旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ホットラインマイアミ、クリアしました。楽しかったです。call of juarz gunslingerやります。エロいのとグロいの、そして古臭いのとイかれてるものが大好きです。

あ、何か知らんけどランキングに載ってました。すんごく嬉しい。沢山の人に見られてるんですね。


62話 侵入者 前編

いつもと変わらない日常。退屈はお断りだが、ここ、黒井鎮守府の日常と言うものは……、

 

「提督!大変です!!!」

 

……実に飽きない。

 

 

 

「はいはーい、どしたの?」

 

大淀は大好きだ。こうしていつも俺に刺激をくれる。さあ、今日は何だ?工廠が爆発したか?地下室から謎の呻き声か?

 

「見知らぬ艦娘達が、この鎮守府に攻めてきました!」

 

「…………えっ、なにそれこわい」

 

全くの予想外。え?だからさ、ギャグssだよ、これ?

 

「大怪我をした艦娘を抱えて、ドックを占拠しています!出て行かないと殺すの一点張りで……!」

 

「えっと、取り押さえられなかったの?」

 

「それが、それなりに強くて……」

 

えー?うせやろ?うちの艦娘なら、並の艦娘なんて子供扱いできるんだけどなー?

 

「分かった、取り敢えず、見に行くよ」

 

「私もお伴します!」

 

 

 

「出てこーい!お前らは完全に包囲されているー!!」

 

なーにやってんだ那智。刑事か。刑事だな。那智だもんよ。もしくは宇宙海賊。

 

「む、司令官!……それが、今度は資材を出せと……」

 

分からんなぁ、自分の鎮守府に帰れば……、いや、帰れない状況なのか?よく分からん。

 

「経緯は?」

 

「うむ、そのだな、私達が出撃を終えて帰投する途中、艦娘の集団に会ってな。そいつらは皆、多かれ少なかれ負傷していたが故に、帰投を勧めたんだ。だが……」

 

「駄目でしたー!裏口も閉鎖してますー!」

 

比叡?そう言うことは立て籠もってる人達を刺激するから止めようなー?

 

「比叡!!……全く。で、その、帰投を勧めたんだが、自分達の鎮守府は遠いから、修理だけさせて欲しい、と言ってきてな。まあ、特に問題は無いと思って招き入れたら……」

 

「こうなったって?」

 

「……ああ、私のミスだ。済まない……」

 

「大丈夫大丈夫、那智に過失はないよ」

 

「だが……」

 

那智、そういうのうちやってないから。責任がどうこう、とかって面倒だろ?だから、無礼を承知で無視する。

 

「ところで、相手は何人?艦種は?」

 

「……その、相手なんだが……」

 

「何?どうしたの?」

 

「……航巡がいるんだ」

 

「…………何だって?」

 

あり得ない、航巡は、ロック装置を導入しているここ、黒井鎮守府か、音成鎮守府にしか存在しない筈だ。そして、音成鎮守府には航巡が存在しない。

 

「招き入れたもう一つの理由なんだが……、何故航巡がいるのか、それが聞きたくてな……」

 

「成る程、ファインプレーだよ那智。俺も是非聞きたいね」

 

 

 

そして、ドックから出てきた五人の艦娘。皆んな、一様に、悲愴感が漂っている。

 

「資材を!早く出して下さい!!」

 

ボロボロの砲塔を構え、ドックに置いてあったナイフを構える長髪の美人さん。……艤装は、うちの那珂ちゃんと同じだ。と言うことは、川内型か。

 

他にも、後ろには、恐らくは睦月型であろう駆逐艦が二人。片方はおっとりした顔、栗色の髪のポニーテール。もう片方は少し鋭い目、癖が少しある白髪。

 

更に、多分綾波型の駆逐艦が二人。一人は、黄みがかったブラウンの髪、頬に絆創膏。もう一人は、薄いピンクの髪をツインテールにしている少女。

 

全員が、ボロボロの武器を構え、ドック内の工具で武装している。

 

おまけに、

 

「ありゃあ、瑞雲か。うちのじゃないな。音成鎮守府のでもない」

 

成る程、所謂、制空権を取られた状況ってことか。

 

それに、あっちの艦娘達も結構やるな。構えられた武器の狙いは正確、感じるエネルギーの大きさは通常の艦娘の数倍。うん、うちの子達じゃ、無傷で捕らえろってのは無理だな。殺すことは出来るだろうが、それは駄目だし。

 

緊張の一瞬。

 

そして、目の前の川内型の子が問いかけてくる。

 

「……貴方は、この鎮守府の人ですか?」

 

質問の最中でも気は抜いていない。厄介だな。まあ、質問の内容は是だ。

 

「私の名前は、新台真央。ご覧の通り提督さ」

 

「(ご覧の通り……?どの辺が提督なんでしょうか?)わ、分かりました。……ふっ!」

 

恐ろしく速い踏み込み。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。瑞雲が俺達の目の前を急降下、同時に俺は、川内型の女の子に取っ捕まる。

 

「くっ!司令官!!」

 

「動かないで!!!」

 

逆手に持ったナイフを俺の肝臓付近に向ける川内型の子。あ、身長差的に首は無理だったみたい。かわいい。

 

「くっ!司令!!……あ、いや、大丈夫ですね、司令ですし(小声)」

 

比叡、ダダ漏れ。

 

「……?、取り敢えず、大人しくこっちへ!」

 

俺を逃さないように、がっちりと胴に手を回し、拘束する川内型の子。うむ、抱き付かれるのはいいなー。もうちょい強くても良いのよ?

 

とか思っていると、そのまま引っ張られ、力づくでドックにぶち込まれた。

 

そこで、俺が見たものは……

 

 

 

×××××××××××××××

 

……私は、浦野鎮守府に所属「していた」艦娘、川内型の二番艦、神通。

 

浦野鎮守府では、最近、『強化装置』なるものを試験運用的に導入した。

 

これは、艤装と肉体との同調率を無理矢理上げて、艦娘の戦闘能力を増加させるものだ。

 

もちろん、私達の肉体にかかる負荷は、尋常ではない。

 

……そして更に、『改造』と『改修』……。

 

艤装が本体である私達は、艤装に手を加えられると、存在の根底が揺らいでしまう。……しかし、強化装置で無理矢理に強化されたこの身体ならば、艤装の強制的な改造にも耐えられた。耐えてしまった。

 

あの時は、常軌を逸する苦痛に気が狂いそうになったが、艦娘というのは人間よりもずっと丈夫だ。肉体も、精神も。

 

 

 

……だからと言って、そのまま耐え忍ぶことは、出来ない。

 

私達はもう、限界だった。

 

 

 

そして今日、私達の元に思いがけない幸運が訪れた。

 

浦野鎮守府から遠い海域で、他の鎮守府の艦娘と出会ったのだ。

 

今しかないと思った。

 

確かに、逃げたところで何にもならないだろう。だけど、私達は、あの苦痛から逃れたい一心で、案内された鎮守府に押し入った。

 

そして、紆余曲折の末に、ここの鎮守府の提督らしき人物を捕らえることに成功した。

 

そして今、私達が占拠したドックでは……。

 

 

 

「あ、あの?貴方は、何を?」

 

「はいはい、動かないの。かわいい顔してるんだから、怪我しちゃ駄目だよ?ほら、ここも!顔に切り傷なんて!そっちの航巡の子、最上ちゃんと三隈ちゃん二人と、川内ちゃんは入渠してて!!」

 

 

 

何故か、治療を受けている。

 

「よし、こんなもんか。全く、こんなに怪我してたら、取り押さえるどころじゃないな。…………あっ」

 

……取り押さえる?

 

「どういうことですか?」

 

即座に、目の前で座るこの提督(?)を抱き寄せ、首筋にナイフを添える。

 

だけど、この人は、リラックスした様子でこう言った。

 

「いやぁ、取り敢えず様子見と思って潜入したんだけどね。思いの外怪我人が多くてさ?」

 

ヘラヘラと……!

 

「質問の答えになっていません……。まさか、自分が殺されないとでも?」

 

脅しつけるため、申し訳ないが、首筋を軽く、軽く…………、あれ?!斬れない?!!

 

「ああ、俺はそう簡単には殺されないねぇ!!」

 

不味っ、手を掴まれ……!!

 

「はい霧吹きー!!」

 

何、霧、これ、は、く、すり……!か、身体に力が……!!

 

「お前!!神通に何をしたぁ!!!」

 

川内、姉さん、駄目、です……!!

 

「ンッンー、明石謹製ウルトラ筋弛緩剤ィ……。霧吹き一つで艦娘すらダウーン、もちろん俺には効かない。……ああ、副作用とかは特にないよ。安心して捕まってほしい」

 

「このぉ!!!」

 

駄目です!艦娘が、人を、殴ったら……、?!!

 

「いいパンチだ、感動的だな……、だが無意味だ」

 

「……嘘でしょ?」

 

 

 

「言ったろ?取り押さえるってよ?今なら全員メイド服で許してやるよ」

 




浦野鎮守府
数ある悪徳鎮守府の一つ。保有艦娘は、最上、三隈、川内、神通、文月、菊月、朧、漣。

那智
宇宙海賊の中の人ではない。

比叡
正直者。

旅人
薬品にも強い。

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