次はまた大規模作戦にしたい。ストーリー的なものを進めないと艦娘をこれくしょんできないからね、ちかたないね。
さて、新入りの艦娘達とちょくちょくコミュニケーションを取りながら、ゆったりと過ごす。
なんか知らんけど、新入りの艦娘達はやたらとうちの艦娘を怖がるなー?なんで?
……にしても、最近は段々と暖かくなってきたな。
「よっしゃ!漁業、しよう!!」
素潜りしたい、釣りしたい。魚食べたい。
そうと決まれば、潜水艦だ。それも一人や二人ではない、全員だ!!
テンション上がってきた!!
潜水艦の子達は仲が良いから、いつも大体一緒にいる。多分、今なら部屋にいるだろう。ろーちゃんは、どうかな?まあ、多分いるだろう。
そして、潜水艦の部屋の前。すかさずノック。
「あー、あー、もしもーし?聞こえてるかな?」
「でっちー!」
「だから、でっちじゃないでち!……あれ?提督の声?」
「確かに聞こえたわね」
「ん、今、ノックされたよ?」
「はーい!イクが出るのー!」
ドアが開く。同時に抱きつかれる。あっ、あっ、やめて、勘弁して、イクはヤバい。無邪気さが俺を殺す。
だが、堪えて抱き上げる。
「よーしよし、今日も可愛いぞ、イク!……さて、良い子の皆んな!暇かい?良ければ、俺と魚を獲りに」
「「「「行きます」」」」
即答。食い気味に。
「よ、よし、じゃあ、準備を」
「「「「直ぐに行きます」」」」
怖いな君ら!!
海。OCEAN。
ここまで美しい自然に対しては、どんな形容詞も陳腐になる。だから、あえて口には出さないが、ただただ美しいと、そう心の中で賞賛する。
「提督?どうしたんでち?」
「ん?ああいや、ちょっと自然をリスペクトしてた」
「……?」
まあ、分からないか。良いさ、不用意に自然を破壊しなければそれで。
「ところで、何やってるの、はっちゃん?」
「え?漁をするんですよね?手っ取り早く魚雷で……」
モノローグ読んで?今、環境破壊はNGって、イワナ、書かなかった?
「やめなされ……、やめなされ……。水産資源保護法に触れる!」
そもそも、発破漁では、爆発の衝撃で魚の浮き袋が破けて、殆どが沈んじゃうし。まあ、量は獲れるかもしれないけど、無駄に殺すのはいかん。大切なのは、次に繋げることだ。
「わ、分かった、魚雷は使わない」
「じゃあ、手で獲るの?大変じゃない?」
イムヤの言う通り、うちのエンゲル指数から考えて、チマチマと魚を探してモリや素手で獲っていては埒があかない。
「うん、まあ、その辺は大丈夫。公海に出て魚群を探すから」
「公海って……、200海里よ?」
「なーに、ほんの370.4kmだよ」
「……ほんの?」
うん、ほんの。
今日の夜前には戻る予定だし、早く行こうか。
「その、提督?提督の輸送船じゃ20ノットくらい、ですね?公海に出るまで、大体10時間くらいはかかっちゃいます!はい!」
ふむ、ろーちゃんの言う通り、旅人号はいつも20ノットそこら、時速に直すと大体37km/hくらい。単純計算で10時間だわな。
単純計算では。
「大丈夫、大丈夫。5、6分くらいで直ぐに着くから。取り敢えず、船に乗って?」
「……まあ、分かったわ」
「提督が大丈夫だって言うんだから、大丈夫でち」
「提督?今度はどんな魔法を使うの?」
「んー?夕張に、新しいブースターのテストを頼まれてねー」
旅人号のボタンを押す。
「ブースター?」
「ヴァンガード・オーバード・ブースト……、時速4000km/hだって」
「「「「…………え?」」」」
数分後、排他的経済水域を抜けて、公海に。
「び、びっくりしたでち!」
「思いの外、衝撃は無かったね」
「凄かった、です!景色が全部線みたいで!」
大成功。
ガン積みしたショックアブソーバーもしっかりと動作したみたいだ。
さて、狙うは今旬の魚。もちろん、食べる分だけ。無駄に何百トン単位とかで獲る必要はない。
「それで、何の魚を獲るの?今の時期なら、鰹?」
「そうそう、目には青葉山ほととぎす初鰹って言うだろ?」
「?、なんでちか?それ?」
「あー、そうだな、じゃあ、初鰹は女房子供を質に置いてでも食え、とか?」
「もー!お嫁さんを売ったら駄目なの!イクは売られても帰ってきちゃうんだから!」
「提督、めっ!ですよ!ろーちゃんは売れません!お嫁さんですから!ね?」
「あはははっ、嫌ねぇ、司令官のお嫁さんである私が売られる訳ないじゃない!」
「はっはっは、俺まだ結婚してねぇんだけどなー?おかしいなー?」
物の例えだよ?それくらいに美味いって話で。
「その、提督?聞きたいんだけど、魚群ってそんなに簡単に来るの?」
はっちゃんが言う。
「んー?運が良ければね」
「その、えっと、じゃあ?」
「だから、運を良くするよ」
懐から、エヘカトル像を取り出し、使う。これで今日は幸運な日だ。
「更にブーストォ!」
ユクモ村産お守り、激運発動。貪欲な金の蛇の指輪、錆びついた金貨使用、発見力上昇。カレル文字『瞳』、うさぎのしっぽ……。
「な、何やってるんでち?」
「幸運になってる」
「えぇ……」
あ、来た。魚群だ。
「じょ、冗談じゃ……!」
現実だぞ。
「更に倍率ドン!究極撒き餌ー!!」
神室町のドリームマシンなるものに数十万程突っ込んだら出ました。
ちなみに、真島の兄さんは百万注ぎ込んでマグロを引き当てた。笑える。
「さあ、まずは釣るぞー!……はい、皆んなの分の釣竿。それ、クソ高いから壊さないでね?いやマジで」
三千万円もした。
「ゴ、ゴーヤ達、釣りなんてしたことないでち!」
「ああ、大丈夫。その釣竿なら糸を垂らすだけで釣れると思うよ」
かなり昔に買ったんだけど。
「また、まじっくあいてむ、でち?」
「いや、神室町の質屋で買った」
「質屋……」
何か問題あるかな?
「あ、あと、気を抜くとシーラカンスとか竜宮の使いとか釣れちゃうからな、気をつけて」
「「「「?!」」」」
ちょっと遠くまで投げると変なの釣れちゃうのがなー。そこが欠点。
さて釣ろうか。
「おっ、良いねぇ、ガンガン釣れるわ。入れ食いだわ」
「本当です!釣り針を垂らすだけで、魚が釣れるなんて!」
暫く釣りを続ける。いやあ、こうして普通に釣りをするのも楽しいな。ノースティリス流の釣りをすると、そこらの水溜りからクジラが釣れちまうからな。たまには普通の釣りをしよう。
そんな感じで、滞りなく釣りは続いた。
この子達も艦娘、一本釣りをするくらいの筋力と体力は十分ある。
そして……、
「その、提督?もう、甲板が一杯でち。もう終わりにする?」
「お、そうだな」
確かに、甲板は鰹で一杯だ。だがな、
「じゃあ、次は素潜りな!」
続投。
「その、こんなに沢山、どうやって消費するの?」
イムヤが心配そうに聞いて来る。けどさ、よく思い出して欲しい。
「……大和型、食うよなぁ……」
「あっ(察し)」
大和型の二人が来てから、黒井鎮守府のエンゲル指数は2、3割上昇。それくらいなら平気じゃん?とか思うかもしれないが、母数が違う。
艦娘は兎に角、よく食べるんだよ。かわいい顔した駆逐艦だって、並みの大人位は平気で食うし、軽巡、潜水艦なら数人分、重巡、軽空母以上なら十数人分!
更に、一部の大飯食らいは、数百人分は食う!!食うのだ!!!
……まあ、その一部には俺もいるんだけど。
そんなこんなで、食料はこの程度じゃ足りない。素潜りして獲って来ないとな!
「はい、網!適当に獲って、食べられないのはリリースね!!よーし、海にのりこめー^^」
「「「「わぁい^^」」」」
×××××××××××××××
「それは、食べられるね、そっちは毒あり、こっちは、まだ小さ過ぎ」
「じゃあ、海に帰すねー!」
素潜り。
最初は、何の装備もなしに飛び込んだ提督が心配だった。けど、やっぱり、提督は私達に、平気な顔をして着いてきた。やっぱり、提督は不死身でち。無敵でち。
「ほら、ゴーヤ!一緒に行こう?」
「はーい!ゴーヤ、潜りまーす!」
私の手を取った提督は、そのまま、手を繋ぎながら深海へ。
暗く静かな海の底、愛する人と二人きり。とってもロマンチックで素敵だ。
でも……、
「んー?どうしたのゴーヤ?いきなり抱き付いてきて?寒いのかい?」
優しく、撫でられてしまう。
……違う。
そうじゃなくって、私は……。
女の子として見て欲しい。
提督の目を見ると良く分かる。提督は、私達のことを、まるで妹とか、ともすれば娘とかみたいに見ている。
抱きしめてくれる、手を繋いでくれる、キスをしてくれる。……でも、私達を子供として見ている。
もちろん、家族がいない私達艦娘を目一杯愛してくれる提督は大好きだ。それこそ、私の全てを捧げても良いくらいに。
それでも、私達は女の子だ。こんな見た目でも、女の子なんだ。
……皆んな、提督に見て欲しくて、おかしくなってきている。
「ずるーい!イクもー!!」
「ろーちゃんも、です!」
「おー、どうした?皆んな抱き付いてきてさ?その、足にしがみつかれると泳げないよ?ちょっと、ちょっと待って?これ、沈んでるからね?待って?」
いや、私達はもう、おかしくなっているんだ。
提督は、私達に色んなことを教えて、どうにか外の世界に興味を持たせようとしているけれど、違う。
私達の居場所はここだ。
例え、ここ以外に私達を受け入れてくれる場所があったとしても、私達はここに居たい。
「てーとく?」
「んー?何だい、ゴーヤ?」
「大好きでち」
「そっか、ありがと」
今は、これだけ。
でも、いつかは……。
ゴーヤ
実は、潜水艦の中では一番まとも。
はっちゃん
一番ヤバい。提督の為なら仲間すら殺す。全部殺す。
イク
特に何も考えてない。死ぬ程ポジティブなので、どんなに嫌われようとも地獄まで追いかけてくる。
イムヤ
嫌われないかと常時ビクビクしてる。構ってあげないと死ぬ。
ろーちゃん
頭の中お花畑。かなりサイコな思考回路。ろーちゃんはお姫様、です!はい!
真島の兄貴
今巷で一番イケてる極道。ドスとバットで天下取ったるでー。
旅人
イムヤのような自己評価が異様に低い子を慰め、ろーちゃんのような妄想力カンスト勢をあやす、黒井鎮守府のキーパーソン。選択肢一つ間違えるだけで即バッドエンドな黒井鎮守府で、仲間割れや空中分解を防ぎながらも好感度を更に稼ぐ。無意識で。