「やめよう????ねっ、やめよう????」
「やります」
「チョコなら俺がいくらでも作ってあげるから、ねっ!ねっ?!」
「やります」
「いやー、やめとこう?!ねっ?!やっぱり今年はナシで!はい、ナシ〜!」
「やります」
「やっぱりやめようよ!」
やめよう、やめてくれ!
「バレンタインは中止だ!!!」
「やります(蒼き鋼の意思)」
「はいレギュレーション規定!一、一人100gまで!二、異物混入無し!三、せめてチョコレートの範囲内のものを送ってね!!!頼むよ!!!マジで!!!」
「ですが、問題があります」
と、澄まし顔の大淀。
なんか俺、おかしいこと言ったかな……。
「一人100gでは、チョコレート細工などが作れません」
「そんなに凝らなくて良いんだよ」
「どうでしょう、今回はチョコレートコンテストという事にして、芸術点の評価も」
「えー……、まあ、良いよ」
確かに、お菓子は見た目も拘りたいのは気持ちが分かる。
「異物混入ですが、どの範囲までが異物なのでしょうか?」
「逆に聞きたいんだけど、それって聞かなきゃ分からないことなの????」
倫理観ボンドルドかなー????
もうマジで勘弁して?
「血液は良いですよね?」
「良くないね」
「体毛は?」
「良くないね」
「媚薬は?」
「良くないね」
一ミリも良くないね。
可愛いからって何しても許されると思うなよー?
「ですが、調理過程に誤って混入してしまう場合も……」
「あーもう、分かったよ!!!好きなもの入れて良いよ!!!」
畜生。
「それと、チョコレートの範囲内とは?」
「チョコレートなら、フレーバーはなんでも良いし、ケーキでも良いなあ。塩とか混ぜてみたり、ボンボンショコラにしても良いかもね」
「成る程」
「まあ……、食べ物ならなんでも良いよ。せめて食べれる物にしてね」
「はい」
そういう訳で……。
「はい、始まりました、黒井鎮守府バレンタインコンテスト〜……」
うう……、始まるよ……。
はい、まずは吹雪から。
「はい、どうぞ!」
「はい、ありがとね」
中身はー、おっ!良かった、普通のハート型のチョコレートだ!
ストロベリー味かな、いちごの匂いがするぅ待って血の匂いする。
「あの、血……」
「どうぞ!」
「あの……」
「どうぞ!」
「分かりましたぁ……」
うん、まあ……、艦娘の血液の味が仄かにする程度で、味は普通のストロベリーチョコだ。
「あっ❤︎司令官が私をっ❤︎」
なんか知らんけど吹雪がビクンビクンしてる。
吹雪は可愛いですね。
次。
「はい、どうぞ」
「はい、ありがとう」
陸奥。
陸奥かぁ〜……。
中身は……、お、ホワイトチョコのボンボンショコラだ。
中身は……。
クリームだ。
良かった、クリーム……、これ……。
これ……、陸奥の母乳入ってる。
母乳入ってる。
これ、これ……、母乳入ってる。
「あ、あの、陸奥……」
「あら、どうかしたのかしら?」
「いえ、なんでもありませぇん……」
まあ、母乳ならセーフ寄りだな……。
次。
「はい、どうぞ、提督さん!」
「はい、どうも」
ゆっりゆっらら。
由良。
大きなハート形の細工チョコー。
お味はどうかなー?
ざりっ。
………………ざりっ?
え?
これは……。
「髪の毛……?」
「お味はどうですか?」
「あ、うん、味は美味しいけどこれ髪の毛……」
「うふふ、良かったです❤︎」
んー……。
セーフ!
次。
「はい、どうぞ」
海風か……。
去年の前科からして恐ろしいのだが……。
「潮チョコレートですよ」
「へえ、塩チョコレートか」
正方形の板状の一口チョコレートが並ぶ。
一口ぱくり。
………………。
「君さあ」
「ですから、潮チョコレートですよ」
「下ネタかよ!!!!」
どこの潮入れてんだよ!!!!
はぁ、まあ良い。
次。
レーベ。
「はい、どうぞっ!」
「はい、どうも」
赤っ。
ちょっと待ってこれ何????
チョコレートってか凝固した血液なのですが????
え、待って、これはいけない。
食べ物じゃないよこれ。
「どうぞ!」
行けってか!愛とは躊躇わないことなのか!助けてくれギャバン!
ええい、あばよ涙!
「じゃり」
血液ィーッ!!!
砂糖を添加した血液!
凄いな、これをチョコレートと言い張る勇気。讃えられて然るべきだ。勇者王かよ。
ベッドの上でファイナルフュージョンしてるからな……。
俺のディバイディングドライバーは今晩酷使される運命にあるから辛い。
助けてくれ凱にいちゃん。
次ぃ!!!
「はい、どうぞ」
………………。
「あの、時雨さん」
「何かな?」
「君、右腕の肘から先どこにやったの……?」
「まあ、こんなものは輸血すれば治るさ。それよりも、さあ、僕のチョコレートを食べてもらえるかな?」
「……この、丁度、君の右腕の肘から指先までくらいの長さと太さの物体がチョコレートだと?」
「そうとも」
んー。
んーーー?
んー。
「さあ、君、食べたまえよ」
んーーーーーーーーーー。
「ばりっ、みしっ、ぐちゃ……」
んーーーーーーーーーー。
ダレカタスケテ。
ふう。
チョコレートと思い思いの重い思いでお腹が重いと思う。
もう嫌だ、誰か助けてくれ。
俺は何にも悪いことしてないのになんでこんな酷いことを……?
「それじゃあ、一月早めのホワイトデーをいただきますね!」
「吹雪ちゃんー。ちょっと待とうか」
「司令官は私の中にホワイトチョコを出してくれれば良いんですよ、寝ててください」
んーーーーーーーーー。
もう良いや、抱こう。
「吹雪ー」
「あんっ❤︎」
抗うことを諦めた。
バレンタインだからね、みんなに甘くして良いんじゃないの?
旅人
搾られる。