恐らくは艦娘だな!
俺を助けに来てくれたんだ!
いや別にまゆにならいくらでも逆レされても構わないんだけど、一応ここは助けてられておくか!
「おたすけー!」
現れたのは……。
んん?君はもしかして……?
「私だよ」
渋谷凛ちゃん?!!!
うわああああああああ!!!!
こーれは死ゾ。
んっんー、なんかもう笑えてきたな。
極度にピンチだと笑っちゃうタイプだよ俺は。
「ハハッ、ワロス」
嘘ゴメン、この程度ピンチの内に入らない。
霜踏みが弱体化されたことと比べればこんな程度……。
「プロデューサー、何してるの?」
おっと……、その前に解説させてもらおうッ!
俺はお節介焼きの旅人!
……渋谷凛。
総ファン数十億人を超える神プロダクション★★……、その名声は天上天下に轟き、魔界や天界にすらファンが存在するという超弩級芸能事務所、『346プロ』にて、トップ級とされるアイドルオブアイドルだ。
黒髪ロング、少しキツめの表情をした、正統派女子高生クールアイドル。
そして。
『蒼の力』と呼ばれる超能力を操る、一種の現実改変能力者でもある。
『蒼の力』は、簡単に言えば、周辺のヒューム値を限りなくゼロに近づける効果がある一種の半オーラ的幽幻物質だ。
ヒューム値というのは、平たく言えば「現実の確かさ」を数値化したものなのだが、『蒼の力』はこれを著しく低下させる。
近似の物質として、日本某所で採掘可能な鉱石である『サンドスター』に酷似した性質があるのだが……。
『蒼の力』は、サンドスターよりもよっぽどタチの悪い力なのだ。
サンドスターは、自身のヒューム値を限りなく上げることにより現実を改変する物質なのだが、『蒼の力』は逆に、周囲のヒューム値を下げるのだ。つまり、真逆の性質を持つという訳だな。
それが何を意味するのか?
サンドスターは主に内側に作用するのに対して、『蒼の力』は外側に作用するということ。
うん、ぶっちゃけて言おう。
しぶりんが悪意をもって『蒼の力』を全力行使すれば、半径数百キロに渡って現実が崩壊する。
しぶりんは、普段は、この力を歌に乗せて使っているのだが、その効果は、周囲の現実を少し改変して人々の輝きを引き出すというまともな方向。
現実改変というと怖く聞こえるが、単純に言えば、『想いを伝えやすくする力』という、実にアイドル向きの能力なのだ。
つまり何が言いたいのか?
「凛ちゃぁん……?私とプロデューサーさんの仲を邪魔するんですかぁ……?」
「何言ってるの?私のプロデューサーでもあるんだけど」
「私の運命の人なんですけどぉ……?凛ちゃんはお空の世界でハンサムな騎士さん達を引っ掛けていればいいんじゃないですかぁ……?」
「まゆこそ、あのメンヘラ臭いサンリオキャラと戯れてればいいじゃん。お似合いだよ」
「メンヘラ臭い?プロデューサーの匂いこっそり嗅いでる変態さんよりはマシですよぉ」
「あはははは」
「うふふふふ」
「「……潰す!」」
狂気のカーニバルの開幕だ。
「うーん、この」
片や、無限の蒼穹。
永遠の蒼が、透き通る空色が、全てを希薄にしてゆく。
片や、煉獄の呪怨。
永劫の紅が、恐ろしき血色が、全てを塗りつぶしてゆく。
やべー女同士のガチバトルか……。
何だか興奮してきたな……。
歌うか。
「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!!!」
「「は?」」
おっとぉ?
「どうせなら私の歌を歌ってもらえる?」
「どうせなら私の歌を歌ってもらえますかぁ?」
うーん!
何やっても火種!
いや、既に山火事だし平気ですね!
はい、一歩踏み込んで、と。
「じゃあカラオケ行こうよ」
「「でも……」」
「まあまあ、数少ないオフの日をガチバトルで終わらせちゃうなんて勿体無いでしょ?」
「まあ」「それはそうですけどぉ」
「他のオフの子も誘ってさ、遊びに行こう!」
「……仕方ない、か。まゆ、一時休戦ね」
「ええ、プロデューサーさんに迷惑はかけられませんからねぇ」
良かった!
仲良し!
「ところで、実際は仲良いの?」
「……まあ実際、嫌いではないよ」
「普通に、お友達だとは思っていますよぉ」
あ、ふーん。
つまり、俺が悪いのか。
時代や環境のせいじゃなくて……、俺が悪いんだよ……!
俺が銃フェラからの「だめだね」を熱唱しようとすると……。
「そこまでにぃ☆」
何者かに止められた!
い、一体誰なんだー?!
まゆ
かわいい。
しぶりん
かわいい。
旅人
諸悪の根源。