このハーメルンさんで初のSSを投稿することになりました。拙い文章ですが温かく見守ってくれると嬉しいです
ーー勇気ー。ちょっと良い子にお留守番してねーー
ーーで、でもママとパパは...。ーー
ーーだーいじょーぶ。すぐに戻るよーー
ーー何でも好きなお菓子買ってきてあげるから、ねーー
ーーわーい!やったー!ぼく良い子にしてるね!ーー
両親が家を出た。それに代わるように家に入ってきたのは黒服の男。
ーーあなたはだぁれ?ーー
男は何も言わずスプレーを取り出し、少年に吹き掛けた
ーーンンン!?パパ、ママ、たすけ...ーー
見慣れた天井。見渡す限り何もない部屋。
「ーーーーチッ。最低の気分だぜ。」
黒髪黒目の美少年、黄昏勇気(たそがれ ゆうき)はベッドの上で心底不機嫌そうに言った。
「ここ最近この夢ばっかだな。ハッ、くっだらねぇ、14歳にもなって親でも恋しくなったかぁ?」
答える声はーーーー無い。
それもそのはず、ここ『新世代超能力者研究所』は学園都市統括理事会直属の研究所であり、理事会が指名した者しか入ることができないトップシークレットの研究所なのだから。それだけでいかに彼が特別な存在かがわかるだろう。
「黄昏勇気。そこに置いてある朝食を食べたら実験場に来い。概要はそこで説明する。」
ドア越しに研究者が彼に呼び掛ける。
「わかってる。さっさと失せろ。」
言いながら、彼は床に置かれてある服に着替え、机に置いてある朝食を食べた。
「今日も退屈な一日が始まるぜ。」
愚痴をこぼしながらも実験場に向かう。
そこで彼はこちらに向かってくる人物に気が付いた。二人の研究者、その間に一人の少女がいた。勇気と同じ位の年だろうか、髪は白でとても整った顔立ちをしている。しかしその顔には表情が無く、目も死人のようだ。
「よぉ。見ない顔だな、お前」
基本的にここ『新研』で人と会うこと自体が珍しいので、彼は少し少女が気になり声をかけたが
「...。」
完 全 無 視。彼は頬をひきつらせながら
「まぁ、『新研』だしああいう奴もいるよな、うん。」
と無理矢理自分を納得させ、再び実験場へと足を向けた。
「よぉ雑魚、遅かったじゃねぇか。この俺様を待たせてんじゃねぇよ実験動物。」
実験場に着いていきなり勇気に罵詈雑言を言ったこの人物こそ、ここ『新研』の代表である木原正弦(きはら せいげん)である。彼は中位の木原であるが、能力開発に関しては一流であり、勇気の能力開発者でもある。
「よぉ木原サイン、その不細工な面を待ってる間に少しでもマシにしてほしかったぜ。」
「言ってろ。さてさて、楽しい楽しいトーキングタイムはフィニッシュだぜぇ。こっからは飼い主と実験動物の関係なんだからおとなしくしてろよ駄犬?」
「ハハッ。俺って駄犬だからうっかりお前の喉元噛みきっちゃうかもなぁ。」
これを木原は無視し、
「まずはいつも通り一世代前の駆動鎧と闘ってもらう。制限時間は一分だ。簡単だろぉ?」
「前置きはいい。さっさと始めろ。」
「ハイハイ。じゃあ駆動鎧、投下だぜぇぇぇぇ!」
天井から溢れんばかりに飛び出してくる駆動鎧。
「言い忘れてたが相手は一機じゃなくて...一万機だけどな。ギャハハハハ!」
「ハハッ。確かに一万機も用意するとは思わなかったよ。だけどなーー」
勇気が手を天井に向けた途端、
重力に従って落ちてきていた駆動鎧が勢い良く上昇し、天井とぶつかってはぜた。
「ーーレベル4の物理支配(エンペラー)には一機も一万機も、誤差の範囲なんだよ。」
「...所要時間三秒。チッ、つまんねぇ能力だぜ、てめえの物理支配(エンペラー)はよぉ。」
黄昏勇気の能力、物理支配(エンペラー)はこの世界の物理法則を操ることができる能力だ。例を挙げると、前に走っているのに後ろへと進んだり、先ほどの戦闘のように重力の向きを逆にすることもできる。
「とは言うもののまだ完璧じゃあないな。能力範囲をもっと広げることができるはずだ。まぁでも、こればっかりは演算能力を上げるしかないんだよなぁ。」
「半径十メートルが能力範囲。しかもその範囲だったらあらゆる物理法則の矛盾を乗り越えて事象を起こすことができる。ある人は普通に歩けるが、違う人は前に歩くと後ろへと進む、みたいにな。これでまだ足りないとか無能力者に殺されるぞ、お前。」
「その時はその時さ。さてと、ストレッチは終わりにしようぜ。実験はこっからなんだろ、木原。」
勇気がそう言うと、木原は不気味に笑い、
「当然だ。と言っても、今日はお前が練習台なんだわ。主役はこっちだ。」
木原がそう言って指を鳴らすと、天井のパッチが開き、一機の駆動鎧が落ちてきた...と思ったら空中で止まっている。勇気は少し目を見張り、
「へぇ。スゴいな、滞空機能がついてるのか。」
「あぁ。表面はダイヤモンド並の固さがありながら、弾力もある。飛ぶ原理としては、全身から放出する風をオートで調節するからだな。」
「なるほどな。だがあれじゃあ武器を装備できないな。手のひらからも風を出してるんだろ?」
「まぁな。現状では肉弾戦しかできない。だがレベル3までなら問題無く潰せる性能を誇る。だからこそレベル4のお前と闘わせたいってことだ。」
「最高だな。ところで一つ聞くがあれは無人か?」
「当然だ。木原が有人なんて中途半端なことをするとおもうか?」
勇気は不敵に笑い、
「それなら遊んでやるか。」
その言葉と同時に飛行駆動鎧が高速で下降してきた。
「ハッ、来いよ機械。格の違いを教えてやるぜ。」
そう言うと同時に勇気は腕を軽く振り、空気中の分子を猛烈な速さで動かし突風を起こした。それで飛行駆動鎧は風の調節が出来なくなると踏んでいたのだが、
「へぇ。さすが木原製、やるじゃねぇか。」
突風を調節どこらか利用して先ほどの倍以上の速さで勇気に迫ってくる。しかし勇気は自分以外にかかる重力を通常の10倍にする。重力は調節できないのか飛行駆動鎧は地面に落ちていく。これで終わりと思われたが、
「まだ終わらないぜぇぇぇぇ!」
なんと勇気は研究所の床をダイヤモンド並の固さに変質させた。同じ強度の物体が勢い良く激突したら起こる結果は明らかである。
「ったく、俺様の作品を壊しやがって...。」
「仕方ないだろ。力量の差がありすぎたからな。」
「チッ、まぁ良い。おい、明日はお前の外出許可日だ。好きにするんだな、実験動物。」
「やったぜ!待ってました!じゃあ今日はもう寝るから!あばよ、木原!」
勇気はきっと楽しいであろう明日に思いを馳せながら自室へと足を向けた。
これから頑張って投下していくのでよろしくお願いします。ここまでのキャラ紹介です。
黄昏勇気(たそがれ ゆうき)
黒髪黒目の美少年でレベル4の物理支配(エンペラー)
物理というのは広い意味での物理であり、物理法則を操ることから、物質の変性まで様々である。
研究者からは万能な能力、と高い評価を受けている。
木原正弦(きはら せいげん)
木原数多の弟で見た目は兄と似ている。
中位の木原だが能力開発は一流。
次回は原作キャラ出ます