旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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今日、近所のラーメン屋に行ったらおっさんばかりでした。いつもはバイトの子を含めて若い子ばっかりなのに。悲しいなぁ。




59話 おねショタ疾風伝 地

「俺さ、自分のこの、しっかりとフラグを回収する所、好きだわ」

 

 

 

「きゃー!きゃー!かわいい!かわいい!!」

 

「提督、あーんですよ、あーん」

 

愛宕と加賀、おねショタの総本山の人達に捕まった俺。

 

経緯など特に無い。工廠のドアを開けた時点でとっ捕まった。……そう言えば、空母の皆んなに監視されてたっけ、俺。

 

今は、休憩室のソファーに座った愛宕の膝の上。

 

何故か、加賀に餌付けされてる。

 

何これ。

 

「そ、その、帰って良い?」

 

「お姉さんに沢山甘えて良いんですよ〜?」

 

「癒し、これが癒し……。成る程、流石に気分が高揚します」

 

「駄目だ、話が通じねぇ……!」

 

完全に自分の世界に入ってるこの二人。

 

この姿じゃ、イケメンパワーで乗り切ることも不可能。力づくで逃げ出すと、この子達が傷つく。どうする?

 

 

 

その時である。

 

「あら?愛宕さん、加賀さん?……その子は?鎮守府に部外者を入れちゃ駄目じゃないの!」

 

叢雲!助けて!

 

「あら〜?大丈夫よ〜?身内だもの、ねぇ?」

 

「この子は私の弟です(錯乱)」

 

「はぁ?何言ってんの?……待って、なんだか、この子、見覚えが……。………………も、もしかして、し、司令官?」

 

「助けて叢雲」

 

「司令官?!!司令官なの?!!」

 

「そうそう、説明は省くけど、なんだか小さくなっ」

 

が、愛宕に口を塞がれる。

 

「うふふ、違うわよ〜?」

 

「弟です(混乱)」

 

「駄目ね、話が通じないわ……!」

 

そして、騒ぎを聞きつけて集まる艦娘達。

 

 

 

「提督?!提督なの?!そんなにかわいい姿になっちゃって……」

 

那珂ちゃん……。

 

「……良し、じゃあ、ちょっと女装して、那珂ちゃんとトップアイドル目指そう!!大丈夫、女装した男性アイドルがこの前テレビに出てたから!!」

 

なんでや!!

 

「て、提督……。貴方は大物になるって思っていたけど、まさか小さくなるなんて……」

 

五十鈴……。

 

「こうなったら、私が責任を持って、立派な男になるまで育ててあげるから!!」

 

なんでや!!

 

「な、なんやて?!司令官が子供に?!!……ほんまや!かわいい!!ほーら、司令官ー?飴ちゃんやるでー?こっちおいでー?」

 

「龍驤、今の時代にそれやると、男女関係なく不審者扱いで捕まるからな、注意しろよ」

 

「なんでや!!」

 

 

 

くっ、不味いな、収集がつかなくなりそうだ。

 

仕方がない、肉を切らせてなんとやら、だ。喰らえ!

 

 

 

「愛宕姉さん、そろそろ離してよ?……愛宕姉さんの顔が見たいな、僕」

 

「そ、そうね!私も、提督の顔が見たいわ!」

 

はい、解放。

 

……吐きそう。なんだよ、愛宕姉さんって。辛いわ。俺、何歳だと思ってんだ。死にたい。

 

さあ、今のうちに……、ん?

 

「お姉ちゃんです(半ギレ)」

 

加賀ァ!!呼べってか!!

 

「ぐっ、か、加賀お姉ちゃん?お菓子、ありがとね!美味しかったよ!」

 

「………………」

 

無言のガッツポーズ。なんなん?言っておくけど、中身は◼︎◼︎歳だからな?

 

まあ、なんにせよ、これが我が逃走経路だ……!!

 

「とうっ!」

 

「あ、逃げた!」

 

すまんな、おねショタは好きじゃないんだ。

 

そろそろ夕食の仕込みもあるし。じゃ、食堂へ。

 

 

 

 

 

「…………と、言う訳で、今日のメニューは和食中心ね!鳳翔さん、よろしく!」

 

「旦那様、お母さんですよ〜!」

 

畜生!こっちも狂った!ひどい、世も末だ……!

 

「鳳翔さん……」

 

「はっ!い、いや、こ、これは……。そ、そう!練習です!練習なんです!い、いつか私もお母さんになる訳ですから!ねっ?!……ねっ!!」

 

ねっ、じゃないが?流石に、お母さんはキツイんだけどなぁ。でも、言わなきゃ駄目そう。

 

「はぁ……、お母さん?今日の晩御飯は?僕も手伝うからさ、早く作っちゃおうよ?」

 

「はぁぁぁん❤︎」

 

鳳翔さん……。

 

「じゃあ、私達はママ、ですかね、伊良湖ちゃん?」

 

「そうですね、間宮さん!」

 

だから、じゃあ、じゃないが?……まあ、ママならそんなに。スナックとかだと思えば。

 

「ま、間宮ママ、伊良湖ママ?サボっちゃ駄目だよ!お料理の時間なんだから!」

 

「「はーい❤︎」」

 

ああ、辛い。下手すりゃ君らくらいの娘がいてもおかしくはないんだぞ、俺……。

 

とっとと飯作ろう。拒絶反応で死ぬ前に……。

 

 

 

「チカレタ……(小声)」

 

「……司令官、大丈夫?」

 

弥生に慰められる俺。駆逐艦に混ざれば違和感無くね?と思って来てみた。いつもの場所だとおねショタの総本山の人達に捕まりそうだし。

 

「あれは、駄目みたいですね(冷静)」

 

「……私と同じぐらいの大きさなのに、いつもと食べる量は変わらないんですね」

 

吹雪、引き気味。そう?いつもの半分くらいだけど。

 

「にしても、君らは特に反応無し?助かるっちゃあ助かるけど。……こら、暁!好き嫌いしないの!」

 

「うっ、ピ、ピーマンは勘弁してぇ……」

 

「駄目だよ!暁!関東野菜連合にシメられるよ?」

 

「関東野菜連合?!!!」

 

実際に俺の知り合いのアフロは何度か殺られたからな……。

 

「にしても、こうしてみると、兄弟みたいだねー。……あ、提督?良ければ後で私の部屋に来て?新刊落としそう……」

 

「あいよー」

 

オータムクラウド先生、ピンチ。……それと、姉妹がいなくて寂しそう。……そもそも、艦娘という時点で、親はいない、姉妹はいたりいなかったり、そして、人間とは埋められない身体能力の差があるからな。

 

皆んな、孤独だ。……憐れんでやれる程人間が出来ている訳じゃないし、共感できるような繊細な精神は持ち合わせちゃいない。でも、こんなかわいい子達が寂しい思いをするのは許せん。

 

「……そろそろ、建造とかするか?皆んな寂しいだろ?」

 

「……別に?」

 

「えっ?」

 

そうなの?

 

「まあ、仲間が増えたら嬉しいけどね。……それより私達は、司令官に子供扱いされる方がずっと寂しいよ」

 

望月……。意外なこと言った。

 

「そうねぇ、こんな見た目でも、私達は子供じゃないのよ?ちゃんと女の子扱いしてくれなきゃ嫌よ〜?」

 

如月が非難するかのような目をして言う。けどよぉ……。

 

「自分の娘くらいの年頃の子を本気で口説くのもさぁ……」

 

「あら?今は貴方も子供よ?」

 

これは一本取られた。そうか、今は子供か俺。

 

「そっか、そうだな。……でも、まあ、姿形が変わろうと、俺が俺であることは変わらないし。駄目なもんは駄目だよ」

 

「はぁ、凄いわねぇ、提督は。……私はね、ちょっと怖いの」

 

「何が?」

 

「艦娘ってね、どんなに怪我をしても、入渠すれば治っちゃうんですもの……。時々、自分が何なのか、分からなくなりそうで……」

 

頬に手を当て、憂いを帯びた顔で言う如月。

 

周りの艦娘達も、如月の言葉に同意するかのように首を縦に振る。

 

アイデンティティの欠如、か。うむ、前までと違って、各々「自分自身」を形成できているようで何よりだ。

 

えーと、何だったか、欲求の五段階説、だっけな。つまり、今の艦娘達は、衣食住や安全、所属などの低次の欲求は満たされ、今度は、尊厳や自己実現などのより高次な、内的な欲求を持ち始めた、と言うこと。

 

欲望は大事だ。満たされないからこそ、行動を起こす。行動を起こすことは、結果はどうあれ素晴らしい。

 

そしてまた、自己について悩み、答えを求めるうちの艦娘達は、より高次な知的生命体となった、と言える。

 

「素晴らしい、素晴らしいな君達は。……自分を探すこと、自分が何なのか考えること、それはとても大切なことだよ」

 

……人生は楽しむもの、それが俺の自論だが、そもそも楽しむというのは本人の感性による。そして感性とは、自分の中にあるもの。故に、自己実現とは感性の強化、「楽しみ方」の強化に他ならない。自分自身を磨けば、世界はもっと面白く見える。

 

「……もう、提督って、たまに難しいこと言うんだから」

 

「すまんな。……でも、少なくとも、俺は皆んなのことをちゃんと見ているから。どんどん新しい自分を探して、俺に見せて欲しい。それが俺の望みだよ」

 

そして、自己実現を成し、他人に自らの心を伝えられるようになること。自己を通して何かを創り出すこと。それこそが本当の「モノづくり」だ。

 

つまり、DIY精神は世界を救う……!

 

 

 

「もう!私のどこを見たいのかしら?しょうがないにゃあ……、良いよ?」

 

……物理的にって意味じゃねえけど、まあ、見れるんなら見とくか。如月、かわいいし。

 

 

 

この後無茶苦茶見た(意味深)。

 

 

 




おねショタ総本山の人達
おねショタものが多い気がする。

艦娘達
旅人のショタ化によって、一部喜ぶ子もいれば、大人の方が好みの子も。中には、匂いが変わったせいでエラーを起こす子もいるとか。

関東野菜連合
野菜を残した奴の元に現れ、リンチして帰っていく謎の族。よく黄色いアフロがピーマンを残してボコられる。

旅人
考えてないようで考えてる。

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