ガールズ&トランスフォーマー   作:ヘキサショット

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第十一話 トランスフォーマーのいる日常

 今回は、大洗女子学園のとある休日から物語を始めよう。

 

 前回の聖グロリアーナ女学園との戦いをを通し、お互いのコミュニケーションの重要さを実感した大洗TF道選択者達。

 トランスフォーマー達と出会って間もない彼女達は、パートナーであるトランスフォーマー達との交流を深めていた。

 

 

 

 

 大洗女子学園・TF整備用倉庫

 

 鉄と油の臭いが充満している倉庫では、休日ながら協力者として整備を担当している自動車部のメンバーやソフトメンテナス担当の悪魔博士、何人かのTF道選択者が集まっていた。

 

 

 チャーと大洗歴女チームの一人、おりょうが難しい顔をして台をはさんで向き合っていた。

 他三人は二人の様子を静観し、エルヴィンは手元の紙に何かを書き込む。

 おりょうは苦々しい顔をしながら、額にたらりと汗を流す。

 そして決心したように台に手を伸ばした。

 

「……4六角」

「……7七飛、返しはあるかの?」

 

 チャーの指しの通りに、エルヴィンが飛車を摘まんでパチンと小気味いい音と立たせながら将棋盤に置く。

 途端におりょうは渋い顔をしながら盤上を睨み付ける。

 

「…………参りました」

 

 チャーの一手への返答を考えたが、将棋盤を前におりょうが敗北宣言をして礼をし、相対していたチャーもそれに返す。

 すぐさま感想戦に移り、左衛門座やカエサルが脇から盤を覗き込みながら、狐につままれたような様子でエルヴィンが付けていた棋譜と見比べる。

 

「これは……わけがわからない」

「打ってる私が一番わからんぜよ……」

「何故ここで角の利きをしていた飛車を自分から動かせるんだ……?」

「あっはっは、年の功じゃあ若いモンにはまだまだ負けられんわい」

 

 エルヴィンがううむと唸りながら棋譜を睨み付けパチリと1筋の歩を進め、端歩を伸ばそうとするが、これ以上端歩を伸ばすとチャーの角道が開いてしまい取り返しが付かなくなる事が目に見えた。

 チャーの盤面は9筋の歩を五まで押し上げており、そこを基点として端歩を伸ばして箱を構築し振り飛車との併用で完全におりょうの角を殺していた。にも関わらず、利きの飛車をわざと下げ、おりょうが組んでいた矢倉の金と銀が箱を崩せない形に持ち込み攻め手を完全に潰したのだ。

 おりょうが飛車の圧力に屈して角を押し上げた事で攻めきる手を失ったため、このまま打ち続けてもおりょうの勝ち筋は無いといえるだろう。

 

「なんというひねり飛車……」

「もっとドンと構えなけりゃ勝てるもんも勝てんぞ? そうじゃな、一つ面白い話をしてやるかの。 そうアレはワシがまだ惑星間をあちこち飛び回っていたころじゃ……」

「お、チャーの昔話の時間だぞ」

 

 4人は感想戦もそこそこに、昔話を始めたチャーを中心に座り込む。

 昔を懐かしみ、高揚した様子でチャーは語り続ける。

 

「まさに蟻の巣の様な洞窟での、仲間と散り散りになったワシは、いやぁ迂闊じゃった。 ビックヤックの巣の中に飛び込んでしまったんじゃ。 あの時はワシもこれまでと思ったわい」

「……毎度話に出てくるがビックヤックってなんなんだ」

「……さぁ?」

「じゃがの、最後の最後でチャンスが巡ってきたんじゃ。 あれはなんじゃったかのお……」

 

 歴史好きと昔話好きの老兵の組み合わせは、やはりというか上手く噛み合っていた。

 チャーの昔話好きは、少々行き過ぎたところがある。

 事あるごとに過去あんなことがあったこんなことがあったと、耳にタコが出来そうな程に語りだすのだ。

 実際、トランスフォーマーの中でも戦いの話が大好きなグリムロックを除いては、チャーの昔話に辟易してきる所があった。

 チャーは分け隔てなく接する性質でもあったし、戦士としての強さは誰もが認めるところではあったが、少々口煩い老人というのが周囲からの総評である。

 だが、歴史好きの彼女たちからすれば、チャーは正に生きた化石、生きた偉人のような人物である。

 彼女たちがチャーのパートナーとなったのは、ある種運命的であった。

 

「チャー、単身で乗り込んだ話は十分聞いたから何か徒党を組んで戦った話をしてくれないか?」

「トランスフォーマーの戦い方に興味あるぜよ」

「……まだ途中なんじゃがの」

 

 傍から見れば、それは昔話をねだる子供と老人そのままであった。

 

 

 

 

 

「よーし、始めるぞー!」

「ホイスト、おねがーいっ!」

「いくぞぉ……それっ」

 

 ホイストが右手のミサイル発射口を少し上に向けると、パシュンと軽い音を立てて何かが飛び出した。

 なんとそれはバレーボールで、飛び出したボールを茶髪のロングヘアーの揺らしながら妙子が受け止める。

 上手く衝撃を緩和されたボールの先にはすでにキャプテンの典子が構えており、そっとボールに触れたと思うと、以外にも見た目には想像も付かない高さでボールが浮かび上がる。

 コート中央にかけられたネット付近に落下していくボールを、アタッカーの忍が鋭いアタックで相手側のコートにねじ込もうとする。

 しかし、打ち込んだ瞬間に下から人形がせりあがってきて、忍のアタックを弾き返す。

 完全に決まったと思ったアタックは勢いをそのままに自陣コートに突き刺さり、バヨンと音を立てて跳ね返った。

 フィールド横で記録を付けていたあけびがペンで成否の欄にペケを付ける。

 その横には十回分の印が既に付けてあり、それは全てペケ印であった。

 

「うーん、今のアタックが入らないのか……」

「ちょっとホイスト、これ本当に入るの?」

 

 敵陣側のネット下に備え付けられた装置を指さしながら不平を漏らす忍と妙子。

 だが、ホイストは首を横に振って間違いだとそれを跳ね除ける。

 

「四人の身体測定時の記録や、ちょっと前に取ったデータに合わせて作ったんけど……どこか間違えたかな?」

 

 手元の調整用パネルをポチポチ押しながら、ホイストが唸る。

 計算上では、確かに十二分に成功するレヴェルでの調整になっていた。

 困った様子のホイストに、典子が笑いながら話しかける。

 

「いや、ホイストは多分間違えてないよ」

「ん? それじゃあ一体……ああ、そういうことか。 確かにそれは僕の領分じゃないなぁ、ハハハ」

 

 ホイストは何か納得すると調整用のパネルの電源を落として、再びミサイル発射口にバレーボールを詰め込む。

 一方で典子は記録係をしていたあけびも含めて、顔を突き合わせて円陣を組み始めた。

 

「絶対あのブロックは崩せる!」

「でもキャプテン、あれ反応が早すぎますよ……」

「いや、私はホイストを信じる! 気合が足りないのは私達の方だ!」

 

 あけびの弱気な発言に、小さいながらもデン!と胸を張って言い切る典子。

 若干呆れ気味になるあけびに向かって、笑いながらホイストが付け加える。

 

「いやいや、キャプテンの言うとおりさ。 どんな辛いことだって意思さえ折れなきゃあ大丈夫。 機械だって調子が悪いときもあればいいときもある。 でも、どれかが悪くったって他の皆でカヴァーすればもっといい結果が出るときだってある。 ほら、ビッグコンボイも言ってたろ? ワンフォアオール、オールフォアワン!って」

「うーん、ホイストの説明はわかりやすくて助かる」

「キャプテンはちょっとわかり辛いところがありますからね……」

 

 忍と妙子が苦笑いしながら言うと、典子は少しふてくされた様に考え込む。

 

「むー……気合いじゃわかんないのかな……」

「ちょっと伝わりにくいだけで、キャプテンは間違っちゃないさ。 ほら、練習練習!」

 

 ホイストが上に向けていた砲塔をチョイチョイと左右に振って準備するように促す。

 自然と、皆が所定のポジションへ就いていく。

 それぞれのポジションに就いた途端に、先程までの緩い雰囲気とは打って変わって空気が引き締まるような感覚を覚える。

 それを見てホイストは、

 

「よーし、行くぞ!」

 

 嬉しそうな様子でボールを打ち出すのだった。

 

 

 

 

 

 大洗女子学園・校庭

 

「グリミィちゃんも桃ちゃんも頑張って~!」

「桃ちゃん言うなッ!」

「おれグリムロック、ちゃん付けするナ!」

「ほぉれ二人とも、余所見してる暇があったら指を動かすぅ!」

「くぅっ……このっこのっ」

 

 校庭の一角にて、いつもの生徒会メンバーとグリムロックは射撃訓練をしていた。

 といっても、彼の得物は実銃のレーザー銃でない。

 あんなものを振り回しては安全管理するしないどころの話ではないので、全日本TF道連盟公認のペイント弾(後で予算で落とそうとしたらとんでもない値段だった)を使っての訓練だ。

 桃が使っているのは普通のエアーガンである。

 お互い簡易な的に向かって先程から撃って撃ってを繰り返してはいたが、それらの殆どは予算をドブにダンクシュートするが如き結果となっていた。

 私や会長としては的に掠ったりするたびに、桃が一喜一憂するのが面白いので飽きはしないのだが。

 

「モモもう少しおちついて狙え。 目をとじてたらあたらない」

「うぅるぅさぁいッ! 言われなくってもわかってる!」

 

 グリムロックが横から口を出すと、癪に障ったのか桃はつんけんとした態度で応じた。

 本心でないのは私や会長もわかっているし、彼もわかっていてアドヴァイスしているように見える。

 その様子を見ながら、私は先日あったことを思い返した。

 

 

 

 前回の親善試合の後、私達の中で一番落ち込んでいたのはグリムロックである。自動車部と悪魔博士に修繕してもらった後に会った時には、いくら話しかけても生返事で大好きなチャーの昔話にも耳貸さなかった程だ。

 あまりの落ち込みように、このままふて腐れてしまうかと心配していたが、そんな心配は杞憂であった。

 

「おれグリムロック、頼む、オレのこと勝たせてクレ!」

 

 何日か経った後、復帰したグリムロックの第一声がこれだ。

 突然の態度の変化に戸惑っていた私達に対して、彼はウンウンと考えながら言葉を続けた。

 

「……オマエらが事オレのことふつうに戦わせるのムリだ……でも、オレ、マケるの嫌いだ!」

 

 こちらのことを操縦させたくないほど嫌がっていたグリムロックが、頭を下げて頼んできたのだ。

 その言葉に、私は何も言えなかった。

 少なくとも私達の努力不足が敗因にあるのは間違いでないし、グリムロックと歩み寄ろうとしていなかったのは確かなのだ。

 動かせばこちらの指示通りに動くと、勝手に思い込んでいた。

 初歩的な事を忘れていたのだ。

 

 彼は、彼らは、ただの機械ではなく、意思ある生命体なのだ。

 

 意思がある事も、生命体であるということも知識では理解していた。

 だが、私達は直面して始めて気づかされた。

 彼らは、本当に生きているんだということを。

 

 

 

「あ、当たったぞ! それ見ろ、私の方が好成績だ!」

「おれグリムロック、モモだけにはマけたくナイぞ!」

「おい! どういうことだ!」

「アッハハハハ! ドングリの背比べだよぉ!」

「会長! 何故そこで笑うんです?!」

 

 会長が笑ったのにつられ、思わず笑ってしまう。

 桃は納得いかないといった様子で憮然としてしまうが、グリムロックが大きな手で桃の肩をポン(というよりはゴンと押す感じか?)と乗せ、

 

「絶対ミカエしてやるもんね! やるゾ、モモ!」

「―――フンッ!」

 

 慰められて恥ずかしかったのか、桃は顔を赤くしてそっぽを向き、エアーガンを的に向ける。

 

 ちょっとずつでも、仲良くなっていけるかな?

 

 そんな事を思いながら、再び練習を始める二人を笑顔で見守るのだった。

 

 

 

 

「ヒューッ! 痺れるサウンド!」

「自慢のサウンドシステムだよ。 ブロードキャストの奴にも嫉妬されるくらいのね!」

「ブロードキャストって誰……?」

「古い友人だよ。 ……皆どうしてるんだろうなぁ」

 

 懐かしむように言うマイスターだったが、皆は彼の感傷よりもサウンドシステムの方に夢中であった。

 乾いた笑いをするマイスター。

 

 オルトモードのマイスターを中心に、ドアを全開にして皆詰めるようにしてマイスターに乗り込んで彼のサウンドシステムを楽しんでいた。

 だが、席を譲り合っても乗り込みきれなかった比較的背の高い(澤 梓)やあゆみはマイスターのボンネットやルーフに腰掛けている。

 

 楽しそうに好きな音楽をかけてもらっている皆を見ながら、すこし申し訳ないような気がしてきた。

 なんだか不憫に思い、私だけでも聞こうと思って、恐る恐る話しかけてみる。

 

「すいません、皆子どもっぽくって」

「謝ることでもないさ。 楽しそうでいいじゃあないか、梓も好きなミュージックでもかけてみるかい?」

「私はいいですよ。 そっちよりも私はマイスターの話が気になります」

「そうかい? ……じゃあお言葉に甘えて。 皆は音楽を聞いてるからインカムを付けてくれるかい? あ、でも敬語は付けなくても大丈夫」

 

 マイスターの言われるままに、首にかけるようにしていたインカムを耳に付けた。

 マイクを数度ノックすると、マイスターの声が聞こえてきた。

 

「よし、じゃあどんな話しをしようかな……梓は何か聞きたい事はあるかい?」

 

 マイスターの音声が丁度よく聞こえるように音量をイジリながら、少し身をよじる。

 なんとなくだけど、マイスターの声(ボイスシステム?)はなんだか耳に悪い。

 こう、囁き系というか何というか……。

 

「ええっと! そうだなぁ……昔の話しもいいけど、これからの話しがしたいなって。 ホラ、TF道のこととかも」

「あぁうん、そっちも大切だね。 じゃあそうだな……」

 

 少し考えると、彼はじゃあちょっと暗い話題だけど、と前振りをして話し始める。

 

「皆、私が相棒だと心許ないかな? ちょっと気になってね……」

「……重ね重ねになっちゃうけど、ほんっとゴメン……みんなパニックになっちゃって思わず……」

「君達が悪いんじゃあない。 誰だって怖いさ」

「マイスターも怖いの?」

 

 私は疑問を言った後で、何を馬鹿なことを言っているのかと自戒した。

 スポーツとはいえ、体を傷つける武道が怖くない訳ないではないか。

 まして体を張っているのはマイスターなのだ。しかも私達が操作している状態でだ。

 自分から話題を振っておいてなんだが、あまりの浅ましさに正に顔から火が出る思いになる。

 

「うーん……怖いってのはないわけじゃないけど、それよりも楽しい方が勝ってるかな?」

「楽しい?」

「うん。 楽しい」

 

 思わず聞き返すと、彼は気恥ずかしそうに答える。

 

「ずうっとスリープ状態……あ、それじゃわからないな。 そうだな……スパークとブレインは動いてるとき……ウサギのクラブハウスになってる間もずっと朧気に意識はあったんだ」

「え? そうだったの?」

「ブレインかスパークが止まったら大変なことになるからね。 で、ウサギに遊ばれてるノも悪くはなかったけど、またこうやって自由にいられるのがすっごく嬉しいのさ」

 

 声は若干うわずって、心底楽しいという感じが声からでも伝わってくる。

 それ故に、前回の失態が私の罪悪感に重石が如くのし掛かってきた。

 楽しいことを十全にできない。

 どれだけ辛いんだろう。

 そう思った時には、私の口は動き始めていた。

 

「絶対マイスターを活躍させてみせるよ。 ……時間は、かかるかもだけど」

「……あははは! ゆっくりで構わないよ。 皆で頑張っていこう」

「……うん。 約束する」

 

 そう格好を付けて言ったは良いが、一拍おいてみるとなんだか恥ずかしい。

 なんだか顔が熱くなったような気がして、思わず膝に顔を埋める。

 別のこと考えよう。……やっぱりマイスターって良い声だなぁ。

 

「おーい梓!」

 

 軽い現実逃避から引き摺る返すように、あやが運転席側から顔をのぞかせながら声をかけてくる。

 

「次は梓がなんか聞きなよ! ほんとスッゴいよマイスターの!」

「あ、今行く」

 

 インカムを再び首にかけボンネットから降りながら、何の曲を流そうかと考えるのだった。

 

 

 

 

 

 大洗女子学園・TF整備倉庫外

 

 倉庫のすぐ外では、ホットロディマスがオルトモードの状態でみほ達によって洗浄作業を受けていた。

 車体にホースで水をかけながら、沙織ははぁと深くため息をつく。

 

「なんだ、随分疲れてるみたいだけど」

「あー……うん。 大丈夫」

 

 ロディマスが心配すると、彼女は引き笑いをしながら答える。

 明らかに大丈夫ではない。 ロディマスもこれ以上は追及しないほうがいいのかと気を利かせ別の話題を振る。

 

「そういえば、結局あんこう踊りの件ってどうなったんだ? 俺達すぐに修理に出されたから知らないんだ」

「……ロディマスッ!」

 

 先ほどまで気の抜けたコーラのようだった沙織が突然叫ぶ。

 ビクッとスポンジで車体を磨いていた優花里さんは驚きで身を震わせ、車内を磨いていたみほは苦笑いをする。

 華と麻子は副操縦席にいるため全く聞こえていなかった。

 そして沙織さんはロディマスに近づき、ルーフ部分をトントンと叩き出す。

 次第にそれは強くなっていき、ドンドンと叩き出したかと思えば急にしゃがみこんでシクシクと泣き始めた。

 あまりに突飛もない一連の流れに思わずロディマスも当惑するしかない。

 

「忘れるの……忘れるのぉ……」

「あんまり触れないでください。 年頃には色々辛かったんです」

 

 そう言う優花里の目も、何処くすんでいるような気がした。

 どうにかしてこの場の空気を変えようと適当な話題を振る。

 

「そ、そういえば。 全国区の大会の抽選会っていつ? ちょっと憶えてないんだ」

「あ、ちょっと待ってください……」

 

 車内のみほがポケットからスマフォを取り出すと、スケジュール欄を表記してフリックする。

 何ページか電子ページを捲ると日程が事細かに記されていた。

 

「来週の金曜日ですね」

「へぇ、平日にやるのか」

「学校外の行事は学校の予定なんてお構いなしですから」

 

 みほの説明に、ロディマスは麻子は喜びそうだと思いながら得心したといった様子で頷く(オルトモードなので実際にしているわけではないが)。

 次に、TF道に関しての今後について聞いてみることにした。

 

「そういえばみほはTF道の今のメンバーってどう思う?」

「……そうですね。 平均的な戦力に関しては心配してないんですけど、航空戦力の欠如が心配です」

「やっぱそうだよなぁ……」

 

 ロディマスもこのことについては前回の聖グロとの試合で嫌というほど苦汁を舐めさせられた。

 地上の戦力は潤沢以上の物があると()()は思ってはいるが、やはりこの根本的な問題については頭を悩ませるしかなかった。

 

「エアーボットの一人……そこまで贅沢は言いませんけど、せめて初期のデストロンでもいてくれたらいいのに……」

「まぁそうそう美味しい話も転がっちゃあいないか」

 

 思わず残念がるが、これに関しては無いものねだりをしても仕方がない。

 

 そんな話をしていると、倉庫の中から誰か出てきた。

 

「おぅおぅ、健気に頑張っとるようじゃの。 関心関心」

「あ、悪魔博士」

 

 それは、悪魔博士だった。

 沙織と優花里はペコリと頭を下げて挨拶すると、鉄よりも固いブリキで出来た仮面の下の目が笑っているのが見えた。

 仮面のせいで表情が分かり辛いが、声で感情を表現する人なので、あまり生徒からの不満は出ていないらしい。

 

「おーそうだロデマス。 あとで大洗のトランスフォーマーみんな集めとけよ。 面白いもんみせちゃる」

「え、なんなんだい?」

 

 要領を得ないといった様子で尋ねるロディマスに、悪魔博士は笑いながら親切に答えた。

 

「こないだのあんこう踊りの映像見せてやっから!」

 

 笑顔の悪魔博士の顔面に、沙織から思い切り水をかけられるのはホンの数秒もかからなかった。




解説! TF図鑑

【マイスター】 出典・戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー

 サイバトロンの副官で、血の気の多いと揶揄されるサイバトロンメンバーの中でも紳士的な戦士。ポルシェ935ターボに変形する。
 気さくでありながらも、気遣いもできる紳士である。地球の音楽に惹かれており、音での攻撃方法も有しているが、音楽の質に関しては雑食気味なのか騒音染みたブロードキャストの音楽も『ノれる』と称してノリノリで踊るなどの変わったところも。
 片手が変形してワイヤーになったり音楽好きということから、身軽な戦士としての印象が強く、海外ゲームのFall of Cybertronでもグラップルビームなどを駆使し、縦横無尽に動き回って戦う戦士として活躍した。
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