「保育園?」
「はい、黒井鎮守府の所有するビルの空きテナントに保育園を作ろうかと」
大淀のエントリーだ。
なるほど、保育園か。
良いんじゃないかな、多角経営は。
保育園とか利益出なそうだけど……、子供は国の宝だからね。利益度外視でやっても良いかも。
今の時代、共働きが当たり前で、子供は保育園に預けるのが普通みたいな流れになってきてる。
うーん、社会の情勢の良し悪しは語らないでおくが、とにかく、今はそういう社会の流れなんだ。
よし、それなら、保育園やってみようか。
子供達のために!
「良いね!保育士はどうするの?」
「私達がやります」
は?
「絶ッッッ対駄目。やめて」
「何故ですか?いずれ生まれてくる、提督と我々艦娘の赤ちゃんの面倒を見る予習と思えば」
お願いだから勘弁してくれ。
許してくれ許してくれ……。
預かったお子さんをミンチにしたら、両親にどんな顔して詫びれば良いか分かんないよ俺。
「大丈夫です、私達艦娘は常識的な行動をしますから」
「嘘だッ!!!(ひぐらし並感)」
「本当です、私が提督に嘘をつくことなどあり得ません」
俺は大淀のスカートをめくる。
「……パンツを穿くという常識も守れない人間に子供を預けられるかよ!!!」
「別にパンツを穿かずとも、子供の面倒は見れます」
くっ、このままじゃ議論は平行線だな。
よし、こうなったら!
「バーチャル保育園だ!VR世界で保育園をやって、君達がちゃんとできたなら、この世界にも保育園を作ることを許可する!!!」
「はい、了解しました」
そして、ここはVR世界。
そこに、バーチャル保育園児を用意して、バーチャル保育をさせる。
バーチャルと侮ることなかれ、この工廠製VR機器は、触感だけではなく、味覚、嗅覚まで完全にシミュレートする量子コンピュータだ。
バーチャル園児も、ほぼ百パーセントの再現率だ。
さあ、できるというなら、このバーチャル園児を一日面倒見てみろ!!!
さて……、どうだろうか?
大淀を見てみる。
「ねーねー、大淀せんせーは何でおぱんつ穿いてないのー?」
お、大淀め、この期に及んでノーパンを貫くか!!!
「先生はね、四六時中大好きな提督のことを考えてお◯◯◯が濡れちゃうから、パンツ穿いてないの」
「はい逮捕ーーーッ!!!」
大淀、退場!!!
次、長門。
「長門先生、抱っこしてー!」
「はっはっは!良いぞう!そーれ!」
「ぁああああ〜〜〜ッ!!!!」
長門は、高い高いと称して、子供を十メートルくらいの高さに放り投げてキャッチした。
「はい、退場ーーーッ!!!」
危険行為!
ポーラは……。
「バーチャルでも酔えますねえ〜。あ、君、お酒飲む〜?」
「クビだクビだクビだクビだー!!!」
子供に酒を勧めるな!!!
なんて奴らだ!
君達にはがっかりだ!
まさかここまではちゃめちゃだとは!
その一方で。
「ほーしょー先生ー」
「はあい、どうしました?」
「僕、眠い……」
「ああ、そろそろお昼寝の時間ですからねえ。先生がとんとんしてあげますから、おねんねしましょうねー」
流石は鳳翔……、ママ力強いぜ!
他は……。
「はーい、上のお口あーんしてねー」
「あーん」
「はい、持病のお薬飲めたねー、偉いねー」
「かしま先生ー、上のお口ってなあに?お口は一つしかないよ?」
「女の子は下にもお口があるんですよー」
「えー?どこー?」
「大人になったら、下のお口で男の子を食べることになるんですよー」
「こ、怖いよー!」
鹿島は……、まあ……、ちょくちょく下ネタ挟むけど、子供の面倒自体はみれている。
「ほーら、おやつやでー!」
「「「「わーい!」」」」
「こらこら、キミィ、零さんといてー?」
「ごめんなさーい」
「君はスプーンの使い方上手やねえ、偉いでー!」
「わーい!」
龍驤も子供の面倒を見るのが上手い。
だが……。
「僕、先生と結婚する!」
「は?」
「えっ」
「私の全ては旦那様に捧げていますから」
「えっえっ」
「私の全ては旦那様のもので、他人である貴方には一片たりとも『私』をあげません」
「びえーん」
時折キレるのがなー……。
うーん、これ、子守は全員無理そうだ。
「よし分かった、保育園は作って良い」
「では」
大淀が何かを言いかけるが、俺は言葉を続ける。
「だが!保育士は外部から雇うこと!週休二日と残業時間短め、年間休日120日は絶対に保証して!」
「はい」
「責任者は香取!」
「はい!」
香取が返事をする。
「艦娘は子供に干渉しないこと!」
「はい」
これならどうだ!
数日後……。
「黒井保育園、どう?」
「大繁盛です」
保育園って、繁盛してるって言っていいものなのかな……?
まあいいか。
大淀
ヤバい。
鹿島
よく下ネタを言うが、実は一番まとも。
旅人
精神年齢が中高生。