図々しいですが評価もしてくださると幸いです!
携帯のアラームがけたたましく鳴る。
勇気はベッドから飛び降り、
「今日はあの夢も見なかったし、外出もできるしで最高の一日になりそうだぜ!」
いつもの不機嫌そうな態度は無く、満面の笑みを浮かべて言った。勇気が手早く私服に着替えて外出の準備を整えると同時に
「黄昏勇気。今から外出許可時間だ。19時には帰って来るように。」
その言葉を言い終えるか終えない内に勇気はドアを開けて研究所のフロントを目指した。その時、彼は昨日の少女が見えた気がしたが今日は早く外に出たかったので素通りした。フロントに一人の男が見える。あれは...
「おぅ雑魚。言われたかもしれねぇが門限は19時な。ギャハ、今日楽しんだ分明日絶望しないように気を付けるんだなぁ。」
やはり木原だった。流れるように嫌味を言うが、
「もちろん!」
勇気はそんなもの気にせずすぐに外に出た。
「チッ、調子狂うぜ、ったくよぉ。」
今日は7月20日。8月程ではないが、学園都市では25度を超え、中々の暑さになっている。勇気は何か飲み物が欲しくなり、公園に置いてある自動販売機へと足を向けた。が、そこで目にした光景は
「チェイサーーーー!」
と言って自動販売機の側面に蹴りをいれる勇気と同い年位の美少女であった。勇気は呆然として彼女を見ていると、視線に気が付いたのか彼女は勇気を振り返って見た。
「............。」
「.........何よ。」
ガコンと音がしたので勇気は自動販売機を見てみると、飲み物が出てきていた。
そう、つまり無銭飲食である。
勇気は無言で携帯を取り出し、警備員(アンチスキル)の番号をプッシュするが、
「ちょっと待ちなさーーーい!」
彼女は素早い動きで勇気の携帯を奪い取り、説得を試みる。
「私はこの前ねぇ、このとんちんかんな自動販売機に一万円を飲まれたのよ!だから私はお金を払わなくても良いのよ!」
勇気は呆れながら
「あのなぁ、学園都市の機械は全てが超最先端なんだぜ?そんなアホな機械があるわけねぇだろ。とんちんかん。」
彼女はムググッと唸り、
「そこまで言うならあんた一万円入れてみなさいよ!」
「まぁ良いけど。」
勇気は懐から高そうな財布を取り出し、払おうとするがその前に彼女が、
「ちょっと待ちなさい。あんた私をこんだけ馬鹿にしたんだから、私と勝負しなさい。」
「勝負?戦闘でもするのか?」
「それでも良いけどあんたが私に勝てるはずが無いからね。今回は賭けをしましょう。」
「なるほどな。一万円を飲まれたらお前の勝利、飲まれなかったら俺の勝利ってことか?」
彼女は目を見張りながら、
「あんた、物分かりが良いのね。」
「話が早くて良いだろ?」
彼女は不敵に笑い
「そうね。付け加えるなら、負けた方は勝った方の言うことに何でも一つ従うっていう罰ゲームつき。」
「ハッ、良いぜ。お前の悔しそうな顔が目に浮かぶぜ。じゃあ、いくぜ!」
勇気は自動販売機にお金を投入するが、飲み物の選択ボタンが光らない。つまり......
「飲まれたぁぁぁぁぁぁ!」
「やったーーーーー!」
笑顔で跳び跳ねる美少女と、悔しそうに唸る美少年は端から見ると微笑ましく見えたという。
「くっ、俺の負けだ。お前に従うよ。」
「ふふん。あ、でも一つ命令の前にお願いしていい?」
「物によるな。言ってみろよ。」
「その『お前』っていうのやめてくれない?私もあんたのこと名前で呼ぶから。」
「そんなことならいいぜ。俺達はもう友達だからな。」
それを聞いた途端、彼女は向日葵のような笑顔を浮かべ、
「友達...そうね!私は学園都市第三位、御坂美琴。あんたは?」
「俺はレベル4の物理支配(エンペラー)、黄昏勇気だ。よろしくな、御坂。」
それを聞くと御坂はキョトンとした顔になり、
「あん...勇気って私がレベル5って聞いても対応を変えないの?」
勇気は心底不思議そうな顔をし、
「レベル5だって一人の人間だろ?それに、少なくとも俺の目には御坂は普通の女の子にしか見えなかった。ならそれでいいだろ。」
それを聞いて御坂はクスッと笑い、
「勇気って面白いわね。ねぇ、折角だし携帯番号交換しない?」
「あぁ、いいぜ。」
ーーピロリーンーー
「よし!これで私達は本当の友達ね!」
「あぁ、じゃあ罰ゲームの話に戻るか。」
「えーと...私には三人の大切な友達がいるの。レベル5なんて人から畏怖の目で見られる存在なのに...。その人達と今日お昼御飯を食べるの。だから...勇気にも会ってほしいなぁって」
「俺って暇だし、命令じゃなくても会うさ。それに御坂が一目置いている人達に会いたいしさ。」
「そう!じゃあ付いてきて!」
ーーjoseph'sーー
「あ!遅いですよ御坂さーん!」
黒髪ロングの元気がいい女の子が御坂に気付き声をかける。
「三人共ごめんねー。ちょっと友達と会っちゃっ...」
御坂の言葉に被せるように勇気が、
「美琴の彼氏の黄昏勇気だ。いつも美琴と仲良くしてくれてありがとう。今日は俺も参加させてほしいな。」
と言ったので、女子達の恋愛スイッチが入ってしまったのか、黒髪ロングの少女が
「御坂さん、こんなイケメンの彼氏がいるなら教えてくださいよー!水くさいじゃないですかー!」
次に頭に花飾りを着けた少女が、
「ふわー!御坂さん、流石ですー。」
最後にツインテールの少女が、
「おねぇぇぇぇぇさぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!黒子が、黒子というものがありながらぁぁ!!」
これには御坂も動揺してしまい、
「ちょっと勇気、なんとかしなさいよー!」
「ハハハハハ!面白いなぁ君たちは。」
ーー10分後ーー
「じゃあ改めて自己紹介だな。俺の名前は黄昏勇気。能力はレベル4の物理支配(エンペラー)だ。よろしくな。」
次に自己紹介をしたのは黒髪ロングの少女。
「私の名前は佐天涙子(さてん るいこ)でーす。レベルは0でーす!」
花飾りの少女
「私の名前は初春飾利(ういはる かざり)です。よろしくお願いします、勇気さん。」
ツインテールの少女
「私の名前は白井黒子(しらい くろこ)ですの。レベル4の空間移動(テレポート)で初春同様ジャッジメントで活動してますの。」
「オーケー。皆、よろしくな。」
五人で談笑していると、唐突に佐天が勇気に尋ねてきた。
「そういえば、勇気さんの、えーと...物理支配(エンペラー)ってどういう能力なんですか?」
「確かに私と公園で話した時も聞いてないわね。」
それを聞くと、勇気は笑って、
「そういえば言ってなかったな。皆さえ良ければ、今簡単に説明するよ。」
四人が興味深そうに頷いたので勇気は説明し始めた。
「俺の物理支配(エンペラー)は俺を中心とした半径十メートル以内なら、どこでも、好きなように物理法則を操ることができる能力なんだ。」
四人は首を傾げながら府に落ちなさそうな顔をしている。
「ハハッ、これじゃあ分からないよな。今から俺の能力を軽く披露するよ。じゃあ、佐天。」
「なんですか?」
「その箸をテーブルの上で右に転がしてくれ。」
「分かりました。」
と佐天は言って箸を右に転がすが、
「「「「えぇぇぇ!!」」」」
箸は真逆の左に転がった。
「今のは『物体は力を加えた方に動く』という物理法則を、『物体は力を加えた方と逆に動く』ていう風に改変したのさ。」
「す、すごいわね...。」
「じゃあもう一つだけ披露しよう。少し待っててくれ。」
そう言って勇気が持ってきたのはホットコーヒー。
「初春。君の能力は定温保存(サーマルハンド)だったよね?」
「はい。レベルは1ですが...。」
「つまり物体の保温ができるってことだな。なら俺の能力披露に協力してくれ。」
「はい。」
「まぁその前に、皆は温度が高い時の分子の状態を知ってるかい?ほい御坂。」
「分子が速く振動してるんでしょ。」
「その通りだ。それを頭に入れといてくれ。じゃあ初春さん、このコーヒーを保温して。皆はこのカップを触ってくれ。」
「保温の演算完了しました!」
「オーケイ、じゃあ始めよう。」
その言葉と同時にコーヒーカップがどんどん冷たくなっていく。その事態に初春は
「え!?演算は間違ってないはずなのに!?」
「ハハッ。じゃあ回答コーナーだ。分かった人はいるかい?」
手を上げたのは御坂と白井の二人。
「白井。」
「『分子が速く振動すれば熱くなる』という物理法則を『分子が速く振動すれば冷たくなる』という風に変えたんですのね?」
「お見事。パーフェクトだ。」
「へー!すごいなぁ。」
「そんなことないよ。じゃあ俺の能力講座は終わりだな。話変えるけど皆はなんかめぼしい話題はあるのかい?」
「それがですねーー」
「あ、もう夕方ですね。」
「いっぱい話したから時間が早く経っちゃったよー。」
「じゃあもうお開きにしましょうか。」
「そうだな。」
「あ、勇気さん!私達と携帯番号交換しましょうよ!」
ーーピロリーンーー
「それじゃあ今日は本当に楽しかったです!また皆で集まりましょう!」
「御坂さん、白井さん、勇気さん、また会いましょう。」
と言って佐天と初春が帰っていった。
「黒子、私達も帰りましょうか。」
「そうですわね、お姉様。」
「あ、勇気。...今日は楽しかった?」
勇気は微笑み、
「誇張じゃなく、人生で一番。」
御坂は笑って、
「そう!それなら良いのよ。じゃあ、またね!」
「勇気さん、ごきげんようですの。」
その言葉と共に二人は虚空へ消えた。
勇気は頭を掻きながら、言った。
「あぁ、本当に楽しかったよ。ありがとう、御坂。」
ーーこの後すぐに闇が勇気を襲うのを知らずにーー
次回。vs. 魔術師