ギャグ漫画をコンスタントに週刊連載する漫画家とかはマジで尊敬するわ。メンタルお化けかよ。
アイドル事務所、346プロダクション。
俺の古巣の一つであり、数多くのアイドルが在籍する事務所だが、ここは、表社会はもちろん、裏社会でも有名なんだよ。
「何故か分かるかい?」
俺は、青葉にそう訊ねた。
「はい、戦力が大きいからですよね?」
流石は青葉だ。
取材先について、あらかじめ調べておいたみたいだな。
だが、その答えじゃ満点はあげられないな。
「それもある。けれど、一番凄いのはそこじゃない」
「つまり?」
「うちと同じく、層の厚さが武器なんだよ」
そう、この346プロダクション。
所属するアイドルは、一癖も二癖もある子ばかりの、戦うアイドル事務所なのだ!
え?ほら……、戦う交通安全がアリなんだし、戦うアイドル事務所もアリでしょ。
もちろん、積極的に戦う訳ではないが、有事の際には一流並みの技能を持った戦闘アイドルがたくさん現れる。
『蒼の力』なる観測不能の謎エネルギーを操る、デビルサマナーである、天使の転生者である……、などなど、強大な力を持ったアイドルが山ほどいるのだ。
葛葉の血縁者や、表向きには『断絶したことになっている』ロマノフ朝の正統後継者、メシア教枢機卿の娘など、ある種黒井鎮守府よりもヤバい存在がゴロゴロいる。
扱いによっては、世界のパワーバランスとか政治とかが壊れちゃうような厄い血の子がね、たくさんいてね。
うーん!火薬庫みたーい!
そこに取材?正気か青葉。
「気でもくるったのかーっ!(目玉親父並感)」
「私は正気です!」
まあじゃあ、一応やる?
インタビュー。
どうなっても知らないよ?
良いのね?
本当に良いのね?!
そんな訳で346プロにやってきた我々。
おっと、アーニャだ。
「久しぶり、アーニャ」
「あ……、久しぶり、ですね」
「えー、こちら、アイドルのアナスタシアさん」
俺は、アーニャを青葉に紹介する。
「苗字の方は……?」
青葉がそう訊ねる。
「……ロマノヴァ」
俺がそう答える。
「うーん……、厄ネタ!!!」
「だから言ったんだよ俺は!!!」
ねっ、聞かない方が良かったでしょ?!!!
「アー……、Ты в порядке?大丈夫、ですか?」
アイドルらしいキラキラの微笑みを見せるアーニャ。
「大丈夫ですよ?私の臣下は、そう多くはいませんし……。ロシアを取り戻そうとは思っていません」
「イヤーッ!それって、独自の戦力を持ってるってことじゃないですかぁーーーっ!!!」
青葉が悲鳴を上げる。
「因みに、アーニャ本人はレベル90相当のデビルサマナーだ」
俺が耳打ちする。
「準葛葉級ーーーッ!!!」
青葉が叫ぶ。
実際、話を聞いたところによると、旧ロマノフ家を信仰しているのはほんの数個師団ですよーとか言ってたが、割とマジで洒落になってない。
王としての血もヤバい。
つまりはまあ、ここはそんな感じだ。
メシア教の最大派閥たる『救済派』の長を務める枢機卿の一人娘にして、大天使サンダルフォンの転生者であり、教皇から聖女の認定を受けたクラリス。
ガイア教屈指の大派閥である神道派のボスの一人娘にして、天津神アマテラスの転生者であり、ガイア教の巫女に認定されている依田芳乃。
うちの雪風並みに運命の女神に愛された存在、鷹富士茄子。
聖人ノアの転生者にして、預言者の力を持つ、高峯のあ。
伏見宮の血筋の遊佐こずえ。
カワイイ幸子。
とにかく、ヤバい存在が揃っている。
政治的にって意味だけじゃなく、血に価値があり過ぎる。
伏見宮の血筋とか、何らかの霊的な儀式をやる時の素材として考えれば、これ以上ないほどに上等な素材なんだよなあ。
生贄にでもすれば、神話の主神クラスの本体を召喚できるレベルだ。
もちろん、そんなことになれば地球が壊れる。
そんな厄ネタの塊が、この346プロって訳。
ついでに言えば、事件は既に何度も起きていて、過激派のメシア教徒がクラリスを誘拐して『偽史神:ヤルダバオト』を召喚しかけたり、過激派のガイア教徒がよしのんを攫って『魔王:マーラ』を召喚しかけたりもした。
その度に俺は残業して、馬鹿な奴らを蹴散らしながら救出任務に参加していたぞ。
まあうん……、その過程で数え切れないほどパトってきたけど、最近はもうカロンの爺さんに「また来たのかこいつ……」みたいな顔されるようになってきたなあ。
流石に仕事増やすのも申し訳ないから、出来るだけ殺さないでと艦娘には伝えてあるが、どうだか。
そうじゃなくても、特に何もなくても月一くらいは死んでるからね。
今度はカロン爺さんに手土産でも持って行こうか。
「ど、どうしましょう……?こんなの、記事にできませんよ……!」
「うーん、まあ、公然の秘密って感じだから、そこまで気にしなくても平気だよ」
「本当ですか……?」
「まあ、記事にしたら狙われる可能性も高いけどね!」
「ほーら!やっぱりー!!!」
ぶっちゃけ、結構ヤバい感じだよね。
公然の秘密をあえて口に出すとか、無粋とかそういう話じゃなくって、敵が増えそう。
いやそりゃ、業務改善のために声を上げよう!とかならまだしも、隠すべき厄ネタを掘り返して、面白半分で吹聴するとかはね。
沈黙は金だゾ。
そんな訳で、青葉も記事化を諦めて、個人的なインタビューのみで済ませた。
青葉はその辺り、アホではないので、手を出すべきでないことにまで首を突っ込んだりはしない。
なんか最近は、不法侵入したけど記者だからセーフ論みたいなのが流行ってるらしいが……。
青葉が欲しいのは、黒井鎮守府の役に立つ情報であり、ゴシップではないのだ。
旅人
プロデューサーとしての仕事をする時は、Pヘッドを被っていた。
アナスタシア
厄いアイドル。
青葉
世の中のマスコミよりかは倫理観がある。