旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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call of juarezもクリアしました。FPSは死ぬ程苦手ですが、フロムソフトウェアという会社に調教された結果、根性は鍛えられ、死んで覚えるのがある程度できるようになりましたよ。ええ。

まあ、そんなこんなで、戦いの日々に疲れたので、一目惚れをやります。ギャルゲは普段やらないんですけど、ヒロインが可愛かったので。はい、そう言う趣味です。


63話 侵入者 後編

貫手!……駄目だ、逸らされる!

 

掌底!……これも駄目、捌かれる!

 

肘打ち!……軽く身を躱される!

 

さっきから殆ど全力全開、人間ならとっくに命はない速さと重さ!フルパワーを出している筈なのに!!

 

「クソ!どうなってるのよ、アンタはっ!!!」

 

「成る程、速いねぇ。那珂ちゃんもびっくりするぜ、こりゃ」

 

「えいっ!!」

 

密かに隠れていた文月ちゃん、真後ろから、死角からの一撃!

 

「はい残念ー」

 

「ひゃあ!は、離し、て!!」

 

「霧吹きシュー」

 

「ふにゃあ……」

 

「文月ちゃん!!」

 

そんな……!!振り向きもせずに?!!

 

「貴様!よくも文月を!!」

 

「菊月ちゃん、激こうするんじゃあない……。過ぎた怒りは拳を鈍らせるって、それ一番言われてるから」

 

突貫した菊月ちゃんは、事もなさげに、簡単に捕まる。

 

「くっ!川内!今だ!!」

 

「!!、分かった!!」

 

いや、簡単に捕まったのはブラフ。即座に戦況を分析した菊月は、普通のやり方では勝てないと踏んだのか、この男の片腕を封じるように掴んだ。

 

……やるなら、今!

 

菊月の声を聞いた朧ちゃんと漣ちゃんも、ドックの中にあった頑丈そうな大型のハンマーを振るう。

 

私を含むて、三方向からの同時攻撃……!!回避も防御も不可能!!

 

これで、終わり!!!

 

 

 

「ムテッペキ、っと」

 

 

 

……は?た、盾?!

 

「ほらほら、呆気に取られちゃ駄目駄目。……霧吹き、と」

 

「ハフン……」

 

「ひゃぁあ……」

 

「馬鹿、な……」

 

……駆逐艦が全滅?四人の駆逐艦が全滅?三分も経たずに?ば、化け物か……?

 

「……何を、したの……?」

 

「昔、異界のとある民族と知り合ってなぁ……。彼らは、世界の果てを見つけられたんだろうかね……」

 

しみじみと、昔を懐かしむように言う男。くっ、話すつもりはない、と言う事ね。

 

 

 

その時、瑞雲が割り込む様に私の前に飛来した。これは、最上のだ!

 

「そこまでだよ……!」

 

「もう弾も殆どありませんけど、一度の戦闘くらいなら……!」

 

最上と三隈だ!……だけど、まだ怪我が……。何より、戦いで失った体力気力は戻ってないのに!

 

「ボク達なら大丈夫、十分休んだよ……」

 

「それより、ここが正念場ですわ。……この人をどうにかしないと、私達は終わりです」

 

そう言って、武器を構え、瑞雲を展開する二人。数は少ないとは言え、複数の瑞雲で包囲すれば……!!

 

 

 

「あーあーあー、困るんだよなぁ、ドックでドンパチは。直すのも掃除するのも俺だしね?すまないけど、チート使わせてもらうね?」

 

どこに隠し持っていたのか、明らかに怪しい、大型の注射器を取り出した!

 

「また薬?!しかも、見るからに怪しい!!」

 

あんな真っ赤な薬品、あってたまるか!絶対に注射されたくない!!

 

ところが、この男は……。

 

「せえの、えいっ、と。……ああ、嫌だなぁ、これ。気持ち悪いんだ、変異ってのは」

 

「な、何を?!!」

 

自分自身に?!!

 

そして、手のひらを翳すと、

 

 

 

「……サイコキネシス」

 

「?!、瑞雲の制御が……!!」

 

「私の主砲が?!!」

 

 

 

「……超、能力……?!」

 

……冗談じゃない!!手を触れずに、私達から武装だけを奪うだなんて……!!これじゃあ、もう……!!

 

「打つ手なし、かな?……ではお休み、お嬢さん達。良い夢を……」

 

そして、呆気に取られた私の目の前にあったのは霧吹きだった。

 

……意識が、落ちる。

 

 

 

…………ごめん、皆んな…………。

 

 

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

……ここは、どこ?

 

……ボクは、ボクは航空巡洋艦の最上、最上型の一番艦で、それで……。

 

確か、そうだ、ボクは、自分の鎮守府から逃げ出したんだ。

 

……でも、一人でじゃない、鎮守府の皆んなと一緒にだ。

 

……皆んな?皆んなは?皆んなはどこに?!……少なくとも、ここにはいない、みたいだ。

 

ここ、この部屋にあるのはベッドだけ。窓もないし、他に家具らしい家具もない。……何でボクは、こんなところに?

 

……あ、水道、それと、小さなテーブルにコップが置いてある。そう言えば、喉が渇いた。失礼して一杯、水を飲む。

 

 

 

……そう、何か、喉が渇くようなことをしたんだ。多分、戦闘行動か何か。

 

……ここで寝ていたと言うことは、負けたってことかな?……艤装は、武装が外されてる。

 

やっぱり、負けた?じゃあ、死んだってこと?……でも、ここは、あの世にしては無機質過ぎる。なら、捕まった?仲間もここに?

 

……分からない。けど、少なくとも、ここにいては何も始まらないことくらいは分かる。

 

目の前にあるドア、この先に答えがあるのかどうかは分からない。でも、進むしかない。逃げ出したボクに、帰る場所なんて無いから……。

 

そして、意を決して、ドアを開く。

 

 

 

「誰かなぁ、そこにいるのは?」

 

「ん"ん"っ?!!!」

 

へ、変な声出ちゃった!な、なにこの、何?何なの?誰なのこの、馬のマスクの人!!

 

「自分のこと、知らない?じゃあ、そのままにしておくべきじゃない?」

 

「い、いや、ボクは」

 

「でも俺は君を知っている」

 

「?!」

 

まだいた!鶏?何で?!

 

「俺の顔を見て?以前会ったことが……、あるよね?」

 

「い、いや、マスクだし」

 

「知らないですわ!!ここに招いた覚えもありませんことよ!!」

 

「?!!」

 

また増えた?!こ、今度はフクロウ、かな?何なの?!幻覚?!どう言う幻覚なのこれ?!!

 

「え、えっと、その、ボ、ボクは」

 

 

 

「……本当に思い出せない?」

 

鶏のマスクの男が言う。

 

「……その、ごめん、あんまり覚えてなくて……」

 

「じゃあ、ヒントをあげよう……。黒井鎮守府、ドックの占拠、提督の捕縛、返り討ち……」

 

……不思議と、単語の一つ一つに聞き覚えがあった。

 

 

 

……そう、そうだ、ボクは……。

 

 

 

「……貴方は、黒井鎮守府の、ボク達が迷惑をかけた鎮守府の、提督……?」

 

「あ、思い出した?」

 

……あ、普通に脱ぐんだ、そのマスク。

 

「じゃあ、こっちは……」

 

「はーい!鈴谷だよ!初めまして、いや、船の時以来だし、久しぶり、かな?」

 

「熊野ですわ、以後、よろしくお願いいたします」

 

「鈴谷!熊野!!」

 

ボクの妹、鈴谷と熊野だ!こんなところで会えるなんて……!!

 

 

 

……そっか、そういうことか。

 

……もう、悔いは無い。

 

「……提督さん」

 

「なにかな?」

 

「最後に、妹達に会わせてくれて、ありがとうございます」

 

「最後に?」

 

「え?はい。だって、提督に暴力を振るったんですから、処刑ですよね?」

 

「いやいやいやいや!!しないってば!思考回路が怖いよ!!」

 

「では、解体ですか?」

 

「何で死ぬことが前提?俺ってそんなに怖い見た目してる?」

 

……?

 

じゃあ、なんでボクを生かしておいたのかな?……正直、浦野鎮守府に帰るくらいなら、死んだ方がマシだ。いっそ、ここで殺してもらった方が……。

 

「あー、調べたよ、浦野鎮守府のこと。相当な悪徳鎮守府だったね」

 

「え?」

 

「いやあ、胸くそ悪いね。かわい子ちゃんに酷いことするやつは大っ嫌いだ。……だから、消えてもらった」

 

「……どういう、ことですか?」

 

「浦野鎮守府は提督が謎の鶏マスクに襲撃され重体、二度と復帰できないってよ」

 

……鶏マスク?

 

鶏マスク?!!

 

「じゃ、じゃあ、貴方が?!!」

 

「保有している艦娘は全て行方不明、轟沈したとして扱う、だって。……同時期、ここ黒井鎮守府では、建造を行い、最上、三隈、川内、神通、文月、菊月、朧、漣の計八人を召喚、黒井鎮守府の所属とする」

 

どういうこと?!理解が追いつかない!!

 

「その、えっと、それは……」

 

「……あー、つまり、黒井鎮守府へようこそ!歓迎しよう!盛大にな!!」

 

 

 

「そんなこと言われても、もっと詳しく説明して下さい!!」

 

「えー?だってもう説明するの八回目だし……。ま、良いか。じゃあ、説明しよう。あれは昨日、君達が薬で倒れて、疲労のせいで丸一日寝ていた日の話だ……」

 

 

 




元浦野鎮守府の艦娘達
全員黒井鎮守府に転属。扱い的には、最近召喚された、と言うことになっている。

鈴熊シスターズ
旅人が頼んだらノリノリで手伝ってくれた。

異界の民族
目玉に手足を生やしただけ、というぞんざいなデザインだが、極めて戦闘能力が高く、自らが崇める神のために命を捨てる狂信者達。悲願は、世界の果てに行くこと。

旅人
プラスミド?ああ、あんなもんは変異治療のポーションで一発だよ。

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