犬を拾いました。
いや、今日は学校が休みで午前中に仕事が終わってしまって家に帰ったのだが、近道のために通った神社で犬を見つけた。
これがまた飼い犬みたいで首輪もあるしリードもつきっぱなしだった。
俺はその犬を見てしばらく考えてから、その犬のリードを掴む。
当然犬は突然自分のリードを掴まれた驚きを感じて暴れる。
そして、俺の方を見て、グルル、と唸るが俺はその姿を見て不自然なところに気づいた。
なんだろこの石。
その途端、その石は眩い光を放ち、俺の視界を奪う。
驚いた俺は思わず尻餅をつき、視界が戻るにつれ、恐ろしい光景を見る。
そこにいたのは、先程の可愛い子犬とは似ても似つかないような醜悪な姿をした、巨大な犬?
いや、もうあれはバケモノと言ってもいいだろう。
グルルルぁ
そんな唸り声を上げながらジリジリと俺に近づいてくるバケモノ。
俺は足がすくんでしまい、その場から動けないでいる。
とうとう、バケモノは俺に向かってその涎をダラダラ垂らした口をこちらに向けて大きく開け、
食われる!
…………だが、その瞬間は訪れない。
思わず閉じてしまった目を開け、前方を確認すると、そこにはいつぞやの人語を喋る奇妙な小型生物が目の前にいた。
そしてその奇妙な小型生物はそのちんまりとした手を目の前に突き出し、緑色の壁を作り、バケモノの進行を防いでいた。
「だいじょうぶですか?!」
そして後ろから聞こえてくる声に振り返ると、そこには奇妙な小型生物を連れていた俺の勤務している小学校の女子生徒。
噂では地毛らしいのだが、その目立つピンクの髪をなびかせながら、まるで魔法少女のコスプレをしていた。
そこで俺は、あ、この子魔法使いなんだな、と確信する。
なぜそんな確信ができたかというと、
「あの、怪我とかないですか?!」
その身を空中に浮かせていたからだ。
「なのは!
もうそろそろで障壁が切れる!
準備しておいて!」
「わ、わかった!」
俺を無視しての会話。
だが、そんな会話をしてくれているおかげで、どうにか俺は思考ができるようになった。
「あと10秒……」
「なのは!もたないよ!」
どうやらピンチなのだろうか、二人の声は荒いものになっていく。
なんかよく分からないが、俺はそこで、ひらめく。
緑色の障壁が砕ける。
障壁が砕けたことに少しひるむバケモノ。
そこで俺は、なけなしの勇気を使って、
「ナマガワー!」
俺にしか使えない呪文を
自分に唱え
奇妙な小型生物の目の前に立つ。
「ぎゃん?!」
俺の狙い通り、相手はバケモノとは言え元々は犬。
この俺の服の臭さに悶えているのだろう。
…………ちなみに俺は自分の鼻を掴んでいるからだいじょうぶ…………なはずなんだけど、え?やっぱ臭い。
え?ほんとに臭いんだけど。
生乾きの洗濯物の1.6倍くさいとは言え臭すぎじゃない?
俺がそんなことを考えていると、
「伏せて!」
俺はその声に素直に頷いて伏せる。
すると、俺の頭上にピンク色の光線が走り、
バケモノを消し飛ばした。
思わず驚く俺は、我に帰り、煙の上がるその場から逃げ出した。
いや、やばいだろ、やばいやばい。
あの小学生やばすぎる!
あと自分くさすぎる!