でも、あまり会社を休めないし……。
一転攻勢!
俺達は、ニャルの化身をボコボコにしながら直進する。
「えい!」
比叡が砕く!
「やあっ!」
ビスマルクが貫く!
「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」
俺がBGMを担当する!
抜群だ……、抜群のコンビネーションだ……!!!
「ヘーイ、提督ゥー、危ないので退がっていてくださいネー」
「アッハイ」
「で、提督?作戦はどうしマスカー?」
金剛が俺を抱き上げながら聞いてきた。
作戦!
作戦は……。
「ないよ」
「え?」
「作戦はないよ」
「えぇ……?」
だって、ねえ?
「この世界の人達が真っ当に働けば、ニャル程度に負ける訳ないんだよなぁ……」
俺は、脳内の『瞳』で、世界を観測する……。
日本、東北地方。
「ヒョーーーッ、シャオッ!!!!」
『?!!』『!!!』『?!?!』
白髪の、男が、空を舞う。
ブラック企業に捕まり若白髪になった男だ。
今は、俺の紹介で『財団』のエージェントとして働いている。
その男の名はレイ、南斗水鳥拳の使い手。
真空の刃を発生させた手刀で、鉄をも切り裂くという拳法。
「ぬおおおおっ!!!畜生どもめえ!俺は今日、やっと取れた有休なんだぞ?!!!」
『『『『!!!』』』』
「何が『財団』のエージェントだ!またブラック企業じゃないか!アイリにももう半年は会えていないんだぞ?!ふざけるなぁ!!!」
『『『『?!!!』』』』
日本、東京。
「隼の術———」
黒髪の色っぽい女が。
刀を構えたまま、姿がブレる。
古いビデオテープの映像のように。
雷を操るとか、風を操るとか、そう言ったド派手な能力を持った『対魔忍』の中でも、ただ単に『早く動ける』だけの、それだけの能力なのに……。
最強の対魔忍の名をほしいままにする、この女は。
「———殺陣華!!!」
井河アサギ。
対魔忍の頭目である。
百を遥かに超える分身体。
これらは全て、限りなく『早く動いている』アサギの残像である。
それらの分身体は、それぞれが町中に広がり、ニャルの化身を一太刀で両断してゆく。
「召喚……、『前鬼』『後鬼』」
『『ゴアアアアッ!!!』』
鬼を呼び出し、刀を振るうのは、帝都の霊的守護の要たる、『ライドウ』。
今代の、葛葉ライドウである。
日本、海上都市新浜県。
「少佐ァ!何なんだあれは?!」
「知らないわ。でも、治安を乱す存在で、そして銃弾が効くなら、私達でも対抗できる」
「けっ、こんなの、『ヤタガラス』とやらの領分だろうが!三流アクション映画じゃあるまいし、なんで俺達が化け物相手に……」
『バトーさん、追加の弾薬ですー!』
『黒井鎮守府の方から流れてきた、退魔弾薬がよく効きますねー!理論はこれっぽっちも分かりませんけど!』
「タチコマ!火力が足りないわ、他の部隊にも援護の要請を!」
『わっかりましたぁー!』
青い小型ロボと共に戦うのは、公安九課。
日本だけではない。
イギリス……。
「お前は豚の餌だ」
『『『『?!!』』』』
「エイメェエエン!!!」
『『『『?!!』』』』
吸血鬼と、神父が踊る。
中国……。
「無寸勁……」
『?!!』
「石破!天驚拳!!!」
『『『『?!!』』』』
中国武術の頂点たる海王が、マスターアジアが。
アメリカ……。
「ジャービス、このままでは埒があかない。予備のスーツを遠隔操作して、人々を守れ」
『よろしいのですか?今期の予算は……』
「構わんさ、金より人命だろう?」
『了解しました』
「通信回線オープン……、キャプテン!そちらはどうだ?!」
『順調だ。ソーの攻撃がよく効く、恐らく敵は神秘関係だろう』
「そうか、それは面倒だな。私は《鉄の男(アイアンマン)》だからな、魔法やら何やらは専門外だ」
『そちらにはスパイダーマンを回した、協力してくれ』
「分かった」
ヒーロー達が。
世界の全てが、理不尽に抗っている。
「確かに、この世界はこうやって、定期的に滅びそうになるヤバいところだ。だけど……」
そう、だけど。
「世界はこんなにも、素晴らしい!」
英雄達が吼える、声が聞こえる。
そう、そうだ。
黒井鎮守府なんて、本来は不要なんだ。
だって、この世界には英雄がいるから。
俺が手を出さなくても、英雄達は、愛おしき我が友人達は、世界を守ってくれる。救ってくれるんだ。
俺は、俺達はただ、その手伝いをすれば良い。
俺は英雄にはならないし、なれないが。
英雄達を助けることはできる。
黒井鎮守府の中でもそうだ。
強く美しく、海の平和を守る艦娘達。
俺は、それと肩を並べて戦えるような存在じゃない。
だが、彼女達を守ることはできる。癒すことはできる。
俺はそうする、そうするんだ。
旅人号二号!発車!
ニャルの化身共にひき逃げアタック!
そして、窓を開き……。
「こんにちは!デリバリーです!ご注文の品をお届けしましたぁ!!!」
俺は、戦闘中のアサギとライドウさんにおにぎりをパスする。
「「えっ頼んでないんだけど」」
「まあまあ、そろそろ休んだら?うちの子代わりに連れてきたから、交代ってことで」
「「は、はあ」」
「じゃあ俺、他のところにも宅配しなきゃだから……」
旅人号一号!離陸!
そう言って俺は、飛行する旅人号から、戦闘中のスーパーロボット部隊に突撃する。
『新台さん?!危ないですよ?!!』
「甲児くぅーーーん!!!昼メシの時間だーーー!コクピット開いてホイ!!!」
「ああもう……、分かりました!ほら!」
「受け取れぇーっ!!!渾身のシャケおにぎりだあああっ!!!!」
「ありがとうございます!!!」
「どういたしましてぇ!!!!」
さあさあ、まだまだやるぞ。
「うおおおお!英雄の皆さーん!飯の時間だぞーーー!!!」
《旅人謹製パイロットおにぎり》
パイロットのSPを100回復。
1マップにつき、1回のみ使用可能。