旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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楽しい演習編。大丈夫です、弾頭はペイント弾、刃物は刃引き済み。

艦娘の戦闘スタイルは、俺の趣味です。


47話 演習、黒井対音成 前編

「さあ、やってまいりました!演習!!黒井鎮守府VS音成鎮守府!!解説は私、青葉と!」

 

「実況は俺、南斗実況拳の使い手、旅人でお送り致します!!そしてゲストの〜?」

 

「えっ、あっ、あのその、音成鎮守府の提督、海原守子です!!よ、よろしくお願いします!!」

 

「いやー、久しぶりにポスト開いたら、演習のお誘いですからねぇ?びっくりしたね、いやマジで」

 

「にしても、演習内容は記録して大本営に送るなんて、何だか、癇に障りますね!司令官!!」

 

「HAHAHAHAHAHA!!だからこうして、目一杯ふざけてる訳なのだよ、青葉ちゃん!!」

 

「あの、その割には、皆さん、殺気立ってませんか……?(小声)」

 

「……気のせいじゃない?」

 

「あー、なんか、司令官に勝利を捧げるって気合い入れてましたねー。まあ、私だって、戦う立場にあったら本気出してますよ、司令官の為ですもん」

 

「……お願いですから、殺さないでくださいね……?」

 

「あー、ちゃんと言ってあるから大丈夫だと思うけど……。やばくなったら即止めるから、安心して」

 

「えーと、そろそろ始めて良いですかね?」

 

「あっ、ちょっと待って、ちょっと待って、俺がやりたい。…………よし!」

 

「え、何ですかその眼帯と付けひげと赤スーツ……」

 

「それでは、艦娘ファイト!レディー!!ゴー!!!!」

 

「「?!!!」」

 

 

 

×××××××××××××××

 

「「「「(…………艦娘ファイト?)」」」」

 

「……その、これは、始めて良いのか?」

 

「ちょ、ちょっと待って下サイ…………、はい、良いらしいデース!!……それじゃ、行きマース!!」

 

「もー!グダグダやないか!!」

 

まあ、いつも通りの司令官やな。……そういう茶目っ気がある所も可愛いモンや。

 

……うちら黒井鎮守府の編成は、旗艦の金剛、うち(龍驤)、隼鷹、足柄、如月、三日月。

 

対して、音成鎮守府は、日向を旗艦に、伊勢、翔鶴、瑞鶴、能代、矢矧……。

 

まあ、数値の上では負けとるなぁ?……けど、今まで鍛えた練度が違う。負ける要素は、あらへんで。

 

それじゃ、先ずは制空権、やな?

 

 

 

「さあ、仕切るで……?」

 

「パーっと行こうぜ?パーっとなぁ!!」

 

 

 

うちは目の前にササっと勅令の文字を書く。展開した式神が束なり、艦載機の姿になる。

 

「あれは!嘘でしょ?!!烈風改じゃない!!」

 

相手方の瑞鶴が叫ぶ。まー、ビビるのも無理ないわ。だって、烈風改は……。

 

「それは、ペーパープランだけの、存在しなかった筈の艦載機よ?!!あり得ない!!」

 

「アハハハハ!!あるもんはあるんや!堪忍してぇな?!!」

 

ほんまに、うちの工廠組は優秀やなぁ?

 

「クッ、翔鶴姉ぇ!!艦戦ありったけ!噴進砲も全弾ばら撒いて!!あれは不味い!!!不味過ぎる!!!兎に角物量でどう、に、か…………?!!!」

 

「物量がぁ?なんだってぇ?あはははは!!!」

 

隼鷹は、放たれた大量の式神を、「式神のまま」操っている。その数は、正に圧巻。まるで雲のようや。

 

確かに式神のままでは、機銃も爆撃もできないし、脆い。だが、隼鷹は、その展開数に着目し、利用した。

 

「そーら!景気よく行っちまいな!!」

 

隼鷹が手を振り下ろすと、数多の式神達は、相手の艦載機や放たれた噴進砲の弾に絡みつく。

 

「そんな!艦載機の制御が!!」

 

「噴進砲が……!!」

 

結果、プロペラに式神を巻き込んだ艦載機は墜落、噴進砲は明後日の方向に飛んでいく。

 

「個」ではなく「群」で操られる式神は、瞬く間に相手の艦載機を「飲み込み」、無力化。そして、

 

「掌握っと!んじゃ、行っけー!!」

 

隼鷹は、自らの式神が取り付いた相手の艦載機を「作り変え」、流星改にし、そのまま相手に攻撃を仕掛ける。

 

「……馬鹿な!」

 

旗艦の日向が声を上げたその時にはもう遅い、流星改から放たれた爆撃が周囲を吹き飛ばした。

 

 

 

……存外、こんなものか?この程度なのか、他所の艦娘は?

 

 

 

「……いや、これは……」

 

 

 

「……驚いたぞ、まさか私達が制空権を奪われ、更に先制攻撃を許すとは……」

 

隼鷹の流星改の多くは、空を飛びながらも、ゆっくりと、真っ二つにズレる。

 

「……居合?」

 

……ふうん、やるやんか。あの日向、よく見ると航空甲板の裏にポン刀をくっ付けとるな。……じゃ、撃ち抜かれてる方の流星改は……。

 

「そう、瑞雲だ……!」

 

おー、おるわおるわ。瑞雲が奴さんの周りに展開されとる。こりゃあ、ちょっちキツイなぁ?

 

「制空権は取れたわね!じゃあ、行くわよー!!」

 

えらくウキウキの足柄が文字通り「消える」。……いやぁ、相変わらずおっそろしいわ。気配を消す、ってのも、ここまで来るとまるで魔法やな。

 

「それじゃ、私も行くわね?」

 

「…………」

 

如月、三日月も追撃。

 

「私も行きマース!龍驤!隼鷹!後ろは任せマスネー!!Follow me!!!」

 

金剛も突貫。……全く、近接は苦手なんやけどなぁ……。

 

「あいよー」

 

「あっはっはっは!!良いねぇ!!どれ、景気付けに一本…………、かーっ!美味い!!」

 

まーた飲んどるな。ま、隼鷹は飲んだ方が強いし、ええか。

 

じゃ、殴り合い、やな!

 

 

 

×××××××××××××××

 

「嘘?!!砲撃しながら突っ込んで来る?!!」

 

「成る程、大胆で、それでいて的確だ。……フンッ!……頭に真っ直ぐ、直撃コースの砲撃、か。これ程正確な狙いを付けられるなら、同士討ちの危険はないのだろうな。ならば、近付いて乱戦に持ち込むのもおかしく無い。……伊勢は空母と共に金剛達に対処、能代と矢矧は駆逐艦を」

 

「日向はどうするの?」

 

「私か?私は…………、こいつの相手だ!!」

 

……あら?バレちゃった?

 

「もう、痛いじゃないの!ちょっとは遠慮しなさいよ!!」

 

「ふん、後ろから大円月刀で斬りかかる奴に遠慮などするか」

 

まあ、それもそうね。……にしても、一瞬で終わらせるつもりだったのにな。……はぁ、帰ったらまた姉さんに叱られる……。

 

「……ちなみに、なんでバレたのかしら?」

 

「決まっている……、瑞雲のお陰だ。私の瑞雲は、私と視覚を共有しているからな。ほんの僅かに、私の後ろで、水しぶきが跳ねるのが見えた」

 

ふーん、そう。

 

「でも、自分の手札を晒すなんて、随分余裕ね?……舐めてるの、貴女?」

 

ムカつくわね。

 

真っ直ぐ、前へ。あのドヤ顔、叩き斬ってやる。

 

「それともう一つ、お前は殺気が強過ぎる!!!」

 

一撃目、顔面目掛けて振り下ろす。……防がれる。続けて二撃目、回転し、遠心力を活かした横薙ぎ。……防がれる。三撃目、大きく踏み込み、腰を使った横薙ぎ。……防がれる、が、日向の刀が砕ける。

 

「……成る程な、これは、受けきれん。……重巡だと思って、心の何処かで侮っていたのかもな。非礼を詫びよう」

 

日向は、砕けた刀を投げ捨て、航空甲板の裏にある、もう一本の刀に手をかけた。1、2、3本……。計四本、残り三本。雰囲気が更に鋭くなる。

 

「あら?今更謝っても手加減しないわよ?」

 

「だろうな」

 

……大円月刀を上段に構える。

 

「……私も一つ教えてあげるわ。……私はね、気配を消すのが苦手なの。妙高姉さんはもっと上手く消えるし、那智なら水しぶきなんて起こさない。羽黒なら、認識されない……」

 

「……何が、言いたい?」

 

「ふふっ、つまり私はね……、こう言うやり方が得意って事よ!!!」

 

全力で、踏み込んで、全力で、振り下ろす!!!

 

「ちぃっ!!!」

 

横に回避される。もちろん、織り込み済み。片手を大円月刀から離し、日向に向ける。同時に、手甲の手首部分に仕込んだ暗殺剣を伸ばし、そのまま突き出す。

 

「う、おお!!」

 

……ふーん、これも避けるの。そこそこ、出来るのね。

 

無様に転がって回避した日向に追撃、艤装の砲撃を放つ。

 

「無駄、だぁ!!」

 

崩れた体勢からの斬り払い……。まあ、それくらいはできて当然か。でも、攻撃の手は緩めない。……相手が居合を使うなら、刀を鞘に戻さないようにすればいい。

 

雷撃。そして大きく跳躍。

 

「おおおおお!!!」

 

日向は、魚雷を斬り払う。……だが、私に刃を向ける時間は無い!!今だ!!

 

……しかしその時、私の根幹、本能が警鐘を鳴らす。それに従い即座に身を引く。瞬間、私の前を通り過ぎる影。

 

「こっ、れは!!」

 

「……ふん、そうだ、瑞雲だ……。認めよう、貴女は、私よりも、強い。……だからこそ、私の持てる全てを使う。……ここにある瑞雲は、戦況把握の為、この辺りに飛ばしていたもの。それを全て、ここに集めた……。往くぞ、足柄……!!」

 

こっちに攻めて来る。あら、不味いわね。……そもそも、攻めるのは得意だけど、守るのは苦手なのよね……。ペースを握られちゃ不利ね。

 

「はぁ、嫌ねぇ、防戦はごめんよ……。だ・か・ら、雲隠れっ!!!」

 

「ッ?!!!煙玉?!!卑怯な!!!」

 

あら、「卑怯な!」ですって。随分と、可愛らしいことを言うのね?

 

 

 

「勝利こそが私の誇り……、あの人に捧げる勝利こそが……。それ以外に、何の価値があるの?……負けたら、何も残らない。誇りも、自分の命も、仲間の命もね……。……お喋りは終わり、さあ、往くわよ、日向?」

 

 

 

砲撃、雷撃、同時に移動。何度もこれを繰り返し、撹乱。

 

「ぐっ、お!こっちか?!」

 

日向の背後に移動、暗殺剣を頚椎に向けて振るう。

 

「ッ!殺気!!!」

 

あら、殺気に敏感だったわね、この子。引っ込めるのは苦手だし……、出してみようかしら。辺りを殺気で埋め尽くすかのように、殺気をばら撒く。

 

 

 

「…………?!!!、これは…………!!!」

 

 

 

あーあ、怯えちゃって、全然駄目ね。

 

 

 

……生唾を呑み込む喉、蠕動するはらわた、早鐘を打つ心臓の音。……獲物の音。

 

……脂汗、鋼鉄の艤装、詰まった火薬。……獲物の匂い。

 

……憐れな獲物の、精一杯の警戒の気配。

 

 

 

 

 

餓えた狼の前で、何と無力なことか。

 

 

 

 

 

「う、あっ!!」

 

両手首の暗殺剣で突きを放つ。肝臓、腎臓、膀胱、肺、心臓、脾臓、胃、腸……。そして首を掴んで、押し倒す。演習だ、刃を潰しているし、加減もしている。死にはしない。でも、まあ、

 

 

 

「私の勝ち、ね?」

 

「……ああ、参った」

 

 

 

 

 

ふふふ、提督、褒めてくれるかしら?

 

 

 

 

 




龍驤
艦載機の扱いが単純に上手い。その上、近接では合気を使う。

隼鷹
常に頭上に式神で作った雲を浮かべ、群のまま操り、目眩しなどに使う。相手の砲撃や艦載機を絡め取って掌握、自分の艦載機として再構成する。近接では、酔えば酔う程強くなる、酔拳の使い手。

足柄
アサシン揃いの妙高型では最も隠密行動が苦手。大型武器で力任せに体勢を崩し、その隙に急所を搔き切る。煙玉や爆竹などの小細工が得意で、旅人に勝利を捧げる為ならどんな汚い手でも平気で使う。

日向
瑞雲による視野の拡大、どんな体勢からでも繰り出せる超速の居合が武器。防戦は得意ではない。

旅人、女提督
若干引いてる。

青葉
新聞のネタができてよかった。

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