ちょっと街を一周しただけで十個くらいの突っ込みどころが出てくるの、本当に流石だなって思う。
ツッコミどころの例
・何で江戸末期にすしざんまいやらはなまるうどんやらドンキホーテやらがあるんや?
・江戸末期の頃、マグロはすぐ腐るからまずい魚扱いされてたのに、すしざんまいのマグロが売り?
・浅葱色の羽織、アレ、実際はダサいからみんな着てなかったらしいよ?
・からくり屋敷
・新撰組三番隊の仕事はダンジョンに潜ること?!
・土手っ腹に刀ぶっ刺して、脳天に銃弾ぶち込んでおいて、何で死なんのや?
・「このスタイルでは片手で銃を撃つので威力が低いです」とあるが、一瞬騙されかけたけど、銃は片手だろうが両手だろうが威力は変わらなくねーか?
私は、対魔忍の長。
井河アサギ。
今では、ほぼ一線を退き、対魔忍全体の指揮を執っているわ。
対魔忍……。
私達対魔忍は、戦国時代に活躍した『忍び』をルーツとする国防組織よ。
対魔忍については、私達が『対魔忍ランド』などを経営して、活動内容についてアピールしているから、誰もが知っていると思うわ。
表向きには、要人護衛や対テロの特務部隊……、と言うことになっているけれど。
裏では、魔界から現れる悪しき存在と戦っているのは、ほぼ公然の秘密よ。
流石に一般市民は知らないでしょうけど、裏社会の人間や政府関係者なら大抵は知っているわ。
魔界については……、まあ、私達も詳しいことは全くわかっていないわ。
ただ、言えることは、魔界は広大であると言うことね。
複数あるとも言われているわ。
嘘か真か、ここ、黒井鎮守府の長であるあの人は、「魔界の創造主と会った」とか言っていたけれど。
今回、私は、黒井鎮守府で開催された大規模なサミットに参加しているわ。
内容は、各国の様々な組織との情報交換と交流……。
対魔忍が今、驚くほど人手不足なのは、裏社会の人間ならみんな知っているわ。
詳しくは思い出すのも嫌になるのだけれど、とある対魔忍の一派が、魔界の存在に唆されて大量に離反してしまったの。
そのせいで、ただでさえ不足している人員がごっそりと消え去り……。
まあ、つまり、私の残業時間は官僚を超えていると言うことね。
普段は、黒井鎮守府に下請依頼を出して、どうにかこうにか回しているけれど、本当にもう限界なのよ……。
でも、これで一息つけるわ。
このサミットで、人脈を増やしたり、外部組織から人員を回してもらったりできれば……!
報告会が終わったわ。
報告会は、実に有意義な時間だったわね。
最近よく見かける生物兵器の類は、B.S.A.A.と言う、対バイオテロ部隊の方々から解説を受けて、弱点を教えてもらったわ。
対魔忍は、対魔粒子と言う特殊なエネルギーを身に纏うから、ゾンビに噛まれても、滅多にゾンビ化することはないんだけど……。
でも、最近は、知能があるタイプのゾンビが出てきて困ってたのよね。
話によると、昔のゾンビは、Tウイルスと言うもので無理矢理動かされていた動く死体に過ぎなかったそうだけど、最近のゾンビは、プラーガという寄生虫やCウイルスと言う新型ウイルスが使われたゾンビで、知能が高くて身体能力も高いそうなのよ。
もちろん、ある種の超人である対魔忍にとって、人間より強い程度のゾンビは怖くないわ。
でも、数の暴力で押されたり、新型ウイルスで強化されたクリーチャーに囲まれたりすると、私達としても厳しいところね。
それらの対処法についての情報と、ゾンビが大量に発生した際に応援を呼べるホットラインがもらえたのは、本当に助かるわ。
その他にも、キャプテンアメリカ氏から提供された、悪の秘密結社『ヒドラ』の動向と手口。
アサシン教団から提供された、『テンプル騎士団』の動向について。
ハンター協会や時空管理局などの、普段あまり前に出ない大組織との伝手も作れた……。
本当にもう、旅人さんって最高ね!
助かるわー。
もう良い加減に、黒井鎮守府への組織的な依存をどうにかしたいのよね。
ほら……、対魔忍って、女だから、よく敵に捕まるのよ。
私も、昔は、敵に捕まって肉体を改造されて、感度を三千倍にされたりしたわ。
思えば、その時に助けてくれたのも、彼……、旅人さんだったわね……。
あの人は……、本当に……、謎よね。
私を助けた理由も、「え?なんか美人が酷いことされてたから反射的に?」とか言ってたし。
そもそも、どうして魔界にいるのか?と聞けば、「定番の旅行先だから?」とか言うし。
なんなのあの人……。
うちの医師である桐生佐馬斗に身体検査をさせてみれば、ヒトゲノムとの一致率が52%で、内15%は、地球上のどの生命体とも一致しない、超特異な細胞でできているとか……。
まあ、その辺は良いのよ。私の部下にも、魔界の存在とのハーフとか、そう言う対魔忍もいるし、裏社会には半人外みたいな人が多いし。
人じゃないからと言って差別したりはしないわ。
むしろ、旅人さんは逞しくって私好みな男性だしね。
立場もあるし、気兼ねなく甘えられる男性は貴重なのよねえ……。
私の妹のさくらは、私のことをある程度は理解してくれているんだけど、周りの対魔忍達は、私のことを女と言うよりも、超人というか、生き神というか……、とにかく、堅苦しく扱うのよね。
それか、上層部に居座る老害共のように、人外扱いか……。
どの道、普通の恋人なんて見つかりっこないわね……。
いや本当に、男が女に逃避したい時があるように、女だって男に甘えたい時があるのよ。
まあでも……、旅人さんは、美人と見るや否や、際限なく甘やかしてくれるから、依存すると……。
「「「「提督ー♡」」」」
ああなっちゃうのよねえ……。
艦娘、だったかしら?
無垢な神霊……。
私も、一歩間違えればああなっていたのかもしれないと思うと、怖いわね。
旅人さんは用法用量を守ってお使いください、ってことかしら?
まあ、それを言えば、私は別の意味で依存してるけれど。組織的な意味で。
そう、もう本当に……、任務の下請けが!
現在、偵察任務の三割と、救出任務の六割が、黒井鎮守府さんへの下請依頼になっているわ。
これがどれほど異常なことだか分かるかしら?
救出任務の六割よ?過半数よ?
いや、確かに、捕まる対魔忍が悪いと言われればそれまでなんだけれど。
黒井鎮守府さんは、拐われた対魔忍を奪還したら、肉体と精神を治療したのちに送り返してくれる、アフターサービスもばっちりな企業さんなんだけど!
これには深い訳があるの……。
まあ、でも、簡単に言えば全部私が悪いんだけど!!!
……昔、ね。
エドウィン・ブラックって言う、魔界の王の一人を倒したことがあるの。
自分で言うのもなんだけど、伝説的な偉業よ。
だから……、対魔忍の若い子達は、みんな私に憧れてるの。
そうするとどうなったのか?
潜入や偵察が全然できない、脳筋武闘派集団の出来上がりよ……。
こんな事を言うと、老けたみたいで嫌なんだけど、最近の対魔忍は……。
直接戦闘能力のみに傾注するあまり、偵察や潜入のような任務や、相手の搦手に弱くなってるのよね……。
それに反して、黒井鎮守府さんところの艦娘さん達は、どんな任務でも卒なく熟すのよ?
直接的な戦闘能力は、私に匹敵するくらいに強くて、しかも、ハッキングや魔術などの専門知識を持った子達も多いらしいの。
そんな子達を借りて、どうにかこうにか対魔忍という組織を回しているのが現状よ。
良い加減、黒井鎮守府さんに借りを返さなくては……!
そう意気込んで、私は、黒井鎮守府さんの交渉担当の艦娘さんに話しかけた。
その日の夜。
「あああああ……、またやってしまった……!」
言いくるめられて、また借りを増やしてしまった……!
感度三千倍の人
国防の為に残業しまくるかわいそうな人。