途中で何人かの生存者を拾いながら、集団で集まって協力しながら移動……。
俺は、幼女を抱っこしながら移動して、知り合いの銃砲店に辿り着いた。
「ダディはね、てっぽう屋さんなの。けーさつの人とお友達なんだって」
「そっかぁ〜!エマちゃんはかしこいなあ!!!」
幼女は、かわいい。
かわいいので全て許される。
「ダディは、ロバートって言うんだー」
「……ロバート?ロバート・ケンド?」
「お兄さん、ダディの知り合いなの?」
ロバートさんと言えば、この近所の銃砲店の店主だ。
ジルさんにこの前紹介されたな。
それに、銃砲店なら武器もあるはず……。
とりあえず、そこに向かうか。
っとぉ……?
「撃て!撃てー!」
「おい何してる!バリケードを抑えておけ!」
「馬鹿!前に出たら……!」
ケンド銃砲店はどうやら、バリケードを築いて籠城中のようだ。
「イクゾーーー!!!!」
「「「「おおっ!」」」」
俺は、六角棒をぶん回して、ケンド銃砲店に群がるゾンビを殴り殺す。
ついてきた生存者達も、思い思いの武器で応戦してくれた。
「おおっ!あんたは、旅人!」
「ロバートさん、生きてたんですか?しぶといですねえ。あ、娘さんお返しします」
「ダディ!」
「エマ?!あんた、俺の娘を守っていてくれたのか?!!」
「いやあ、かわいかったんで拾ったんですが、まさか貴方の娘さんだとは」
「……やらんぞ?」
「アッハイ」
さて、ケンド銃砲店に集まった生存者。
合計で二十人くらいかな?
我々は、人海戦術でそこら辺から車や物資を運んできて、銃砲店を要塞化した訳だよ。
そこで俺は軽食を作り、配り歩っていた。
「だから、原因を究明しないとだな……」
「逃げることの方が先決よ」
「しかし、何も考えずに歩って逃げるのか?」
「車を使えば……」
「いや、それは無理だ。道路は車でいっぱいだからな、車は動かせそうにない」
「クソ、国は何をやっているんだ?!」
「はーい、ご飯だよー。イライラしてる人は甘いものもあるよー」
「「「「あ、はい」」」」
「エマちゃんもお兄さんとご飯食べようねぇ!」
「わーい!」
ご飯を食べられないとお腹がすくじゃないか。
お腹がすくと怒りっぽくなるじゃないか。
怒ると胃に悪いんだ。
胃が悪いとご飯が食べられなくなるんだぞ。
ご飯が食べられないとお腹がすくじゃないか。
つまりそういうことだ。
「さて、食べながらでいいから聞いてもらえます?」
俺は、ホットドッグ齧りながらこう言った。
「このままだと、どの道全滅する」
と。
「質問は後回しにして、とりあえず聞いてくれ。今回のこのゾンビは、アンブレラ社のウイルスが……」
………………
…………
……
「……と言う訳だね。だからつまり、これから俺達は、『脱出手段を探す』ことと、『Tウイルスのワクチンを探す』必要がある訳だ。両方をやらなくっちゃあならないってのが、生存者のつらいところだな」
「「「「………………」」」」
俺がそう言うと、一気に落ち込む生存者さん達。
えぇ、困るよ。
男は割とどうでもいいが、美人が辛そうにしているのは耐えられない。
俺の勘だとどうにかなりそうな感じだし、そんなに深刻な話じゃないんだけども……。
それにさあ。
「脱出手段は最悪(魔法で)どうとでもなるから心配なし。問題のワクチンだが、保存場所は既に分かっている」
「「「「おおっ!」」」」
俺は、ラクーンシティの地図をべろりと卓上に広げる。
「ここだ」
赤いピンで刺したのは……、「ラクーン大学」だ。
まあほら、大学病院ってやつだよね。
基本的に街ごとグルなんで、市の直属の大学が悪の組織の研究所になっててもおかしくない。いや、おかしいが。
そんな時。
「誰か!そこにいるの?!」
と、バリケードを叩く人の声が聞こえた。
この声は……。
「ジルさん!」
「ジルさん!生きてたのか!」
俺はジルさんに抱きついた。
「やあっ!」
「グエーッ」
そして、普通に投げ飛ばされた。バリケードの一部となっている棚に頭が突き刺さる。
そのままの状態で、俺は会話を始める……。
「ジルさん、今までどこに?」
「皆と一緒に行動していて……、途中でアンブレラ社の特殊部隊と会ったわ」
そこにいたのは、ブラッド、バリー、レベッカなどなど。
洋館事件で俺が助けたりなんだりして生き残ったS.T.A.R.S.のメンバー達がいた。
「へえ」
「アンブレラ社の特殊部隊は、一応、敵ではないみたいね。地下鉄で脱出しようと市民を集めているわ」
ふむ。
「ジルさん、悪いが、それはやめておいた方がいい」
「……何故?」
「ここにいる全員、既にウイルスに感染しているからだ。逃げてもどの道、逃げた先でゾンビになる」
「……そんな!」
ショックを受けるジルさん。
いや、皆、顔面を蒼白にしている。
「だが、ラクーン大学にワクチンがあるらしくてさ。俺はそれを手に入れるつもりだ」
「手伝わせて。私は戦うことしかできないけれど……、ブラッドは化学についての知識があるから、ワクチンについて何かわかるかも」
「助かる」
「私は、アンブレラ社の特殊部隊に、ワクチンの情報について伝えてくるわ」
ああ、この頃はPHSとかでなあ。
街のどこでも4G通信とはいかないんだ。それに、バイオハザード騒ぎで通信網が遮断されている。
だから、連絡するのにも人が移動しなきゃならない訳なんだよね。
「分かった。こちらで避難民を受け入れるから、そっちはそっちで動いてね。あ、それと、大学からガメて来たワクチンの構成式が尻ポケットにあるから、ブラッドに見せて」
「ええ……。これね?ブラッド」
「ああ」
そして、生存者の中にいた医者のジョージと名乗る男も書類を読み始めた……。
ビスマルク
「へえー、こんなことがあったのね」
「ラクーンシティ事件の真相、初耳だわ」
アイオワ
「oh……。MEの世代が命をかけて守ったアメリカの未来がこれなの?流石に怒りを覚えるわね」
「許せないわ、アンブレラ!」
旅人
「まあうん……、この当時の俺はまだ弱かったから」
「守れなかった人も多いんだよなあ」