだけの話だ。
だからこそ、仕事がない普段の艦娘には、最近作った黒井モールなどでアルバイトさせているのだが……。
基本的に社会性が水より低いので、まともに働けてはいない。
となると、同人アダルトゲームの製作など、自営業的な仕事の方が向いているのかもしれないな。
よし、なら、とりあえずやらせてみようか。
「どんなのを作るの?」
「うーん、そうねえ、窓にハマった女の子にいたずらしたり、妹とエッチしたり、ブロックを崩したりするゲームはどう?」
「太古の記憶が目覚めるからやめて?」
「刻まれた使命が今炎になりそう?」
アバレた数だけ強くなるのは結構だが、アバレた数だけ優しさも知ってくれないかなあ……。
「じゃあ、普通にADVにするね!」
「どんな内容の?」
「lightみたいな」
「あー、バトルオペラ的な?」
良いんじゃない?
「ナチスの兵士が現代に蘇って……」
「それ既に現実世界でやったから」
「はい?」
「ええと……、悪の組織『ショッカー』はナチスの流れをくむし、昔イギリスに蘇ったナチスの兵隊である『最後の大隊』が現れて、今でもアメリカではナチスの後継的な組織である『ヒドラ』が暗躍して、『聖槍十三騎士団』も昔出てきたからね」
つまり、ナチスの復活なんて、この世界で既に起きた事件。
インパクトは薄い。
「うーん、ちょっと、本気で考えてみる。じゃあねー!」
走り去る衣笠。
うむ……。
そうだ!艦娘に仕事を探してあげようか!
もう、一般職をやらせようとは思わない。
表の社会に適合できないなら、裏社会でも良い。
とにかく、働かせよう。
いつ俺がいなくなっても良いように、生き抜く力を身につけさせてあげないとならない!
大淀!
大淀は……、まあ、黒井鎮守府の実質的な支配者だし。
「大淀、なんかやりたい仕事とかある?」
「はい?その、黒井鎮守府での事務仕事でしょうか」
まあ、本人も、事務仕事が好きらしいし。
因みに、事務ってか総務は大淀で、電話応対が鹿島と香取、そして守子ちゃん。財務関係は霧島、鳥海、営業部は俺と陸奥と翔鶴。
黒井鎮守府は、実は、深海棲艦の出現の煽りを受けて倒産した海運貿易会社を買収してフロント企業にしている。
だから、黒井鎮守府本部に来る仕事は、そこまで多くはない。
下請けと化したフロント企業に業務の殆どを外注しているから、黒井鎮守府本部には仕事はあまり来ないようになっている。
逆に、黒井鎮守府本部に仕事が来た場合、それは国営の仕事だったり、裏社会に関係する大きなヤマだったりと、デカイ話なので、それを言えば、黒井鎮守府はいつもデカイ仕事をしていると言える。
実際、今や、黒井鎮守府の直通の電話があるのは、日本の総理大臣、アメリカの大統領、イギリスの女王陛下、マリネラの王家、ラトヴェリア王などの各国のトップ。
その他にも、ヤタガラスにクズノハ、アベンジャーズ、イルミナティ、X-MEN、ファンタスティックフォー、S.H.I.E.L.D.と、BF団、国際警察機構、光子力研究所、早乙女研究所、東城会、鷹の爪団、ケロン軍、フロシャイム、アサシン教団、ミスリル、B.S.A.A.、デッドセック、ハンター協会、財団、海馬コーポレーション、デストロン、サイバトロン、アウターヘブン、インテリオルユニオン、オーメルサイエンス、GAなどの大組織。
竹尾ゼネラルカンパニー、武上重工、346プロダクション、日本生類総研、東弊重工、ワンダーテインメント博士、スピードワゴン財団、ウェインエンタープライズ、破嵐財閥、来栖川エレクトロニクス、鴻上ファウンデーション、式部重工、敷島重工、旋風寺コンツェルン、など、企業や財閥との繋がりもある。
まあ、百パーセントが俺のコネだが、時折、協力の要請が来るくらいで、基本的には仲良くやっている。
この、幅広く存在するコネを、何故か大淀は殆ど把握しているのだ。
なので、今では、放っておいても仕事をもらってきて、もらってきた仕事を艦娘に割り振り、こなしてしまう。
「……あれ?ひょっとして、俺の出る幕ない感じかな?」
「ええと……、はい。その、言いづらいのですが……」
あー……。
黒井鎮守府は現在、艦娘派遣企業となっているらしい。
艦娘個人個人のパーソナルデータに合わせた仕事を斡旋して、成功報酬を渡す……。
売るものは、武力、魔法、技術と多岐に渡る。
例えば、高雄型なら、対モンスター戦のスペシャリストとして、あらゆるモンスターを撃滅する戦力を。
例えば、夕雲型なら、対デーモン、対人、対竜への幅広い戦闘を。
例えば、空母なら、殲滅戦、広範囲爆撃、雷撃を。
例えば、厨房組なら、料理全般の手伝いを。
例えば、工廠組なら、技術提供を。
例えば、白露型なら、神話的、魔術的な技術の提供、事件の解決を。
戦力を中心に、幅広い技術を売る。
それが黒井鎮守府である。
俺?
俺は艦娘のヒモ。
まあ、つまりは……。
「これ、艦娘達ってちゃんと働いてるんだなあ……」
ということになる。
すると、どうするか。
最早、初期の頃のように、俺が土下座行脚して金を掻き集めてなんとか給料を払うようなことはもうない。
今や、俺は完全に艦娘のヒモである。
ヒモかあ……。
まあ、別に良いんだけどね?
「あ、そうだ(唐突)、となると、みんなの働きぶりを見てみたいなー」
「ええ、是非お願いします」
大淀が笑顔で言った。
「最近は色々と安定してきて、みんな気を抜いているかもしれませんから。抜き打ちチェックですね!」
とのこと。
あ、ふーん?
じゃあやっちゃう?
抜き打ちチェック……!!
大淀
黒井鎮守府社長秘書にして、総合的に仕事を取り仕切る実質的なボス。
旅人
お飾り。艦娘のヒモ。