「駆逐艦の部屋がうるさい?」
「そうよ!」
苦情の主は五十鈴。怒って跳ねる度におっぱいぷるんぷるん。総統閣下も納得ですわ。
にしても、うるさいねぇ?そうなのか?
相手は子供だしな。ちょっとくらいはしゃーないじゃん?
「これが、ちょっと騒がしいくらいならかわいいものよ……。でも!」
そして、遠征で培ったのであろう力で、まるでドラム缶のように抱えられ……。
「はいまたいつものパターン」
引き摺り回されるってオチ。
「あー、これは……」
うるさい。
「ねっ!!うるさいでしょ?!!」
ぶつかり合う鋼鉄、溶接の大音、プラズマカッターの轟音。
まー、並みの工場よりかはうるさいな。
「まあ、犯人の予想はついてるよ」
「そうなの……、って、何よその深緑のジャケット?何よそのブーメランみたいな前髪?犯人と何の関係が……」
「まあ任せとけよ」
「……もー、分かったわよ……。じゃあ、後はお願いね?」
帰って行く五十鈴。
……さて、と。
「そうだろミカァ!!!」
「「「「?!!!」」」」
「あ、司令官」
凄えよ、ミカは……。突然コスプレした成人男性が部屋に押し入っても、声一つ上げねぇんだからよ……。
「全……、女……部…………突……やって…………」
「乱…………とん…………」
「聞こえねーよ!!!旋盤止めて!!!レーザーも!!!」
はいはい!リテイクリテイク!!
「はい、じゃあ、やり直しね?……そうだろミカァ!!!」
「?、どうしたんですか、司令官?」
流石ミカ、ブレねぇな!
「全く、女の子の部屋に突然やってくるなんてね?」
如月。確かに、そこらに引っかかってる洋服は女の子のものだが、分解整備されたパイルバンカーや山積みの火炎放射器のパーツ、散らばった設計図及びデータ。書類とデジタル媒体、両方。
総評、女の子の部屋ではない。
「乱入してくるとは、とんでもない奴だ」
菊月。ビリヤード台の上には、乱雑に置かれた武器の数々。カラサワ、パルマシ、グレラン、ミサイル、レザブレ……。でも、整備はバッチリ、弾薬は別で厳重に保存。
総評、レイヴン。
「君らイケメン過ぎない?」
怖っ。
なんなの?
「ご、ごめんねぇ〜?お部屋のお片付け、サボっちゃってた〜!」
蜂のぬいぐるみを抱える文月。世に文月のあらんことを……。
かわいい小物やぬいぐるみで一杯、しかし匂いは血と硝煙。そして壁には謎の蜂の巣を模ったエンブレム。……あっ、よく見るとぬいぐるみの隣にイエローとブラックで塗装された大砲が。
総評、騙して悪いが……。
「ああ"?!!こ、このっ!!あっ!あー……。マーシー、あれ、あいつラグくない?ラグだわ」
「も、望月ー?」
「あー、もー!じぃじも引けないしさー!!やっぱりまた雪風に引かせるしか……、あっ、し、司令官?!あー、うー、そ、その、見てた……?」
自作のゲーミングPC、据え置き携帯関わらず大量のゲーム。置きっ放しの漫画雑誌に埃を被ったアニメのDVDボックス。
総評、君もオタクかい?
「ん、司令官、お疲れ様」
弥生、弥生のスペースは……、うん、良かった、普通。優しげだが、どこか几帳面さを感じる木製の机と椅子、本棚には小説がちらほら。ジャンルは色々。
本当に普通だ。
……机の上のガンダムハンマーを除けば。何で?三番艦だから?三号機だから?G3だとでも?明石だろどうせ!後で折檻してやる!
「司令官、命令ですか?」
「ミカァ!」
大本命、三日月。
例によって武器ばかり。明石が面白がってレールガンとか作るから……。
因みに、うちのミカの懐からは、火星ヤシの実ではなく、俺が持たせたお菓子が出てくる。
「…………じゃなくて!あー、あれだ、君達ねぇ、武器の整備はまだしも、本格的な加工は他所でやりなさい!隣の軽巡の部屋の人らが迷惑してるんだからね?」
「…………あー、はい、音ね?」
「私達はもう慣れているからな」
「防音の小屋でも近くに作るから、それで我慢して、どうぞ」
実際、白露型なんかは工房と呼ばれる専用の施設を保有している。
睦月型にもガレージくらいは作ってやらなきゃな。三日で。
「…………で、さっきから思ってるんだけどさ」
「何だ、望月?」
「…………何でオルガ?」
それはね、望月、
「俺、まだオルフェンズ見てなかったんだよね」
「あー、そういうことね。ボックスあるよ?見る?」
「その為に来たんだぜ!見るぞミカァ!」
「はい」
ミカがミカの活躍を見るのか。やっぱ凄えよミカは。
「…………あの、司令官、お仕事は?」
「ぐっ、痛いところを突くな、弥生!だが、これはそう、艦娘に教育用ビデオを見せるのと同じこと!」
他にも、デートの時は艦娘を引き連れての視察となっております。書類上は。
「オルフェンズは教育用だよね、分かるよ」
流石望月!話が分かるゥ!!
そんな望月は、一番大きなモニタを再生機に繋げ、DVDをインサート。
三日月は、いつの間にか膝の上に。早いなミカァ!
隣には文月と如月。戻って来た望月と、菊月も座って、再生。
「……え?全員で見るの?」
「アニメでしょー?楽しみー!」
「たまには、ね?」
「いや、何度見直しても良いし。名作だし」
「む、アニメはよく見るぞ。対処すべきイレギュラーの例がよく分かる」
ふむ、皆んな乗り気じゃん。
「あ、そう?じゃ、再生、と」
総評、やっぱ凄えよミカは……。
「カッコよかったわよ、ミカ」
「如月姉さん、何ですか」
「すごかったよ〜、ミカ〜!」
「文月姉さんまで。少し、照れます」
かわいいぞミカァ!!
「……認めよう、三日月の力を」
「ありがとうございます、菊月姉さん」
「ん、頑張ったね、ミカ」
「はい、嬉しいです、弥生姉さん。……ですが、私が頑張った訳では」
謙虚だな、うちのミカは。「別に?普通でしょ」くらい言って良いんだぞミカァ!!
「いやぁ、許されなかったか、デブ」
「だねぇ、やっぱり妹が可愛かったからね。全国の妹がいないオタクを敵に回したしね。残当」
「かなC」
俺、望月のオタク並みの感想、好きだぞ。
「……司令官、この鎮守府も、あんな風になるのかしら?」
期待が籠ったかのような顔の如月が言う。
「名瀬の兄貴みたいに?いやー、キツイっす」
ガキなんか作ってみろ、鎮守府が火の海になるぞ。
「……まあ、陸奥さんとか榛名さんとか、黙ってないでしょうねぇ」
「そーいうこと。結婚なんて、やめとけ!やめとけ!」
「私は素敵だと思うんだけどね、皆んな司令官の愛人、だなんて❤︎」
私は、貴方と一緒なら、どんな形でもいい、とのこと。男の望む良い女になろうとするのが、如月の良いところなのかも知れん。
ん、ちょい待ち、ラインだ……。
オータムクラウド先生:たすけて
だと……?!
「ッ!!ミカァ!!」
「はい」
服を、脱がせる。
「「「「?!!!」」」」
「自分で脱げますよ、司令官」
「いや結構。こういうのは、脱がせる楽しみもあるのだ」
三日月のセーラー服に似た艤装の服の部分を優しく脱がす。
おお、三日月、中々の筋肉だ……。しかし、筋肉の付け過ぎと言うことはなく、服の上からでは目立たないくらいだ。
戦闘に特化された肉体だが、だからこそこの様な美しさを持つのかも知れない。
最後に、飾り気のないパンツを脱がせる。
「最近は暑くなってきましたから、これも良いでしょう」
一糸纏わぬ姿の三日月は、恥じらいの一つもない。
それと、赤くなる弥生と文月。顔を手で覆っているが、指の間からこっそりこちらを見ている。望月も、少し赤い顔で、興味深そうにこちらを見ている。
菊月はしみじみとした様子で頷いているし、如月は微笑んでいる。
あの、別にここでおっぱじめる気じゃないぞ?ここはノースティリスじゃない。俺はただ……、
「ミカにはミカのコスプレをしてもらうぜミカァ!!」
と言うこと。
オータムクラウド先生に、売り子を頼まれたのだ。
オルフェンズの全年齢向けギャグ本と言うならば、俺とミカが行くべきだろう。
さり気なく三日月の身体をあちこち触りつつも、パンツを履かせズボンを履かせ、着替えを終わらせる。いやぁ、うちのミカはかわいらしい身体だなぁ。結婚しろミカァ!!
「じゃあ、行くぜミカァ!!」
「分かりました」
そして肩車!!フゥー!三日月のしっかりと鍛えられつつも細身の太ももがおおおおお!!!
テンション上がってきた!!
「……司令官、大分じっくりと三日月の身体を触ってたわねぇ」
「……私達にも興味を持ってくれているのかな?」
「わ、私も、あんな風に触って欲しいな〜。三日月、すっごく嬉しそうだったもん!」
「表情は変わってないけど、明らかに喜んでたもんねー。んー、何かしら理由があれば触ってもらえるってことかな?」
「まあ、何にせよ……、誰であろうと、私達を超えることなど、不可能だ。何人侍らせようと良い、司令官には、私達でハーレムを作ってもらう」
「「「「逃しは、しない」」」」
三日月
強くてクールで度胸もある。鎮守府全体を引っ張る旅人に全てを預けるキリングマシーン。農業に興味があるらしく、よく裏山の畑で目撃される。旅人の命令なら何でも聞くが、性的に迫ることはないので、旅人自身もかなり信頼している。
弥生
無口。趣味は読書とのこと。押しに弱いので、明石や夕張によく分からん武器を押し付けられる。
如月
レイヴン系女子。幼い見た目からは想像つかないセクシーさで旅人に迫る。化粧や服など、女の子らしいご趣味を持つが、パイルバンカーなどの一風変わった武装のテストも好き。
文月
世に文月のあらんことを……。
菊月
ランク1を自称するが、イレギュラーには滅法弱い。趣味はビリヤード。
望月
ミーハーなオタクかつFPS民。ソシャゲ勢でもある。将来は旅人に養ってもらいたいらしい。
旅人
三日月はセクハラしてもバレないから大好き。