どうでもいいけど、白露型となると、一番パンツが美味しそうなのは江風ですね。
書けば書くほど評価が下がる、凄いssだよ。俺ももう何がウケて何がダメなのか分からんから好きにやります。
「さあ、着いたぞ!……おっといかん、決め台詞決め台詞、と。……ゴホン、黒井鎮守府へようこそ!!歓迎しよう!盛大にな!!」
「…………わぁ……!!」
大っきい。
あ、いや、提督(予定)も大きな人で、ちょっと怖いけど、そうじゃなくって。
……黒井鎮守府、すごく、大きなところ。
前に、私達がいた鎮守府とは比べ物にならないくらい。
「……なあ、何で、この、看板にさ、これ見よがしに『悪の組織黒井鎮守府』なんて書いてあるンだ……?」
「……そこだけは譲れないのだ」
「……はあ?」
……江風の疑問も最もだけど、そんなことよりもあたしは、この鎮守府の綺麗さが目についた。
あたしの知る鎮守府と言う施設は、もっと、こう、ジメジメしていて、嫌な感じがするところだった筈なのに。
門とか、塀とかも、艦娘を逃さないように、がっちりした、牢屋みたいな感じじゃないの?
ここは、全然違う。掃除が行き届いていて、門も塀も、上品で、嫌な感じのしない、お屋敷みたいな……、何というか、そんな風に見える。
「それじゃ、入って、どうぞ」
「……は、はい」
皆んな、おっかなびっくり、って感じ。もちろん、私も怖い。けど、海風も、江風も、手を握っていてくれるから。
前の鎮守府でも、嫌な思い、沢山したけど、仲間達皆んなで支え合って、乗り越えてきたもん。今回だって、きっと大丈夫。
……と、そう思っていたあたしが見たものは……、
「し・れ・い・か・ん❤︎春雨、輸送任務、完了致しましたぁ❤︎アハッ❤︎ちゃーんと、愚かな深海棲艦共に『死と絶望』を届けて参りましたよぉ❤︎」
「お、おう、頑張ったな」
……変わり果てた姉の姿だった……。
「そん、な……!!」
「春雨、姉さん……?」
「嘘、だ、姉貴が、あんな……!!」
血が……、血が、あんなに沢山!!
「春雨姉!!!」
「あら?……もしかして、山風ちゃん、かしら?」
「春雨姉、死んじゃやだよ!!折角、折角また会えたのに!!!」
やだ、やだ、やだ!!死なないで!死なないで!!
「ふぇ……?……あ、ああ!そのね、山風ちゃん?これはね、全部返り血なの!だから、大丈夫よ?」
「………………え?」
返り、血?
「ほら、これで、深海棲艦共の内臓を引き裂いて殺して来たの❤︎」
そう言って見せられたのは、血に塗れながらも、流星みたいな輝きを放つ、歪んだ二枚組の短刀だった。
「春雨、姉……?」
「?、何かしら?」
可愛らしい笑顔を見せる春雨姉は、確かに、どこも怪我をしているようには見えなかった。
でも……、
「司令官❤︎これ、見て?ぜーんぶ、深海棲艦共の心臓だよ?あんな醜い見た目なのに、心臓は綺麗だよね❤︎……まるで、宝石みたい……❤︎」
春雨姉さんは、どこか、怖い。
……あっ、そ、そんな、大切な姉さんを怖いだなんて……。あたし、疲れてるのかも。そうだ、きっと、今日はたまたま、たまたまだ。いつも姉さんが血塗れな訳じゃ、
「ただいま!帰投したよ、提督!一々首を持ってくるのは面倒だからね、頸椎を引き抜いて来たよ!多分、全部で百くらいかな?」
「殺した数、覚えてられないから、心臓を引き摺り出して来たっぽい!ひい、ふう、みい、よ……、沢山殺したっぽい!!」
「「「うきゃぁぁぁあああああ!!!!」」」
「あはははは、怖がらせちゃったみたいだね。ごめんよ?」
「大丈夫?びっくりさせてごめんね?」
「でも、そんなんじゃ、この先生き残れないっぽい?」
……あの後は、普通に、何事も無かったかのように、鎮守府の中へ通された。内装も綺麗だったし、所属している艦娘の皆んなも、幸せそうに見えたけど……?
今は、取り敢えず、時雨姉に案内されて、白露型の部屋に来た。
他の皆んなも、姉妹艦だったり、手の空いている艦娘だったりに案内されて、自室(予定)に向かったみたい。まあ、荷物、置かなきゃならないし。
「これからお昼だけど……、まだちょっと時間あるし、工房においでよ」
「……工房?」
何だろう?工房?何か、造ってるんだろうか?
「工房って言うのは、提督が僕達の為に作ってくれた施設なんだ。名前は工房だけど、用途は武器の整備と物置、かな」
「は、はあ……」
武器……。なんで、艦娘が格闘武器を持っているんだろうか。
「んー?何で刀なんて持ってるのか分からない、そんな顔をしているね?」
「えっ、あっ、ち、違くて……!」
いけない、失礼だったかな?
「ふふふ、良いんだよ。山風の疑問も最もだよね。……良いかい?僕達はね、艦娘なんだよ。艦でありながらも、人のカタチをして生まれてきたんだ」
「艦でありながら……」
「そう、艦でありながら、人のカタチをね。……だったら、艦の力と頑強さで、人の手足を振り回して、もっと言えば、武器を直接振り回すのって、おかしなことかな?」
「それは……」
……確かに、私達は、カタチは人だけど、力も装甲も、艦のそれだ。だったら、人の器用さで艦の力を振るうのはおかしくはないかもしれない。
「分かってくれたかな?……それじゃ、こっちだよ。工房は外なんだ」
「あ、うん……」
……正直、納得はできないけど、理解はした。
兎に角、その、工房に行ってみようと思う。時雨姉は、信用、できるから。
「…………すごい…………!」
物置、何て言うくらいだから、もっと無骨な建物を想像してたのに。工房は、すごくおしゃれな、西洋式の建物だった。……お隣の、近未来的なガレージも気になったけど。
「うわー!すっげー!!カッコイイ!!!」
江風が大騒ぎするのも無理ないよね。今回ばかりは。
「君達も、道具を持った方が良いよ?そこにあるの、どれでも好きに持って行って良いから」
「マジ?!やったぜ!!じゃあ私は……、これ、貰っちゃおっかな〜!」
撃鉄の付いた金槌を引っ張り出す江風。……金槌なのに、火薬の匂い……?どう言うこと?
「こ、こら、江風?姉さん達に迷惑かけちゃ……」
海風がそう言うのも当然だよね。江風は、ちょっと、流石に調子に乗りすぎ。
「あはは、良いんだよ。……提督に迷惑をかけない限りは」
…………そうだ、さっきから、何かおかしいと思ってた。時雨姉は、さっきからずっと笑ってるけど、でも、瞳の奥は、全然笑ってない。……どうして?
私達、何か悪いことしちゃった?
「?、ほら、海風も、山風も、遠慮しないで、道具を選んで?……一緒に提督の役に立とうじゃないか」
…………提督。時雨姉の瞳は、提督って言葉を口にする度に、黒く澱んで……。でも、提督って言葉を口にする度に、幸せそうに、本当に笑ってる。提督が、原因なの?あの人からは、嫌な感じがしなかったのに。……後で、話をしてみよう。
「ええと、じゃあ、私はこれを」
海風が、遠慮がちに目の前の武器を手に取る。……あれは、鉈?ノコギリ?……ちょっと、海風のセンスが分からないかも。
「さあ、山風も」
「う、うん」
えっと、あたしは……、どうしよう、まともな武器がない。どれも、嫌になるくらい禍々しい。ん?……斧、か。まあ、無いよね。絶対に呪われてるもん、アレ。怖いからやだ。
「……選びかねているなら、最初に目に付いたものを手に取ると良いよ。はい、どうぞ」
「………………えっ?」
あ、あれ?斧を押し付けられちゃった?
「白露型は直感に優れるからね。大体は、最初に目に付いたものが正解なのさ」
い、いや……、は、ハズレだと思うよ、時雨姉!!
「し、時雨姉?あ、あたしは」
「おっと、そろそろ昼食の時間だね。それじゃあ、渡した道具は肌身離さず持っておくんだよ。一週間もしないうちに、身体が艤装だと認識して、艤装と同じように消したり出したりできるようになるから」
「「はい!」」
「え、ええー?」
あ、あたし、この斧を持って歩くの?!ぶ、物騒過ぎるよ……。
……結局、断りきれずに、この物騒な斧を押し付けられちゃった……。でも、帯刀した人とか、戦鎚を持ち歩いている子とか、そんな子が沢山いて、幸いと言うかなんと言うか、目立ってはいない。
あっちの人も、西洋剣を帯刀して……?
……嘘、あれ、あの人って……?
「……ふむ、今日はめでたい日だ、少々お高い洋酒を開けるか。羽黒、お前もどうだ?」
「うーん、じゃあ、ちょっとだけ……。本当に、今日はおめでたい日だもんね」
……分かる。艦娘として備わった機能なのか、艦の頃に会った艦とか、姉妹艦とか、そう言うのは、なんとなく分かるんだ。
あの人は……、
「那智さん、羽黒さん!」
「む?お前は……、山風、か?!再び相見えるとは!いやあ、今日は実にめでたい!!」
「わぁ……!久しぶり、山風ちゃん!また、会えるなんて、司令官さんには感謝してもしきれません!!」
那智さんに抱き上げられる。嬉しい、な……。
……でも、めでたい日、って何だろう?
「んー?ああ、今日はな、私達妙高型の練度が90を超えてだな?」
「もう、少し。あともう少し……」
那智さんは、黒く澱んだ、でも、とても幸せそうな瞳。羽黒さんは、熱に浮かされるみたいに、狂ったかのように笑っている。
「練度?練度って、何……?」
……やっぱり、この艦隊は、どこかが……。
「……ああ、説明がまだだったのか?ふふふ、何、大丈夫だ、すぐにお前も幸せになれる」
「司令官さんから、首輪を貰わないとね……」
「今の時間帯なら、提督は食堂だろうね。さあ、早く、提督のモノになろうじゃないか……」
皆んな、自分の首にかかった首輪を愛おしそうに撫でてる……。
やっぱり、やっぱりこの艦隊は……、
どこか、おかしいよ……。
山風
極めて直感が鋭く、危機察知に関しては現段階でもトップクラス。黒井鎮守府の歪み(ヤンデレ)に気付くが、相手が最愛の姉や大切な身内の為、何も言えないでいる。
那智
やっと、妙高型の平均練度が90を超えた。
時雨
黒井鎮守府屈指のイかれっぷり。深海棲艦を殺し、旅人の役に立つことが生き甲斐。悪鬼羅刹の如く強い。
旅人
返り血塗れの白露型は流石にヤベーな、とは思っている。