旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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音成鎮守府は、なんと言うか、こじんまりとしたイメージ。


84話 音成インザ旅人

ちょっとだけ、緊張するなぁ。

 

尊敬するこの、黒井鎮守府の提督である旅人さんを、うちに招くだなんて。

 

こちらから伺うことはあっても、あっちがいらっしゃることはあまり無いから。

 

「さて、音成鎮守府にようこそ、歓迎するぞ、盛大にのう!……じゃったかの?」

 

「初春ちゃん、似てる似てるー!あ、旅人さん、こんにちはー!」

 

「きゃー!旅人さんだ!お久し振りですー!」

 

魚雷みたいに突っ込む子日ちゃんと阿賀野ちゃん。

 

「お"ぉ"ん!!」

 

ああっ?!なんてことを!

 

艦娘の力と速さで、人間の旅人さんに抱き着くなんて!!

 

「ここここ、コラっ!!た、旅人さんに迷惑かけちゃダメ!!!」

 

「えー?旅人さんは頑丈だから大丈夫だよー!」

 

「会いたかったですー!」

 

「だが、まだ生きている」

 

ああ!ノーダメージだ!一体どうなってるの?!

 

「さて、そろそろ三時だ、おやつを作ろう!キッチンはどこかね?なければ出す」

 

「……出す、とは?」

 

「マダム殺しのフードプロセッサー」

 

懐から突然、明らかに重そうなフードプロセッサーが。

 

あっ、そうでした、この人の懐は異次元なんでした。

 

「い、いえ、キッチンはこちらにありますから!」

 

……ん?あれ?

 

「って、ダメですよ!お客様なのに、なんで料理する気満々なんですか?!お茶菓子くらいなら私が!」

 

「まあまあ、良いじゃろうに。本人がやると言うのだ、やってもらえば良かろう?」

 

「でも……」

 

「じゃ、守子ちゃんは手伝ってもらえるかな?」

 

「うーん、分かりました」

 

そうなんだよね、私も、料理は得意だし、お茶菓子くらいなら作れるんだけど、流石にプロ級の腕はないもん。

 

多分、「自分で作った方が美味い」とか言われたら心が折れると思うし……。

 

 

 

「はい、じゃあ、やろうか」

 

「「「「はーい!」」」」

 

……あれ?何で阿賀野型の皆んなが?

 

「提督ばっかりずるいよ!私も旅人さんのお手伝いするんだから!」

 

阿賀野ちゃん、旅人さんのこと大好きだから……。

 

「私は、阿賀野姉が皆んなに迷惑をかけないように、と」

 

能代ちゃんは、いつも阿賀野ちゃんに着いてる。しっかり者の良い子。

 

「私も同じ、ですね」

 

矢矧ちゃんも、良く阿賀野ちゃんに着いていてくれる。能代ちゃんほどじゃないけど、しっかり者だ。

 

「わ、私は、その、姉さんが皆んな行くって言うから……。ぴゃぁ〜、じゃ、邪魔だったかなぁ?」

 

酒匂ちゃん。寂しくって着いてきたみたい。かわいいなぁ。

 

「おお、かわい子ちゃんがいっぱい!嬉しいねぇ!」

 

……まあ、旅人さんも喜んでることだし、良いか。

 

旅人さんは女の子が好きみたいですし。

 

「その、それで、どうするんですか?お茶菓子ですから、クッキーとか?」

 

「いやね、最近は暑くなってきたから、パフェとか作っちゃう!」

 

えぇ……。

 

「そ、その、アイスは無い、ですね。クリームの材料くらいならあるんですけど」

 

「まずここに万色フルーツがあるじゃん?」

 

どこから?

 

「携帯調理器を使います」

 

だから、どこから?

 

「はい、パフェの完成です」

 

「?!!!!」

 

?!!!

 

はい?!!

 

「わー!すごーい!すごいよ!!」

 

「えぇ……(困惑)」

 

「料、理……?」

 

「?、ぴゃ?ぴゃぁぁ?」

 

過程をすっ飛ばして完成です、と言われましても……。

 

「はい、阿賀野にあげよう」

 

「わーい!……はむっ……、おいしー!」

 

「ほらほら、こっちで座って食べて?他のは今から作っておくから、ちょっと待っててね?」

 

「うん!分かった!」

 

……あー、なるほど。

 

阿賀野ちゃんを座らせる為、なのかも。

 

阿賀野ちゃん、ものすごーく、ドジだから……。

 

キッチンに入れたら、危なっかしくてしょうがないもんね。

 

「さ、今のうちにさっさと作ろう。はい、とりあえず能代と矢矧は生クリーム作っておいて、守子ちゃんは俺と生地を焼くよ。酒匂は……、そうだな、イチゴのへたを切り落としといて」

 

「「「「はい!」」」」

 

やっぱり、阿賀野ちゃんを封じる為に……!さ、策士だ!

 

と、と言うか、作業スピードが速い……!!

 

「おっ、酒匂は結構器用だな、それだけあればタルトも作れそうだ。確か生地は四次元ポケットに……、あった」

 

そしてあの四次元ポケット!魔法って本当にあるんだ……。

 

「生クリームできましたー!」

 

「よーし、次はカスタードよろしくー」

 

「了解です!」

 

ああ、あまりの速さに、旅人さんが二人いるように見え……、あれ?……、

 

「二人いるー?!!」

 

「「いや、一人だよ」」

 

嘘です!今完全に二人いました!!

 

 

 

そ、そんなこんなで終了です。

 

完成したお菓子を居間に運んで、皆んなで頂きます。

 

「お、君か。こちらに来るとは、珍しいな」

 

「日向ったら!もっと丁寧な対応を……!あっ、そ、その、こ、今回は音成鎮守府にいらっしゃいまして……」

 

あ、日向さんと、伊勢さん。出撃から帰って来たみたい。

 

と言うことは、

 

「んあー、疲れたぁー!……ん?甘い、匂い?……疲れた時は甘いもの……、私にもちょーだい!!……って、ええ?!」

 

「こら、瑞鶴?廊下を走っちゃ……、あら?」

 

一緒に出撃していた翔鶴型の二人も帰って来たみたい。

 

「あ、お邪魔してるよー」

 

「こ、こっちに来てたんですか?」

 

「いつもいつも、そちらにお邪魔してばかりで……。今回は、寛いで行って下さいね?」

 

「ああ、ありがとねー」

 

そして、二階からは、

 

「む、待たせたか?すまないな。お詫びに、この若葉のことを好きにするがいい!煮ても焼いても良いぞ!!」

 

「こここここ、コラ!!若葉ったら!!」

 

若葉ちゃんと初霜ちゃん。……うちの若葉ちゃんは、その、なんと言うべきか、特殊な趣味があって……。

 

「む?何かおかしいだろうか?黒井の駆逐艦の響は、この前、膝に抱えてもらい、お尻を叩いてもらったとか」

 

「えっ」

 

「ちゃうねん、ちゃうねん……」

 

膝の上でお尻を?!(重要)……、叩かれて?(若干の興味)

 

「ふふふ、遠慮せずとも良い!響の調査ノートには、「どちらかと言うとS」と書いてあるぞ!安心してくれ、私はマゾだ!!」

 

「若葉ーーー!!!何言ってるの?!!何言ってるの?!!」

 

「そぉい!!」

 

「さあ!我慢せずに劣情を私にむぐっ?!…………もぐもぐ、うまい!!!」

 

シュークリームを口に!!

 

「あー!私も私もー!あーん!」

 

「はーい、阿賀野ー、あーん」

 

「んー❤︎おいひい!」

 

……なんか、うまく誤魔化しましたね。

 

「つーかあれ、音成にも出回ってるの?マジ?マジかー……」

 

……私も持っているのは黙っておこう。

 

「そっ、それで、今日はどうして音成に?」

 

瑞鶴ちゃん、全力でフォロー。顔は真っ赤。……私もだけど。

 

……せ、攻める方が、好き、ですか……!

 

なるほど!

 

「ああ、守子ちゃんに誘われてさ。たまには、と思ってね」

 

「そ、そうなんですか。……あ、そ、そうだ、えっと、ですね?良ければ、後で弓をご教授願えますか?」

 

翔鶴さんが、期待を滲ませた声音で言う。珍しい、翔鶴さんがお願いだなんて。

 

「ん、もちろん」

 

「あ、ありがとうございます!!……あの一航戦の御二方も絶賛する程の腕前だそうですから、楽しみです!」

 

へぇ、弓もできるんだ!私も、学生の頃は弓道部だったし、少し気になるなー、後で見せてもらおう!

 

 

 

……あれ?でも、

 

「……そのぉ、黒井鎮守府の艦娘は、大丈夫なんでしょうか?」

 

「ん?大丈夫だけど?」

 

いやその、そうじゃなくって……。

 

だって、黒井鎮守府の艦娘は、愛が、重いと言うか……。

 

「ああ、だって、ほら」

 

そう言って、窓の方を指差す旅人さん。

 

そこには……、

 

「…………ひぃ!!!」

 

 

 

窓に、沢山の式神がべったり張り付いて…………!!!

 

 

 

「監視されてる、からね」

 

 

 

や、やっぱり、黒井鎮守府は、おかしい……!!

 

 




若葉
マゾ。

音成鎮守府の提督
本名、海原守子。

旅人
監視には慣れている。

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