旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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独自設定マシマシでお送り致します。

あと御都合主義もマシマシで。

全マシマシの豚の餌みたいだぁ。




6話 働きたくない

「ヒェー!働きたくない!!働きたくないよー!!!」

 

アルバイトならまだしも、定職に就くのはごめんだ。デメリットしかないもん。態々ちゃんと働かなくても、知り合いのヒーローみたいに女の子のヒモになったり、野山や海、川などの自然の中で生きれば、別に食うのには困らない。

 

「しかもこの勤務先の黒井鎮守府って、この前榛名ちゃんを送ってきたところじゃねーか!!出戻りとかかっこ悪いじゃんよー!!」

 

折角、旅人さんはクールに去るぜ、と言い残して帰ったのに、また行ったらいかんでしょ。

 

正直、妹の首根っこ捕まえて国外逃亡するつもりだったが、あのあと桃さんや教授を始めとする、所謂人格者の知り合いから一斉に就職おめでとうの電話とメールが来た。

 

チキショー、逃げ道を完全に塞がれた。ここで逃げたら殺されるんじゃないか俺?殺されるだろうな。いかん、泣きそうだ。

 

「くっ、ウゥ、ァアあ、働きたくない……!ウェェェン!!」

 

泣いた。八割くらい。そのまま俺は、黒井鎮守府へ向かった。

 

 

 

×××××××××××××××

 

提督がいなくなって二日が過ぎた。

 

私達、黒井鎮守府の艦娘は、束の間の休息を得た様に見えるが、実際は、いつまた提督が戻ってくるか、気が気じゃなくて、休めずにいる。

 

同室のお姉さま達も同じみたいで、皆、思う様に休めず、与えられた戦艦の部屋と言う名の倉庫で日がな一日座り込んでいる。

 

そんな中、ふと、この前に会った旅人さんのことを思い出した私は、正門を見ようと、部屋の外に向かった。

 

提督が言うには、私達が決して出ることのできない正門を惨めったらしく見つめる姿は、滑稽で良い、らしい。

 

「……榛名、また、正門を見に行くんデスか?」

 

「はい、今の所、提督もいらっしゃいませんし」

 

「……いつ、また戻って来るか分かりまセンよ?だから、なるべく早く戻った方が良いネー」

 

心配してくれた金剛お姉さまに、一言お礼を言って、私は正門に向かった。

 

 

 

正門の前には、先日目を覚ました、駆逐艦の時雨ちゃんがいた。

 

「あ、榛名さん。おはようございます」

 

「おはようございます、時雨ちゃん。

怪我はもう大丈夫なんですか?」

 

「はは、あれくらい、いつものことじゃないか。今更、だよ」

 

「……そう、ですね」

 

確かに、気を失うほど酷い目に遭うことは何度か経験している。

 

「そ、そういえば、私達を助けてくれた、旅人さんの話なんですけど、」

 

あまり辛いことを思い出させるのも悪いので、努めて明るい話をしようとする。

 

「ああ、あの人のことかい?実はあんまり覚えてないんだ。でも、綺麗な「白」を見たのは印象に残っているよ」

 

「はい、綺麗な白髪の方でしたよ!その旅人さんが言っていたんですけど……」

 

私は、旅人さんの話をし始めた。少しでも皆んなに明るくなって欲しい。そうすれば、きっと、いつかは……。

 

「……って言う話をしてくれて……、とっても不思議で、面白い人でしたよ」

 

「へえ、それは面白いね。もっとも、話の続きは聞けそうにないけど……」

 

そう言って、時雨ちゃんは「首輪」に触れ、正門に目を向け、悲しそうな顔をした。

 

固く閉ざされた正門は、艦娘としての力を使えば簡単に壊せるが、この提督に付けられた「首輪」がある以上、近づくことらすらできないものだった。

 

この漆黒の「首輪」は、私達艦娘の力を提督の意思一つで抑えこみ、尚且つ発信器を埋め込まれた、私達にとっての「呪い」だ。艦娘の力を封じられれば、艤装も身体も満足に動かせず、動くことすらままならなくなる。

 

そして、この首輪の発信器は、門に近づくと警報を鳴らし、私達の逃亡を防いでいる。もしも警報が鳴ろうものなら、例え間違いであっても、全員が罰せられるのだ。

 

「これがある以上、僕達は恩人にお礼を言うことすら許されないんだろうね……」

 

……「うぇぇぇん!」

 

ふと、近くから泣き声が聞こえる。

 

「!!、泣かないでください、時雨ちゃん!」

 

時雨ちゃんが泣くところなんて見たことがない。ここまで追い詰められていたのか、と思い咄嗟に声をかけた。

 

「……僕じゃないよ?」

 

「あれ?」

 

見ると、時雨ちゃんは悲しそうな顔をしているが、泣いている訳ではなかった。

 

「じゃあ、さっきのは?」

 

「聞き間違いじゃないかな?」

 

……「うぇぇぇん!!」

 

「ほら、確かに聞こえましたよ?」

 

「で、でもこの辺りには僕と榛名さん以外は……」

 

「じゃあ、一体誰が「わぁぁぁん!!働きたくないよぉぉぉ!!」……え?」

 

「ぐす、ひっぐ、うう、うぇぇぇん!!働きたくないよぉ!!まだまだフラフラ旅してたいよぉ!!国外逃亡したいよぉ!!うわぁぁぁん!!」

 

た、旅人さんだ?!何故ここに?!そもそもどうやって侵入を?!

 

「た、旅人さん?!どうしてここに?!というか、大丈夫ですか?!どこか痛いんですか?!!」

 

「か、彼が旅人さんかい?その、確かに、かなり、不思議な人だね?」

 

「ああ、榛名ちゃんとあの時の子か……、俺、就職先が決まっちゃったんだ」

 

「は、はあ、それは、おめでとうございます?」

 

「目出度くねーよ!!目出度くねーんですよー!!あああ働きたくないぃぃぃ!!」

 

め、めでたくないんでしょうか?よくわからないですけど、慰めてあげなくては。

 

「え、えっと、そう気を落とさないで下さい!就職先で面白いことがあるかもしれませんよ?」

 

「……そうかなぁ?」

 

「はい、きっとそうです!旅人さんなら、大丈夫です!!」

 

「そっかぁ、そうだなぁ。いい加減観念するかぁ。少なくとも、榛名ちゃんとならうまくやっていけそうだし」

 

「えっ?どういうことですか?」

 

「ああ、今日から俺、ここで提督やることになったから。よろしくね、榛名ちゃん。あ、あと君もよろしく」

 

「「…………え?」」

 

「取り敢えずごはんにしようよ、泣いたらお腹減ったわ。何がいい?」

 

「「……………………えっ?」」

 

「えっ、じゃないが?」

 

 

 

「「ええええええええ?!!」」

 

「何?どうしたの?」

 

「た、旅人さんが、提督に?!」

 

「いや、そんな、だってここには、既に提督が」

 

「んー、なんかねー、前の提督が駄目になったんだってー。だから、その代わりに俺が、元帥殿?とか言う奴から適性がどうこうとか言われてさー、来たんだよー」

 

適性……、提督への適性のことでしょうか?この話が本当なら、大本営からの指令書があるはず……。

 

「あの、旅人さん、指令書はお持ちですか?」

 

「指令書?これ?」

 

そう言うと、旅人さんは、どこからともなくA4サイズの折りたたまれていない指令書を取り出し、私に差し出した。

 

「……い、今どこから紙を?」

 

「トップシークレットです」

 

「だ、だって、懐から急に書類が」

 

「トップシークレットです」

 

「あ、ああ!どこからともなくテーブルとまな板を?!お米に、お肉、人参、じゃがいも、玉ねぎ……か、カレー?!!カレーなのかい?!!」

 

「カレーです」

 

時雨ちゃんと旅人さんがお話している間に、私は指令書を読んだ。結果、この書類が大本営からの正式な指令書で、阿志岐提督の全権を新しい提督、新台真央に譲渡する、と言うことが分かった。海軍元帥の直接のサインもある。

 

「こ、これっ、本物です!本当に提督が旅人さんになるそうです!!」

 

「いや、それどころじゃないよ榛名さん!この人、いきなり大鍋でカレーを作り始めたよ?!!一体どこにこんなものを?!!」

 

「やっと、やっと解放されるんですね、私達!!」

 

「榛名さん!僕の話を聞いてよ!!あっ、凄く美味しそうな匂いする?!!榛名さん?!榛名さーん?!!」

 

 

 

 




ヒーロー
溝口発の真っ赤なヒーロー。
ヒモのパチンカスで人間性は死んでいるが、恐ろしく強い。
昔、旅人が下宿していた悪の組織のアジトで出会った。

金剛
ペガサス・J・クロフォードみたいな口調は素でやってる。
妹思いのエセ外人。
榛名同様、扱いは悪かった。

榛名
今日もかわいい。
希望は捨てないタイプ。

時雨
駆逐艦にしては物知り。
物理法則くらいはわかる。

旅人
海軍と言ったらカレーだと思った。
所持限界までアイテムを持ち歩く主義。
(限界を超えて取得したアイテムは木箱に収納されます)

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